[はじめに]
Brexit(ブレグジット)関連の報道でよく取り上げられているのは、「EUとのボーダーをどうするか」という問題である。このボーダーとは、アイルランド島に存在する、イギリス領北アイルランドとアイルランド共和国との間の国境線のことを指している。イギリスは島国というイメージが強くついつい忘れがちになってしまうが、他国と陸続きになっている部分があるのだ。そして、この陸の国境線がBrexit問題における懸念事項となっている。
[現在]
現在、北アイルランドの属するイギリスとアイルランド共和国はともにEUの加盟国であるため、両国の間は行き来が自由だ。物資や人々は国境線を自由に超えることができる。
[Brexit後は何が変わるのか?]
Answer. 国境線の存在感
両国の関係は、イギリスがEUを脱退してしまうと変わらざるを得なくなる。
これまではEU加盟国同士ということで自由であった往来が、イギリスが脱退し非EU加盟国となると、国境を境に制限されてしまう可能性が高い。
現在、Brexit問題によって、両国の国境線をどうするべきかという議論がなされている。
これまでのように国境は往来自由とすべきか。
それとも国境管理をするべきか。その場合は、ノルウェー(EU非加盟国)とスウェーデン(EU加盟国)のような、取り締まりはあるものの、同じ経済圏であるため緩い国境警備にするか。それとも厳しくするか。
1968~1998年のThe Northern Ireland Conflict(北アイルランド問題)という激しい地域紛争がまだ記憶に新しい土地であるだけに、議論は決着がついていない。
[もし国境警備をするとしたら?]
北アイルランド問題(The Northern Ireland Conflict)での紛争時を彷彿とさせ、アイルランド共和国と北アイルランドの住民同士の関係が再び悪化する可能性がある。
[もし往来を自由または警備を緩くしたら?]
密輸が蔓延ってしまったり、不法移民問題が生じる危険がある。
[最後に]
この北アイルランドとアイルランド共和国の関係は、最近ではラグビーW杯でのアイルランド代表の存在によって日本でも注目されるようになった。ラグビーアイルランド代表は両国による合同チームである。練習へは毎回国境を渡って参加しているため、今後は当然Brexitによるこの国境問題の影響を免れない。
問題を抱える両国であるため、皆が納得するように解決するのは難しいであろう。
[References]
https://www.politico.eu/article/brexit-ireland-border-customs-norway-sweden/