たまらなく孤独で、熱い街 -35ページ目

『月世界小説』 牧野 修

月世界小説 (ハヤカワ文庫JA)

月世界小説
著者:牧野 修

解説:山田 正紀

(ハヤカワ文庫JA)

初版:2015年7月15日

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牧野修は8冊目だが、これが一番面白かった。

内容を理解できてるとは思わないけど・・・。

平和そうなゲイパレードのさなかに「天使」が現れ、破壊と殺戮の限りを尽くす。

妄想世界に避難した主人公は、仮想言語でバトルを始める。

これが言語メタSFってヤツかい?

後は作者の縦横無尽の筆さばきをやや呆れながら堪能するのみ。

 

『我もまたアルカディアにあり』 江波 光則

我もまたアルカディアにあり (ハヤカワ文庫JA)

我もまたアルカディアにあり
著者:江波 光則

(ハヤカワ文庫JA)

初版:2015年6月25日

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「クロージング・タイム」

「ペインキラー」

「ラヴィン・ユー」

「ディス・ランド・イズ・ユア・ランド」

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ディストピアものなんだろうけど、不思議な感触の物語だった。

なにがどうなろうとも世界は変わりないというのは、楽観的すぎるのか諦観なのか。

この文体に慣れてこの世界にはまればすごく面白いのかもしれない・・・。

『福家警部補の挨拶』 大倉 崇裕

福家警部補の挨拶 (創元推理文庫)

福家警部補の挨拶
著者:大倉 崇裕

解説:小山 正

(創元推理文庫)

初版:2008年12月12日

(2006年6月に東京創元社より刊行)

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「最後の一冊」

「オッカムの剃刀」

「愛情のシナリオ」

「月の雫」

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昔『刑事コロンボ』を楽しんだ身としては(何年か前にコンプリートDVDを購入したが、いまだに「別れのワイン」しか視聴してない・・・)、倒叙ミステリということでどのように料理するのか期待。

福家警部補の登場シーンはお約束なんだろうけど、毎回続くとくどい。

フェアに書かれているとは思うけど、なんとなく地味だな。


『折り紙衛星の伝説-年刊日本SF傑作選』 大森望/日下三蔵・編

折り紙衛星の伝説 (年刊日本SF傑作選) (創元SF文庫)

折り紙衛星の伝説 (年刊日本SF傑作選)
編者:大森 望、日下 三蔵

(創元SF文庫)

初版:2015年6月30日

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「10万人のテリー」 長谷敏司

「猿が出る」 下永聖高

「雷鳴」 星野之宣

「折り紙衛星の伝説」 理山貞二

「スピアボーイ」 草上仁

「Φ(ファイ)」 円城塔 

「再生」 堀晃

「ホーム列車」 田丸雅智

「薄ければ薄いほど」 宮内悠介

「教室」 矢部嵩

「一蓮托生(R・×・ラ×ァ×ィ)」 伴名練

「緊急自爆装置」 三崎亜記

「加奈の失踪」 諸星大二郎

「「恐怖の谷」から「恍惚の峰」へ~その政策的応用」 遠藤慎一(藤崎慎吾)

「わたしを数える」 高島雄哉

「イージー・エスケープ」 オキシタケヒコ

「環刑錮」 酉島伝法

「神々の歩法」 宮澤伊織

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2014年の国産SF短編の芳醇な果実(の一部)なのだが、唸らせるようなものはなく、「まあまあ」程度が揃った印象。

読書に疲れてきたのだろうか。

宮澤伊織と草上仁は今後に期待を持たせるが、田丸雅智と酉島伝法は「またか」という気がするし、「緊急自爆装置」は誰が飛び散った死体や部屋を片付けるんだよ。


『半導体探偵マキナの未定義な冒険』 森川 智喜

半導体探偵マキナの未定義な冒険

半導体探偵マキナの未定義な冒険
著者:森川 智喜

(文藝春秋)

初版:2014年6月20日

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『未来探偵アド~』以来だが、これもSFのガジェットを使ったコミカルなミステリかな。

高校生・正行のじっちゃんが亡くなり、山奥で研究していたロボット4体が残された。

ところがそのうちの3体はエラーが発生して、しかも行方不明。

まともなロボット・マキナと正行は、探偵をしながら無事3体を回収することができるのか・・・。

楽しみつつサクサク読めるが、すぐ忘れそう。


『隻眼の少女』 麻耶 雄嵩

隻眼の少女 (文春文庫)

隻眼の少女
著者:麻耶 雄嵩

解説:巽 昌章

(文春文庫)

初版:2013年3月10日

(2010年9月に文藝春秋より刊行)

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この作者は『夏と冬の奏鳴曲』以来だから、何年ぶりだろうか。

名探偵であった母を継ぐために、17才で探偵にデビューした2代目・御陵みかげ。

自殺するためにやってきた男を探偵の見習いとし、旧家で起きた連続殺人事件に取り組む・・・。

第1部は、まあ納得の面白さでしたが、18年後の第2部はなんとも言いようがないですな。


『完璧な夏の日』(上・下) ラヴィ・ティドハー

完璧な夏の日〈上〉 (創元SF文庫)

完璧な夏の日〈上〉
著者:ラヴィ・ティドハー

訳者:茂木 健

(創元SF文庫)

初版:2015年2月20日

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完璧な夏の日〈下〉 (創元SF文庫) 完璧な夏の日〈下〉
著者:ラヴィ・ティドハー

訳者:茂木 健

解説:渡邊 利道

(創元SF文庫)

初版:2015年2月20日

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2013年の作。

第二次世界大戦の直前に、世界各地に現れた「超人」。

大戦中や大戦後に、影に日なたに死闘を繰り広げる超人たち。

かつて英国の情報機関に所属していたフォッグという超人が過去を徐々に語りだす・・・。

下巻ではベトナム戦争やアフガン紛争などが描かれるが、超人とは一体何だったのか。

そして世界はどう変貌してゆくのか。

それなりに面白く読めましたが、もっと楽しむには私の知識が色々と欠乏している。

『他人事』 平山 夢明

他人事 (集英社文庫)

他人事
著者:平山 夢明

解説:冨樫 義博

(集英社文庫)

初版:2010年8月25日

(2007年10月に集英社より刊行)

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「他人事(ひとごと)」

「倅解体」

「たったひとくちで・・・・・・」

「おふくろと歯車」

「仔猫と天然ガス」

「定年忌」

「恐怖症(フォビア)召還」

「伝書猫」

「しょっぱいBBQ(バーベキュー)」

「れざれはおそろしい」

「クレイジーハニー」

「ダーウィンとべとなむの西瓜」

「人間失格」

「虎の肉球は消音器(サイレンサー)」

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この作者の本は年に1冊は読んでいる気がする。

書店でたまたま目に付くと買ってしまうので。

今作は1篇が20ページくらいなのでスルッと読めるが、中身はグロかったりして読むのがシンドイのもあった。

一見日常の不条理みたいなものよりは、SFものも含めて異常な設定の方が面白く(ある意味安心して?)読めた。

ありえないし他人事だと笑って読んでいるうちはいいが、もしかして似たような事が背後に迫っていたらイヤだからねえ。


『ゴーストマン 時限紙幣』 ロジャー・ホッブズ

ゴーストマン 時限紙幣

ゴーストマン 時限紙幣
著者:ロジャー・ホッブズ

訳者・後書:田口 俊樹

(文藝春秋)

初版:2014年8月10日

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2013年の作。

作者が若くして亡くなってしまったのは気の毒だ。

強盗犯はカジノから金を奪う簡単な仕事のはずだったが何者かに撃たれ、一人だけは逃げることができたようだ。

しかもその金は連邦準備銀行の時限爆弾付きというやっかいなもので、回収を依頼されたゴーストマンは金が爆発する前に手中に収めなくてはならないのだが・・・。

ゴーストマンがひたすらかっこいいのですが、反面どうせ成功するんでしょと思わせてしまうところがややマイナスかな。

 

【読書メーター】 2017年3月分

いよいよプロ野球の開幕ですね。

 

3月の読書メーター
読んだ本の数:16
読んだページ数:5,475



ライオンの棲む街  平塚おんな探偵の事件簿1 (祥伝社文庫) ライオンの棲む街 平塚おんな探偵の事件簿1 (祥伝社文庫)感想
たしか新幹線に乗る機会があって、車中で読もうとコンビニで買ったんだった(結局車中では読まなかったが)。この作者のコメディタッチに幻惑されるが、トリックなどは相変わらずキチンとしていて好感が持てる。今回は女性二人(探偵と助手)の掛け合いも面白くて、あっと言う間に読み終えてしまいました。
読了日:03月01日 著者:東川 篤哉
鐘楼の蝙蝠 (創元推理文庫) 鐘楼の蝙蝠 (創元推理文庫)感想
タイトルはマクドナルド主席警部が「おかしな考え」にとり憑かれているところから来ているようだ。開始早々誰が誰やら把握できないうちに、いきなり6人が集まってどうたらこうたら喋りまくるので、こりゃ難儀だなと思ったがその後前半は快調に進む。せっかく見つけられるはずがないところから死体が発見されたのだから、もっと誰だかわからないままの方がよかったかも。「脅迫者」は最初から犯人とは考えにくいし後半は失速感があるが、それを踏まえても面白く読ませていただきました。310ページ
読了日:03月03日 著者:E・C・R・ロラック
はだかの太陽〔新訳版〕 (ハヤカワ文庫 SF ア 1-42) (ハヤカワ文庫SF) はだかの太陽〔新訳版〕 (ハヤカワ文庫 SF ア 1-42) (ハヤカワ文庫SF)感想
ドームにひきこもりで広所恐怖症の地球人と、ほとんど他人とは直接会わないので対人恐怖症のソラリア人の対比が面白い。根っこは同じだが。そのソラリアでの歴史上初の殺人事件の捜査依頼が来て、ベリイ刑事がソラリアへ行くとそこにはダニールが!事件自体ははたいしたトリックではないが、アシモフが創造した三原則の弱点を自らが暴くところが興味深い。レトロな雰囲気も相まってなかなか面白かった。413ページ
読了日:03月05日 著者:アイザック・アシモフ
ビッグ・ボウの殺人 (ハヤカワ・ミステリ文庫 サ 4-1) ビッグ・ボウの殺人 (ハヤカワ・ミステリ文庫 サ 4-1)感想
ディクスン・カーが『三つの棺』で「このトリックの最初の発案者」と書いているので読みたかったんだよね。下宿人がなかなか起きてこないのでもしやと不安に駆られた女主人が、近くに住む元警部に助けを求めて部屋のドアをぶち破ると・・・。短いながらも労働運動家をある意味主役にしていたり、乱闘騒ぎがあったり、法廷でのやりとりがあったりと飽きさせません。トリックの先駆者云々もですが、一つの作品として満足できました。223ページ
読了日:03月07日 著者:イズレイル・ザングウィル
棄種たちの冬 (ハヤカワ文庫 JA ツ) 棄種たちの冬 (ハヤカワ文庫 JA ツ)感想
『世界の涯ての夏』が良かったので、これも期待して購入。前作が夏で今回は冬ですか。氷河期を乗り切るために演算世界へ移行した世界でも、現実世界にとどまり生きる人間もいる。死を越えたはずの人間(の極一部)は、だからこそ生を求めるのか。現実は過酷な世界なのだけど、それがこちらまでは伝わらず、どこかゲームのような世界に思えてしまうのが残念だったが悪くはない。299ページ
読了日:03月09日 著者:つかいまこと
俺たちには今日がある (角川文庫 (5929)) 俺たちには今日がある (角川文庫 (5929))感想
全然自覚症状はないのに医師に難病で余命1ヵ月と宣告された男は、同じ病気(つまり同じ余命)の女性を紹介され、意気投合した帰り道に暴行を受けている男性を助けると、彼はギャングの大物に店を乗っ取られようとしているとのこと。失うものなどない二人は彼を救うため立ち上がる・・・。余命1ヵ月という設定がチラついて楽しめない上に、大ボスがアホすぎて脱力しちゃうなあ。309ページ
読了日:03月10日 著者:トニー・ケンリック
SF戦争10のスタイル (講談社文庫) SF戦争10のスタイル (講談社文庫)感想
原題が『もう戦争はごめんだ――他に採りうる道』とのことで反戦SFではあるが、書かれているのはあくまでも戦争。どれもまあまあ読ませるが、なかでもナイトの「黄金律」は鳥肌モノ。異星人に頼るのはどうかと思うが、相手を殴れば自分にも痛みが跳ね返ってくる、殺したらなおさら酷い目に遭うということになれば、たしかに戦争や暴力はなくなるかも。非暴力の世界は本当に素晴らしいものなのか、違うゆがみがでてくるのか分からないけれど、そんな世界に住んでみたい。477ページ
読了日:03月12日 著者:
アデスタを吹く冷たい風 (ハヤカワ・ミステリ文庫) アデスタを吹く冷たい風 (ハヤカワ・ミステリ文庫)感想
ヨーロッパの架空の独裁国家のテナント少佐シリーズが4編。軍人であり警察官でもある少佐の、将軍への忠誠や真面目さを書いているようにも思えるが、なかなかどうして腹黒いようなユーモラスなような。ノンシリーズは奇妙な味が2編、まあまあ面白い。途中でネタが割れてしまうが・・・。ラストのデビュー作もなかなかのものです。全体に古めかしさはあるが楽しめた1冊でした。315ページ
読了日:03月14日 著者:トマス・フラナガン,宇野利泰(訳)
GIVER 復讐の贈与者 (角川文庫) GIVER 復讐の贈与者 (角川文庫)感想
なかなか面白かった。復讐代行業という設定も効いているが、時間をさかのぼることでメンバー紹介になってきて謎めいた雰囲気が薄れてしまったのは逆効果のような。ただ、短編ひとつひとつは緊迫感もあり飽きさせません。301ページ
読了日:03月16日 著者:日野 草
ボールパークの神様 (創元推理文庫) ボールパークの神様 (創元推理文庫)感想
WBCが盛り上がっているし、NPBの開幕も近いので読んでみる(購入したのは2年前だが)。落ちこぼれ留学生の凸凹コンビが、ひょんなことからニューヨーク・メッツのクラブハウスボーイ(クラビー)のバイトをすることに。メジャーリーガーを始めとして、登場する人物がさもありなんという感じで描かれ楽しめました。さて、黒田去りし後のカープはどうなるでしょうか。324ページ
読了日:03月18日 著者:本城 雅人
忘霊ラジオ殺人事件!? (ピュアフル文庫) 忘霊ラジオ殺人事件!? (ピュアフル文庫)感想
そうか、戸梶に内容を期待してはいけないのかと、久しぶりに彼の本を読んでみて思った。ダメなパパと遥かなる離島に越してきた12歳のちさとだが、島で待っていたのは寝たきり老人と牛や虫。ちさとが父親と一緒にこの島で経験するひと夏の冒険譚。なんだかジュブナイルっぽいな。246ページ
読了日:03月20日 著者:戸梶 圭太
ステーション・イレブン (小学館文庫) ステーション・イレブン (小学館文庫)感想
カナダのトロントの劇場で『リア王』を上演中に、主演俳優のアーサー・リアンダーが急死。それを待っていたかのように新型インフルエンザが猛威を振い、わずか2週間で人類の99パーセントが死亡。文明崩壊後の世界で原発がどうなるのか気になるところですが、作者は「今の世界へのラブレターを書きたかった」ようで、抑え目な筆致で生前のリアンダーに関わった人たちを中心に黙示録後が描かれます。どちらかというと文芸寄りのSFですね。493ページ
読了日:03月22日 著者:エミリー・セントジョン マンデル
トラウマ恋愛映画入門 トラウマ恋愛映画入門感想
映画を見る機会も減ってしまい、ましてや恋愛映画は皆無に近い。だから、ここに挙げられた恋愛映画もほとんどが未見だが、それはそれとして面白く読めました。一番の衝撃は、『日の名残り』にそれほど深い意味があったのかと呆然。もう一度小説を読み直さないと。257ページ
読了日:03月24日 著者:町山 智浩
ヒュレーの海 (ハヤカワ文庫JA) ヒュレーの海 (ハヤカワ文庫JA)感想
「混沌」に地表が覆われた地球で、人類は身体をコンピュータ化して延命を図っている。そんな中で天才少年少女が今はもうない「海」を探す・・・。造語やルビは我慢できたが、ラノベ風の会話にテンションを下げられた上に結局はモヤモヤ感だけ残ってしまった。映像かアニメの方が理解しやすいし楽しめるかも。409ページ
読了日:03月26日 著者:黒石 迩守
パンドラの少女 パンドラの少女感想
一切の事前情報をシャットアウトして読んだので、ゾンビものだったのかと途中で少々落胆したこともありましたが読み進めるほどに面白いのなんの。謎の病気が蔓延し、いつしか殆どの人間が「ハングリーズ」に。だが感染していても「ハングリーズ」(ゾンビ)になりきれず知能や感情が残っている子供たちの中にメラニーもいたが、安全なはずの基地が襲われロンドンへと逃避行することになったが、その先に待っているものは・・・。これは再生の物語か、あるいは進化の物語なのか。394ページ
読了日:03月28日 著者:M・R・ケアリー
月桃夜 (新潮文庫nex) 月桃夜 (新潮文庫nex)感想
第21回日本ファンタジーノベル大賞受賞作。主な舞台は江戸時代の奄美で、最底辺の身分に生まれた少年と、バカな父親のため同じような境遇になった少女。共に親がいない二人は本当の兄妹のように寄り添って暮すのだが・・・。まるで凝縮された大河小説を読んでいるような雰囲気で、気分としては息をつくこともなく読んでしまいました。たまたま書店で手に取った本が大当たりという事もあるのですね。343ページ
読了日:03月30日 著者:遠田 潤子

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