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第三章「学校に関わりを」

子どもを育てたことのない教師は信用できないかーその(2)

 

 校長時代私は、日曜日に行われる部活動の試合の応援によく行った。強い弱いに関係なく、まんべんなくどの部活も公平にと心がけた。生徒のがんばる姿や、校内では見ることのできない生徒の「別の顔」を見ることができるからでもある。




元校長先生のブログ-子どもを育てたことのない教師ーその(2)




 独身英語教師が率いる、サーカー部の試合に行ったときのことだ。試合中にも関わらず、部員の母親が私のところにやって来て、「校長先生、ウチの子はどうして試合に出してもらえないんでしょう。」と言う。穏やかな物言いだが、目は真剣だった。私は少なからずムッとしながらうろたえて「それはそれなりの理由があるんでしょう。顧問の先生に聞いてみないと何とも言えませんねぇ。」と答える。さすがに「技量がないから」とか「練習をサボっているから」などの言葉は呑み込んだ。


 そんなことをなぜ校長に訴えてくるのか、という疑問と共に、顧問の先生を信頼していないのかな、という推察もした。私の心中を見透かすように母親は「でも練習にはちゃんと出ているし、他の子と比べて下手だとは思わないんですけどねぇ。」と付け加える。部活動の「選手決め」については、こんな反応の親もいるのだ。


 後で顧問教師に確かめてみると、技術が低いばかりでなく練習をよく休む子で、そのことを親は知らないのだそうだ。練習を休んでその子が何をして過ごしているのかも、母親は把握していない。世に言われる単なる「親バカ」ではあるのだが、その上に「あの先生、あんな歳までどうして独り身なんでしょうね。子どもの気持ちなんて分からないのよね。」と他の親にもらしたことがあるらしい。


子どもを育てたことのある教師の中に、「問題教師」だっているわけだから、独身かどうかなどという、そんな色眼鏡で教師を評価しないでほしいものである。


 

 小学校には女性教師が多い。東京都では7割以上にもなっている。そうすると(中学校や高校にも多いが)、特に小学校では共働きの女性教師も多くなる。子育て真っ最中の教師もいて、保育園の送り迎えなどもある。すると、「自分の子どもばっかり面倒見て、私たちの子はどうしてくれるのよね。」などと愚痴を言う母親が出てくる。「妊娠中の人を担任になんかしないでほしい。」と校長が申し入れされたこともあるそうだ。同じ女性として、先生を励ます気持ちなどないのだろうか。


 親は自分の子どもしか見ていない。それは現実であり仕方のないことかもしれない。親が身勝手な論理に陥りやすいのも、確かなことである。別掲で述べるPTA活動や地域活動に参画することによって、少しは変わるのではないかと思う。




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