とある投資家の備忘録(ブログ)

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宇宙とか、株式投資とか、本とか、犬猫とか

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2021年の日経平均は28,791.71円と年末としてはバブル崩壊後の最高値を更新して終えました。4年前のブログ2014~2017年の総括に書いたように、当時は2017年末の22,764.94円が同じようにバブル後の最高値だったので、この4年間で率にして26.47%上昇したことになります。一方でジャスダック平均はほぼ横ばいでマザーズ指数に至ってはマイナスという状況です。

 

こういった環境下で自身のポートフォリオに目を向けてみると純資産ベースで47.8%の上昇と、ベンチマークとしている日経平均、日経ジャスダック平均に対して大きくアウトパフォームしており、4年前の日経ジャスダックに対してアンダーパフォームであった状況より大きく改善していると言えます。ただし上昇率の絶対値でいうと前回の4年間の60%に対して、この4年間では47.8%ですので、10%以上ダウンしていることになります。

 

個別のポートフォリオの方に目を向けてみると、4年前の13銘柄のポートフォリオ2017末時点のポートフォリオと保有期間のうち9銘柄を引き続き保有するとともに、新たに9銘柄を加えた18銘柄のポートフォリオとなっています(ポートフォリオに占める割合が大きい順に記載)。そしてこの中の上位5銘柄だけでポートフォリオに占める割合が50%を上回るように状態になっており、自分の運用パフォーマンスを決定付けていると言えます。

 

ビットコイン・・・2年3ヶ月

ウェザーニューズ・・・3年

楽天グループ・・・3年6ヶ月

GMOインターネット・・・11年

テスラ・・・1年9ヶ月

SBIホールディングス・・・1年9ヶ月

プロシップ・・・6年2ヶ月

GMOフィナンシャルホールディングス・・・1年10ヶ月

デジタルガレージ・・・15年6ヶ月

Zホールディングス・・・8ヶ月

ソフトウェアサービス・・・7年11ヶ月

ポールトゥウィン・ピットクルーホールディングス・・・7年2ヶ月

サイバーエージェント・・・11年

アイモバイル・・・4年7ヶ月

ソフトバンクグループ・・・9年3ヶ月

ズーム・・・1ヶ月

ファンコミュニケーションズ・・・10年9ヶ月

データ・プリケーション・・・2年8ヶ月

 

ビットコインとテスラに関しては、自分がおよそ20年の間続けてきた投資方法からすると明らかに異質な投資先ですが、コロナ禍における相場の急落と上昇期においてもっとも大きなパフォーマンスをもたらした投資対象となりました。

 

自分の投資方法とはこのブログでも度々触れているように、ベンジャミン・グレアムの「賢明なる投資家」を盾とし、フィリップ・フィッシャーの「株式投資で普通でない利益を得る」を矛とする、ウォーレン・バフェット流のフォーカス投資ですが、ビットコインとテスラに関してはグレアム最強の盾たる「安全域」の考え方が通用しないため、コロナ時の急落のような明らかに異常な下落時かつ最悪失ってもいい程度の割合でのみ投資を行いました。

 

今のところこの投資の決断は十分に報われている訳ですが、もしあの時より大きな額を投資していれば、更に大きな利益を得ることが出来たという見方もできます。しかし定量的・定性的な合理性が得られない状態で大きな投資を行うことは、既に投資ではなく投機の世界となるため、これは自分のテリトリーではありません。

やはり自分にとっての投資の要諦は次の2つに集約されます。

「大きな失敗を避け続ける限り、投資家が行うべきはほんの少しの正しいこと」

「大きなチャンスに出会ったら、大きくかけることだけが唯一の答え」

先日立ち寄った梅田のジュンク堂書店で、入り口前の目立つところ一面に『三体』が平積みされていました。現在アマゾン<三体 Kindle版>でもランキング上位に位置しているこの中国発SF小説ですが、実際に読み終えてみて、この本が中国、アメリカ、そして日本でもベストセラーになっていることに、納得すると同時に驚いている、というのが正直な気持ちです。

 

オバマ元大統領を初め、様々な人たちが絶賛しているように、SFとしてのスケールの大きさと息もつかせぬ展開は、いろいろな意味で想像を上回る面白さではあるのですが、一方で物語の重要なカギとなる要素に「宇宙マイクロ波背景放射」や量子力学の「量子もつれ」、超ひも理論の「11次元」など、一般的には必ずしも馴染みがあるとは言えない宇宙物理学の概念が頻繁に登場することから、はたして多くの人々はこの小説をどのように捉えて楽しんでいるのか、ということがはたと気になりました。

 

もちろんSFですからすべてが科学的裏付けにもとづくものではなく、よほどの科学的知識がなければフィクションとノンフィクションの境界を明確に意識できない部分も多いでしょうが、少なくとも自分自身にとっては、日頃から興味を抱いている理論や歴史的な人物がこれでもかと登場するこの小説は、著者の興味の対象が自分と近いところにあるんだなという親近感を覚えずにはいられないものでした。

 

一方でそういったことにあまり興味のない人がこの小説を読んだとしたらどうでしょう。小説の中に出てくる様々な科学的な理論も、スター・ウォーズの「フォース」やハリー・ポッターの「魔法」などと同じように、SFの世界観を盛り上げるための(科学的裏付けなど関係のない)舞台装置の一つに過ぎないという感覚で楽しんでいるのでしょうか。

 

この小説は3部作の1作目であとがきによると、2作目は本作の1.5倍、3作目は2倍!の分量あるようですが、科学的にはすでに本作において現在の人類の最先端まで到達しているので、2部・3部でどのような科学が登場し、どのように使われるのか興味津々であると同時に、もし完全にフィクションのみの世界に突入してしまうのであれば、残念に感じてしまうだろうなという不安もあります。

 

ともあれ宇宙物理学の面白さを凝縮した傑作であることは間違いないので、願わくばこの小説を読んだ世界中の若者たちから、基礎科学の分野に取り組み、人類の進歩と宇宙の真理の発見に貢献する、そんな素晴らしい科学者が一人でも多くうまれてくれることを期待しつつ、この壮大なSF小説の余韻に浸りたいと思います。

 

 

三体 三体
 
Amazon

 

2014年初めに当時のポートフォリオと保有期間をこのブログにアップしましたが、4年経って現在の状況をアップデートしておこうと思います。当時と変わらず株式投資のポートフォリオにおける銘柄数に関しては、5~15銘柄にすべきというスタンスを守り続けており、現在は13銘柄とここ数年は10~15の間で推移しています。

まず4年前から継続して保有し続けているのが次の6つの企業です(ポートフォリオに占める割合が大きい順)。ソフトバンクに関しては5年3ヶ月となっていますが、2000年8月に株式のアクティブ投資を始めたときに、最初に買ったのがソフトバンクで、その時も5年半以上保有していたのを合わせると述べ11年近い保有期間ということになります。


GMOインターネット・・・7年
ファンコミュニケーションズ・・・6年9ヶ月

デジタルガレージ・・・11年6ヶ月

サイバー・エージェント・・・7年
ソフトバンク・・・5年3ヶ月
ウェルネット・・・4年4ヶ月

次に2014年以降にポートフォリオに加わった企業です。マーベラスについては以前にも保有していた時期があり、その時は2年弱の保有期間でしたので合計では4年程となります。

 

ミクシィ・・・2年4ヶ月

メタップス・・・1年11ヶ月

ソフトウェア・サービス・・・3年11ヶ月

マーベラス・・・2年1ヶ月

ポールトゥウィンHD・・・3年2ヶ月
プロシップ・・・2年2ヶ月

アイモバイル・・・7ヶ月

最後はこの4年間に手放してしまった企業と売却した時点での保有期間です(利益が大きかった順)。この5銘柄の最終的な損益はザッパラスがマイナスになった以外は全てプラスで終えています。但し、グリー、ディー・エヌ・エー、ジョルダンの3社については売却の決断が遅く、最後に利益を減らしてしまう形での売却となってしまいました。

プロトコーポレーション9年7ヶ月
グリー・・・5年8ヶ月
ジョルダン・・・11年9ヶ月
ディー・エヌ・エー・・・6年9ヶ月

ザッパラス・・・約3年5ヶ月

 

オラクルなどのデータベースにはデータを取り出す際、決められたルールに従って実行するルールベースと、その時の状態を元に都度判断するコストベースという方法があります。投資に当てはめるとインデックス(パッシブ)投資がルールベース、アクティブ投資がコストベースに該当すると思いますが、データベースの世界で近年、コストベースが主流になったのは、情報を収集して判断するオプティマイザが十分に賢くなったなったからで、かつてはルールベースが主流でした。

 

投資の世界はどうでしょう?ロバート・G・ハグストロームの著書よれば、バフェットは「定期的にインデックス・ファンドに投資することで、何も知らない投資家が多くのプロの投資家よりよい成績をあげることができる」として、ルールベースを推奨していることを述べています。

 

一方同じ著書で「もしあなたが、ある程度は知っている投資家であり、企業の経営状態を理解でき、長期的な競争力を持っていてなおかつ魅力的な株価の企業を五社や10社見つけることができるのであれば、従来からの分散投資はまったく無意味である」とのバフェットの発言にも言及しています。

 

この言葉こそ私が16年前に出会い、以来株式投資における拠り所としている原理原則です。著者はこの投資の考え方をインデックス投資ともアクティブ投資とも異なる「フォーカス投資」と呼んでおり、その意味では私は紛れもなく「フォーカス投資家」であるという事ができます。

 

もちろんこの原理原則を体現するには、継続的かつ長期的にインデックスに勝ち続ける必要がある訳ですが、2014~2017年の総括でも書いたように、今のところフォーカス投資家としての面目躍如たる結果は残し続けることができています。

昨日の大納会は日経平均が2万2764円と年末の終値として26年ぶりの高値を更新しました。日経平均が年間で上昇して終わるのは6年連続で、これはかのバブルが絶頂を迎える1978~89年の12年連続以来との事です。株価の上昇に関しては雇用回復や仮想通貨の活況など、様々な理由が言われていますが、長期的な株価の決定要因である企業業績の回復・上昇という結果が伴っていることが、私自身としては最も納得感と安心感を持っているところです。

 

この1年で日経平均は19.1%上昇、日経ジャスダック平均は44.2%上昇しており、前回このブログに書いた2013年末からでは日経平均が39.7%、日経ジャスダックがなんと92.4%の上昇率になっています。私のポートフォリオでいうと昨年末から現在まで持ち続けている銘柄の株価の単純平均では32%、そして純資産ベースでは21.9%の上昇となり、同じく2013年末からではそれぞれ単純平均が24%、純資産ベースが60%の上昇となりました。

 

結果として昨年からの上昇率、2013年末からの上昇率とも、日経平均には少しだけ勝って、日経ジャスダック平均には大きく負けたことになりますが、ベンチマークとしているこの2つの平均株価のどちらかに対してアンダーパーフォームだったのは、2014年に両平均株価がプラスだったのに対して、自身のポートフォリオがマイナスに終わって以来の少し残念な結果です。

ただ前回も行った思考実験としての、もし仮に一切売り買いをせず、昨年末時点あるいは2013年末時点のポートフォリオを完全に維持し続けていたとしたらでいうと、どちらの場合も今ポートフォリオの上昇率の方が大きく、仮に2013年末のポートフォリオのままであった場合は、日経平均にさえ大きくアンダーパフォームしていたことを考えると、少なくとも投資家として最低限の仕事はできたかと思っています。

昨年来保有し続けている個別銘柄でいうと、12銘柄のうち、この1年で株価が上昇した銘柄が10、下落した銘柄が2という状況で、これも前回の2013年末との比較でいうと、全体的に上昇傾向だが上昇率はそれほど大きくない、いわゆるボラティリティlが低い状態ということができます。

 

一方で「2017年、上がった株 下がった株」を見ると、市場全体では大きく上昇・下落した銘柄もかなりあるため、ボラティリティが低くなっているのは市場全体の傾向というより、私自身のポートフォリオが保守的になっていることが主な原因ではないかと分析しています。ちなみに市場全体では最も高い上昇率が1,025.2%、同下落率が▲68.8%でしたが、自身のポートフォリオではそれぞれ112%と▲25.8%でした。

 

株式の購入に際しては「安全域を確保する」というグレアムの教えを可能な限り守るスタンスですが、今の状況では私の観測範囲で十分な安全域がある銘柄は存在せず、今年は上半期に多少売買した程度で下半期は全くポートフォリオの動きがありませんでした。

 

この状況でいくと来年は全く身動きが取れない状態が続く中で、ベンチマークの平均株価に負け続けるという悪循環に陥る可能性もありますが、だからと言って焦って中途半端な企業に手を出したくはないので、この先5年、10年で大きく成長しそうな企業を見つけ出す作業に地道に取り組みたいと考えています。

宇宙はなぜこのような宇宙なのか――人間原理と宇宙論 (講談社現代新書)/講談社」・・・人間原理に関連する本は何冊か読みましたが、タイトルに人間原理と明記されているものは私が読んだ中ではこれが初めてだと思います。

タイトルに記載されているだけあってこの本はまさに人間原理について書かれたものです。とはいっても前半は人間原理が登場するに至った宇宙論の変遷を綴った内容で、非常に丁寧かつ詳細ではありますが、どこかで一度は目にした内容がほとんどです。

後半になると焦点である人間原理について、これでもかという位さまざまな論点から語られています。人間原理そのものを理解するという意味では今まで読んだ中で最も解りやすいものだと思いますが、一方で人間原理を崇拝(?)する者の一人としては、余りにも科学的に説明され過ぎていて、浪漫の部分がない寂しさも感じます。

著者は、インテリジェント・デザインやファイン・チューニングなどの目的論(宇宙は観測者たる人間を生み出すために作られた)を持ち出すことを一切否定し、その上で今の我々にとって常識的な宇宙の姿である、1つの宇宙(ユニバース)ではなく、多宇宙(マルチバース)の存在を前提とすることで、純粋な科学者には拒否反応が強いであろう「強い人間原理」でさえ、科学的な立場のみで肯定しています。

いち宇宙論ファンの身としては、相対性理論、量子論、素粒子論、超ひも理論と、素人には難解すぎる理論に宇宙論の争点が移っていく中で、この人間原理だけは複雑な数学を抜きに考えることができるいわば「ラストリゾート」と言える存在であり、結論を急がず大事に温めていきたいと思っています。

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