都の京都では、鬼はよく現れたそうだ。

この頃、都の羅城門を舞台に登場する

人物に渡辺綱がいる。

 

渡辺綱と「和漢百物語」

渡辺綱は、源頼光の家臣・四天王の

ひとり。

 

 

源頼光家臣・四天王のひとり渡辺綱

 

「和漢百物語」によると。

羅城門に鬼がでるという噂を確かめ

るため、渡辺綱は頼光から授かった

禁札をたてるべく、単身雨夜に羅城

門に赴いたところ、悪鬼が現れて

背後から渡辺綱の兜をつかむ。

渡辺綱は、鬼の腕を斬り落としてそ

れを持ち帰る。

 

 

月岡芳年作「羅城門渡邉綱鬼腕斬之図」

 

 

月岡芳年「渡辺綱と茨木童子」

羅生門で鬼の腕を斬り落とした渡辺綱

の後日談が「和漢百物語」にあり、こ

れを月岡芳年が「芳年漫画 渡辺綱と

茨木童子」で描く。

題の漫画とは、漫(そぞ)ろのことで、

心のおもむくままに、絵などを描くと

いう趣意で大判二枚続きで全七図あり、

その内のひとつで、古典の説話を絵に

している。

渡辺綱は羅城門で鬼の腕を斬り落とし

て持ち帰り、その腕を唐櫃に入れて

7日間の物忌みをする。そこへ綱の叔

母が訪ねて来て腕を見せてくれと懇願

して頼む。このため致し方なくふたを

開けて見せると、叔母は腕をつかみ、

茨木童子の正体を現して飛び去ってゆ

く。

 

 

月岡芳年「芳年漫画 渡辺綱と茨木童子」

 

渡辺綱(渡辺氏の祖)

渡辺綱(953-1025)は平安時代の武

将。綱は武蔵国生まれた時に父が他界

し、源敦(仁明源氏)の養子となり、

母方の里である摂津国西成郡渡辺(現

大阪市中央区)に移住し、渡辺氏の祖

となる。

大阪の露天神社(お初天神)や、渡辺

姓発祥の神社とされる座間神社の宮司

家は渡辺綱の子孫である。

 

源融(光源氏のモデル)

また、大坂梅田界隈には、渡辺綱の子

孫の源融ゆかりの大融寺(嵯峨帝勅願

所・準別格本山、弘法大師開基)があ

る。

源融こと河原左大臣源融は、「源氏物

語」の光源氏のモデルで、この大融寺

を創建する。源融は、大融寺建立の際、

あわせて神野太神宮(現綱敷天神社、

大阪市北区茶屋町12-5)を創建する。

 

 

 

源融の𦾔蹟碑がある太融寺(大阪府大阪市北区大融寺町3-7)

 

 

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