たまらなく孤独で、熱い街 -20ページ目

『少女地獄』 夢野 久作

少女地獄 (夢野久作傑作集) (創元推理文庫)

少女地獄 (夢野久作傑作集)
著者:夢野 久作

解説:戸川 安宣

(創元推理文庫)

初版:2016年8月31日

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「死後の恋」(1928)

「瓶詰の地獄」(1928)

「氷の涯(はて)」(1933)

『少女地獄』

・「何でも無い」(1936)

・「殺人リレー」

・「火星の女」

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『ドグラ・マグラ』には手がでないので、夢野久作の入門編らしきこちらを。

なかなかいいんじゃないかな。

「死後の恋」からいい感じに読めて、「瓶詰の地獄」はなにが地獄って、そりゃアレですよアレ。

中編の「氷の涯」はミステリっぽい。

『少女地獄』三本立てもバラエティに富んでて、思いつめたような女の恐ろしさが迫ってきます。



『死の鳥』 ハーラン・エリスン

死の鳥 (ハヤカワ文庫SF)

死の鳥
著者:ハーラン・エリスン

訳者:伊藤 典夫

解説:高橋 良平

(ハヤカワ文庫SF)

初版:2016年8月15日

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「「悔い改めよ、ハーレクィン!」とチクタクマンはいった」(1965)

「竜討つものにまぼろしを」(1966)

「おれには口がない、それでもおれは叫ぶ」(1967)

「プリティ・マギー・マネーアイズ」(1967)

「世界の縁にたつ都市をさまよう者」(1967)

「死の鳥」(1973)

「鞭打たれた犬たちのうめき」(1973)

「北緯38度54分、西経77度0分13秒 ランゲルハンス島沖を漂流中」(1974)

「ジェフティは五つ」(1977)

「ソフト・モンキー」(1987)

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日本オリジナル編集。

未だにエリスンの良さが分からないのだが。

いや、一つひとつはいいんだけど、短編集全体を思い起こすとね。

たしかに 暴力もあれば純粋さもあるし、神への憎悪も感じられれば子供への愛情も感じられる。

色々と混在していて本人もまとめ切れてないような印象を受ける。

もっとストレートに物語を紡いでゆけば、きっと素敵な小説がいくらでも書けたと思うんだけど(たとえ表面上はそうでなくても)。

エリスンは何に怒っていたのか、秩序か神か世界にか自分にか。


『クロニスタ~戦争人類学者~』 柴田 勝家

クロニスタ 戦争人類学者 (ハヤカワ文庫JA)

クロニスタ 戦争人類学者
著者:柴田 勝家

(ハヤカワ文庫JA)

初版:2016年3月25日

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「自己相」によって個々人の認知や感情を人類全体で共有することができるようになった世界。

だが、それに抗う難民と呼ばれる人たちを「自己相」に取り込もうとする軍隊。

ここまではいいけれど、人類学者シズマと謎の少女の出会いでなんとなく話の行く末が見えちゃうんだよなあ。

それに軍隊を敵に回して無事でいられるかも疑問だし、サブキャラが今一つ。

ラストに驚愕の真相が語られるのだが、そこへ行くまでが長かった。

でも、この作者が伊藤計劃を乗り越えて一皮もふた皮もむけることを期待してますよ。


『パルプ』 チャールズ・ブコウスキー

パルプ (ちくま文庫)

パルプ
著者:チャールズ・ブコウスキー

訳者・後書:柴田 元幸

解説:東山 彰良

(ちくま文庫)

初版:2016年6月10日

(1995年11月に学習研究社より刊行)

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1994年の作。

最低の私立探偵ニッキー・ビレーン。

飲む打つ買う(はあったかな?)のために生きている男。

変な奴らからに依頼された奇妙な事柄は当然ながら解決しない。

逆にあっちの方が勝手に解決してしまう始末。

それでもニッキーを憎めない。

時たま口にのぼる哲学めいた言葉に不思議な魅力があるためでもあるか。

東山彰良の解説もブコウスキーに惚れ込んでいていい。

解説の最後に「上手く世渡りができず、いまにも爆発しそうな怒りを腹に呑んだまま生きているくせに、それでもなお悪いのは自分なのだと知っているすべての者のために、この小説はある」と書いている。

当然私のための小説でもある。

東山彰良も読むべきか。



『拾った女』 チャールズ・ウィルフォード

拾った女 (扶桑社文庫)

拾った女
著者:チャールズ・ウィルフォード

訳者:浜野 アキオ

解説:杉江 松恋

(扶桑社ミステリー)

初版:2016年7月10日

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1954年の作。

読み返す時にこれほど風景が変わるであろう小説は記憶にない。

それほどまでにラスト2行の衝撃は大きかった。

書かれてから60年以上経っているのに、意識にはほとんど変化がないんだなということも。

アルコール依存症のヘレンとの自堕落な生活。

これは愛ゆえなのか共依存のためなのか。

こんな生活が続くはずもなく、金も尽きたある日破綻してしまう・・・。


【読書メーター】 2017年12月分

あけましておめでとうございます。

今年はどんな本と巡りあえるのか楽しみです。

そして、願うはカープのリーグ3連覇!

 

12月の読書メーター
読んだ本の数:18
読んだページ数:5,848



トリックスターズC PART1 (メディアワークス文庫) トリックスターズC PART1 (メディアワークス文庫)感想
1巻目を読む前にシリーズ全作を揃えちゃったので読みますが、なんかこのシリーズから気持ちが離れてしまい、初期の面白さが感じられない。結局は天乃原周や左杏先生が裏でなにかやっているのだろうなあ、という気がしてしまう。310ページ
読了日:12月02日 著者:久住四季
トリックスターズC PART2 (メディアワークス文庫) トリックスターズC PART2 (メディアワークス文庫)感想
やはり天乃原周は旅立つのだね。シリーズを振り返ると、2巻目か3巻目が面白さのピークだったかな。5巻6冊は、読者からみればやや引っ張りすぎたような気もしますが、これからも『星読島』のような新しいものにチャレンジしていって欲しいですね。342ページ
読了日:12月04日 著者:久住四季
筺底のエルピス 5 -迷い子たちの一歩- (ガガガ文庫) 筺底のエルピス 5 -迷い子たちの一歩- (ガガガ文庫)感想
今巻は次なるステージに上がるためのインターミッションか。長いけど飽きずに読めた。それにしても静かすぎる。昔の西部劇では登場人物が「静かすぎる・・・」と言うと、待ってましたとばかりに敵が襲ってきたようだが。また果てしなく絶望的な戦いの火ぶたが切られようとしているのか・・・。486ページ
読了日:12月06日 著者:オキシ タケヒコ
屍人荘の殺人 屍人荘の殺人感想
東京創元社がやたらと読了した人のコメントをリツイートするので、文庫化を待ってネタばれを食らう前に読むことに。タイトルから薄々○○○が出るのかなと思ってはいたが、やはり出ましたね。そしてクローズドサークル。リアリティがないと言う人もいるでしょうが、そもそも本格もの自体にリアリティがないわけで。○○○ありきの犯行ではあるが、不可能犯罪の様相もあって楽しめましたよ。今度は地球最後の男が何者かに殺された話を誰か書いてくれないかな。316ページ
読了日:12月07日 著者:今村 昌弘
ウルトラマンF (TSUBURAYA×HAYAKAWA UNIVERSE) ウルトラマンF (TSUBURAYA×HAYAKAWA UNIVERSE)感想
ウルトラマンは小さいころにTVで見たことはあるけど、熱狂するどころか余り面白いと感じられなかった。なのでこれを読んでもウルトラマンF誕生のことよりも、被災地や被災者がどうなったかが心配で楽しめなかったな。 300ページ
読了日:12月08日 著者:小林泰三
火星転移〈上〉 (ハヤカワ文庫SF) 火星転移〈上〉 (ハヤカワ文庫SF)感想
なんとなくタイトルがネタバレしているようなイヤな予感がするのだが。ベアは『ブラッド・ミュージック』しか読んでいませんが、骨太という印象。だからなのか、重要人物であろうヒロインの前フリと思える話が延々と続いていささか疲れた。さあ、火星は危機を乗り越えられるのか・・・。427ページ
読了日:12月10日 著者:グレッグ ベア
火星転移〈下〉 (ハヤカワ文庫SF) 火星転移〈下〉 (ハヤカワ文庫SF)感想
後半も政治的なやりとりに終始していた印象で、終盤の超ド級の仕掛けがどうにも物語とフィットしてない気がする。避けて通れないとはいえ。さて、その後の火星もだが地球もどうなることやら。423ページ
読了日:12月12日 著者:グレッグ ベア
家庭用事件 (創元推理文庫) 家庭用事件 (創元推理文庫)感想
結構続いている人気シリーズの途中1冊だけ読んでも過去のいきさつは分からないが、最後のエピソードは反則じゃないのか。パラパラと前のエピソードを読み返してもそれらしき記述はないし。新展開に舵を切ったのか、マンネリを打破するためか、袋小路を抜け出すためか・・・。そう思って各エピソードを振り返ってみると、大した話でもトリックでもないし苦し紛れの感がなきにしもあらずだったなあくらいしか思い出せない。283ページ
読了日:12月13日 著者:似鳥 鶏
かにみそ (角川ホラー文庫) かにみそ (角川ホラー文庫)感想
流星雨の夜に変化(へんげ)した、蟹や百合との友情(?)を描く、ややホラーが2編。どちらもなかなか良かった。「かにみそ」は、可愛い蟹の変化や食事が怖い。「百合の火葬」は、人の記憶を吸い取る百合で、こっちのほうが救いようがない感じで怖かった。この作者は初読みだが、おおと思わせるところもある。251ページ
読了日:12月15日 著者:倉狩 聡
砕け散るところを見せてあげる (新潮文庫nex) 砕け散るところを見せてあげる (新潮文庫nex)感想
面白そうなタイトルだなと思ったのだが、読み終えても「砕け散ったところ」が見えない。クラスのイジメだけでも充分重いのに、その上にさらに重いものを乗せたためにリアリティというかもっともらしさがなくなってしまった。どちらかだけに絞っても良かった気がするし、最後らへんは無理に捻ったので物語自体が腸捻転を起こしたような気分で読み終えた。311ページ
読了日:12月16日 著者:竹宮 ゆゆこ
悪徳小説家 (創元推理文庫) 悪徳小説家 (創元推理文庫)感想
この小説家と妻では、どう考えても謎めいた妻を主役にして欲しかったな。行き当たりばったりな行動でなんとなく上手く行っている小説家に魅力がないので。最後は腰砕け気味だし、なによりも重要だと思えるキーワードが日本語になってない。334ページ
読了日:12月18日 著者:ザーシャ・アランゴ
松本城、起つ 松本城、起つ感想
『みずは無間』で宇宙を駆け回ったと思ったら、今度は時間SF。松本は地元ではないけど、そう遠くもないので方言に苦労することがなかったのが得した気分。1686年に松本藩で起きた百姓一揆というマイナーな出来事を描いてますが、ややゴチャゴチャ感があるし、なによりもマーカーが多すぎな気が・・・。そういえば松本城には登ったことがなかった。263ページ
読了日:12月19日 著者:六冬和生
僕が愛したすべての君へ (ハヤカワ文庫 JA オ 12-1) 僕が愛したすべての君へ (ハヤカワ文庫 JA オ 12-1)感想
無粋なことを書くのは気が引けるが、並行世界(平行世界)があるならば、刻々とビッグバン並にものすごい勢いで増えて広がって行くと思うので、昨日は隣と思った世界も今日は遥か彼方じゃないかな。そこらへんに目をつぶれば、並行世界をうまく描いているような気がして、嫌いではありません。253ページ
読了日:12月21日 著者:乙野四方字
君を愛したひとりの僕へ (ハヤカワ文庫 JA オ 12-2) 君を愛したひとりの僕へ (ハヤカワ文庫 JA オ 12-2)感想
こちらは一途さというか執念深さをより一層感じられる。ベストではないがベターな結末を選んだのだとしても、果たして彼(彼ら)は幸せであったのだろうか。どちらも同じページ数に収めてますね。253ページ
読了日:12月22日 著者:乙野四方字
暗黒女子 (双葉文庫) 暗黒女子 (双葉文庫)感想
ミッション系スクールの豪華な文学サークルの部室。そこは金持ちの娘・いつみの道楽のためのもの。彼女が女王でサークル員はしもべ。その彼女が亡くなった1週間後に開かれた夜の定例会の趣向は、各自がいつみを偲んで書いた小説の朗読と闇鍋。だが、その内容はお嬢様学校の生徒だとは思えないような不穏なものだった・・・。二転三転もあったかもしれないが、黒幕にはさほどの驚きはなかったし、どちらかというとアレをどうやって処理したのかが気になった。それに、人に向けた刃はいつか自分に返ってくるんだよ。294ページ
読了日:12月24日 著者:秋吉 理香子
僕は君を殺せない (集英社オレンジ文庫) 僕は君を殺せない (集英社オレンジ文庫)感想
2015年度ノベル大賞準大賞作の『亡霊』を改題改稿したものらしいが、初めて聞く賞だな。そんなことは知らずにタイトル買いの一冊だが、どれも惜しくももう少しという感じが。最近は「二度読み必至」とか「必ず泣ける」とか、なるべく先入観なしで読みたいこちらとしてはドン引きするような惹句が増えたな。結果として二度読みしたくなったり、泣けちゃうほどの凄い作品なら満足感に浸れるのだが、ネタバレするような親切の押し売りは大きなお世話なんだよな。254ページ
読了日:12月26日 著者:長谷川 夕
小説の神様 (講談社タイガ) 小説の神様 (講談社タイガ)感想
平々凡々たる私からしてみれば、無から有を生み出すことのできる小説家は錬金術師とでも言うべき存在だとしか思えないのだが、これだけ本が溢れているように思えても、活字になるのはごく一部でヒット作ともなればほんのわずかなんだな。おそらく作者の本音らしきものも顔を出しているかも知れませんが、少しは気持ちが楽になれたのだろうか。「物語は願い」いい言葉ですね。なんとなく作者の宣言のようにも思えますが、一也と詩凪を(もちろん作者も)応援したくなります。382ページ
読了日:12月28日 著者:相沢 沙呼
ニルヤの島 (ハヤカワ文庫JA) ニルヤの島 (ハヤカワ文庫JA)感想
ツイッターだかで作者の写真を見た時は驚きました、まさに戦国武将。死後の世界が否定された世界では、「死」はどう捉えればいいのかな。ミームは妖怪なのか神なのか。思ったよりは読みにくくはなかったけれど、なかなか理解するまでには至らず参りました。366ページ
読了日:12月30日 著者:柴田勝家

読書メーター
 

『ニルヤの島』 柴田 勝家

ニルヤの島 (ハヤカワ文庫JA)

ニルヤの島
著者:柴田 勝家

解説:高槻 真樹

(ハヤカワ文庫JA)

初版:2016年8月25日

(2014年11月に早川書房より刊行)

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ツイッターだかで作者の写真を見た時は驚きました、まさに戦国武将。

死後の世界が否定された世界では、「死」はどう捉えればいいのかな。

ミームは妖怪なのか神なのか。

思ったよりは読みにくくはなかったけれど、なかなか腹にストンと落ちなくて参りました。

 

『小説の神様』 相沢 沙呼

小説の神様 (講談社タイガ)

小説の神様
著者:相沢 沙呼

(講談社タイガ)

初版:2016年6月20日

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正直言ってこの作者の本をこれからも読むのはどうかなと思っていましたが、これは意表をつかれた感じで好感が持てました。

平々凡々たる私からしてみれば、無から有を生み出すことのできる小説家は錬金術師とでも言うべき存在だとしか思えないのだが、これだけ本が溢れているように思えても、活字になるのはごく一部でヒット作ともなればほんのわずかなんだな。

おそらく作者の本音らしきものも顔を出しているかも知れませんが、少しは気持ちが楽になれたのだろうか。

それでも読者は非情なもので、面白くなかったり自分に合わないと思えると簡単に見限ることができてしまう。

せめて一也と詩凪にはこれからも物語を紡いでいてほしい。


『僕は君を殺せない』 長谷川 夕

僕は君を殺せない (集英社オレンジ文庫)

僕は君を殺せない
著者:長谷川 夕

(集英社オレンジ文庫)

初版:2015年12月22日

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「僕は君を殺せない」

「Aさん」

「春の遺書」

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タイトルだけ見て購入したのだが、どれも惜しくももう少しという感じが。

僕が誰でもどうでもいいけど、最近は「二度読み必至」とか「必ず泣ける」とか、なるべく先入観なしで読みたいこちらとしてはドン引きするような惹句が増えたな。

結果として二度読みしたくなったり、泣けちゃうほどの凄い作品なら満足感に浸れるのだが、ネタバレするような親切の押し売りは大きなお世話なんだよな。

そうでもしないと本が売れないというのも寂しいものだけど。

『暗黒女子』 秋吉 理香子

暗黒女子 (双葉文庫)

暗黒女子
著者:秋吉 理香子

解説:瀧井 朝世

(双葉文庫)

初版:2016年6月19日

(2013年6月に双葉社より刊行)

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ミッション系スクールの豪華すぎる文学サークルの部室。

そこは金持ちの娘・いつみの道楽のためのもの。

彼女が女王でサークル員はしもべ。

その彼女が亡くなった1週間後に開かれた嵐の夜の定例会の趣向は各自がいつみを偲んで書いた小説の朗読と闇鍋。

だが、その内容はお嬢様学校の生徒だとは思えないような不穏なものだった・・・。

まあ、二転三転もあったかもしれないが、最初から薄々黒幕じゃないかと疑った人物がいたので驚きはなかったし、どちらかというとアレをどうやって処理したのかが気になった。

まさか、丸々全部を闇鍋に投入した?まさかね。