第三章「学校に関わりを」
子どもを育てたことのない教師は信用できないかーその(1)
「あの先生、自分で子育てしたことないから分からないんじゃないですか。」校長への抗議として聞いた言葉である。あたかも自分は子どもの気持ちを理解していて、先生は生徒を理解していないかのような発言だが、得てしてこんな親ほど、自分の子どものことを分かっていない。
バスケット部が関東大会に出場することになった。部員の父親たちも協力的で、仕事の都合をつけては試合の応援に駆け付け、時には顧問の先生に差し入れをしたり、先生への感謝や激励のために、いっしょに居酒屋に行ったりもする。が、親たちだけになると「あの先生、ずっと独身で子どもを育てたことがないからなぁ。」などと嘆く。
それでは、幼稚園や保育園はどうなるのか。特に幼稚園教諭は、平均的に在職6年と言われ、20代の独身女性がたくさんいる。この先生たちに対して「自分で子育てをしたことがないから、園児のことが分からない。」と言えるのか。「子育てをしたことがない」という言い分は、いわれのない「いいがかり」に過ぎない。
60歳で小学校教諭満期定年、子どもの心を理解して、優れた教育をしてきた女性独身教師がいる。管理職からも教師仲間からも、評価は高いのだ。40代男性・中学校数学教師・バレー部顧問。厳しさと優しさをあわせ持ち、生徒の心を引きつけるのが、極めて上手だった。「人気」という言葉が好きではないし、正確性を欠くと思われるので、あえてその言葉を避けておくが、校長としての私から見ても、生徒からの「信頼」を厚く受けていたのは間違いない。その教師も独身である。

