たまらなく孤独で、熱い街 -350ページ目

『少年☆周波数[王様の棋譜]』(1) 佐久間智代

佐久間智代

少年☆周波数-王様の棋譜(1)

(角川書店・あすかコミックス)

初版:1997年12月1日


将棋マンガというと、『月下の棋士』がヒット作かなー。

私は10巻くらいでリタイアしましたが。

もっと少年少女に将棋の素晴らしさを伝えるマンガはないものか。

将棋マンガが短命で終わるのは、結局マンガ自体が面白くないことに尽きますが、囲碁には『ヒカルの碁』というマンガがあるだけに(読んでません)、将棋でも面白いマンガができそうなんだけどな。


将棋マンガのパターンのひとつとして、天才少年が名人を目指す、あるいは名人を倒すことを目指す、というのがありますが、それが何を意味するのかが、読者に分かりにくいのかも。


この本は高校一年ですでにプロ棋士になっている入江裕貴少年が主人公です。

彼には同じ高校に通う、友達でありプロ棋士としてのライバルでもある山根容という少年がいます。

お互い16歳で四段って、すげー早いじゃん。

その他では、若き四冠王、北村透がちょっと面白いキャラクターみたいで期待が持てそう。



『虚無への供物』(上、下) 中井英夫

虚無への供物〈下〉 中井 英夫
虚無への供物〈下〉
(講談社文庫)
初版:2004年4月15日

 

 

 

ソースは忘れましたが、日本に4大ミステリがあるそうな。

『ドグラ・マグラ』(夢野久作)、『黒死館殺人事件』(小栗虫太郎)、『匣の中の失楽』(竹本健治)、そして本書。

今選ぶなら『占星術殺人事件』(島田荘司)、『十角館の殺人』(綾辻行人)などが候補になるかな。


どれも重厚そうで、読むのにためらいがありましたが、『虚無への供物』を書店で見つけ、つい購入。

しかし、この作品はアンチ・ミステリと言われているのに、なんで4大ミステリにはいってるんだ?

そういえば、この4大ミステリって、まともな本格ミステリはあるのか?

 

登場人物はさほど多くないけれど、四つの密室殺人をベースに、氷沼一族の歴史やら、洞爺丸事件やら、五色の不動尊やら、薔薇やら、薀蓄あり推理合戦あり。

整理すれば、さほど複雑ではないと思うが、推理合戦で頭をゴチャゴチャにさせてくれる。

読者をミスリードする狙いなのでしょうが。

正直、登場人物の誰一人として好感を持てる人がいないので、読むのに疲れた・・・・・・。

ラストも、なんと言いましょうか。

ふー。

【瀬川アマ、プロ編入試験第2回戦】

瀬川アマのプロ編入試験の第2回戦は、神吉(かんき)六段戦でしたが勝ったようです。

これで1勝1敗となりました。

次局は今回の6人の対局相手では最強の久保八段です。

9月かな?


なお、同日行なわれたアマチュアの大会「平成最強戦」で、吉田さんが並みいるアマ強豪を倒し優勝!

吉田さんは、現在アマチュアでは最強と言っても過言ではないかも。



【第24回朝日オープン選手権 予選決勝】

今注目されている将棋のアマチュアというと、瀬川さんと吉田さん。


吉田さんは19歳ながら朝日新聞主催の朝日アマ名人戦で優勝し、アマが10名参加できる朝日オープン選手権戦でもプロに3連勝!

今回の対矢倉六段に勝てば、アマ初の本戦入りでしたが、残念ながら敗れたようです。


TV棋戦である“銀河戦”で対プロ相手に驚異的な成績を収めている瀬川さんもそうですが、アマチュアは持ち時間(考慮時間)の長い将棋に慣れていないようです。

私も2年ほど前にあるNET将棋サークル内のタイトル戦で時間無制限というのをやって、4時間かかった対局もありましたが、「指し手を読む」というよりも「指し手に迷う」時間の方が長かった印象があります。

アマの級位者同士の対局でも、持ち時間が長いほど、不利になると挽回するのは難しいようです。

アマ高段者や、ましてやプロとなりますと、私のようなヘボとは当然レベルが違いますがね。


さて、14日は瀬川さんのプロ入り試験第2ラウンド。

今月末あたりには吉田さんの奨励会試験。

吉田さんに今更プロ初段試験はどうかと思いますが、両者ともプロ入りして旋風を巻き起こして欲しいものです。

 

【第24回朝日オープン・予選決勝】

『首断ち六地蔵』 霞流一

首断ち六地蔵 霞 流一
首断ち六地蔵
(光文社・カッパノベルス)
初版:2002年7月25日
 
 
 
ミステリファンなら一度は読んでおきたい?バカミスキング・霞流一。
で、「バカミス」ってなんだ?
ある本をひもとくと「そもそもバカミスとは、ミステリを誹謗・中傷したりする呼称ではありません。バカミスとは、一言でいえば、読者がビックリするミステリであります。ムズカシク言えば、通念からの逸脱を試みた作品、崇高なる破壊精神にあふれた作品、タブーなきミステリ・・・・・・」
うーむ。

 

この本の帯を見ると「目眩く謎解き、魂のど本格!」

背表紙を見ると「とことん本格!!目眩く謎解き合戦と、驚愕の結末!!」

さらに、あとがきを見ると「本格ミステリに殉じる、そんな大それた想いでこの作品を書きました」


うーむ。

 

六話がそれぞれ六道になぞらえ、「地獄・餓鬼・畜生・修羅・人間・天上」を見立てています。

そして、第七話ですべてが結びつきます。


ひとつだけ、驚異のトリックをばらしますと。


【謎の密室】

ある廃病院の5階の病室が焼け焦げた。出入り口は鍵がかかり誰も入れない。

窓枠は残っていて8メートルくらいのロープが結ばれていた。しかし4階の病室は鉄格子があり入れない。3階までは長さが2メートル足りない。しかも3階のその病室には人がいた。

被害者は下の地面にかなり強く叩きつけられたような状態で死んでいた。

もちろん、犯人はどこにもいない。犯人は犯行後どうやって逃げたのか。

 

【解決編】(色を反転しようとしましたが、色コードがわからないし、どうでもよかったか)

犯人は被害者の首にロープを結び、さらに被害者の足首につかまって、空中ブランコの要領で大きくゆらし、5階の別の病室の窓に達したところで手を離し中へ入る。

犯人が手を離したことにより、ロープの結び目がゆるくなり、被害者は地面に落下。

残ったのはロープのみ。


これが気にいった方は、ぜひ本書をサクサクとお読みください。

驚愕の開いた口が塞がらないトリックがてんこ盛りです。

広島新球場 ヤード跡地で大筋了承

【中国新聞HP】


これによりますと、広島新球場は現在の市民球場の建替えや改修ではなく、新しいところに建てることがほぼ決まったようですね。

私は広島へ行ったことがないので、現球場がどんなだか知りませんが、よく聞くのは「狭い」(グラウンドだけではなく、観客席も)「汚い」ということです。

決まった以上は、広島県、広島市、経済界、カープ一丸となって早急に具体化して欲しいものです。

2007年から新球場でできればいいなあ。

『A-A´』 萩尾望都

萩尾望都

A-A´

(小学館・萩尾望都作品集/17)

初版:1984年11月20日


「A-A´」

「4/4 カトルカース」

「X+Y」(前・後)

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-----毛深の黒馬(ポニー)とくらしていた

ただひとりの友人だった

だけどわたしが11のとき、黒馬はクレパスに落ちて死んだ

わたしは生まれてはじめて泣いた-----

 

愛する人が死んで、クローンとして蘇ったとしたら、

あなたは、それでも愛する人のクローンを愛せますか?

 

アデラド(アディ)・リー。

一角獣種(宇宙航行のために開発された遺伝変異種)。

レグ・ボーン。

プロキシマでアディとともに開発に携わる。

アディとレグは愛しあっていたのだが、事故で彼女は亡くなり、クローンとして蘇る。

違和感を持つレグ。

だが二人の距離感も縮まってきたころ、アディ(本物)の死体がみつかる。

レグはいたたまれず転籍を願いでるが、その転籍先の星で事故により死亡。

レグのクローンが蘇り、アディのいる基地に赴く。


-----黒馬の話をしたい、この人に

長い長いあいだ、わたしがまっていた

あなただけに語りたい物語がある------

『ゴルディアスの結び目』 小松左京

ゴルディアスの結び目 小松 左京
ゴルディアスの結び目
(角川文庫)
初版:1980年7月10日
 
 
 
「岬にて」
「ゴルディアスの結び目」
「すぺるむ・さぴえんすの冒険」
「あなろぐ・らぶ」
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決して解きほぐすことのできない“心の闇”。


その前に「ゴルディアスの結び目」とは何かというと・・・。

たまたまある国を牛車で通りかかったゴルディアスは、その国の神官の神託により王様になってしまった。

自分を王にしてくれた神様に感謝の意を表すべく、その牛車を神殿に奉納することにしました。

特殊な結び方で。
これが有名な「ゴルディアスの結び目」だそうです。
この結び目は誰にも解くことができませんでしたが、アレキサンダー大王がこの国にやってきた時に、大王は剣を抜くなり、その結び目を一刀両断にしました。
やがてアレキサンダー大王の軍勢はインドにまで達し、アジアの支配者になった。


誰にも解きほぐせない“心の闇”を「ゴルディアスの結び目」になぞらえたのですね。

性悪な男にだまされ、強力な麻薬を打たれ、犯されたとき、少女に“憑き物”がついたのか。

少女の精神は回復不能にまで病み、それとともに身体にも変貌が。

少女の回りでさまざまな超常現象が起き、有能な“サイコ・エクスプローラー”が呼ばれ、少女の心に入り、調査をすることとなった。

“憑き物”はどこから来るのか?

少女の下意識にある「はげしい情念のむすぼれ」が超空間に穴を開け、そこから現れるのか?

ついに“サイコ・エクスプローラー”は少女の意識を探索する過程で、時間が永遠にとどまる「エルゴ領域」を超え、「事象の地平線」を超え、「シュワルツシルド半径内」にはいりこんだ。

つまり、少女の内部に現れた「ブラックホール」に捕われた!

そして、少女のいる部屋は内部の1点に収縮されてゆく。


“心の闇”とブラックホールを結びつけた力技が凄い。

※映画『トータル・リコール』の原作『追憶売ります』

マイノリティ・リポート―ディック作品集 フィリップ・K. ディック, Philip K. Dick, 浅倉 久志
マイノリティ・リポート―ディック作品集
(ハヤカワ文庫SF)
初版:1999年6月20日
 
 
「マイノリティ・リポート」(「少数報告」・改題)
「ジェイムズ・P・クロウ」
「世界をわが手に」
「水蜘蛛計画」
「安定社会」
「火星潜入」
「追憶売ります」
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この短編集は映画『マイノリティ・リポート』の公開に合わせて刊行されたのでしょう。
この中に映画『トータル・リコール』の原作、『追憶売ります』も入っています。
 
映画はたしか、A・シュワルツェネッガー主演だったような。
こうしてみると、『ブレードランナー』から始まって、結構ディックの小説が映画化されてますな。
 
ま、そんなことよりも原作のことですが。
笑えます。
ディックで大笑いできる、数少ない短編かも。

ディックがどういう思いで書いたかはわかりませんよ。

「記憶とは何か」というテーマで大真面目に書いたのかもしれない。

面白いアイデアを思いついたので、軽く書いたのかもしれない。

ふだん真面目とか気難しいと思われている人が、真面目な振りで話しを進めて、真面目な顔をして落す。

まさに予想もしてないオチで、聞いてる(読んでる)人は一瞬ポカーンとしてから、大爆笑。

作者冥利に尽きるんじゃないかな。

 

ストーリーを簡単に書くと(以下ネタバレあり)。

近未来、ある平凡なサラリーマンが火星に恋焦がれ、ついに思い余って偽の記憶を植付けてくれる会社に行く。

その会社は意識の奥に偽の記憶を植付け、それをサポートする小道具まで用意して万全を期している。

そのサラリーマンは迷った末に、惑星間刑事警察機構の秘密捜査官として火星に行った記憶を植付けてもらうことにしたが、いざ手術をしようとしたら、すでにその記憶が(本当の記憶が)意識の奥に眠っていた!

その会社は手術に意味がないどころか、大変なことになったと、手術をせずにサラリーマンをおっぽり出す。

しかし、そのことが惑星間刑事警察機構の知れることとなり、スッタモンダしたあげく、もっと強烈な誇大妄想としか思えない記憶を植付けて、火星のことを絶対に思い出さないようにしようとなったが・・・・・・。

もうオチはおわかりですね。

※映画『スクリーマーズ』と、原作『変種第二号』 

フィリップ・K. ディック, 浅倉 久志
ディック傑作集〈1〉パーキー・パットの日々
(ハヤカワ文庫SF)
初版:1991年1月31日 
「ウーブ身重く横たわる」
「ルーグ」
「変種第二号」
「報酬」
「にせもの」
「植民地」
「消耗員」
「パーキー・パットの日々」
「たそがれの朝食」
「フォスター、おまえ、死んでるところだぞ」
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この短編集には、映画『スクリーマーズ』の原作『変種第二号』、映画『クローン』の原作『にせもの』、映画『ペイチェック』の原作『報酬』がはいっており、なおかつ、長編『パーマー・エルドリッチの三つの聖痕』の原型『パーキー・パットの日々』、哀切きわまりない『フォスター、おまえ、死んでるところだぞ』もあり、これからP・K・ディックを読んでみようかな、という方にはオススメの短編集かと思います。

 

『スクリーマーズ』の原作『変種第二号』は非常にスリリングな短編で、何回か読み返した憶えがあります。

え?『スクリーマーズ』なんて映画は知らない?

まあ、そうでしょうねえ。

はっきり言えば、駄作ですから^^;


米ソ戦争のさ中(年代の古さを感じさせますが、少しも気になりません。米ソ戦争に焦点を当てた小説ではありませんから)、人間が開発した“虫型殺人機械”が自己増殖し(地下の自動工場でドンドン作られる!)、人間は“虫型殺人機械”を無力化する装置を着けないと外へも出られず、防空壕で細々と暮らしています。

そんな時、敵陣営から使者が来て、和平を結びたいとのこと。

もはや人間同士で争っている場合ではなく、協力して“殺人機械”をやっつけよう、ということですね。

司令官(主人公)は罠かもしれないと思いながらも、単身敵司令部がある基地へ向かうが、途中一人ぼっちの少年に行き会う。

これこそが“虫型殺人機械”を進化させた“子供型殺人機械”=”変種第一号”。

“機械”は自己増殖にとどまらず、ついに自ら新しい“殺人機械”を作り出した!

 

映画『スクリーマーズ』は、時代を未来に、舞台をシリウスにしている。

それはいいけど、利権のために民間会社と科学者連合が戦争をするというのは、ちょっと説得力に欠けます。

映画版で特にガッカリした点は、自分の基地に戻った主人公が“殺人機械”に基地が占領されているのに気づき攻撃をかけると、その基地から出てきたのが“子供型殺人機械”の集団。

ところが、身長も顔も違うため、子供をかき集めてメイキャップして出したのがミエミエ。

機械は同じ物しか作らないだろうから、皆同じでなくてはインパクトがない。

でも、せめて似たような身長や体型で揃えてくれれば、いかにも“機械”が作った”子供型殺人機械”だという恐ろしさや不気味さが見る側に少しでも伝わったはずなのに。

それに“子供型殺人機械”の動きがとろい。

まるでゾンビのようだ。

簡単に逃げられそうな気がする。

それとも一度見たら人工知能にインプットされて、とことん追いかけるとか(これは怖い)。

 

原作では、“変種第一号”や、“変種第三号”が見つかったのに、“変種第二号”がどんな存在かわからないというミステリ的な興味やサスペンスがあるが(たいしたものではないが)映画版では希薄。


なによりも映画版のラストがいただけない。

『ブレードランナー』を意識したわけでもないと思うけど、なんで“女性型殺人機械”と主人公(人間)が恋に落ちちゃうの?

人工知能が進化したか?

ハッピーエンドのつもり?

 

原作では、人間のふりをし続ける“女性型殺人機械”=“変種第二号”が(最後まで機械なのか人間なのかわからない。なんとなく雰囲気でわかるけどね)、瀕死の主人公を助けながら(つまり、仲間である“機械”たちを破壊しながら!)ある目的を遂行しようとする。

目的とはもちろん、人間を一人残らず抹殺すること。

主人公は“女性型殺人機械”にだまされた事を知るが、“機械”も遂に仲間を破壊するタイプまで作り出したことで、今後は機械同士でも、お互いを敵と認識し破壊しあい、滅亡への道を辿るであろうことを知る。

 

映画版の自己満足的な終わり方より、余程オチが効いていると思うのだが……。