屋就神命神社
(やつきかみのみことじんじゃ)


大和国十市郡
奈良県橿原市大垣町屋就40
(P無、いつも社前道路に寄せて停めています)

■延喜式神名帳
屋就神命神社の比定社

■旧社格
無格社

■祭神
屋就神命(ヤツキノカミノミコト)


往古は多坐弥志理都比古神社(以下「多神社」)の境内社であったと考えられている社。その400~500mほど西方に鎮座。多神社はかつて神戸42万㎡を誇ったという広大な社、現在も一の鳥居は東方600~700m先にあります。
◎式内社であるもののご祭神は出自不明、文献にも現れない神。「屋就(やつき)」の由来が関わるとされ、諸説挙がっています。
◎「日月(ひつき)」とする説(「多神社注進状」) … 
そこには「若宮四座」として、
*彦皇子神社(皇子神命神社) … 皇孫日火霊神尊
*姫皇子神社(姫皇子命神社) … 天媛日火霊神尊

*樹森神社(小杜神社か) … 瓊玉戈神尊
*日月神社(屋就神命神社か) … 火瓊神尊
そして日月神社は火満瓊命とすると。姫皇子神社以外の三社はいずれも天津彦彦火瓊瓊杵尊を連想させる神名。姫皇子神社はその配偶者(鹿葦津媛、=コノハナサクヤヒメ)ということかと。「日月」は「日嗣」からの転訛ではないかと想像も膨らみます。
◎ただしその「多神社注進状」の裏書には、「火満瓊命は豊御気津命、天明玉命すなわち玉祖郷に座す豊玉神社同体異名」とあるとのこと。これは河内国高安郡「玉祖郷」に鎮座する玉祖神社のことではないかと思われます。そちらのご祭神は櫛明玉命。高魂命の孫とされ、「天岩戸神話」に於いて八尺瓊勾玉を作ったとされる神。この神が鎮座する理由は不明。

◎「八剣(やつるぎ)」とする説(「大和志」) … 根拠不明ではあるが、石上の夜都岐神社と同様の判断をしたものかと。当社が「剣宮」と称されることもあるとのこと。
◎「屋敷(やしき)神」とする説(「式内社の研究」志賀剛) … 根拠は薄弱か。一般に「屋敷神」とは屋敷内の一隅に祀った神のこと。村内の各戸に祀るものから、本家に祀ったものを同族が奉斎参加するものまで範囲は様々。ただしそのような神が式内社足りうるのか甚だ疑問。
◎他にも天太玉命などいろいろな説が出されていますが、いずれも決定力不足。祭神不詳というのが妥当なところでしょうか。

*写真は過去数年に渡る参拝時のものが混在しています。










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