Besame Muchoのちゃんとしたご紹介(長文)
さて、オススメ!と何度もご紹介してきた、松尾明トリオの『ベサメ・ムーチョ
』。
そろそろちゃんとご説明せねばならぬだろう・・・ということで、松尾明トリオの『ベサメ・ムーチョ』のご紹介です~!
CDショップ「disk union」の独自レーベル『DIW』内に開設されたレーベル、「寺島レコード」。(寺島さんは吉祥寺のJazz喫茶MEGのオーナーで、ジャズ界ではその言動に対して好き嫌いがハッキリ別れて面白いジャズ評論を繰り広げる名物オヤジ。著書多数。)
その寺島レコードの第3弾として、同レーベルの音楽プロデューサーも務めているドラマーの松尾明さん、ベーシストの嶌田憲二さん、ピアニストの寺村容子さんの松尾明トリオで、アルバム「ベサメ・ムーチョ」が発売されました。
寺島レコードの第1弾、同じ松尾明トリオでの「アローン・トゥゲザー
」が大好評だった為、再び松尾明トリオの登場となったのでしょう。多分。
で、大抵の場合、第1作目の評価が高かった場合、2作目は・・・・と言う感じになるのですが、いやはや、今回の「ベサメ・ムーチョ」は明らかに前作を超える傑作になっています。
まず、真紫のジャケット。なんだかリニューアル前のMEGの入り口ドアの紫色アクリルパネルを思い出す・・・。
ともあれ、色的には非常に魅力的なジャケット。
そして、「目」が特徴的な女性のイラスト?
個人的にはチョット怖い感じもするけれど、寺島さんはお気に入りの様子。
そのジャケットを裏返すと、収録されている12曲の曲名が並んでいます。
・・・知らない曲がいっぱいある・・・(苦笑)
オイラだけではないと思うけれど、曲目を見て知らない曲だらけだと買うかどうか迷ってしまう場合が往々にしてあります。
特にアーティストのオリジナル曲だけだと・・・もう当たるも八卦当たらぬも八卦で、レジに持っていく時に結構気合いを入れないとお会計できません(笑)
今回のアルバムでオイラが知っている曲は・・・12曲中5曲くらいかな・・・?
さてさて、知らない7曲に不安を抱きつつもCDをプレイヤーにセットします。
1曲目、Carlo Uboldiの「ANGRY DOGS」という曲です。
お気をつけ下さい。
まず、ボリュームのメモリをご確認いただき、最初から大音量で楽しもうとしないで下さい。
初心者の方はそこそこのボリュームで再生し、音が出てからちょうど良い音量に調整し、最初から再生し直してお楽しみください。(笑)
とにかく、いきなりドーンッ!とスピーカーから溢れてくる音の津波が一気に五感を突き抜けます。
松尾さんのシンバルが気持ちイイ~!
寺村さんのピアノが豪快だ~!
嶌田さんのベースが強靭で弾んでる~!
この1曲目を再生した瞬間、「このCD当たりだ!」と確信する事でしょう。
耽美な世界とは対極のJazzの世界がここにあります。
1曲目で松尾明トリオの世界に引きずり込んでやろう!という寺島さん達の思惑に乗っかり、身を乗り出して疾走する様なスピード感溢れる豪快なジャズサウンドに聴き入ってしまいます。
そして2曲目、「Rusignol」という曲。
これがまた奇妙なノリの良さがあり面白い。
1曲目の様なスピード感は無いものの、落ち着いたビートでノリがイイ。
この曲では特に寺村さんの技術が光っている。
もし、寺村さんが少しでもモタることがあったら、この曲のこのノリの良さは出なかったでしょう。
それにしても、多分初めて聴く曲だと思うのだけれど、良い曲だなぁ。
3曲目はHorace Silverの「Swingin' The Samba」。
なにやら淡々と曲が進行している様な印象を受けるものの、途中から寺村さんのピアノを後ろからプッシュする様な松尾さんのドラムが小気味よく、何とも言えません。
Sambaのタイトル通り、体が動いてくる様な非常に楽しい演奏です。
曲紹介は飛んで6曲目、「Rumba Del Cajon」。
ジャズ批評にアルバムの紹介記事を掲載する為、レコーディング現場に取材に伺った時にちょうどこの曲をレコーディングするところでした。
この曲にはバス・トロンボーンの西田幹さんが参加。
西田さんは寺島さんのトロンボーンの師匠。
それもこれも、寺島さんが西田さんのトロンボーンの演奏、音色に惚れ込んで弟子入りしたそうです。
このレコーディングの際、出だしだけで何度もリテイクを繰り返し、「西田さんのトロンボーンはもっと遅いテンポで色気が出るんだよ!」と寺島さんがこだわりにこだわっていました。
それにしても、この曲も曲としては非常に難しい曲だと思うのですが、恐らく我々リスナー側はその「難しさ」を感じないのではないでしょうか。
寺島さんも言っておりましたが、このメンバー(松尾明トリオ+ゲスト)は「難しい曲を難しくない様に演奏できる」という素晴らしさがあるのでしょう。
これもまた寺島さんの言葉ですが、「簡単な曲を難しくやるミュージシャンばかりのことろ、松尾明トリオの様なミュージシャンは貴重。」なるほど、同感。
その曲が潜在的に持つ難解さをリスナーに伝えないと言うのは技術があり、お互いの息が合っていればこそなのだと思います。
見っけものの1曲。
そしてボーカリストのMAYAさんが参加している8曲目の「Georgia On My Mind」。
この曲はあまりにも有名なので多くの歌手が歌ってきた曲であるが故に、歌うのが難しい曲だと思います。
それをMAYAさんが歌うと言うので、聴くのが非常に楽しみでした。
MAYAさんの歌うGeorgia On My Mindは、気持ちよくスッと曲に入れる魅力があります。
結構この曲はブルース風に歌う人が多い様に感じるのですが、MAYAさんの歌うこの曲はジャズしてます。
目の前には、暗いジャズ・バーでスポットライトを浴びて赤いドレスを身に纏って、目を瞑りながらマイクスタンドを抱く様にして歌っているMAYAさんが浮かんできます。
良いじゃないですか。
そして9曲目、オイラがもしかしたらこのアルバムで一番好きかもしれない曲、「Briming Tears」。
松尾明さんのオリジナル曲です。
・・・良い曲書くじゃないですか!松尾さん!!
この曲は嶌田さんのベース無しには成立しないと言っても過言ではありません。
嶌田さんの強靭で沈み込むベースがこの曲の「柱」になっています。
そこに松尾さんのスネアのリズム、そしてシンバルが突き刺す様にアクセントを付けます。
そして寺村さんのピアノが儚げに旋律を加え、気分は一気に高揚してきます。
ちなみにこの曲、オーディオ的にも非常に「聴いてもらいたい」1曲。
いかに「柱」である嶌田さんのベースを、緩み無く、キリッとした低音を出せるか・・・これがキモです。
ゴムひもの緩んだパンツの様なだらしない低音では、この曲の良さは100分の1も実感できないでしょう。
10曲目はPat Methenyの「Question & Answer」。
この曲では寺村容子さんの「凄さ」が爆発しています。
最初にテーマをひき終わった後、寺村さんのアドリブに突入しますが、寺村さん、いつの間にこんなに大胆になったのか!?と驚嘆してしまいました。
これまで何度も寺村さんの演奏をライブで聴いてきましたが、女性らしい繊細さと、時折見せるダイナミックさが魅力でしたが・・・とうとうダイナミックな演奏を女性ならではの繊細さでやってのけてしまっています。
寺島さんもライナーノートで「別の世界に入った」と書いているけれど、全く同意。
寺村さんのオリジナル曲で「桜坂」、「多摩川」という曲があるのだけれど、今度是非、この曲を入れた寺村容子トリオのアルバムを作ってもらいたい!
最後の12曲目、Stephan Noel Langの「Goodbye」。
これもまた、普段聴くステファン・ジェンキンスの「Goodbye」とは違う曲だけれど、終わりを迎える「Goodbye」ではなく、新しく始まる「Goodbye」という感じがして爽快感があります。
イイッ!
寺島さんはこの曲を2曲目に持ってきたかったと言っているけれど、diks unionの菊田さんが「Goodbye」なんだから最後だ!と、寺島さんの意見を押し切ったのだとか。
普段非常は温厚で腰の低い菊田さんなのだけれど、まさか寺島さんを押し切るとは・・・。
でも、これは菊田さんが大正解だったと思います。
この「Goodbye」を最後に持ってきた事によって、松尾明トリオが、そしてこのアルバムが「Goodbye」と終わってしまうのではなく、また明日、更に進化した演奏を聴かせてくれそうな、そんな予感のある「Goodbye」になりました。
曲に関してはこんな感じ。
次、音。
このアルバム、というか寺島レコードは「ニュー・レトロ・フィデリティ・サウンド」と銘打った音作りをしています。
・・・新しいのか古いのか正確なのか・・・そのまま読むと訳の分からない言い回しです。
ですが、実際にCDを聴けば、すぐに分かると思います。
決して懐古趣味的な古い音ではなく、寺島さんや音楽監督の松尾さんの気合いと魂の入った「最新の音」です。
寺島さんは、昔のブルーノートの様な、名レコーディングエンジニア、ルディ・バン・ゲルダーの音作りの特徴であるゴリッとした音に、現代の精密なハイファイサウンドを吹かした様な音をリクエストしたそうです。
恐らく寺島さんは、この、ゴリッとした音を指して「レトロ」と言っていると思うのですが、この音は「レトロ」ではありません。
今回の寺島レコードのような音と比較対象として上がるのがECMレーベルのような音かと思いますが、要するに各レーベルの「主義・主張」の違い。
ECMは耽美の世界を主義として、演奏や音色を「芸術」として世に発表しているのだと思いますが、寺島レコードは「気迫」や「熱」など、エネルギーをリスナーにぶつけ、体感してもらう事を主義としているのではないでしょうか。
ようするに、この「気迫」や「熱」がゴリッとした音に繋がっているのであって、「レトロ」というよりも「スピリット」というのが正確なのかもしれません。
いずれにせよ、メジャー・レーベルでは出せない特徴でしょう。
ちなみに寺島レコードの場合、フィデリティ(原音に対する忠実度)は、まさに「Hi-Fi」で、楽器の質感、各楽器の繊細な音の粒立ち、音場の奥行きなど、再生すればする程いったいこのCDにはどれほどの情報が集積されているのか・・・と驚嘆するほどの忠実度、精密度です。
それにしても、オーディオ泣かせのCDです。
重低音~低音の制動性を要求し、シンバルの炸裂する中~高音域の粒立ちが必要で、少しでも甘くなると途端に演奏が「つまらなく」なってしまいます。
果たして寺島さんは今、どう言う音を自宅のオーディオで奏でているのか・・・気になって仕方ありません。
今度強引に押し掛けようかな・・・。
兎にも角にも、鳴らしていると悔しくなってきてついついオーディオをいじりたくなってしまいます。
もうちょっと音のフォーカスを引き締め、シンバルの炸裂音を出したい・・・
もうちょっとベースの音を量感を出しつつ引き締めて、ウッドベースの胴鳴りをシッカリ聴きたい・・・
もうちょっとバス・トロンボーンのトロッとした甘い音色を強調したい・・・
あぁ・・・MAYAさんの口が少し大きくなり過ぎた・・・
キリがありません。
しかし、そうやってオーディオ魂を刺激される素晴らしいCDだと言えるのでしょう。チクショウ!
なにはともあれ、「ジャズは難しい」と思っている人でも「難しい曲を簡単な様に奏っている」ので大丈夫!
ジャズファンもオーディオファンも、ジャズファンじゃない人もオーディオファンじゃない人も、万人に聴いてもらいたい1枚です。
そうそう、寺島レコードですが、9月にオーディオファン向けのCDも出すようです。
その名も「FOR JAZZ AUDIO FANS ONLY」。
寺島さんが「これぞジャズオーディオ向けのCDだ!」と寺島さんが気に入った音質のCDを集め、コンピレーションにしたもの。
またオーディオ魂を刺激されるCDが増えてしまうのかもしれません。
クソゥ!このCDの中から1曲だけでも寺島さんの自宅よりもイイ音で鳴らしてやる!!
そして、MAYAさんもコロムビアから寺島レコードに移籍して初のアルバム、「MAYA+JAZZ」を9月に発売します。
なんだかしばらく寺島レコードから目を離せそうにありません。
そろそろちゃんとご説明せねばならぬだろう・・・ということで、松尾明トリオの『ベサメ・ムーチョ』のご紹介です~!
![]() |
CDショップ「disk union」の独自レーベル『DIW』内に開設されたレーベル、「寺島レコード」。(寺島さんは吉祥寺のJazz喫茶MEGのオーナーで、ジャズ界ではその言動に対して好き嫌いがハッキリ別れて面白いジャズ評論を繰り広げる名物オヤジ。著書多数。)
その寺島レコードの第3弾として、同レーベルの音楽プロデューサーも務めているドラマーの松尾明さん、ベーシストの嶌田憲二さん、ピアニストの寺村容子さんの松尾明トリオで、アルバム「ベサメ・ムーチョ」が発売されました。
寺島レコードの第1弾、同じ松尾明トリオでの「アローン・トゥゲザー
で、大抵の場合、第1作目の評価が高かった場合、2作目は・・・・と言う感じになるのですが、いやはや、今回の「ベサメ・ムーチョ」は明らかに前作を超える傑作になっています。
まず、真紫のジャケット。なんだかリニューアル前のMEGの入り口ドアの紫色アクリルパネルを思い出す・・・。
ともあれ、色的には非常に魅力的なジャケット。
そして、「目」が特徴的な女性のイラスト?
個人的にはチョット怖い感じもするけれど、寺島さんはお気に入りの様子。
そのジャケットを裏返すと、収録されている12曲の曲名が並んでいます。
・・・知らない曲がいっぱいある・・・(苦笑)
オイラだけではないと思うけれど、曲目を見て知らない曲だらけだと買うかどうか迷ってしまう場合が往々にしてあります。
特にアーティストのオリジナル曲だけだと・・・もう当たるも八卦当たらぬも八卦で、レジに持っていく時に結構気合いを入れないとお会計できません(笑)
今回のアルバムでオイラが知っている曲は・・・12曲中5曲くらいかな・・・?
さてさて、知らない7曲に不安を抱きつつもCDをプレイヤーにセットします。
1曲目、Carlo Uboldiの「ANGRY DOGS」という曲です。
お気をつけ下さい。
まず、ボリュームのメモリをご確認いただき、最初から大音量で楽しもうとしないで下さい。
初心者の方はそこそこのボリュームで再生し、音が出てからちょうど良い音量に調整し、最初から再生し直してお楽しみください。(笑)
とにかく、いきなりドーンッ!とスピーカーから溢れてくる音の津波が一気に五感を突き抜けます。
松尾さんのシンバルが気持ちイイ~!
寺村さんのピアノが豪快だ~!
嶌田さんのベースが強靭で弾んでる~!
この1曲目を再生した瞬間、「このCD当たりだ!」と確信する事でしょう。
耽美な世界とは対極のJazzの世界がここにあります。
1曲目で松尾明トリオの世界に引きずり込んでやろう!という寺島さん達の思惑に乗っかり、身を乗り出して疾走する様なスピード感溢れる豪快なジャズサウンドに聴き入ってしまいます。
そして2曲目、「Rusignol」という曲。
これがまた奇妙なノリの良さがあり面白い。
1曲目の様なスピード感は無いものの、落ち着いたビートでノリがイイ。
この曲では特に寺村さんの技術が光っている。
もし、寺村さんが少しでもモタることがあったら、この曲のこのノリの良さは出なかったでしょう。
それにしても、多分初めて聴く曲だと思うのだけれど、良い曲だなぁ。
3曲目はHorace Silverの「Swingin' The Samba」。
なにやら淡々と曲が進行している様な印象を受けるものの、途中から寺村さんのピアノを後ろからプッシュする様な松尾さんのドラムが小気味よく、何とも言えません。
Sambaのタイトル通り、体が動いてくる様な非常に楽しい演奏です。
曲紹介は飛んで6曲目、「Rumba Del Cajon」。
ジャズ批評にアルバムの紹介記事を掲載する為、レコーディング現場に取材に伺った時にちょうどこの曲をレコーディングするところでした。
この曲にはバス・トロンボーンの西田幹さんが参加。
西田さんは寺島さんのトロンボーンの師匠。
それもこれも、寺島さんが西田さんのトロンボーンの演奏、音色に惚れ込んで弟子入りしたそうです。
このレコーディングの際、出だしだけで何度もリテイクを繰り返し、「西田さんのトロンボーンはもっと遅いテンポで色気が出るんだよ!」と寺島さんがこだわりにこだわっていました。
それにしても、この曲も曲としては非常に難しい曲だと思うのですが、恐らく我々リスナー側はその「難しさ」を感じないのではないでしょうか。
寺島さんも言っておりましたが、このメンバー(松尾明トリオ+ゲスト)は「難しい曲を難しくない様に演奏できる」という素晴らしさがあるのでしょう。
これもまた寺島さんの言葉ですが、「簡単な曲を難しくやるミュージシャンばかりのことろ、松尾明トリオの様なミュージシャンは貴重。」なるほど、同感。
その曲が潜在的に持つ難解さをリスナーに伝えないと言うのは技術があり、お互いの息が合っていればこそなのだと思います。
見っけものの1曲。
そしてボーカリストのMAYAさんが参加している8曲目の「Georgia On My Mind」。
この曲はあまりにも有名なので多くの歌手が歌ってきた曲であるが故に、歌うのが難しい曲だと思います。
それをMAYAさんが歌うと言うので、聴くのが非常に楽しみでした。
MAYAさんの歌うGeorgia On My Mindは、気持ちよくスッと曲に入れる魅力があります。
結構この曲はブルース風に歌う人が多い様に感じるのですが、MAYAさんの歌うこの曲はジャズしてます。
目の前には、暗いジャズ・バーでスポットライトを浴びて赤いドレスを身に纏って、目を瞑りながらマイクスタンドを抱く様にして歌っているMAYAさんが浮かんできます。
良いじゃないですか。
そして9曲目、オイラがもしかしたらこのアルバムで一番好きかもしれない曲、「Briming Tears」。
松尾明さんのオリジナル曲です。
・・・良い曲書くじゃないですか!松尾さん!!
この曲は嶌田さんのベース無しには成立しないと言っても過言ではありません。
嶌田さんの強靭で沈み込むベースがこの曲の「柱」になっています。
そこに松尾さんのスネアのリズム、そしてシンバルが突き刺す様にアクセントを付けます。
そして寺村さんのピアノが儚げに旋律を加え、気分は一気に高揚してきます。
ちなみにこの曲、オーディオ的にも非常に「聴いてもらいたい」1曲。
いかに「柱」である嶌田さんのベースを、緩み無く、キリッとした低音を出せるか・・・これがキモです。
ゴムひもの緩んだパンツの様なだらしない低音では、この曲の良さは100分の1も実感できないでしょう。
10曲目はPat Methenyの「Question & Answer」。
この曲では寺村容子さんの「凄さ」が爆発しています。
最初にテーマをひき終わった後、寺村さんのアドリブに突入しますが、寺村さん、いつの間にこんなに大胆になったのか!?と驚嘆してしまいました。
これまで何度も寺村さんの演奏をライブで聴いてきましたが、女性らしい繊細さと、時折見せるダイナミックさが魅力でしたが・・・とうとうダイナミックな演奏を女性ならではの繊細さでやってのけてしまっています。
寺島さんもライナーノートで「別の世界に入った」と書いているけれど、全く同意。
寺村さんのオリジナル曲で「桜坂」、「多摩川」という曲があるのだけれど、今度是非、この曲を入れた寺村容子トリオのアルバムを作ってもらいたい!
最後の12曲目、Stephan Noel Langの「Goodbye」。
これもまた、普段聴くステファン・ジェンキンスの「Goodbye」とは違う曲だけれど、終わりを迎える「Goodbye」ではなく、新しく始まる「Goodbye」という感じがして爽快感があります。
イイッ!
寺島さんはこの曲を2曲目に持ってきたかったと言っているけれど、diks unionの菊田さんが「Goodbye」なんだから最後だ!と、寺島さんの意見を押し切ったのだとか。
普段非常は温厚で腰の低い菊田さんなのだけれど、まさか寺島さんを押し切るとは・・・。
でも、これは菊田さんが大正解だったと思います。
この「Goodbye」を最後に持ってきた事によって、松尾明トリオが、そしてこのアルバムが「Goodbye」と終わってしまうのではなく、また明日、更に進化した演奏を聴かせてくれそうな、そんな予感のある「Goodbye」になりました。
曲に関してはこんな感じ。
次、音。
このアルバム、というか寺島レコードは「ニュー・レトロ・フィデリティ・サウンド」と銘打った音作りをしています。
・・・新しいのか古いのか正確なのか・・・そのまま読むと訳の分からない言い回しです。
ですが、実際にCDを聴けば、すぐに分かると思います。
決して懐古趣味的な古い音ではなく、寺島さんや音楽監督の松尾さんの気合いと魂の入った「最新の音」です。
寺島さんは、昔のブルーノートの様な、名レコーディングエンジニア、ルディ・バン・ゲルダーの音作りの特徴であるゴリッとした音に、現代の精密なハイファイサウンドを吹かした様な音をリクエストしたそうです。
恐らく寺島さんは、この、ゴリッとした音を指して「レトロ」と言っていると思うのですが、この音は「レトロ」ではありません。
今回の寺島レコードのような音と比較対象として上がるのがECMレーベルのような音かと思いますが、要するに各レーベルの「主義・主張」の違い。
ECMは耽美の世界を主義として、演奏や音色を「芸術」として世に発表しているのだと思いますが、寺島レコードは「気迫」や「熱」など、エネルギーをリスナーにぶつけ、体感してもらう事を主義としているのではないでしょうか。
ようするに、この「気迫」や「熱」がゴリッとした音に繋がっているのであって、「レトロ」というよりも「スピリット」というのが正確なのかもしれません。
いずれにせよ、メジャー・レーベルでは出せない特徴でしょう。
ちなみに寺島レコードの場合、フィデリティ(原音に対する忠実度)は、まさに「Hi-Fi」で、楽器の質感、各楽器の繊細な音の粒立ち、音場の奥行きなど、再生すればする程いったいこのCDにはどれほどの情報が集積されているのか・・・と驚嘆するほどの忠実度、精密度です。
それにしても、オーディオ泣かせのCDです。
重低音~低音の制動性を要求し、シンバルの炸裂する中~高音域の粒立ちが必要で、少しでも甘くなると途端に演奏が「つまらなく」なってしまいます。
果たして寺島さんは今、どう言う音を自宅のオーディオで奏でているのか・・・気になって仕方ありません。
今度強引に押し掛けようかな・・・。
兎にも角にも、鳴らしていると悔しくなってきてついついオーディオをいじりたくなってしまいます。
もうちょっと音のフォーカスを引き締め、シンバルの炸裂音を出したい・・・
もうちょっとベースの音を量感を出しつつ引き締めて、ウッドベースの胴鳴りをシッカリ聴きたい・・・
もうちょっとバス・トロンボーンのトロッとした甘い音色を強調したい・・・
あぁ・・・MAYAさんの口が少し大きくなり過ぎた・・・
キリがありません。
しかし、そうやってオーディオ魂を刺激される素晴らしいCDだと言えるのでしょう。チクショウ!
なにはともあれ、「ジャズは難しい」と思っている人でも「難しい曲を簡単な様に奏っている」ので大丈夫!
ジャズファンもオーディオファンも、ジャズファンじゃない人もオーディオファンじゃない人も、万人に聴いてもらいたい1枚です。
そうそう、寺島レコードですが、9月にオーディオファン向けのCDも出すようです。
その名も「FOR JAZZ AUDIO FANS ONLY」。
寺島さんが「これぞジャズオーディオ向けのCDだ!」と寺島さんが気に入った音質のCDを集め、コンピレーションにしたもの。
またオーディオ魂を刺激されるCDが増えてしまうのかもしれません。
クソゥ!このCDの中から1曲だけでも寺島さんの自宅よりもイイ音で鳴らしてやる!!
![]() |
そして、MAYAさんもコロムビアから寺島レコードに移籍して初のアルバム、「MAYA+JAZZ」を9月に発売します。
なんだかしばらく寺島レコードから目を離せそうにありません。
![]() |
香草イタリア料理 あらじん
家族が好きで良く行くイタリア料理屋があります。
その名も・・・「あらじん」
なんでイタリアで「あらじん」なのかは良く知りませんが、ここのパスタが最高なのです。
香草イタリア料理を名乗るだけあって、どの料理にもふんだんに香草が使われています。
それでいながら、香草の香りが表に立たず、具材の臭みを上手く消しているのが素晴らしい!
中でもお薦めなのがコレ↓

魚介たっぷり、「ペスカトーレ」。
具にはワタリガニ、車エビ2匹、ムール貝、アサリ、ヤリイカなどなど海の幸がたっぷり。
これが、ジックリと煮込まれた濃厚なブイヤベースに浸って出てくるのが他店とは大きく違う所。
これぞ、「あらじん」の特徴。
スープの最後の一滴まで飲み干したくなるのがこのペスカトーレの最大の魅力なのです。
他にも、「イカスミのパスタ」もお薦め。
大学時代、イタリアのベネチアのレストランでイカスミのパスタを食べたのが初めてなのですが、その時のイカスミパスタの印象に非常に近い味なのです。
いい加減なお店だと、鷹の爪で辛いだけのイカスミパスタもあるのですが、ここのイカスミパスタは濃厚なトマトソースをベースにたっぷりとイカスミを使っているので、全く飽きません。
鷹の爪も隠し味として味を引き締める程度に入っているだけで、決して主張しません。
写真は無いのですが・・・コチラも是非、ご賞味いただきたい逸品です。
そんな「あらじん」はラブホテル街でお馴染み(?)の東北自動車道岩槻インター近く、国道16号沿いで営業中!
詳細はお店のHPをご覧下さい!
そんなわけで、以上、ウチの近所のお薦めのイタリア料理屋さんをご紹介いたしました~。
さてさて、本日のお薦めDVD&CDはコチラ↓
その名も・・・「あらじん」
なんでイタリアで「あらじん」なのかは良く知りませんが、ここのパスタが最高なのです。
香草イタリア料理を名乗るだけあって、どの料理にもふんだんに香草が使われています。
それでいながら、香草の香りが表に立たず、具材の臭みを上手く消しているのが素晴らしい!
中でもお薦めなのがコレ↓

魚介たっぷり、「ペスカトーレ」。
具にはワタリガニ、車エビ2匹、ムール貝、アサリ、ヤリイカなどなど海の幸がたっぷり。
これが、ジックリと煮込まれた濃厚なブイヤベースに浸って出てくるのが他店とは大きく違う所。
これぞ、「あらじん」の特徴。
スープの最後の一滴まで飲み干したくなるのがこのペスカトーレの最大の魅力なのです。
他にも、「イカスミのパスタ」もお薦め。
大学時代、イタリアのベネチアのレストランでイカスミのパスタを食べたのが初めてなのですが、その時のイカスミパスタの印象に非常に近い味なのです。
いい加減なお店だと、鷹の爪で辛いだけのイカスミパスタもあるのですが、ここのイカスミパスタは濃厚なトマトソースをベースにたっぷりとイカスミを使っているので、全く飽きません。
鷹の爪も隠し味として味を引き締める程度に入っているだけで、決して主張しません。
写真は無いのですが・・・コチラも是非、ご賞味いただきたい逸品です。
そんな「あらじん」はラブホテル街でお馴染み(?)の東北自動車道岩槻インター近く、国道16号沿いで営業中!
詳細はお店のHPをご覧下さい!
そんなわけで、以上、ウチの近所のお薦めのイタリア料理屋さんをご紹介いたしました~。
さてさて、本日のお薦めDVD&CDはコチラ↓
Miles Davis - European Tour 1967![]() | キャラヴァン / ジョージ川口&ビッグ4![]() |
古河花火大会
昨日、古河の花火大会に行ってきました。
親戚が会場の近所に家を買ったので、これ幸いと車を駐車させてもらい、花火を観に行ったのであります。
・・・それにしても、花火を観に行くのは久しぶりだなぁ・・・。
古河花火大会は、渡良瀬遊水池で開催される花火大会で、3尺玉が上がる事でも有名な大会。
以前は同日に渡良瀬遊水池内の別会場で同様の花火大会が開催されており、そっちには何度も行った事があったのですが、古河の会場に来たのは初めて。
今年は3尺玉が合計3発、打ち上げ総数15000発ということなので、久しぶりの花火大会だし、ジックリと楽しむ事にしました。

小さい玉から始まり、徐々に大きな玉が空高く打ち上がって、最後には夜空一面に小さな5色の花火が広がっていくスターマイン。
撮影している間に花火が広がり過ぎてちょっとブレちゃった・・・

10号玉を15連発という強烈な迫力。これが下の写真の様に、徐々に高く打ち上げられて枝垂れていくのはまさに絶景。

というわけで、枝垂れた様子。
そして・・・最後の締めは当然3尺玉です。

やっぱり3尺玉は迫力が違います。
打ち上げられた時の「ボッ!」という射出音も大きければ、直系90cm、300Kg巨大な玉が遥か上空で直径600m以上の花を咲かせる瞬間の爆音は、体にビリビリと伝わってくる程です。
今回は面倒くさがって三脚を持っていかなかったのが無念です。
ま、自分のせいなんですが・・・。
やはり、花火をきれいに撮影したいのであれば、ハイビジョン対応のビデオカメラで撮影するのが簡単できれいかも・・・。
それにしても、久しぶりの花火は良かったッス。
花火が上がっている最中は暑さも忘れられるし・・・。
今度はちゃんと三脚を持っていこうかな。
さてさて、本日のお薦めCD&DVDはコチラ↓
親戚が会場の近所に家を買ったので、これ幸いと車を駐車させてもらい、花火を観に行ったのであります。
・・・それにしても、花火を観に行くのは久しぶりだなぁ・・・。
古河花火大会は、渡良瀬遊水池で開催される花火大会で、3尺玉が上がる事でも有名な大会。
以前は同日に渡良瀬遊水池内の別会場で同様の花火大会が開催されており、そっちには何度も行った事があったのですが、古河の会場に来たのは初めて。
今年は3尺玉が合計3発、打ち上げ総数15000発ということなので、久しぶりの花火大会だし、ジックリと楽しむ事にしました。

小さい玉から始まり、徐々に大きな玉が空高く打ち上がって、最後には夜空一面に小さな5色の花火が広がっていくスターマイン。
撮影している間に花火が広がり過ぎてちょっとブレちゃった・・・

10号玉を15連発という強烈な迫力。これが下の写真の様に、徐々に高く打ち上げられて枝垂れていくのはまさに絶景。

というわけで、枝垂れた様子。
そして・・・最後の締めは当然3尺玉です。

やっぱり3尺玉は迫力が違います。
打ち上げられた時の「ボッ!」という射出音も大きければ、直系90cm、300Kg巨大な玉が遥か上空で直径600m以上の花を咲かせる瞬間の爆音は、体にビリビリと伝わってくる程です。
今回は面倒くさがって三脚を持っていかなかったのが無念です。
ま、自分のせいなんですが・・・。
やはり、花火をきれいに撮影したいのであれば、ハイビジョン対応のビデオカメラで撮影するのが簡単できれいかも・・・。
それにしても、久しぶりの花火は良かったッス。
花火が上がっている最中は暑さも忘れられるし・・・。
今度はちゃんと三脚を持っていこうかな。
さてさて、本日のお薦めCD&DVDはコチラ↓
SHADOW OF TIME / ハクエイ・キム・トリオ![]() | 人のセックスを笑うな![]() |