夜を走る、毒を抜く。

夜を走る、毒を抜く。

夜勤タクシードライバーの四毒抜き弁当と営業記録。元寿司職人の同僚の勧めで小麦・植物油・乳製品・甘いものを抜く四毒抜きを開始。6ヵ月で体重15kg減。胃薬、コレステロール、尿酸、睡眠薬もやめた。
何歳からでも体は変わるのか。夜を走るタクシードライバーの実験記録。

昨夜は、
ずっと選んでいた。

 

キタか、ミナミか。
流しか、付け待ちか。
都心か、郊外か。
乗せにいくか、待つか。
粘るか、切るか。

 

正しい選択って、ある?


後悔しない選択って、ある?

 

どれだけの結果を
経験しているか。

それが、選択の基準になる。

 

その上で、
好きか嫌いか。


結果だけが

欲しい夜もある。

 

長くやっても、
迷いは消えない。

 

選んだ瞬間、
もう片方は捨てている。

 

選択とは、
捨てる覚悟なのかもしれない。

 

時間だけが過ぎた。
数字は、ついてこなかった。

 

優柔不断は、売上に出る。

 

昨夜の結果

出庫:21:43
入庫:28:33
稼働:6時間50
回数:10回(配車:0回)
営収:12,730
走行:75Km
営走:20Km(実車率:26.7%)

 

 

四毒抜き生活

219日目の弁当

茄子の肉巻き。

 

せいろで蒸すか。
レンジパンで焦がすか。

 

今夜は――
両方、入れた。

同じ茄子の肉巻き、
4本勝負。

 

どっちが美味しかったと思います?

 

レンジパンの焦がし焼きに、
軍配。

夜のミナミ。


呼び止められたのは、
サラリーマン風の男、二人。

 

乗るかと思ったら、違った。

 

視線を向けると、
電信柱の横で、
うずくまっている男がいる。

 

吐いている。

「大丈夫やから」

この言葉、何度聞いたことか。

 

「すみません、
もう少ししてからにしてください」

 

「大丈夫やから。すぐそこやから」

 

本人は、何も言っていない。

 

――乗せてしまった。

 

「付き添わないんですか?」


そう言った瞬間には、もう遅い。

「大丈夫やから。北堀江1丁目やから」

 

早く出て、
早く降ろすか。

そう思って、アクセルを踏んだ。

 

着いた。
吐いてはいない。

 

だが――
無言。


払わない。

 

扉を開けて、出る。

 

ゆっくり、
苦しそうに、
車から離れていく。

 

追いかけた。

でも、気づいた。

払わないと、最初から決めている。

 

警察を呼ぶこともできた。

だが、
時間を失うのは、こっちだ。

 

逃げているのは、客じゃない。

責任だ。

 

この街で、
ツケを払うのは――

いつも運転手だ。

 

昨夜の営業結果

出庫:21:01
入庫:29:47
稼働:8時間46分
回数:10回(配車:2回)
営収:32,410円
走行:140km
営走:61km(実車率:43.6%)

 

少し長めの仕事になった。

 

あのとき警察を呼んでいたら、
この売上にはならなかったかもしれない。

 

数字には、

払われなかった900円も、

含まれている。

 

たかが900円。
されど900円。

四毒抜き生活218日目の弁当

責任を取った、シャケ弁。

スープジャーには、
麦味噌と酒粕の味噌汁。
具は、大根の菜葉と豆腐。

山芋の卵黄和えが、
すっかり定番になった。

 

弁当が続く理由は、
シンプルだ。

👉 うまいから。

 

コンビニには、
私の食べられるものがない。

だから、自分で作る。

 

 これもまた、責任の取り方だ。

 

逃げたお客さんへ。

そのツケ、
どこかで払うことになる。

客を降ろすため、
幅寄せして止めた、
その瞬間だった。

 

ガツン――

 

音がした。

支払いボタンを押した、
その直後。

 

客が騒ぎ出した。

派手な衣装。
ホステスか、
店の男と話し始める。

 

「今ね、タクシーとタクシーがぶつかったの。
アタシが降りようとした時。
すごいと思わない?」

 

―いや、思わない。

 

「お客さん、降りていただけますか?」

聞こえていない。

 

次々に人が覗き込む。

事故より、
“今起きていること”の方が
面白いらしい。

 

「お釣りはいらないから」

千円札が置かれた。

そんな気遣いは、
できるんだ。

 

騒ぐ時は主役で、

払う時は他人になる。

 

傷は浅い。
だが、ズレは深い。

 

警察を呼んだ。

相手は若い運転手。
「車幅の読み、間違えました」と、頭を下げた。

 

深夜0時30分。
ミナミのど真ん中。

街はまだ動いている。

だが、
この2台だけが、
流れから外れた。

 

当てられた車より、
もっと哀れなのは、
忘れられた車だ。

 

本日は、これにて営業終了。

さあこれから、という時の、
終了リングだった。

 

昨夜の四毒抜き弁当

毒抜きカレーライス。

ひと晩置いたカレーは、

前夜と味が違う。

そのズレが
妙に、現実に似ていた。

 

全てが終わった後、

残ったのは、数字だけだった。

〈営業終了報告〉

出庫:19:34

入庫:25:59

稼働:6時間25分

回数:5回(配車:0回)

営収:16,330円

走行:91Km

営走:30Km(実車率:33.0%)

 

 

夜の街を走っていると、

無性にカレーが食べたくなる夜がある。

 

昨夜は

カレーを作るために、

タクシーを休んだ。

 

ルーを使えば、
簡単に作れる。

 

だが――
そのルーの中身を、
私は気にするようになった。

 

私は今、
四毒を抜いている。

小麦、植物油、乳製品、甘いもの。

その中でも、
一番やっかいなのが小麦だ。

 

抜いてみて、分かったこと。

足のむくみが消えた。

 

歳のせいだと、
ずっと思っていた。

 

仕事を終えて帰ると、
足首のくびれが消えている。

 

それが当たり前になっていた。

だが――
戻った。

 

小麦を抜いただけで。

 

やめてみて初めて、
それが“効いていた”ことに気づく。

 

実は、小麦に含まれるグルテンは、
免疫の働きを乱すとも言われている。

 

自分の体を守るはずの仕組みが、
逆に自分を攻撃してしまう。

 

難しい話になるので、
ここではやめておくが――

 

少なくとも、
私の体は正直だった。

 

 

その小麦が、
市販のルーには必ず入っている。

 

だから――
自分で作ることにした。

 

玉ねぎを薄切りにして、
水分を飛ばすように、じっくり炒める。

 

水を加えて、また飛ばす。
それを繰り返すこと30分。

 

あめ色になったところで、
水を流し込み、具材を入れる。

肉は豚バラの塊。
ぶつ切りにして、ゴロゴロと。

 

最後のとろみは、
小麦粉ではなく、米粉。

 

こうして出来上がったカレーは――

ちゃんと、カレーだった。

 

いや、
それ以上だった。

抜いてみたら、残ったのは旨さだった。

 

余計なものを抜いた分、
味がまっすぐだった。

 

毒を抜いても、
旨さは残る。

 

今夜の弁当も、
これでいく。

夜勤のタクシー運転手は、
夕方に目が醒める。

 

外に出て初めて、
雨だと知ることがある。

 

昨夜は、そんな夜だった。

 

そして、大相撲千秋楽。
安青錦が勝ち越しを

かけた夜でもあった。

 

「悔しい!」か、
「胸を張れる!」か。

 

このどちらかに、
分かれる夜だった。

 

大阪場所は、
安青錦にとって綱取りの場所。

初場所を優勝で飾り、
大関昇進。

 

一気に横綱へ――


そんな期待を背負っていた。

その強さは、
誰もが認めていた。

 

だが、黒星が重なり、
期待は揺らいだ。

 

それでも、
前日に霧島を破り、
もう一度、流れを引き寄せた。

 

千秋楽。
すべてを取り戻す、最後の一番。

その土俵には、
確かな重みがあった。

どの世界も、
「勝ち」が必要とされる。

負け続ければ、
期待は消えていく。

必要とされなくなる。

 

昨夜のタクシーは、
まさにそんな夜だった。

 

昨夜の営業結果

出庫:19:01
入庫:26:41
稼働:7時間40分
回数:14回(配車:4回)
営収:44,710円
走行:169Km
営走:86Km(実車率:50.9%)
最高15,210円
時間売6,415円

 

出庫と同時に、
いつもは鳴らないGOアプリが鳴る。

 

吹田の佐井寺へ。

 

吹田駅のタクシー乗り場をのぞくと、
客の列に、タクシーはゼロ。

 

江坂に向かうと、
ハンズ前でも同じ光景だった。

 

客が並び、
タクシーを待っている。

 

「こんな日があるのか」

そう思った。

 

日曜日。
三連休の最終日。

そこに、雨。

 

それだけで、
街は一変する。

 

実車率50%超え。
時間売上6千円越え。

 

普段鳴らないGOアプリが、
4回も鳴った。

 

客が、
私を必要としている。

そう実感できた夜だった。

 

前日の悔しさが、
糧になったのかもしれない。

 

悔しさは、
勝つためだけにあるんじゃない。

 

必要とされる場所に、
もう一度、立つためにある。

 

昨夜は、
それを思い出させてくれた夜だった。

 

昨夜の四毒抜き弁当


定番、5色巻き手巻きおにぎり

だし巻き
山芋の卵黄あえ
豚バラ炒め
糠漬け
鯖の塩焼き

 

負けても、勝っても、

四毒抜きでも、

軍配は、
美味いが

勝ちなのだ。

 

昨夜はタクシーを休んだ。

そして、こんなことを考えた。

 

なぜ、
四毒抜きは、
ここまで効果があるのに、
広がらないのか。

四毒抜きを始めて、
まだ7か月。

体重は20キロ落ち、
薬も飲まなくなった。

 

コンビニで買うものも、
ほとんどなくなった。

 

むしろ、
体も軽く、
気持ちも整っている。

 

これだけ変わるのに、
なぜ広がらないのか。

四毒抜きすることで、

みんな健康になる。

 

肥満・高血圧・糖尿病・喘息・がんなど、

さまざまな現代病に、効く。

 

証明する人たちが、

山ほどいる。

実証されているのだ。

 

私もそのひとりだ。

よしりんの

YouTubeを覗くと、

喜びのコメントが溢れている。

 

にもかかわらず、

SNS以外のメディアは

そのことを取り上げない。

 

この考え方は、
今の社会にとって
都合が悪いのかもしれない。

 

この社会は、
「消費」で成り立っている。

 

食べる。
買う。
また欲しくなる。

その繰り返しで、
経済は回っている。

 

四毒抜きは、

その流れを止める。

 

余計なものを買わなくなる。

過剰に食べなくなる。

医療に頼らなくなる。

 

つまり、
「消費しない人」が増える。

 

今の社会を支えている

多くの企業や組織、団体に都合が悪い。

 

これは、
個人にとっては良いことでも、

社会全体にとっては、
歓迎されないのかもしれない。

 

もし、みんなが
四毒を抜いて健康になれば、

今ある多くの
“当たり前”が
変わってしまう。

 

だから、
大きく取り上げられることは、
ないのかもしれない。

 

これはあくまで仮説だ。

 

でも、少なくとも、
自分の体には
はっきりと変化が出ている。

 

それだけは、
間違いない。

 

四毒抜きは、
思っている以上に
大きな力を持っている。

 

もしかすると、
健康になること自体が、
この社会では
都合が悪いのかもしれない。

 

都合が悪いことは、

隠す。

 

そんな社会は、
どこかに恥部を抱えている

のかもしれない。

 

👉あなたは、どう思いますか。

昨夜はダメだった。
いや違う。
運に転がされた夜だった。

 

運を転がし、と書いて、
運転士。

 

ハンドルは握っても、
結果は握れない。

 

粘っても、
結果が出ない夜がある。

逆に、捨てたのに、
当たりが出る夜もある。

 

全部、後からわかる。

 

この仕事、
運と隣り合わせだ。
 

人間万事、塞翁が馬。

 

いい夜のあとに、
悪い夜が来る。

でも、
それもまた、流れの中だ。

 

一昨夜、最高の数字。
そして昨夜、この結果。

昨夜の営業結果

出庫:20:55

入庫:28:38

稼働:7時間43

回数:4回(配車:2回)

営収:9,910

走行:77Km

営走:17Km(実車率:22.1%

 

今月の集計、

一昨夜の結果で、

歩合55%は

クリアできたが、

昨夜の結果で、

58%には届かなかった、

ということだ。

 

結果として、

7年間続けできたタクシー歴の中で、

コロナ期を除いて、

最低となった。

 

ハンドルは握っている。
でも、運までは握れない。

👉 あなたは、どう思いますか。

昨夜の四毒抜き弁当

四毒抜き生活213日目。

一昨夜の流れを引きずって、
同じ山芋のネバネバ弁当にした。

出勤前、

気持ちだけ

ヒートアップしていたせいで、

シャケも豚ロース肉も

焦がしてしまった。

 

でもね、美味しいんですよ。

ひとりで、弁当作って、

ひとりで、食べる。

淋しい老人だと思うでしょ。

 

この老人、

心だけ若くて、

毎日を楽しんでます。

 

 

P.S.

昨日コープで買った5kg米です。
帰ってから思ったのですが、
「兵庫米」って、すごくない?

「兵士の庫から持ってきた米」ですよ。

兵庫県って、

兵士の庫なんだ。

だから兵庫県民の知事選は、

戦闘モードだったんだ。

うちの会社は、
完全歩合制だ。

 

売り上げに応じて
歩合率が変わる仕組みがある。

 

20日が締め日。


昨夜は、その前日。
ギリギリの勝負だった。

四毒抜き生活212日目。
今夜の担当は、
乳製品担当の女医・ナオコ。初登場。

乳の匂いを、許さない女医だ。

 

さて、本題へ。

 

『カサブランカ』という映画、知ってる?

この映画の魅力は、

すべてが粘度の高い

「粘り気」でできていることである。

 

ハンフリー・ボガードの顔からして、

そうである。

決して整った顔ではない。
だが、妙に引き込まれる。

 

感情を抑えているのに、
感情がにじみ出ている。

 

その粘りが、
画面にまとわりつく。

 

イングリッド・バーグマンも同じだ。


視線が離れない。
まるで貼り付けられるような存在感。

「君の瞳に乾杯」

あの一言さえ、
どこか粘っこく、
記憶に残り続ける。

 

なぜ、イルザは、リックを裏切ったのか?

 

その誤解が解けたあと、リックはどうするのか?

 

そのあと二人はどうなるのか?

 

映画の幕が降りても、

「粘り気」は消えない。

 

若い頃、
デートで真似したことがある。

 

バーで、
「君の瞳に乾杯」

 

返ってきた言葉は、


「似合わない!」

 

この記憶も、
いまだに消えないまま、
粘って張り付いている。

 

昨夜、ミナミの三ツ寺通り。

騒ぎながら、女性2人が乗ってきた。
そこへ、ホストらしい男が
まとわりつくように割り込んできた。

「なんで乗ってくるの?」

「離れられなくて」

「降りて。門限過ぎてるから」

それでも離れない。

粘っこく、
キスをしながら、
時間をかけて降りていった。

 

少し走ったところで、
女性が聞いてきた。

 

「心臓、弱くないですか?」

 

「至って丈夫ですよ」と答えた瞬間、

豹変した。

 

「二度と行かねえ!臭えんだよ!最低の店、最低の男!」

車内に響く、甲高い声。


下品な言葉が、次々と吐き出される。

 

さっきまでの女性とは、別人だった。

 

そして平野で降りると、
何事もなかったように
可愛い笑顔で手を振りながら去っていった。

 

あのホストも粘っていたが、
本当に粘っこかったのは、
あの女性のほうかもしれない。

 

昨夜の営業は、
粘った。

 

結果は、

税抜43,560円。
平均21,000円を大きく上回った。

回数も17回。
今月の最高だ。

 

出庫:21:06
入庫:29:37
稼働:8時間31分
回数:17回
営収:43,560円
走行:180Km
営走:80Km(実車率44.4%)

最高:13,320円
時間売:5,627円

 

なぜ、ここまで粘れたのか。

締めの前日だったからだ。

 

一昨日までの累計は
464,310円。

55%ラインか、
50%に落ちるか。


その分岐点にいた。

昨夜の粘りで、
55%は確保した。

 

だが、58%にはまだ届かない。

 

この世界は、
どれだけ粘っても、
最後は数字で切り捨てられる。

 

人の感情も、
夜の出来事も、
すべて帳簿の前では無力だ。

 

それでも、
粘るしかない。

切り捨てられないために。

 

昨夜の四毒抜き弁当
ネバネバの山芋弁当

卵黄を混ぜた、
定番の一品。

これもまた、
しっかり粘ってくれた。

目覚めたら、雨。
久々の雨。

 

雨はタクシーにとって、
恵みのサインだ。

 

この雨で、街は
どう変わるのか?

四毒抜き生活211日目。
今夜の担当は、
五人の毒抜き女医の中でも
甘い毒担当、ナオコ。

甘い毒性を冷静に見抜く女医だ。

 

さて、本題へ。

 

「突然炎のごとく」
トリュフォーの映画だ。

 

ジャンヌ・モロー。

あの危うさが、たまらない。

 

この映画は、すべてが“突然”でできている。

 

なんの前触れもなく、
感情も関係も、一気に動く。

 

セーヌ川に飛び込むあの場面。
あれがすべてを物語っている。

原題は「ジュールとジム」。
だが、日本では「突然炎のごとく」。

いいタイトルだと思う。


この名前でなければ、
ここまで記憶に残らなかったかもしれない。

 

で、この夜も、突然だった。

 

前日まで、あれほど淀んでいたタクシーが、
嘘のように流れている。

 

大阪中のタクシーが、
この雨で潤ったのかもしれない。

 

スタート直後、ミナミ。
茨木駅まで、一気に一万越え。

タクシー用語で「マンコロ」。

 

なかなか出ない長距離。
私にとっては、まさに“オバケ”だ。

 

最後は北新地から、
伊丹空港近くまで。

これで、終了。

 

出庫:20:59
入庫:28:27
稼働:7時間28分
回数:12回
営収:38,550円

水曜日にしては、悪くない。

 

最後のお客から、

「家に持って入れないから」と
新地のお土産「ポン酢」をもらった。

鍋部門で最優秀賞を取ったらしい。
「匠 手塚山ポン酢」。

 

帰宅して、鍋にした。

さっそく、そのポン酢を使う。

うまい。

久しぶりの甘みが、
身体にしみる。

 

だが、

あとで成分を見ると、
黒糖蜜入り。

 

四毒抜き違反だ。

 

突然、雨のごとく。
毒もまた、流れていった。

 
昨夜の四毒抜き弁当
チャーハンと麦味噌の味噌汁
チャーハンの甘味は、
豚バラと麦味噌で。
毒なしでも、美味しかった!

忘れられない客がいる。

いや、
忘れられないのではなく、
忘れさせてくれない客だ。

四毒抜き生活210日目。

 

今夜の担当は

五人の毒抜き女医の中、

唯一の短髪系美人

アツコ

 

小麦系の粉っぽい毒を

抜くのが得意の女医だ。

 

さて、本題へ。

 

この本ご存知ですか。

最近読んでいる本に、
「リストを作ることで自分に出会う」
というものがある。

 

知らなかった自分の人格や

思いが浮き上がってくる不思議な本だ。

 

この本に触発されて、
今夜は

忘れられない客のリスト。

とくに最近の記憶から、
ベスト3を選んだ。

どれも、かなり強烈だ。

 

忘れられない客

NO.3

真美子さんが、いちばん感じたエッチ

 

ミナミで乗せたサラリーマン三人組。

酔った勢いで、
ひとりの若い後輩が話し出した。

「真美子さんが、教えてえくれたんすよ。

いちばん感じたのは、

高速道路の路肩に車を止めて

ボンネットに手をついて、

立ちバックしたときだって。」

応えて先輩が、

「あんまり寒い話すんなよ」

後輩がこちらに向けて

「寒くないですよね、暑い話ですよねぇ、運転手さん!」

 

寒い日だったが、

聞いているだけで

汗がにじむような話だ。

 

だが本当に引っかかったのは、その後だ。

その相手が、
先輩の奥さんだった。

先輩が

「あの時は渋滞が長くて、退屈だったんよ。

非常駐車帯にちゃんと止めて、

見えないように、やった」と、

こんどは先輩が告白した。

 

その破天荒でリアルな光景より、

そんな話を後輩に聞かせる

真美子さんという先輩の奥さん、おかしくない?

 

許せる?

 

旦那の後輩にそんな話します?

 

後輩って、真美子さんとどういう関係なんだろう?

 

真美子さんに、ぜひ会ってみたいと思った。

 

不思議をいっぱい残して、

豊中の駅前で、よろけながら降りて行った。

 

真美子という漢字は、

聞き手の「感じ」で書いたが、

マミコという名前であるのは事実だ。

 

忘れられない客

NO.2

息子に頼ってはいけないと説く母

中央救急診療所から乗ってきた、
小柄な70歳の女性。

 

「運転手さん、子供いる?」

 

夫に先立たれ、
女手ひとつで息子を育てたという。

 

「いろんな誘いもあったのよ。

でも、この子のためにって、

男の人に頼らずに生きてきたの」

 

だがその息子は、
48歳になった今も家にいて、
母が救急車で運ばれても、
付き添いに来なかった。

 

「頼っちゃダメよ、子供に」

 

その一言に、
この人の人生が
全部詰まっていた。

 

テレホン人生相談を生で

聞かされているようだった。

 

加藤諦三なら、

どう答えただろう?

 

家の前に着くと、
門のところに、

その息子が立っていた。

 

私は思わず、
値踏みするような目で見てしまった。

 

 

忘れられない客

NO.1

へ、こきます!

 

本町橋で乗ってきた、
リュック姿の小太りの男。

しばらくして、突然――

「へ、こきます」と言った。

 

聞き間違いかと思い、
聞き返したが、

返事はない。

 

「ダメですよ」と

キッパリと言ってやった。

でも、返事はない。

 

「するなら黙ってしてください」と言うと、

 

「ぷっ」

 

と、声が聞こえたような気がした。

が、相変わらず返事がない。

 

そのまま、2000円を現金で払って、

日本橋の電気街に消えていった。

 

「ぷっ」が返事だったのか、

屁だったのか、今では、

謎である。

 

あの夜の答えは、
今でも「ぷっ」だ。

 

夜のタクシーには、
予測できない客が乗ってくる。

 

もう一度会いたい客もいれば、
二度と会いたくない客もいる。

 

だがここは、
一見さんお断りの店ではない。

 

一見さんのみ。

一期一会。

 

だからこそここには、

秘密の話や、他では言えない話がある。

 

非武装中立、治外法権、秘密厳守。

それが、タクシーという密室だ。

 

昨夜の営業結果

出庫:20:58
入庫:28:10
営収:11,000円
(今月の集計は。最低になるかもしれない)

 

今朝、
日報を書きながら、何度も寝落ちした。

営業中も、
2時間半眠ってしまった。

完全な寝不足だ。

 

それでも

ブログを再開してから、

毎日が、妙に面白い。

 

売上は落ちた。

でも、
ワクワクする夜は増えた。

 

どっちがいいか?
 

毒を抜かない夜に

戻りたくはない。

 

昨夜の四毒抜き弁当

JUNK LUNCH

山芋の千切りに梅肉。
卵黄だけじゃない。

わさびも、いい。