公的医療保険制度の適用対象者と保険料 | 四姉妹のパパは保険屋さん 〜保険は賢く活用しよう!〜

四姉妹のパパは保険屋さん 〜保険は賢く活用しよう!〜

長崎の保険代理店(有)ビッグ・ワンの代表取締役大木敬介のブログです。
2023年9月まではただの雑記ブログでしたが、今は賢く民間保険に入る為の周辺知識を頑張って発信しています。

9月19日に引き続き、公的医療保険制度について解説します。

 

今回のテーマは「公的医療保険制度の適用対象者と保険料」についてです。

前回説明しましたが、日本国民は全員何かしらの公的医療保険制度に加入しています(国民皆保険)。保険料を集めて給付を行うのが「保険者」で、保険料を払って保険給付の利益(病院窓口で〇割しか払わなくて良い等)を得るのが「被保険者」です。

当たり前と言えば当たり前ですが、「被保険者」は保険料を支払っているから給付の利益を得る事ができるんです。

 

ところが、日本の制度では保険料を払っていない人(滞納等ではありません、そのケースは別途説明します。)、つまり「被保険者」ではないにも関わらず保険給付の利益を受けられる人がいるんです!それは誰なのか…

 

ズバリ「被扶養者」です!簡単に言うと扶養家族ですね。「被用者保険(会社勤めの人が加入する健康保険等)」の「被保険者」に扶養されている人は保険料を払わずに給付を受けられるという特権があります!言葉の意味が難し過ぎますかね?雑に表現すると、「サラリーマンの家族は保険料を払わなくても保障が受けられる!」という事です。

これは「被用者保険」に限られた制度なので、自営業者さん等が加入する「地域保険(国民健康保険等)」に扶養されている人たちは対象外です。対象外という事は扶養されていようが学生であろうが無職であろうがその人の分の保険料を納めなければならないという事です。つまり公的医療保険の保険料に関しては、(扶養)家族が多ければ多いほど自営業者よりもサラリーマンの方が圧倒的に有利だという事です。会社勤め万歳ですね。

 

被扶養者の要件としては、

・被保険者から生計を維持されている(つまり扶養されている)直系尊属(父母、祖父母、ひ~じ~ちゃん、ひ~ばあちゃん等、自分から見て直接上に上がっていく人達)、配偶者、子、孫、兄弟姉妹、これらの人達は生計を維持される事が要件になりますので、一緒に住んでいなくても大丈夫です。ちなみに配偶者は事実婚(内縁)の場合も含みますし、子は養子の場合も含みます。

・生計を維持されているだけではダメで同一世帯でなければならないのが「(父母等上記の人達を除く)三親等以内の親族(甥っ子・姪っ子・叔父・伯母等)」「事実上婚姻関係にある配偶者の父母と子」「事実婚配偶者死後の父母と子」です。逆に言えば同一世帯であればここまでOKなんですね。

 

次に「扶養されている」「生計を維持されている」事の要件としては、

・被扶養者(扶養されている側)の年間収入(手当等含む総支給額)が130万円未満で、かつ被保険者(扶養している方)の収入の2分の1未満である事。

つまり学生でもアルバイトで稼ぎ過ぎてしまったら「被扶養者」でなくなってしまうので個別に「国民健康保険」に加入しなければならなくなる!という事です。私にもアルバイトに明け暮れている大学生の娘がおりますが、そうなったら保険料は自分で払えよ!ってか学生の分際で稼ぎ過ぎるな!とキツク言っております。

 

注意点としてはどれだけ扶養されていようが、どれだけ生計を維持されていようが、どれだけ三親等以内であろうが、「75歳になった人は対象外」という事です。これは75歳になると、自動的に「後期高齢者医療制度」の対象者になってしまうからです。会社勤めのお子さんのお世話になっているお父さんお母さんの場合、75歳になったらそれまで払わなくて良かった保険料が別途必要になりますので注意して下さいね。

 

また、繰り返しになりますが、この「被扶養者が保険料を払わなくていい!」というトンデモすごい制度は「被用者保険」のみの制度となります。国民健康保険世帯は対象外です。扶養しているのが3人だろうが10人だろうが30人だろうが、会社勤めの世帯主が払わなければならない保険料は自分1人分です。もう一回言います。会社勤め万歳ですね。

 

ここまでを簡単にまとめると、公的医療保険制度の適用対象者は各制度の保険料を払っている「被保険者」と「被用者保険被保険者から扶養されている人」という風になります。なんか文字にすると逆に解りにくいですね。

 

それでは次に保険料についてです。

先ずは「地域保険(国民健康保険等)」の保険料についてですが、多くの自治体では「国民健康保険税」という形で徴収されています。保険料なのに税金なんですね…。これは世帯主の人が家族全員分まとめて納付する決まりとなっています。

収入によって変わる「応能分(所得割・試算割)」と誰でも等しく賦課される「応益分(均等割・平等割)」の2つの合計が保険料となります。例えば長崎市(令和5年度)の場合は収入がある人の「課税標準額×12.6%(税率)」+「37,400円/人」+「26,700円/世帯」が一世帯あたりの国保税の合計となります。課税標準額とは総所得金額から控除額を引いたものですが、詳しく説明しすぎると具合が悪くなるので(もう手遅れかもしれませんが、)ここでは触れませんね。

保険料(税)は地域によって差がかなりあり、家族構成や収入によっては地域差が2倍~3.4倍となります。

ただし、地域保険の保険料に関しては「所得が一定以下世帯の減免制度」や「未就学児の減免制度(5割)」「離職者に対する軽減制度」等、地域によって様々な減額等の制度もありますので、一度お住まいの地域の制度を調べてみるのもいいと思います。

これまたちなみになんですが、保険料(税)を納めないとどうなるかと言うと、督促や催促後に財産の差し押さえ等が発生する場合もありますので注意が必要です。天災や生活困窮が原因で保険料(税)が払えない場合には届け出を行って減免を行ってもらう制度もあるようなので、ただただ払えないという状態を続けるのではなく、ちゃんと相談や届け出を行うようにしましょう!

 

続いて「被用者保険」の保険料ですが、前述したように「被扶養者」の保険料は0円です。標準報酬月額と標準賞与額(これも具合悪くなるので、ここでは解説しません。)に料率(約10%)を掛けて算出します。例外もありますが、このうち半分を本人が支払って、半分は事業主が負担します。雇用主の立場から言わせていただけるのであれば、ここはかなり感謝されても良いのではないかと思っております…。しつこいようですが会社勤め万歳制度です。「被用者保険」の保険料本人負担部分に関しては基本給与天引きなので、払えないからどうこうとか払いたくないと言ったとしても自動的に徴収されます。

 

最後に「後期高齢者医療制度」の保険料です。

前述のとおり、健康保険等の被扶養者だった人も75歳以上は保険料を負担する必要があります。所得割額(年金等含む総所得金額-控除額に税率を掛ける)と均等割額(一人あたい一定)の合計が保険料となります。こちらも各都道府県ごとの格差や収入によっての大きな差があります。基本は年金から天引きされます。地域保険同様各地域によって減免制度等もありますので、「払えない!」と言った場合にはちゃんと相談や届け出を行うようにしましょう!

 

さて、今回も非常に長くなってしまいましたが、公的医療保険制度の適用対象者と保険料について解説させていただきました!

 

弊社は民間の保険代理店ですが、賢く民間保険に加入する為、ちゃんと自分で考えて民間保険を選ぶ為、もしくは民間保険に入らないという選択肢を取る為には「公的医療保険制度」の知識は必要不可欠です!

 

今後も賢い(民間)保険選びの為の周辺知識を掲載していきたいと思います。

 

この内容は後日YouTubeでも掲載したいと思います!興味のある方は有限会社ビッグ・ワンのYouTubeも見てみて下さい!

 

それではまたで~す!

 

※今回の記事は2023年9月21日時点での情報です。御覧になるタイミングによっては最新の情報ではありませんので注意して下さい!

 

【公的医療保険に関して~目次~】

公的医療保険制度の種類

公的医療保険制度の適用対象者と保険料

 (標準報酬月額って何?課税標準額って何?

公的医療保険制度の給付について

 (医療診療形態の種類

高額療養費制度について

傷病手当金とは