入院190日目 day 40
今日は午後から肝移植の適応について、
他院の移植免疫診療科のK医師を中心に、
主治医や看護師、CLS立ち会いのもと行なわれた。
VODに対する肝移植にあたりクリアすべき事として、
生体肝移植になるので、家族から強い希望があっても、
非寛解では移植は出来ない。
寛解の可能性は移植後40日程度で寛解と言い切るには難しく、
長期的な予後が言い切れないので、今の段階では適応が難しい。
現時点で移植が可能かどうかに関しての判断は保留にしたい。
肝臓の今の機能を保ちつつ、ビリルビンの値が徐々に低下して、
腹水も減少してきた時に再度肝移植の適応を考えていきたい。
今の本人には肝移植に耐えられる体調ではなく、耐術性がない。
本人の回復を期待して、肝移植が必要で可能な段階になれば、
すぐに準備を進めていく。
他にもドナーの話も詳しく説明してもらった。
肝臓の事で何か分からない事があったら、何でも遠慮なく聞いて下さい。
と言われたが、何も質問が思い付かなかった。
過去にもこれと同じような経験があった。
去年3月、hideが急性リンパ性白血病と診断され、
初めて医師と面談をした時。
白血病の知識が全くなく、何が分からないかが分からない。
質問すら出来ない…情けないやら、不安になるやらで、
その日から必死に勉強した。
毎日医師からhideの様子を聞き、頭に叩き込み、
質問が出来るようになった。
それがここに来て、また肝臓のしくみから
頭に叩き込まなければならなくなるとは・・・
今まで色々な医師と関わってきたが、
K医師程、自分の力量に自信を持っている医師には出会った事がなかった。
もし、肝移植をする事になったら、迷わずK医師にお願いしたいと思った。
今日はお義母さんが栃木から病院に来てくれた。
hideは何をするにもメソメソ、ピーピー大きな声を出していた。
午前中に褥瘡の処置をしようと看護師が声を掛けたけど、
13時が良いと言い出し、看護師Yさん・Sさんと約束したらしく、
13時過ぎに説得してやった。
生食で皮膚を洗い流した時痛がって泣いていた。
処置を終えて、体重を計った。
終わった頃には疲れきって眠ってしまった。
少し寝たあとは、起きている時間が多くて、
シャーベットや飲み物をたくさん口にしていた。
夕方kazuとパパはお義母さんと一緒に栃木に出発した。
------------------------------
S医療センター移植免疫診療科 K医師が来院され、
診察後に両親と面談をされた。
①現状
肝臓は門脈という消化管からの栄養が帰ってくる血管と動脈が入ってくる臓器である。
現在の病状としては、VOD(肝中心静脈閉塞症)で
小さい肝静脈がつまって細くなっている状態。
肝臓(通常はスポンジのようなもの)が硬くなっていて、
肝臓に返れなくて腹水などとして漏れ出ている状態。
②肝移植の適応
1)寛解していること:生体肝移植であり、両親の強い希望があっても
非寛解では移植はできない。
2)寛解の可能性:現在移植後40日程度で寛解(長期的な予後として)は言い切れない。
今の段階では適応は難しく、移植可能かどうかに関しての判断は保留にしたい。
3)耐術性がない:現時点では肝移植に耐えられる体調ではないと考える。
③今後の方針
現在の肝臓の機能を保ちつつ、最も良い流れとしてはビリルビン値が徐々に
低下して、腹水も減少してきた(例えば総ビリルビンが10程度で推移し、
腹水減少して数ヶ月が経過しているような状態)時に(寛解の判断も行いつつ)
再度肝移植の適応について考えていきたい。
まずは回復を期待して、肝移植が必要で可能になったときには
すぐに準備を進めていく。疑問点があればいつでも質問してください。
④ドナーに関して
移植する場合は肝外側区域を切除して移植することになる。
通常はS医療センターでのドナー入院は9日間、社会復帰まで1ヶ月半~2ヶ月。
今までの経験で後遺症を残すような合併症はみられていない。
緊急移植の場合、ドナーの検査も24時間対応可能で、
8時間くらいで準備ができる。
肝移植の適応に関しては、Ph+の再発後2ndCRではあるが、
2回目の移植であり、長期的予後から見て寛解を維持していくことは
厳しい状態ではある。
現治療で肝機能やVODの回復を待ちつつ、原病に関しては寛解維持を確認
(定期的な骨髄検査など)していく。
肝移植が必要な場合は、移植可能な状態にもっていかれるように
整えていきたい。
栄養面に関しても相談しつつ改善を図りたい。
HR110前後
SpO2夜間は保てていたが朝方から鼻カヌラ3Lで93%程度、発熱なし
【診察所見】
意識:受け答えははっきりでき、嫌なことをされると怒って大きな声も出せるが、
傾眠がち
体重16.6kg(-0.4kg)
口唇:乾燥あり、舌に白苔の沈着をみとめる。
胸部:左右共に水泡音を軽度聴取するが、AIR入りは前胸部からはまずまず。
右背部はAIR入り悪い。心音整
腹部:膨満あり、圧痛はなし。
皮膚:発疹はない。右側胸部に新たな水疱形成あり、
水疱+びらん部は悪化なく、滲出液みられるが感染なし。
全体的に乾燥あり。
四肢:浮腫±、末梢循環良、冷感なし
【検査所見】
胸部レントゲン:CTR44%、右肺野に関しては透過性不良だが、
胸水量としては横ばい。
処置の際は激しく泣き機嫌悪いが、両親や祖父母が面会に来られてからは笑顔もあり。
体温36.5℃ HR100-110台 BP110/66
酸素4LカヌラにてSpO2:92-94%で経過。酸素外れると最低84%まで低下あり。
ラシックス30mgiv。反応良く12-15時で245mlほど流出あり。
日中本人より飲水希望頻回にあり。適宜ジュースやシャーベット摂取。
腹痛や嘔吐なし。
朝、後頭部の褥創より出血軽度みられていたが、
パット圧迫にてすぐに止血する。
下肢に掻痒感あるようで時折掻破している。ヒルドイド塗布にて対応。
『シャーベット食べるー!!』
定時ラシックスiv 反応良好。尿に血性のもの混じっている。
HR100台 1時過ぎ~朝まで眠っている。
時々体動でカヌラがずれ、SpO2:80台後半ふらつくことあり。