植えた苗が枯れました 苗が悪いの? | 家庭菜園を応援する農業おやじのブログ~家庭菜園・園芸用野菜の種のことなら市川種苗店

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上手な苗の植え方についての私の考え方

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当店で販売する主な接木苗たち・・・
接ぎ木苗についてはこちらにも書きました

四月中下旬は、果菜類の苗の販売で大変忙しい時期です。この時期に苗の定植が集中するので種屋としては一年で最も疲れる季節なのです。
表題のとおり、「苗が悪い!」といって頭から湯気を立ててご来店なさるお客様が、たまに?、いや、しばしば、いらっしゃいます。
意を尽くして、根気よく、原因をご説明申し上げるのですが、なかなか納得してもらえないことも多いので大変残念な思いをします。今日はできるだけ客観的な理由を添えて果菜類の苗の植え方の注意点を述べてみたいと思います。

野菜は畑を選びます!
周囲が田んぼに囲まれた畑で、トマトや西瓜(A)を作ってもうまく作れない確率が高く、乾燥する畑では、ナス(B)はうまく作れない確率が高いです。
スイカやカボチャ(C)は、荒れていた土地でもよく育ちます(もちろん整地は必要ですが)。

つまり、野菜は種類によって、好きな環境がまったく違うのです。人間の都合に合わせるのではなく、野菜の好みに合うような畑の環境を作ってやることが上作の最短距離だと私は思います(A)は乾燥地がよく、(B)は水持ちの良い土地がよく、(C)は酸性土壌でもよく育つからです!

ただし、春の果菜類はウリ科やナス科が多いので、必ず、連作障害を伴います。栽培条件が野菜に向いていても数年は連作をしないように注意しなければいけないことは必要条件として当然考えておかなければなりません。

苗を植える前の畑の準備
あらかじめ、石灰でpHを調整し、保肥力を高め、土壌の物理特性を向上させるために、堆肥を入れて準備しておくことは常識としてご存知のとおりです。
問題は元肥の考え方です。単為結果性のあるキュウリなどはやや多めの元肥がよく、トマトなどは元肥が多すぎると茎葉が茂りすぎ(栄養生長>>生殖生長)、ホルモン処理をしても落花します。
要するに、野菜の特性に応じて元肥を加減すべきなのに、キュウリも、トマトも、ナスも、ピーマンも全部同じような畑づくりをされる方が多いように感じております。
一般に過保護の傾向があり、キュウリはよくできても、トマトが失敗することが多いように感じられます。よろしければ、私のサイトを参考にしてください 。野菜の種類ごとの特性の違いを詳しく解説しているつもりです。

苗の植え方
さて、本題に入ります。ナスも、キュウリも、トマトもまったく同じ植え方でよいという訳にはいきません。苗の活着の難易度が全然違うからです。

ピーマンとかトマトは非常に移植に強いです。実生の瓜類はきわめて敏感です。カボチャは強いので、接木のキュウリ苗と実生のキュウリ苗は接木のほうがやや容易です。また、低温に対する耐性も、ウリ科<ナス科なので、瓜類を植えた後はホットキャップなどを被せたほうが良いでしょう。
代表的な果菜類を移植の難しい順に並べてみると、オクラ<キュウリ(実生)などウリ類<ナス<カボチャ,トマト,ピーマンでしょう。あくまで個人的な主観です。
つまり手を抜いてよいピーマンやトマトに対し、オクラやキュウリなどは慎重に植えなければいけないのです!

具体的には
雨の日、または、雨が続くような日に無理して植えない。必ず晴れた日に植えること。水分過剰は根を甘えさせる事につながり、発根が阻害され、初期成育が弱勢となりやすくなります。鍛えないといけないのは人と同じです!

ポットの土を崩さないようにそっとはずし、ポットの土の面が畑の面よりやや上になるように浅く植える。(地際を乾かし、立ち枯れを防ぎます) 春の果菜類の苗は大変若く、根をほぐしたりしてはいけません。 特にスイカやキュウリやメロンなどウリ類は絶対にダメ!

水は植え穴にあらかじめ与えた上で植えること。植えた後で遣る水は非効率です。つまり、同量の水でも、根に吸水されるより蒸発する割合が高いということです。

植えた後、苗の周囲を押さえつけないこと
ポットをはずすと分かりますが、毛細根がびっしりと根鉢の外壁に張り付いています。この大切な幼根を押しつぶすことになり、葉から水分が蒸散しても、根の傷のため十分な吸水ができないため、謂わば「需要と供給のバランスが崩れる」如く、急激に萎れてくるのです。

速やかに、支柱を立て誘引する。またはホットキャップやトンネルをかぶせる。
前者は風によるストレス軽減に役立つのみならず、茎が風で折れるのを防ぎます。後者は早植えやウリ科の定植に必須です。弱密閉することにより、水分の蒸散が抑制されるので、根からの吸水の必要性が低くなり、非常に根のつき(=活着)がよくなります。

接木苗の場合※こちらにも書いています
最も大切なことは、接木部分を土に埋もれさせてはいけない!ということです。せっかく強力な台木のパワーで、病原をフィルタリングして、本体に進入するのを防いでいるのに、穂木の根が出てしまうと、このバリヤーが機能しなくなるからです。同じ理由から、敷きワラなども株元に寄せすぎないように注意しなければなりません。株元が湿気るとやはり自分の根を出しやすくしてしまうからです。株元は乾かせ!が基本です

書き出したら、いくらでも書けそうですが、このくらいにしておきます。


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