辛島文雄さんの『My Favorite Things』にハマっている
ジャズピアニストの辛島文雄さんは68歳。
去年の夏に膵臓にガンが見つかり、現在も闘病を続けながら活躍されている日本を代表するジャズピアニストのお一人です。
辛島さんのアルバムは何枚か持っておりお気に入りの盤もいくつもありますが、闘病の合間を縫って今年の2月末から3月頭に掛けてレコーディングされたニューアルバム『My Favorite Things』に現在、ハマっております。
My Favorite Things / 辛島文雄
メンバーも強力で、ドラムは高橋信之介さん、ベースは井上陽介さんと楠井五月さん、サックスは岡崎正典さんと池田篤さん、トランペットは岡崎好朗さん、そしてスペシャルゲストにトランペットの日野皓正さんとギターの渡辺香津美さん。
この豪華メンバーの辛島さんに対する愛が作品中で炸裂しています。
まず1曲目はアルバムのタイトル曲でもある『My Favorite Things』。
いきなり井上陽介さんと楠井五月さんのダブルベースで重々しく始まり「コレは本当にMy Favorite Thingsか?」と思うほどなのですが、辛島さんのピアノが合流して少し重々しい空気は薄れていって岡崎さんのトランペットの登場でようやく「あぁ・・・そうそう、これがMy Favorite Things」とホッとするのですが、それにしても終始ダブルベースは続くので音の厚みと重みと来たら・・・最高です!!
そこに高橋さんのドラムが縦横無尽に炸裂し、辛島さんのピアノの伴奏、そしてソロをとることで作品としてまとまり、とっちらかる事がありません。コレはさすが辛島さんのピアノテクニックという感じ。
それにしてもこのヘヴィーな世界観に一気に引き込まれ、気付けばアルバムに没頭をして1枚あっという間に聴けてしまう・・・という恐るべき曲順・構成に脱帽です。
2曲目はデューク・ピアソンの『Jeannine』。 今度はアルトサックス、サックス、トランペットを交えたセクステット構成で始まった直後から疾走するスウィング!!
さっきのMy Favorite Thingsの疾走する重戦車!という感じの演奏では無く、オーソドックスと言えば平凡な演奏を想像されそうなので言いたくないが、辛島さんのピアノを背に受け3ホーンが掛け合いをしながら走って行く様子はなんと心地よいことか・・・
5曲目は辛島さんのピアノと日本トランペットの大御所日野皓正さんのデュオで演奏する「黒いオルフェ」。
日野さんのトランペットはエフェクトを掛けながら日野さんらしい独特の世界観を作り上げていきます。
それにしても日野ワールド炸裂です。
ライナーで辛島さんが「日野さんと俺なので、あうんの呼吸でやった。二人の会話が違う方向に行っている場面もあるんだけど、それもジャズ。」と書いているけれど、まさにそんな二人のジャズ談義を聴いているような楽しさがあり、「違う方向に行って」しまっている場面でも何故かお二人の演奏は安心して楽しめます。あ、たぶん今、辛島さん苦笑いしたな・・・とか。
それにしてもトランペットのデュオだと病中の辛島さん、日野さんのパワーに負けてしまうところがありありと分かってしまうんじゃ無いか?と思っていましたが、全くの杞憂。美しく、力強い辛島さんのピアノをたっぷりと堪能できました。
デュオの後の6曲目は再び1曲目の「My Favorite Things」と同じ構成でボビー・ハッチャーソンの「Subtle Neptune」。・・・本家を聴いてない・・・。でもこの曲、ダブルベースで聴くと素晴らしく格好良い。
そして7曲目はギタリストの渡辺香津美さんが入ったカルテットで「Chan's Song」。
冒頭の香津美さんのギターと辛島さんのデュオがしっとりとしていて心地良く夢心地。何だったらこのまま1曲でもイイ感じ・・・。
しかし、カルテットでの演奏になってもこの心地良さは変わらず。普段、ギターの入ったジャズ作品はあまり聴かないのだけれど、コレはいいや・・・。
そして最後の9曲目は辛島さん、池田さん、トランペットの岡崎さんとサックスの岡崎さん、楠井さん、高橋さん、そして渡辺香津美さんのセプテットという豪華な布陣で辛島さんのオリジナル曲「New Rag」。
派手で賑やかでパワフルな曲。オープニングの後の香津美さんのギターが格好イイ。
辛島さんもライナーで「みんなが自由に展開しやすい曲調なのでね、7人が集まってミディアム・ファーストでワッとやろうと思っていた。」と書いているけれど、確かに7人が楽しそうにしているのが見えそうな演奏で、コチラも自然と体が前後に動いてしまいます。
もうここまで聴くと、本当に辛島さんは68歳なのか?癌で闘病中なのか?と疑ってしまいたくなるほどノリにノっていて、そして、再び1曲目から再生してしまうのです。
そんな感じで、最近は毎朝出社時に電車の中ではこのアルバムをヘビーローテーションで聴いて自分を奮い立たせているわけですが、なによりもこのアルバムの良いところは聴いていて全く飽きないところ。
飽き性な私としては、飽きない大きな要因は曲によってメンバー構成が変わる・・・というのがあると思います。
ちなみに、ライナーの写真を観ていて「あれ?このスタジオ、どこかで見たことあるなぁ・・・」と思ったら、以前ジャズ批評で取材をさせて貰ったスタジオでした。
なにはともあれ、辛島さんのニューアルバム『My Favorite Things』オススメです。
サン=サーンス 交響曲第3番≪オルガン付き≫
DACを変えて、DAC→パワーアンプ間のケーブルを変えてからというもの、メインCDトランスポートでクラシック作品を聴くのが楽しくて楽しくて・・・
んで、私はクラシックではベートーヴェンの交響曲全般、ホルストの組曲「惑星」、サン=サーンスの交響曲第3番≪オルガン付き≫が好きで、特にベートーベンの交響曲第9番、「惑星」、「サン=サーンスに関してはCDショップで持っていないものを見つけるとついつい買ってしまう癖があります。
で、今回は特に今、集中して聴いているサン=サーンスの交響曲第3番≪オルガン付き≫のCDを11枚ほどをレビューしてみようかな・・・と。
指揮者 | Jean Martinon |
演奏 | Orchestre National de l'ORTF |
オルガン | Bernand Gavoty |
録音 | 1975年 |
録音場所 | Eglise Saint-Louis des Invalides,Paris |
レーベル | BRILLIANT CLASSICS |
型番 | 94618 |
演奏 | ★★★★★★☆☆☆☆ |
音質 | ★★★★★★★☆☆☆ |
演奏はやや中庸ながらややスピード感があり華やか。
音質もなかなか良く、ステージの奥行きが深くよく見える。ただ、後方の管楽器の音が広がりすぎて少し解像度が甘くなる瞬間がある。しかし、1975年録音と言うことを考えると、かなりマスタリングには気を遣ったか?
オルガンは重低音が響き渡る・・・というものではなく、中~高域が良く伸びた神々しい音色。
重低音部のオルガンの音色も入ってはいるが、ただ、オルガンが入って以降の解像度は全体的に甘くなりがち。
なお、第1楽章前半後半、第2楽章前半後半がまとまって収録されているため、第2楽章のオルガンがワーッと登場するところから聴きたい・・・というのができないという難点があります。
指揮者 | Herbert von Karajan |
演奏 | Berliner Philharmoniker |
オルガン | Pierre Cochereau |
録音 | 1981年 |
録音場所 | Berliner Philharmoniker |
レーベル | Deutsche Grammophon |
型番 | POCG-20003 |
演奏 | ★★★★★★★★☆☆ |
音質 | ★★★☆☆☆☆☆☆☆ |
演奏はカラヤン指揮のベルリンフィル!というのが一発で分かるようなスピード感とスリリングな気迫は十分・・・なのだけれど、なんだか全般的に音がくぐもっている。
オルガンもノートルダム大寺院のオルガンを別録りしてMIXしているのだけれど、オルガンの迫力の無さたるやガッカリしてしまいます。
雄大に鳴り響くのはベルリンフィルの演奏で、その後ろに録音に失敗したようなオルガンが添えられているのが耐えられず、ほんと、今からでも良いのでこのベルリンフィルの演奏に合うオルガンの音をしっかりと録音してきてMIXし直していただきたい!
カラヤン+ベルリンフィルの組み合わせは私は大好きなのですが、これは・・・何度も聴き返さないだろうなぁ・・・。
指揮者 | 小澤征爾 |
演奏 | フランス国立管弦楽団 |
オルガン | Philippe Lefebvre |
録音 | 1985年 |
録音場所 | Salle Wagram,Paris |
レーベル | Warner Classics |
型番 | WPCS-13230 |
演奏 | ★★★★★★★☆☆☆ |
音質 | ★★★★★☆☆☆☆☆ |
コチラもスピード感があり、ダイナミックな演奏・・・なのだけれど、なぜだろう第1楽章と第2楽章の録音レベルが全然違う。
音質も第1楽章は見通しが良くステージの広がりを感じ、若干ライブ過ぎるところがあるけれど、第2楽章は全てが控えめになっており定位も甘い。
別録りのシャルトル大聖堂のグランドオルガンも荘厳さは感じるものの、圧倒されるような迫力までは感じない。
コレもやっぱりミキシングとマスタリングの差なのかなぁ・・・。
内容自体はとても良いので音質に足を引っ張られてしまっている。
指揮者 | Yannick Nezet-Seguin |
演奏 | Orchestre Metropolitain du Grand Montreal |
オルガン | Philippe Belanger |
録音 | 2005 |
録音場所 | Oratoire Saint-Joseph du Mont-Royal |
レーベル | ATMA Classique |
型番 | SACD2 2331 |
演奏 | ★★★★★★★☆☆☆ |
音質 | ★★★★★★★☆☆☆ |
前の3作に比べるとわずかながらゆっくりとしたペースの演奏でじっくりとメロディーを楽しませてくれますが、第2楽章からはやっぱりスピードが上がってきます。
各楽器の音が非常にクリアで、奥行きと天井の高さを感じることができる程空間情報が詰まっています。
パイプオルガンも備え付けのものなのでオーケストラの音とも違和感なく融合し、雄大で重低音から高音まで楽しむことができますが、基本的に柔らかい音調のパイプオルガンなので、好みは分かれるかも。
SACDサラウンドで聴く環境があれば、パイプオルガンに包まれる楽しさを体感できるのかもしれませんが、ステレオ再生ではそこまでの抱擁感はありませんでした。
指揮者 | 小林研一郎 |
演奏 | 名古屋フィルハーモニー交響楽団 |
オルガン | 小林英之 |
録音 | 1998年 |
録音場所 | サントリーホール |
レーベル | EXTON |
型番 | OVCL-00079 |
演奏 | ★★★★★★★★☆☆ |
音質 | ★★★★★★★★★☆ |
さすが炎のコバケン。情熱的でダイナミックな演奏です。
そしてその演奏を更に引き立てているのが音の良さ。非常に解像度が高く、ステージの広さと奥行き、高さが楽器の繊細な余韻の広がりでしっかりと把握できます。
また、ノイズがリアル。お客さんの咳払いや足音、座席がきしむ音などがまさにサントリーホールで聴いているような錯覚を覚えさせるほど細かくリアルです。
更にオルガンが合流する第1楽章後半ではオルガンがオーケストラの楽器の音色をにじませること無く、オーケストラの後ろから会場全体を暖かい音色で包んでいきます。
コバケンの唸りもしっかり聞こえます。さすが音質にこだわったレーベル。
指揮者 | Leonard Slatkin |
演奏 | フランス国立リヨン管弦楽団 |
オルガン | Vincent Warnier |
録音 | 2013年 |
録音場所 | Auditorium de Lyon,France |
レーベル | NAXOS |
型番 | 8.573331 |
演奏 | ★★★★★★☆☆☆☆ |
音質 | ★★★★★★☆☆☆☆ |
演奏がほんの少し演出過剰な気がしなくも無いですが、それもなんだかフランスっぽいというような気がしないでも無い。
音質に関して言うと、悪くは無いのですが鮮烈さに欠け、オルガンの迫力も後退気味です。
これ、音質が抜群に良ければ、そしてオルガンの迫力がもっとあれば・・・かなり「芸術的」な作品になったのでは無いか・・・?などと思えてしまいます。
チョット残念。
指揮者 | Michael Stern |
演奏 | Kansas City Symphony |
オルガン | Jan Kraybill |
録音 | 2013年 |
録音場所 | Helzberg Hall |
レーベル | REFERENCE RECORDINGS |
型番 | RR-136SACD |
演奏 | ★★★★★★★☆☆☆ |
音質 | ★★★★★★☆☆☆☆ |
SACDとCDのハイブリッド作品の本作、こちらもSACDサラウンド再生環境があればより楽しめるのかも・・・。
演奏はオーソドックスながらダイナミックで結構聴き応えがあります。
音質に関して言うと、なんだかムラがある感じ。
ヴァイオリンの弦の音が綺麗だな・・・クラリネットも透明感があってイイ音色だな・・・と思っていたら、第2楽章から急に音がくぐもってしまって・・・とか、曲の途中で急に鮮度が復活したりとか・・・。どう評価して良いのか悩みます。
オルガンの超重低音がたっぷりと入っていてスピーカーの鳴らし甲斐があるのに、チと勿体ない。
(まぁ、そのオルガンも音の抜けが悪いのでコチラもチと残念)
指揮者 | Daniel Barenboim |
演奏 | Chicago Symphony Orchestra |
オルガン | Gaston Litaize |
録音 | 1975年 |
録音場所 | Chicago & Chartres(France) |
レーベル | Deutsche Grammophon |
型番 | UCCG-40008 |
演奏 | ★★★★★★★★☆☆ |
音質 | ★★★★★★★★★☆ |
本作はPLATINUM SHM-CDフォーマットの作品で、高音質盤としてCDの素材自体を見直して音楽CD規格に適合しなくなってしまったもの。(一般のCDプレイヤーで再生できますが、一部プレイヤーで再生できない場合あり) バレンボイムによって統制されたシカゴ交響楽団の演奏はお見事。
何せこの作品自体は1975年に録音されて1976年に世に発表されて支持されてきた作品なので、演奏自体に問題があるわけが無いのです。たぶん。
音質はというと、なるほど、1975年に録音した作品とは思えないほど鮮烈。
各楽器の音色と奥行きがしっかりと、繊細に収録されています。
オルガンも「これでもか!!」というほどの超主張で非常にドラマチック。
本作のオルガンはフランスで別録りされたものなのですが、別録りでこんなにもシンクロするものなのか・・・とビックリするほどオーケストラとオルガンが一体化しています。
ただ、いやいや・・・オルガン、強すぎでしょう、嫌いじゃ無いけど(笑)。
指揮者 | Charles Munch |
演奏 | Boston Symphony Orchestra |
オルガン | Berj Zamkochian |
録音 | 1959年 |
録音場所 | Symphony Hall,Boston |
レーベル | BMG CLASSICS |
型番 | 82876613872 |
演奏 | ★★★★★★★★★☆ |
音質 | ★★★★★★★★★☆ |
この後続く同一録音盤3作品のトップバッターはSACDのハイブリッド盤。 1959年録音とは思えないノイズの無い鮮烈な音で、演奏の細かいニュアンスをたっぷりと楽しめます。
音としては、各楽器の音が一部誇張されているような印象も受けますが、それ故に聞こえにくい楽器が埋もれてしまわずに聴きやすく整理整頓されています。
SACDで聴くとホールの空気感は非常にリアルに描写されるのですが、全体の音の線がやや細く感じられてしまい、個人的にはCDの音の方が好きです。
肝心のパイプオルガンですが、天に突き抜ける高音から地を這う重低音まで、パイプオルガンで打ちのめされたい時に得たいもの全てがギューッと凝縮されております。そう!これこそがパイプオルガン!!
指揮者 | Charles Munch |
演奏 | Boston Symphony Orchestra |
オルガン | Berj Zamkochian |
録音 | 1959年 |
録音場所 | Symphony Hall,Boston |
レーベル | Victor |
型番 | JMCXR-0002 |
演奏 | ★★★★★★★★★☆ |
音質 | ★★★★★★★★★☆ |
上の盤と同じ録音ですが、こちらは3chのマスターテープをビクターが誇るK2技術を余すところなく注ぎ込んでマスタリング、カッティングを施したXRCD2盤です。
先ほどのSACD盤と同じように録音の古さを全く感じない鮮烈さはそのままに、音1音1音に深さというか、生々しい熱気が感じられます。
私はこの盤でこの楽曲の素晴らしさに感動し、色々と集めるきっかけになりました。
ちなみに、ホールの空間再現に関しては、SACD盤の方が上です。
なお、このXRCD盤はこの楽曲以外のおまけは入っておりません。サン=サーンスの交響曲第3番に全力投球なのであります。
指揮者 | Charles Munch |
演奏 | Boston Symphony Orchestra |
オルガン | Berj Zamkochian |
録音 | 1959年 |
録音場所 | Symphony Hall,Boston |
レーベル | Victor |
型番 | JM-CXR0002S |
演奏 | ★★★★★★★★★☆ |
音質 | ★★★★★★★★★★ |
最後は、上記のXRCD2盤から更にこだわり、ディスクの素材をSHM-CD化した盤です。
なんと言うことでしょうか!
XRCD2盤でやや後退してしまっていたホールの空間再現がこの盤では見事に再現されており、しかもXRCD2盤の生々しさや音の深みがそのまま、いや、更に進化をして居るではありませんか!
今のところ、このディスクが私にとってのサン=サーンス項協力第3番<オルガン付き>の最高峰です!
DAC1Pre → AMP S1 間のXLRケーブルを変えてみた
お盆休みのおかげで色々と聴き込むことができたのですが、前回のブログの最後でも書いたとおり、聴けば聴くほどDAC1PreとAMP S1の接続ケーブル、ACROLINKの7N-A2200III(XLR)がこのままで良いのか・・・と、疑問に思えてきたわけであります。
いや、ACROLINKのケーブルが悪いわけじゃ無いのですが、とにかくDAC1PreとAMP S1を電流伝送したいが為にヨドバシカメラの店頭でとりあえず買ってきたケーブルなので、全く吟味ができていなかったわけです。
で、「現状においてこのケーブルが適切なのか?」等と考えているウチに、ついついヨドバシドットコムで注文してしまいました。

今回買ったのはオヤイデ電気の5N純銀バランスケーブル『AR-910(1.0m XLR)』です。
さすがに10万円オーバーのケーブルは今は買えませんでした。
ヤフオクでも最近は偽物のブランドケーブルが大量出品されているのでイマイチ信頼ができません。
ちなみにこのやや重厚な箱を開けると、黒い不織布と静電防止ビニールに入った銀色のケーブルが出現します。

ちなみに写真撮影の都合で外しておりますが、端子部には黄色いシリコン製(ゴム?)の緩衝材が巻かれている徹底ぶり。さすがオヤイデ電気です。
このケーブルのスペックは、
導線が5N(99.9995%)純銀で直径1.08mの単線(FTVS-910)
端子はリン青銅に純銀とロジウムメッキ処理(FOCUS1)
ということで、オヤイデ電気渾身の純銀ケーブルです。
オヤイデ電気のケーブルは内容の割に海外ブランドに比べて安価なので助かります。

ちなみにXLR端子には右左チャンネルが識別できるように赤と青のスワロフスキーが埋め込まれています。
まぁ、ここに関しちゃスワロフスキーが見えない角度になると左右の判別が難しくなるので何ともいえませんが、まぁお洒落です。
ちなみに、先ほどまで使用していたケーブル、ACROLINKの「7N-A2200III」がこちら。

このケーブルだって決していい加減なものじゃ無くて、導体は7N(99.99999%)の超高純度純銅だし、質実剛健なケーブルではありますが・・・
何はともあれ、早速ケーブルをつなぎ替えてどのくらい変わるかを聴いてみなければ・・・
というわけで、早速ケーブルをつなぎ替えて一人試聴会です。
まずは「ノルウェーの森(XRCD2)
トーン・・・・シャン・・・・・
演奏空間がフワッと広がったような、非常に澄んだ広大な空間に煌びやかに広がっていくパーカッションと鈴の音色がなんとも美しく、音の余韻までキラキラと光っているような音の粒の綺麗さにしばらくの間驚いてしまいました。
なんて研ぎ澄まされて綺麗な空間なんだろう・・・
まるで自室の空気まで綺麗になったような音色の綺麗さに呆気にとられてしまいました。
続く長谷川さんのチェロの音色も、まさに眼前で演奏をしているような、弓が弦を擦るのが見えるような生々しさが有るではありませんか。
いや、今までも感じてはいたけれど、それが更に演奏空間の広さ、広がりをも伴って部屋の中に描写される様が非常に新鮮でした。
・・・そうだ。
・・・・・そうだよ。
ケーブルは大きく音を左右するんだよ・・・ということを今更ながら改めて実感してしまいました。
と、ここまでは当初の予想よりも大幅な音質変化に驚きつつ大喝采を送っておりましたが、さて、問題はここからです。
最初、オヤイデの純銀ケーブルAR-910を買う時にフと頭をよぎったのは、電流伝送をするケーブルで、導体の細い単線ケーブルで大丈夫なのだろうか・・・ということ。
もっとも、ACROLINKの7N-A2200IIIは直径0.18mmの7N純銀線を34本束ねて撚ったものを導線としているので、単線ケーブルとの比較は難しいのですが、ただ、1本の細い単線ケーブルでちゃんと、満足な電流量を正確に伝送できるのだろうか、または熱量に長期間の間耐えられるのだろうか・・・とか。
もっとも、DAC1PreとAMP S-1の間を流れる電流容量はそこまで大きくないと思うので、そこまで気にしないで良いはずだ・・・とか。
そんなわけで、まずは煌びやかに緻密で広大な空間表現を聴かせてくれたAR-910ですが、純銀線の傾向というと誤解を招くのですが、こういう方向に音が変化した場合は往々にして低音が軽くなってしまったり薄くなってしまった利しがちです。
そこん所を検証するため、ジャズでは最初に「SPIRAL CIRCLE
ドラムソロが始まると、ドラムの炸裂音が今までよりもより鮮烈にキラキラと部屋に広がり、定位もしっかり把握することができます。
そしてドシンッ!と部屋を揺らすようなバスドラの低音も・・・いやいや後退した様子は一切感じません。
となると、熱量はどうでしょう?
ということで、「ブエノス・アイレス1952
低音の膨らみに関してはほんのわずかに減ったかもしれませんが、沈み込みや繊細な余韻は今まで以上に感じることができるので、低音は全く不満はありません。
また、シンバルやピアノの余韻も最後の1音まで淀むこと無く綺麗に聞こえるので、中~高域が軽くなったり濁って曖昧になってしまうことはありませんでした。
次はクラシックで「サン=サーンス交響曲第3番≪オルガン付き≫(XRCD2)
コチラも非常に鮮明でホールの広がり、奥行きが非常に深くなり、個々の楽器の音がより鮮明になった・・・というのを感じることが出来ましたが、それ以上にこの作品の最大の見せ場である第2楽章の後半、雄大にパイプオルガンが鳴り響く場面で、地を這うような重低音、ホール全体に響くパイプオルガンの中~高音、全て茫洋とせずに明瞭に眼前で展開されるので、今まで以上にトランス状態に入ってしまいます。
ピアノソロの「ピクチャーズ
最後の観客の拍手もただ聞こえるだけじゃ無く客席の広さを感じることが出来そうな残響音の広がりで、普段は拍手を最後まで聴き続けることはあまり有りませんが、思わず楽しくなり聴き続けてしまいました。
うん、今回のケーブルはかなりシステムにマッチしている気がする。
でも、こうなってくるとまた色々とケーブルをとっかえひっかえしたくなっちゃって困るなぁ・・・
改めてアクセサリーの重要性を実感した今回のケーブル変更でした。
小柳出電気商会 バランスケーブル(XLRメス-XLRオス) 1.0m ペア AR-910/1.0