
PioneerのUDP-LX800のXLRケーブルをTransparentのケーブルに変更
Pioneerのユニバーサルディスクプレイヤー『UDP-LX800』と、B.M.C.のプリアンプ『DAC 1Pre』を接続していたケーブルを変更しました。
それまでは、オヤイデ電気の5Nの純銀ケーブル『AR-910』のXLRケーブルを使用していたのですが、アメリカのハイエンドオーディオケーブルメーカーTransparentの『REFERENCE』XLRケーブル(第3世代)を入手したので、早速繋ぎ変えて色々と聴き比べをしてみることに・・・。
今まで使っていたオヤイデ電気のAR-910
今回導入したTransparentのREFERENCE XLRケーブル
ちなみに、上記写真でも分かるようにTransparentのケーブルは信号内の不要なノイズ成分を除去するネットワークが独特なボックスの中に入っているのが特徴で、REFERENCEモデルはこのボックスが1本につき2個ついています。
まず聴いてみたのが、リファレンスディスクになっているチェリスト長谷川陽子さんの『ノルウェーの森 [XRCD]』。
1曲目の「ノルウェーの森」の出だし、パーカッションのシャーン・・・・という鈴の音の広がり方、繊細さがTransparentの方が圧倒的に上で、次に出てくるピアノの音の奥行き、それぞれの音が消える瞬間までの余韻、どれとをっても段違いに「美しい」。
こうなってくると、長谷川さんのチェロの力強い音も「力」がスポイルされて「美しい音」になってしまうのではないかと心配しましたが、杞憂でした。
長谷川さんのチェロが入ってきた瞬間、チェロの胴の中の空洞が見えてくるような、鮮明・繊細でありながらも、しっかりと芯の通った力強い音、そして「きれいな音」にありがちな奇麗になり過ぎて実在感が薄れてしまう音ではなく、なんとも生々しいチェロの弦と弓の摩擦音と胴鳴りからスタジオで美しく響く音の余韻・・・これがTransparentの実力か。
お次はジャズのリファレンスディスク、ヘルゲ・リエントリオの『Spiral Circle』。
聴きどころはやはり7曲目の「TAKE FIVE」冒頭のドラムソロなのですが、ディスクをUDP-LX800にセットし、1曲目の「LITEN JAZZBALLONG」の自動再生が始まると釘付けになってしまいました。
このディスクは北欧録音で良くあるような、透明度の高い余計な中~低音をブーストさせない「きれいな音」とバスドラムの重低音成分と力強さがしっかりと収録されているアルバムなのですが、ドラムピアノの音、ドラムの音、ベースの音、どれをとっても今まで以上に音の出始める瞬間から消える瞬間までが非常に鮮明で「美しく」、バスドラムの重低音も一切の曇り、茫洋とした無駄な響き無く締まっていながらどこまでも沈み込む音で、この音を聴いて初めて今まで奇麗に音が出ていると思っていたケーブルでも、まだ音に濁りがあったのか・・・と、実感を持ちました。
そして本ディスクお楽しみの「TAKE FIVE」では音が力強くも繊細なのでシンバルの弾ける音、全身に音の塊としてぶつかってくる重低音、どこをとっても解像度がグッと上がったおかげで、今まで以上に生々しく聴こえるので、ボリュームを上げても「うるさい」感じは一切ありません。
次はオーケストラはどうでしょう。
グスターボ・ドゥダメル指揮、シモン・ボリバル・ユース・オーケストラ・オブ・ベネズエラ演奏のストラヴィンスキー『春の祭典』です。
出だしのファゴットの音が出た瞬間、「なんじゃこりゃ!?」とただただ驚きました。
なんなんだ、このステージの奥行きは。
今までも「ホールの奥行き、幅の広がりを感じられる盤だなぁ」と思っていましたが、今までの音像が嘘だったかのように、特大のホールが眼前に現れたかのような錯覚に陥ります。
そしてピアニッシモからフォルティシモへと、演奏がわっと盛り上がってもその音像は揺らがず、客席に自分しか居ないコンサートホールの特等席で演奏を堪能している錯覚に浸りながら、オーディオチェックでチョコっと聴けばいいかなと聴き始めたのを忘れて、アッと言う間にディスク1枚聴き終えてしまいました。
TransparentのREFERENCEケーブルの真骨頂はココだったのか。
じゃあ、SACDではどうなんだ?
という事で、TEACの高級オーディオブランドESOTERICが監修・発売したSACDボックス「6 Great Jazz」から、キャノンボール・アダレイ(というか、マイルス・デイヴィス)の名盤中の名盤『SOMETHIN' ELSE』。
1曲目の「枯葉」は、言わずと知れた名曲中の名曲で、最高の名演。
バースが始まった瞬間からウキウキするような厚みのあるブルー・ノートサウンド。
左チャンネルのマイルスのミュート・トランペットがなんとも生々しく、右チャンネルのドラムのハイハットの音の粒立ちが非常に細かく鮮烈でイイ。
中央のちょっと奥で控えめにほかのメンバーを支えているハンク・ジョーンズのピアノは若干スモーキーで、以前聴いたアナログのオリジナル盤の音の感動をそのまま家で追体験している様です。
このSACD、こんな実力のある盤だったんだ・・・と、初めて実感しました。(遅い?)
最後は、ステレオサウンド社が監修・発売したDECCAの名盤Istvan Kertez指揮、ウィーン・フィル演奏のドヴォルザーク交響曲第9番『新世界より』のSACD盤。
う~ん、先ほどの「春の祭典」でも感じましたが、なんて空間表現が豊かなんでしょうか。
音の粒子一粒一粒が非常に細かく美しく、音が消える瞬間まで繊細に描かれているのでホールの奥行きがグッと増し、左右への音の展開も壁を突き抜けて広がっていくので、クラシックを聴いているとまるでホールで聴いているような錯覚に陥ります。
しかし、下手なソースではここまで雄大にステージが広がっていかないので、この感覚を得るにはソースの完成度の高さが重要なのでしょう。
それにしても・・・この盤も気が付けば最後の第4楽章まで一気に聴いてしまいました。
Transparentのケーブルは好きで、電源ケーブルやラインケーブル、そしてスピーカーケーブル等、要所要所で使っているけれどリファレンスラインのケーブルはスピーカーケーブル以外に使っていませんでしたが、今回導入したXLRケーブルで改めてTransparentのリファレンスクラスのケーブルの実力を実感しました。
ケーブルとしてはかなり高い買い物でしたが、これは長く付き合っていけそうなケーブルです。
こうなってくると・・・ケーブルインシュレータも・・・・って、ヤバいなぁ・・・。
女子オーディオイベントで紹介されたOlasonicのIA-BT7を買ってみた
先月、吉祥寺の『音吉MEG』で開催した「第22回女子オーディオイベント」で紹介していただいたOlasonicのBluetoothスピーカー『IA-BT7』の鳴りっぷりの良さに感銘を受け、イベント直後に購入をしておりました・・・。
IA-BT7がどんなものか・・・という事に関しては、女子オーディオイベントの時の記事やOlasonicさんのHPでご確認をいただくとして・・・
輸送箱→IA-BT7の箱→IA-BT7というちょっとしたマトリョーシカ状態を経て登場したIA-BT7、会場で手に取った時よりも「あれ?こんなに小さかったっけ?」という印象です。
あ、ちなみに、色は会場でお客さんから声が上がっていた「ピアノフィニッシュと同じく塗装された白の方がお得じゃない?」に共感し(笑)、白モデルを買いました。
さて、とりあえずある程度ボリュームを出せるオーディオルームにちょこんと置いて色々と聴いてみることに。
IA-BT7自体はLDACを使用した96KHzまでのハイレゾ音源に対応しておりますが、手元にあるのは普段出勤時に使用しているAppleのiPod Touch、しかも入っている音源はほとんどがCDからリッピングしたAAC256Kbps(iTunes Plusクオリティ)の圧縮音源なので、それを使用。
IA-BT7自体がBluetoothの音源を96KHzにアップコンバートしてくれるらしいので、多少はマシになるかな?
まず聴いてみたのが、オーディオシステムのチェックでも使用しているコチラ。
ノルウェーの森(XRCD) / 長谷川陽子
コチラは、出だしのパーカッションとピアノの澄んだ音色と、音の奥行、広がりをどれだけ感じられるかが最初の肝になります。
うん・・・・
高音の出方は非常にキレイ。
ただ、パーカッションの音の広がりはさすがに厳しいか。
それでもこの小さく、左右のスピーカー間が14cm程度しか離れていない本体からこんなにもしっかりと奥行きが出るとは・・・お見事。
そしてこの作品は、やはり主役の長谷川さんのチェロがどれだけキレイに、弦と弓の擦れる音、チェロの胴鳴り、チェロとは思えない沈み込む低音を再現できるか。それに呼応してパーカッションの低音とチェロの低音がしっかり分離して聴こえるかがカギになります。
なるほど、高音の出方がキレイなので弦と弓の摩擦を感じるチェロの音色はなかなかしっかりと聴こえます。
そして何より、低音がすごい。
とても直径11cmのウーファーから、しかもこんなに薄っぺらい(厚さ7.3cm)エンクロージャから出ている音とは思えません。
そして何よりもこの音圧。
普段のメインシステムと同じ・・・とまでは言いませんが、そこそこのボリュームを出しているのに音が歪まずに澄んでいるのが信じられません。
次に聴いてみたのはこちら。
神々の詩 / 姫神
これはシンセサイザーを駆使した作品になっているので、左右の音の振り方も極端に振っているので、その音場の広がり、音と音の厚みと分離を楽しめます。
1曲目の「神々の詩」はTBSの同名のドキュメンタリー番組主題曲なので非常に有名ですが、音の広がりを楽しむのであれば2曲目の「風の彼方」の方が好きだなぁ。
というわけで、先ほどの長谷川さんの作品ではあまり左右への音の展開が表現できていなかったので、こちらで再確認。
へぇ・・・確かに部屋いっぱいにもしくは部屋の壁を突き抜けて左右に音が展開する・・・というのは難しいですが、スピーカーのサイズを大きく超えて音がちゃんと左右に展開して部屋の中を左へ右へと動いていきます。
じゃあこれは?
大航海時代 / 菅野よう子
今から30年近く前のPC用ゲームのサントラ。
これがまた、ゲーム内の音をそのまま収録しているのではなくて、菅野よう子さんの曲を最大限に引き出すためにバンドやオーケストラで演奏されている作品で、ゲームをやっていればもちろん楽しめますが、ゲームをやっていない人でも中世ヨーロッパを中心とした大航海時代の雰囲気を楽しめる作品になっています。
その中でも、9曲目の「The Card Master」はゲーム中の酒場で流れるジャズ調の曲をアルトサックス、ピアノ、ベース、ドラム(ほぼシンバルのみ)でカルテットで演奏しており(中世ヨーロッパにジャズが無いという点はまぁご愛嬌で)、全体的にステージが奥に引っ込んだような奥行きのある配置になっています。
IA-BT7はこの曲の奥行き感、各楽器の距離をしっかりと描写し、聴いていてウキウキとしてしまうのであります。
美輪明宏さんの「ヨイトマケの唄」でも・・・
全曲集 / 美輪明宏
冒頭の美輪さんの「もひとつおまけにエンヤ~コラ!」のところときたら・・・
声の表現がしっかりしているので鳥肌が立ちそうになるほどの説得力があります。
いやはや、3万円のBluetoothスピーカー、恐るべし・・・・です。
惜しむべきはただ1点。
それはこのBluetoothスピーカーにUSB入力が無い所でしょうか。
USBさえ繋がればPCも繋がるし、目玉機能の「ハイレゾ」音源が利用できるのですが・・・
ただ、自宅で音楽を聴きながら本を読んだり、アイロンをかけたり・・・何か作業をしながらBGMを流すスピーカーとしては十二分な能力を持っていると思います。
また、大仰なオーディオシステムを構築するまでではないが音楽を聴きたいと思っている人や、オーディオ機器の置き場所が無いという人にとってもかなり有力な選択肢になるかもしれません。
さて・・・あとは、我が家のどこにコイツを設置するか・・・だな(笑)。
OlaconicのIA-BT7、なかなか良いです。

2018年の素晴らしかったジャズCD
最近はほとんどジャズやオーディオがらみのお手伝いは休止状態ですが、それでも去年1年、自分でも覚えていないほどジャズやクラシックのCDやレコードを買い漁り、聴いてきました。
そんな中、今年もお声かけを頂きジャズ批評の「マイ・ベスト・ジャズ・アルバム2018」に原稿を書かせていただきました。
2018年に発売されたジャズアルバムの中から、個人的にベストと思う5枚はジャズ批評に載せていただいたのでそちらをご覧頂くとして、ジャズ批評では紹介出来なかったけれど、素晴らしかったアルバムは他にも多数有り、今年もそれらのアルバムをブログにて紹介させて頂ければと思います。
まずはなんと言ってもコチラ。
QANTAR / Omer Avital
イスラエル人ベーシストOmer Avitalのクインテット作品。
これがまた素晴らしい。
1曲目の「One Man's Light Is Another Man's Night」から格好良さが炸裂。
疾走感のあるホーンセクションと、それをしっかりと支えるドラムとベースのどれも格好いい。
「Cool Song」等のメロディーも素晴らしい。
Omer AvitalやAvishai Cohenの作品は見かければ買ってしまうのですが、コイツはどストライク。
ジューイッシュ・ジャズ作品はメロディー構成や展開が日本人に合うと思うのは私だけでしょうか。
なにかこう、聴いていると懐かしさすら感じる瞬間が有り、ついつい聴いてしまうのです。
ジャズ批評で紹介する作品に入れるかどうか最後の最後まで悩んだ作品。
ちなみに、Amazonで試聴出来ます。(なんでここを切り取った?という感じはしますが)
次はこちら。
ピアノとチェロとヴォーカルと / ピチェヴォ
こちらはヴォーカルの紗理さん、ピアノの瀬田創太さん、チェロの橋本歩さんのトリオによる作品。
1曲目の「Your smiling Face」の軽やかでキュートな紗理さんの歌声、颯爽としたピアノとチェロの伴奏が心地良い。
2曲目はビートルズの「Come Together」。コチラはゲストの中村誠一さん(紗理さんのお父さんね)のクラリネットが登場し、1曲目と打って変わって重厚感のある演奏と内容。
楽しさにあふれる内容でドラムレスであることを忘れるくらい。
お次はコチラ。
TRIPLETS / Amedeo Ariano
ドラマーのAmedeo Arianoによるピアノトリオ作品で、ベーシストにLuca Bulgarelli、ピアノにFrancesca Tandoi。
ピアノのFrancesca Tandoiは澤野工房から自身のリーダー作を何枚か出しているピアノ&ボーカリストの才女。
結局Francesca Tandoi目当てで聴いてしまうのですが、今回はピアニストに徹していて聴き応えのある演奏を聴かせてくれます。
そして、当たり前ではありますがリーダーのAmedeo Arianoのドラム、Luca Bulgarelliのベース共に縁の下の力持ちにとどまらない主張のある演奏が気持ちいい。
4曲目の「I Didn't Know What Time It Was」がオススメ。
最後は少し毛色の違うコチラ。
Cinema Holic / TRIO KARDIA
フルートの日野真奈美さん、ヴァイオリンの星野沙織さん、ピアノの高橋亜侑美さんによるクラシック界からの刺客が繰り広げるジャズ(じゃないよな?)な感じの作品。
何でこれがジャズ売り場にあったんだろう?と、レーベルを確認したら・・・diskunionのDIWレーベル作品でした・・・。
いや、実際問題、ジャズじゃ無いんですが、「そんなの関係ないじゃん」という位、軽妙で楽しい演奏てんこ盛りで、ホッコリとしながら聴けるのです。
しかも、音が良いのでオーディオ部屋でしっかりと、それぞれの楽器の生々しい音色、距離感などを感じながら聴く楽しみもあります。
アルバムタイトル通り、映画音楽のオンパレードなのでどの曲も必ずどこかで聴いたことがあるわけで、それもまた聴いていてウキウキと楽しくなるのであります。
個人的なオススメは1曲目の「THE SOUND OF MUSIC」と3曲目の「ARRIVEE DES CAMIONNEURS」、5曲目の「CINEMA NOSTALGIA」などなど。
あぁ、なんだか心が洗われるような音色でウットリ(笑)。
他にも色々とあるのだけれど、書きたいブログがたまっているのでこの辺で・・・・。
ジャズ批評掲載のオススメ盤と共に、是非一度聴いてみて下さいませ。