師走にはいった。風はなく街の中に
ある城の濠の周りを散策。
木々の葉は紅葉し、すっかり葉が落
ちたのもある。濠には、鴨が数羽泳
ぎ、緑の濠にうっすら、おおきな鯉
がゆっくり泳いでいる。
最近、寒くなり、ほとんどベッドで
寝ており、夢をみることが多くなっ
た。
今朝方、部屋に真っ赤な色の柿をも
ってきた彼女は「この柿はふつうの
柿ではなく、上品な味がするよ」と
言うが、味に上品な味ってあるのか
なと思う。
このとき、ぼくはふと想った。
彼女の書斎にあった艶本、北斎の「喜
能会故真通（きのえのこまつ）」の枕
絵にかさねて、いろいろ夢想し、熟し
た柿を味わって食べる。
北斎の『喜能会故真通』
奥女中と供の男
御代参の奥女中に、供の折助が迫るを描
く。
女
これサ、マラ助、無体なことをしやる。
アレサ、モウどういたそう。
アレサ悪いことを。不届きなことをし
やると表向きへ申し立てる。
アレモウ、汚らしい。ひげで痛いョ
男
もしもし、おかるさま、よき折助もある
ならと待ちに待ったる今日のお供。
ここをはなすと、もうこんな役廻りはで
きませぬから。
女
アレ 〱 いやョ、いやだョ。
いやだよ 〱
男
てもふっくりしたよいお香箱。
女
アレアレ
男
薄々と毛が生えて、びろうどの巾着に
ばかのむき身を入れたようあ。
チュー 〱、くじる音ぐず 〱
女
アレサいやだよ、痛い痛い。
コレサいやだヨウ。モウここを離して
くりやというに。
男
サア、ぬらぬらとぬらいきだしたは、
もしおかるさま。松介でも団十郎でも、
もしこういうの、それこう、ここをいじ
っての、ソレええフーウ
女
いやだョ 〱。
にちゃ 〱 ぐず 〱
男
サア。
してやったと仰向けに倒してむりに割
り込む。
女
アレいやだよウ、よして 〱 あれ。
頭が半分入ったが、
女
ハア、アレ 〱 いやだョ フーウ。
それをぐっと入れると、まず今日は
これきり、エエ不景気な。
奥方
歌舞伎での伴左衛門と奥方を夢想し描く
女
これ、伴左衛門や、淫なものとさげすん
でたもるなや。わしはもうとうからそも
じに、あのええ、はもじいことばっかり、
あれフウ 〱 あれさムウ 〱
おお恥ずかしい。フウ 〱 さあ、どう
なりとなるけれど恥ずかしい。
口と口チュウ 〱 ツッパ 〱 〱
フウ 〱
女
久しぶりでああもうフウ、おおいとしい。
こういたしてはどうでござります。
おおよいよ。そしてこういたしましては、
ええはあ…よいよ。そんならこういたし
ては、ムウフウスウスウ。
さこうして、アアいくよ 〱
ぐちゃ 〱 にちゃ 〱
淫水ぬら 〱 ぴちゃ 〱 〱。
Enjoy街有城「北斎（色の道）夢想」
担当医の付き添いのもとでの散策だ
った。白衣の彼女とは違い、ジムで
鍛えた端正な脚長の姿に魅かれてい
た。ぼくは性依存症のうえ人と関わ
れず、いろいろな病があり、出社で
きず部屋に籠っていたが、縁有って
女医に治療を受けている身である。
幼い頃からの性格はかわらず、むし
ろ磨きがさらにかかっていくようだ。
城の周りを散策していて、北斎の色
の道に導かれながら、いつものとお
り、艶女医と夢のような景色を夢想
している。
岸和田城（大阪府岸和田市）
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