もしも日本の俳優さんが演じたなら...
映画の楽しみ方の一つに,もしこの役を日本の俳優さんに振るとしたらだれがいいか,と勝手に考えることもありますネ。
日本映画の場合はいろいろと差しさわりがあるのであまり書きませんが,「汽車を見送る男」に関してだけ例外を設けさせてもらいたい。それは「千田光夫」です。「みつお」の部分はナンドも改名しているようですが,僕には江戸時代の幇間の代名詞である「千三つ」(千に三つしか本当のことを言わない)であると思われてしかたがないのです。彼のような芸人を埋もれさせるのは本当にもったいない。ほぼ同じくらい「この人なら」と思っている俳優に渡鬼で有名な「岡本信人」さんがいます。不思議な俳優さんですよね。
泣かなく ていい映画
どうも涙腺が緩くなったのか感傷的になる傾向があるので,「探偵室」としては殺人も涙もない映画をどうしても取り上げざるを得ません。
オニール親子が「本当の親子?」を演じた「ペーパームーン」。これはモーゼという大そうな名前の詐欺師が禁酒法時代の南部をまたにかけて珍道中をやる話です。詐欺の手口はたくさん出てきます。その中でも傑作なのは「つり銭詐欺」と呼ばれるもので,欧米には古くからある有名なものです。日本でこれを使った事件がかつて報道されたことがあり,思ったとおり実行したのは外国人でした。日本人は算数にめっぽう強いのです。海外に出かけた経験のある人は気が付かれていると思います。もっとも,近頃のコンピュータ式POSシステムのレジではもう実行できないでしょうが。この手口の面白いところは,だまされてもかなり経たないと気が付かないことにあります。みなさんご用心。
この映画の主題歌は当時のアメリカのジャズで同名の「ペーパームーン」ですが,映画にふさわしく「(幸福なんて)描き割りに懸かっている月のようなものであり,信じるものだけが本当と思う」と歌っております。
このテイタムオニールが投手を務めるガラクタ野球チーム「バッドニューズ・ベアーズ」(日本名「がんばれベアーズ」)でも実は泣くことができます。昔三角ベースで草野球をしたかつての少年ならば...
「道」のラストシーン
映画の隠されたテーマは,いや人生の永遠のテーマはいつも「海」であるように思います。殆どの名画は何らかの形で「海」を扱っています。
「我が国語では海の中に母がいる」(三好達治「測量船」)
「道」は亡き母と一緒に観た数少ない映画の1本でした。
私が最初に観た時は,砂をかきむしって泣くザンパノの最後の言葉は「目が見えない...」でしたが,後で手に入れた吹き替え版のビデオでは「ジェルソミーナ」となっていました。この夜の浜辺のシーンにフェリーニは確か音声としての言葉を入れていなかったと記憶しています。これはこれで意を察した吹き替え者の善意ではあると思いますが。「道」は海から始まり海で終わる話でした。