三輪神社 (桜井市西之宮)


大和国十市郡
奈良県桜井市西之宮字西垣内
(境内横の道がここだけ少し広くなっているため、停め置きました)

■旧社格
村社

■祭神
大物主櫛甕魂命


「藤原京」の北東隅、南北に走る「中ツ道」と東西に走る「横大路」が交差する位置に鎮座する社。
つまり交通の要衝でもあり、藤原京の鬼門でもある地。すぐ近くの市杵島神社とともに藤原京の守護神であったのでしょうか。
◎「横大路」は紀によると、推古二十一年の条に「難波より京に至るまでに大道を置く」と記される官道。
西の長尾神社から東の「寺川」に架かる「小西橋」(JR・近鉄「桜井駅」ロータリーより南へ真っ直ぐ200mほど)までを結ぶ道。長尾神社から西は「竹内街道」で難波へ、「小西橋」から東は「泊瀬街道」で伊勢へ。飛鳥時代から江戸時代にかけての主要幹線道路でした。
◎「中ツ道」は「天香山」の北麓から奈良市方面へ向かうこちらも古代の主要道。紀には「壬申の乱」(672年)の中で登場しているため、それまでに敷設されていました。
南は「藤原京 東極殿」から、北は後に「平城京 東極殿」となりました。
◎当社の創建由緒は伝わっていないようです。地名の「西之宮」は大神神社に対しての意味、ご本殿もそちらを向いて東面しています。大物主神の持つ強力な霊力をもって鬼門にあてがったのかと推測してみたくなるところ。
◎鳥居脇にはひときわ目を引くケヤキの巨樹。「西国三十三所名所図絵」にも描かれており、「伊勢詣」のランドマークとなっていたようです(案内板を写した下部写真参照)。
◎地元の伝承では当社を男神とし、女神のいる三柱神社(膳夫町)に年に一度逢瀬に行くとしています。そちらには奥津比賣神(竃の神)が祀られています。

※写真は2018年6月と2021年1月撮影のものとが混在しています。







生命のエネルギーがみなぎる巨樹。




境内の南西隅。



古代の磐座を堂の礎石に流用してしまったのでしょうか。