種・家庭菜園・園芸・野菜 市川種苗店

佐世保では唐辛子のことを何故か?「こしょう」といいます。当たりまえの顔してその「胡椒」苗ください!と「唐辛子」の苗を指しておっしゃいます。ほとんどの佐世保人がそうです。福岡の方に尋ねると、こしょうは胡椒、とうがらしは唐辛子だそうですので、佐世保特有の方言ですね。地元にどっぷりつかっている証拠かも?
余談ですが、コオロギをギメ、カメムシをフー虫、などと呼びます。また緑色を青色と呼び、青緑も青も青色で、まるで色盲状態?
さて、前置きが長くなりましたが、唐辛子がどう頑張って作っても辛くならない。特に柚子こしょうを作るとき、青い状態で辛くなくては使い物にならないので、辛い唐辛子の苗をくれ!とほとんどのお客様が要求されます。(辛くない唐辛子苗なんか商品価値がないので、売るわけないじゃないですか・・・と、心の中では常に叫んでいるのです!)
多分、品種によって辛みが違うのだと思い込んでいらっしゃるのだと思います。もちろん、品種間の差はありますが、お客様の訴えられる「辛くない!」は全く別の原因で起こります。
こう尋ねます?
◆唐辛子は大きく茂りましたか?・・・YES、すごく元気が良く、大きく育った!
◆肥料や水遣りはどうですか?・・・とても可愛がった。堆肥や肥料はたっぷり、乾燥しないように灌水にも心がけた!
つまり、精一杯可愛がって、元気に育っているのに、辛くないのは品種または苗が悪いからだと言う理屈です。
ところが、全く逆なのです。栄養たっぷり、水もたっぷりで、元気いっぱいの唐辛子はピーマンになってしまうのです。ストレスを受けれなければ辛くならないのです。
佐世保では、昔から、「唐辛子のウステ作り」という栽培に関する教訓が伝えられています。「ウステる」=「うち捨てる」=「放っておく」=「あまり手をかけない」という意味の方言です。
お年寄りはいいこと言いますね。ちゃんと分かってらっしゃる! 昔はお得意様から茄子の畝の端っこにでもウステ作りしておけばピリ辛の唐辛子が出来るとよく教えられたものです。
水や養分がやや欠乏気味に管理すれば、唐辛子は強いストレスを感じ、早く子孫を残しておかなければ種が絶えると思うのでしょうね。我が身を削って果実に養分を集中するように生長が変化します。栄養生長から生殖生長へ急激に舵を切り替えます。その結果ピリ辛の唐辛子に変身します。
唐辛子は、間違っても過保護に育ててはいけません。草勢がややいじけている位が激辛の唐辛子が出来ます。収量はやや減るかもしれませんが、「ウステ作り」が肝要です。覚えておいて損のない方言です!