EU離脱期限が正式に延期>

今月28日に、欧州理事会のドナルド・トゥスク常任理事がイギリスのEU離脱の期限を2020年1月31日に延期することで合意がとれたと発表した。ボリス・ジョンソン首相は、かねてからEUとの合意がとれなくとも予定通り10月31日にEUを離脱することを強調してきた。しかし、今回の合意により10月31日にEUを離脱する可能性はなくなった。今回のイギリスのEU離脱期限延長の要請の背景には、イギリス議会が成立させた通称「ベン法」があった。

 

<総選挙に向けて>

29日、イギリスの下院(定数650)はボリス・ジョンソン首相が提出した12月12日を総選挙の投票日とする法案を438対20の賛成多数で可決した。かねてから総選挙の前倒しに反対していた最大野党である労働党が法案支持に回ったことで、情勢が大きく動いた。労働党は姿勢変更の理由として、EU離脱期限の再延長が認められたことで合意なき離脱の可能性はなくなったとの確約をEU加盟各国から得られたと判断したことを挙げている。与野党は、総選挙を通じてEU離脱をめぐり行き詰った現状の打破を目指している。

 

<主要政党のブレグジットへの姿勢>

保守党:出来るだけ早いEU離脱を進めたい。総選挙で過半数を確保し、離脱期限前に議会でEU離脱協定案を成立させることを目指す。また、議会で過半数をとり、合意なき離脱を強行する可能性も視野に入れている。

 

労働党:2度目の国民投票を行う前に、まずEUと離脱協定案を再交渉したい。

 

自由民主党:ブレグジットを取りやめたい。

 

スコットランド国民党:EUに残留したい。そのため2度目の国民投票を望んでいる。

 

<考察>

今度の総選挙の結果は、イギリスのEU離脱の方向性に大きな影響をもたらすだろう。もし保守党が過半数をとることが出来れば、イギリスのEU離脱は確実となる。一方、EU残留派の支持率が高まれば、離脱自体が再検討されうる。しかしながら、EU側が1度離脱を認めたイギリスの残留を容易に認めるかは疑問である。今後の動向にも着目していきたい。

 

<Reference>
https://www.bbc.com/japanese/50229647

 

https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-50229897