たまらなく孤独で、熱い街 -36ページ目

『月桃夜』 遠田 潤子

月桃夜 (新潮文庫nex)

月桃夜
著者:遠田 潤子

(新潮文庫NEX)

初版:2015年12月1日

(2009年11月に新潮社より刊行)

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第21回日本ファンタジーノベル大賞受賞作。

主な舞台は江戸時代の奄美で、最底辺の身分に生まれた少年と、バカな父親のため同じような境遇になった少女。

共に親がいない二人は本当の兄妹のように寄り添って暮すのだが・・・。

まるで凝縮された大河小説を読んでいるような雰囲気で、気分としては息をつくこともなく読んでしまいました。

たまたま書店で手に取った本が大当たりという事もあるのですね。

 

『パンドラの少女』 M・R・ケアリー

パンドラの少女

パンドラの少女
著者:M・R・ケアリー

訳者・後書:茂木 健

(東京創元社)

初版:2016年4月28日

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2014年の作。

一切の事前情報をシャットアウトして読んだので、ゾンビものだったのかと途中で少々落胆したこともありましたが読み進めるほどに面白いのなんの。

謎の病気が蔓延し、いつしか殆どの人間が「ハングリーズ」に。

だが感染していても「ハングリーズ」(ゾンビ)になりきれず知能や感情が残っている子供たちの中にメラニーもいたが、安全なはずの基地が襲われロンドンへと逃避行することに・・・。

これは再生の物語か、あるいは進化の物語なのか。

 

『ヒュレーの海』 黒石 迩守

ヒュレーの海 (ハヤカワ文庫JA)

ヒュレーの海
著者:黒石 迩守

第四回ハヤカワSFコンテスト選評

(ハヤカワ文庫JA)

初版:2016年11月25日

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「混沌」に地表が覆われた地球で、人類は身体をコンピュータ化して延命を図っている。

そんな中で二人の天才少年少女が今はもうない「海」を探す・・・。

造語やルビは我慢できたが、ラノベ風の会話にテンションを下げられた上に結局はモヤモヤ感だけ残ってしまった。

映像かアニメの方が理解しやすいし楽しめるかも。

 

『トラウマ恋愛映画入門』 町山 智浩

トラウマ恋愛映画入門

トラウマ恋愛映画入門
著者:町山 智浩

(集英社)

初版:2013年9月10日

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「恋愛オンチのために」

『チェイシング・エイミー』(1997)

『アニー・ホール』(1977)

『エターナル・サンシャイン』(2004)

『日の名残り』(1993)

『アルフィー』(1966)

『ことの終わり』(1999)

『めまい』(1958)

『パッション・ダモーレ』(1980)

『ジェラシー』(1980)

『隣の女』(1981)

『リトル・チルドレン』(2006)

『ラストタンゴ・イン・パリ』(1972)

『愛のコリーダ』(1976)

『ラスト、コーション』(2007)

『幸福(しあわせ)』(1965)

『赤い影』(1973)

『アイズ ワット シャット』(1999)

『ブルーバレンタイン』(2010)

『逢びき』(1945)

『道』(1954)

『アウェイ・フロム・ハー 君を想う』(2006)

『永遠(とわ)の愛に生きて』(1993)

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映画を見る機会も減ってしまったので、ましてや恋愛映画は皆無に近い。

だから、ここに挙げられた恋愛映画もほとんどが未見だが、それはそれとして面白く読めました。

一番の衝撃は、『日の名残り』にそれほど深い意味があったのかと呆然。

もう一度小説を読み直さないと。


『ステーション・イレブン』 エミリー・セントジョン・マンデル

ステーション・イレブン (小学館文庫)

ステーション・イレブン
著者:エミリー・セントジョン・マンデル

訳者・後書:満園 真木

(小学館文庫)

初版:2015年2月11日

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2014年の作。

カナダのトロントの劇場で『リア王』を上演中に主演俳優のアーサー・リアンダーが急死。

それに合わせるかのように新型インフルエンザが猛威を振い、わずか2週間で人類の99パーセントが死亡。

文明崩壊後の世界で原発がどうなるのか気になるところですが、作者は「今の世界へのラブレターを書きたかった」ようで、抑え目な筆致で生前のリアンダーに関わった人たちを中心に黙示録後が描かれます。

どちらかというと文芸寄りのSFですね。

『忘霊ラジオ殺人事件!?』 戸梶 圭太

忘霊ラジオ殺人事件!? (ピュアフル文庫)

忘霊ラジオ殺人事件!?
著者:戸梶 圭太

(ポプラ文庫ピュアフル)

初版:2016年12月5日

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そうか、戸梶に内容を期待してはいけないのかと、久しぶりに読んでみて思った。

ダメなパパと遥かなる離島に越してきた12歳のちさとだが、島で待っていたのは寝たきり老人と牛や虫。

ちさとが父親と一緒にこの島で経験するひと夏の冒険譚。

なんだかジュブナイルっぽいな。

 

『ボールパークの神様』 本城 雅人

ボールパークの神様 (創元推理文庫)

ボールパークの神様
著者:本城 雅人

解説:吉井 理人

(創元推理文庫)

初版:2015年5月22日

(2012年10月に東京創元社より『ボールパークの魔法』にて刊行)

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「マリソルの指先」

「世の中甘くねえぞ、坊や」

「アフリカに行って地雷を踏め」

「牧師の後継者」

「次のヤツ出てこい」

「さすらいの仕事人」

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WBCが盛り上がっているし、NPBの開幕も近いので読んでみる(購入したのは2年前だが)。

落ちこぼれ留学生の凸凹コンビが、ひょんなことからニューヨーク・メッツのクラブハウスボーイ(クラビー)のバイトをすることに。

メジャーリーガーを始めとして、登場する人物がさもありなんという感じで描かれ楽しめました。

さて、黒田去りし後のカープはどうなるでしょうか。


『GIVER~復讐の贈与者~』 日野 草

GIVER 復讐の贈与者 (角川文庫)

GIVER 復讐の贈与者
著者:日野 草

解説:村上 貴史

(角川文庫)

初版:2016年8月25日

(2014年8月に角川書店より刊行)

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「シークエル」

「ショット」

「ピース・メーカー」

「コールド・ケース」

「トマス」

「ロスト・ボーイ」

「ギバー」

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なかなか面白かった。

復讐代行業という設定も効いているが、時間をさかのぼることで次第に内輪ネタの雰囲気になってきて逆効果のような。

ただ、短編ひとつひとつは緊迫感もあり飽きさせません。


『アデスタを吹く冷たい風』 トマス・フラナガン

アデスタを吹く冷たい風 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

アデスタを吹く冷たい風
著者:トマス・フラナガン

訳者:宇野 利泰

解説:千街 昌之

(ハヤカワ・ミステリ文庫)

初版:2015年6月15日

(1961年7月にハヤカワ・ポケミスより刊行)

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「アデスタを吹く冷たい風」(1952)

「獅子のたてがみ」(1953)

「良心の問題」(1952)

「国のしきたり」(1956)

「もし君が陪審員なら」(1958)

「うまくいったようだわね」(1955)

「玉を懐いて罪あり」(1949)

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ヨーロッパの架空の独裁国家のテナント少佐シリーズが4編。

少佐の真面目さぶりを書いているようにも思えるが、なかなかどうして腹黒いようなユーモラスなような。

ノンシリーズは奇妙な味が2編、まあまあ面白い。

ラストのデビュー作もなかなかのものです。

全体に古めかしさはあるが楽しめた1冊でした。


『SF戦争10のスタイル』 ジョー・ホールドマン・編

SF戦争10のスタイル (講談社文庫)

SF戦争10のスタイル
編者・前書:ジョー・ホールドマン

解説:安田 均

(講談社文庫)

初版:1979年8月15日

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(まえがき) ジョー・ホールドマン (訳:岡部宏之)

「バシリスク」(1972) ハーラン・エリスン (訳:深町眞理子)

「決闘機械」(1963) ベン・ボーヴァ (訳:酒匂真理子)

「暗殺者」(1959) ポール・アンダースン (訳:酒匂真理子)

「奇襲作戦」(1970) ハリー・ハリソン (訳:岡部宏之)

「カーテン」(1974) ジョージ・アレク・エフィンガー (訳:白川星紀)

「傭兵マウザー」(1962) マック・レナルズ (訳:風見潤)

「黄金律」(1954) デーモン・ナイト (訳:谷口高夫)

「平和このうえもなし」(1974) ウィリアム・ネーバーズ (訳:黒丸尚)

「番号礼讃」(1973) アイザック・アシモフ (訳:小隅黎)

「ハワード・ヒューズに――控えめな提案」(1974) ジョー・ホールドマン (訳:岡部宏之

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講談社も以前は海外SFのアンソロジーを出してたんだねえ、って前にも書いた気がするが。

原題が『もう戦争はごめんだ――他に採りうる道』とのことで反戦SFではあるが、書かれているのはあくまでも戦争。

どれもまあまあ読ませるが、なかでもナイトの「黄金律」は鳥肌モノ。

異星人に頼るのはどうかと思うが、相手を殴れば自分にも痛みが跳ね返ってくる、殺したらなおさら酷い目に遭うということになれば、たしかに戦争や暴力はなくなるかも。

非暴力の世界は本当に素晴らしいものなのか、違うゆがみがでてくるのか分からないけれど。