はぁ~~~採点終わらせました.[2]は20点満点です.

11組平均 7.90
12組平均 8.10
13組平均 7.81

ちょっと気になったのが,(2)のほうで「『任意のxについて(x,Ax)=(x,Bx)』だとしてもA=Bとは限らない」という指摘は良かったのですが,「というのはA≠Bとなってしまうxが存在するから」と答えていた人が多かったです.「任意の」と「存在する」を混同しているのがおわかりでしょうか?

素点(プレテ25点+期末75点)の平均は,

11組平均 64.23
12組平均 63.95
13組平均 62.73

で,僅差で11組が逃げ切り!でした.ぱちぱちぱち.

合格は素点が50点以上としました.

成績優秀者!期末テスト75点満点の上位者は以下のとおりです.888888888

70点 0269
70点 0381
68点 0334
67点 0329
67点 0335

90分という限られた時間で問題を解くことを考えると,この得点は驚異的です.すごいですね.
さて,[2]ですが,これは2問あって20点です.各問ごとに

「誤りの箇所を的確に指摘できて」 6点
「反例をあげて」 +4点

とすることにします.誤りの指摘が見当違いなら0点ですが,ややカスッテいるというときには3点つけることにします.

[2](1) ですが,これはV1の次元がn1だからといって,最初のv1,...のなかにその基底があるとはかぎらない,というのがその答です.反例はたとえば
3次元空間で,空間V1=x軸,V2=y軸,とするとV1+V2はxy平面で,たとえば(1,2,0),(3,4,0)はxy平面の基底ですが,(1,2,0),(3,4,0)のどちらもx軸には含まれません.

[2](2) ですが,これは(x,Ax)=(x,Bx) だからといってA=Bとはいえない,と言う点が誤りです.
反例としてはたとえば行列Cを「90度回転」とかにしておけば,いつでも(x,Cx)=0ですから,A=B+Cとかにすれば反例になります.このことは直交行列の特徴づけ(14章)のときに,講義で「この方法ではダメだよ」と言ってあったところなので,考えてみたひともいるかもしれませんね.(いないか?)

[3]の採点がおわりました.(6)でイロイロな解答があって読むのが大変かともおもったのですが,おもったよりすぐ済みました.まず平均点から.30点満点です.

11組平均 20.13
12組平均 18.38
13組平均 18.92

ここまで(プレテ+[1]+[3]=80点満点)のところ,トータルで11組がわずかにリードです.(順に,56.56, 56.00, 55.08です.)

さて,講評ですが,(5)まではだいたい出来ていました.よかったです.(6)は ||Ax||=||x|| から式を起こすのが自然で,解けている人の大部分はその方法で解いている人でした.一方で,数名,幾何的に,三角形OXZが二等辺三角形であることからあくまで図形的に解いている人もいました.もちろんOKです.(7)ですが,αが写像 f の固有値1の固有空間になっていることに気がつけばよいのでした.こういうのは言われてみれば簡単なんですけどね.

さて,気になる不可のことですが,ここまで(プレテ+[1]+[3]=80点満点)で,まだ50点に満たない人は全体の23パーセントの28人です.(つまり77パーセントの人はもう合格が確定しているということです.)まだあと[2]の採点もありますし,合格点を50点のままで動かさない方向で行くことにします.
[3]は(1)-(5)が「点やり問題」で,本題は(6)です.(7)は気がつけば驚くほど簡単ですが,それに気がつく人がいるかどうか.たぶんほとんどの人は(5)までかな,と思います.ということで

(1)(2)(3)(4)(5) 各4点
(6) 十分性か必要性どちらかで4点,両方で7点,
(7) 3点

とします.経験的にはこれでかなりの人が合格ラインへと滑り込むものと思われます.

(1)-(4)はn=3であれば高校のベクトルの知識で解けますし,実際そのつもりで解けば一般の n の場合にもうまくいきます.問題は(6)ですが,これは直交行列の同値条件のうち,ノルムを保つ(||Ax||=||x||)という条件との必要十分性を示すのが簡単です.丁寧にベクトルの議論を行えばいいだけなので,決して難しくないとおもいますが,そこにたどり着くまでに息切れしてしまっているかもしれませんね.

ではいまから採点に入ります.
[1]をつけおわりました.

11組平均 15.05
12組平均 16.13
13組平均 14.92

です.固有値を求める計算はほとんどの人ができていました.(2)では何かを追加しなければいけないのだろうナァと思うのはいいのですが,±1,±i,0と書く人が多数.「固有値0=ランク落ち=正則でない」という感覚があれば,このような発想には至らないとおもうのですが,まぁそういうことです.

行列にA^4=EやA^3=Eの性質があれば,それが固有値にも引き継がれる,ということは知っておくといいですね.

固有値の絶対値が1になるだろう,という考察は良い考察です.ここから「1のベキ根になる」とわかればOKです.あとは,1の3乗根に思い至るかどうかですね.特性方程式をいくつかの場合に計算してみた人はそのことを思いついたようです.法則を見つけるために実験してみることは大切です.

夕方から[3]を採点しようと思います.数学が苦手な人でも(4)まではいく(16点)ものと想定しています.高校のベクトルの範囲ですしね.