大寒の日。名にたがわず、風があり寒

かった。今年は気温が高く、秋の花の

サルビアがあまり咲かなかった。

 

 

今年は違った。

秋になると庭一面に咲いていたサルビア

が、この秋は違った。そのなか、今、冬

のなかで可憐に花を咲かせている。

 

彼女の部屋のベッドから見える庭のサル

ビア。

サルビアは昨夜から今朝方にかけての

夜露で濡れていた。

情を交わし、炎の如く燃え、真っ赤に

炎上する彼女の姿を妄想する

 

朝方まで艶本を見ては夢のなかで繰り

返している性依存症のぼくと担当医が

ベッドにいる。

これすなわち、北斎の艶本と同じで、

色の道にはいろいろあり。いろいろあ

るのが男と女の物語。

 

 

 

 

「喜能会故真通」

葛飾北斎の「喜能会故真通(きのえ

のこまつ)」の枕絵は、この浮き世

で夢の姿の景色を描いた夢画である。

色の道は百花騒乱。

 

結構なお品

新参の腰元は殿さまに寵愛される。

 

 

腰元

ええもう、おいとしい。

 

殿さま

ふう 〱 そなたが来やってからは、

とんと稽古も手につかぬ。

ついうかうかと日をすごして、夜は夜

もすがら、これ、こうして、それそれ

こうするとどうじゃ。

初めの夜よりは格別によいであろう。

大坪流の奥義は極めても、子宮(こつ

ぼ)を開くはまだよう知らぬ。

ても、そのほうは、愛(う)い…

ふうふう…奴じゃ。忠義者め。

 

腰元

御前のお手で、このように毎晩々々あ

りがたい御意を頂いて。

そのうえに、あれ、そのような結構な

お品を…ええもう、ああ、いっそ、あ

れもう、どう致しましょう。

 

 

養子(親孝行)

後家は養子にした若い息子と情を交わす。

 

 

養子

おっ母さん、どうぞ今晩は、アノ三丁

でお休みなさいまし。

また明朝いたしてさしあげますゆえ。

 

後家

ええもう、この子は不幸なことをいい

やる。

一生後家をたて通し、親類に後ろ指を

さされまいと思うたに、いつぞや、玉

門寺さまにお入仏のときのそなたの稚

児姿、美しうて可愛らしうて、もうも

うたまらなくて、どうぞして…ふうふ

う、そなたを養子に…もらいたくて、

もうもう、いっそもう気がもめてもめ

て、ようようあの助兵衛をだましおせ

て、やっとこのことで親子になったも

のを、そのようなつれないことをお言

いかえ。

さあさあ、たった一人の母を可愛がっ

て…ふう…おくれ。

あれ 〱 お前は…親孝行だな。

 

枕ぎち 〱 布団ふうわ 〱 

ふちゃり 〱

 

 

 

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