涙の分だけ墜ちてゆく -6ページ目

女子校の日常と尾崎豊の死

「あ~屁が出る!」

ブリブリッ!

「男とヤリてぇ~」

こんな、お下劣極まりない言葉が日常的に飛び交うのが女子校です。

若くてイケメンの先生なんかは例外なく餌食になり、ピーチクパーチクと、ある事ない事(ない事ない事かな?)言われるんだからたまったもんじゃないよね。

そんな女子校に少しずつ馴染んできたある日、尾崎豊が死にました。

あたしは何も考えず制服のまま、とりあえず新幹線に乗って東京へ…

運が良い事に東京駅八重洲口で、「KLAXON」と書いた尾崎ジャンパーを着た軍団と遭遇したので、


「どこに行けば良いのかもわからずに名古屋から来たんだけど、みなさんはどこに行くんですか?」
と、一人の女性に話しかけると、


「あ~そうなんだぁ~一人で来たの?大変だったねぇ~私達と一緒に尾崎の住んでいたマンション行く?」

とても親切で温かな対応をしてくれたマリコさんが、KLAXONの会長で、札幌のレディースの頭も張ってる人だと後で聞き驚きました。


それから結局、護国寺で追悼式のあった日まで数日間も東京に滞在して尾崎ファンの人達と過ごしたんだけど、みんな凄く前向きで気持ちいいくらい人生を懸命に生きている感がありました。

護国寺で雨の中みんなで泣きながら歌った「15の夜」は生涯忘れる事ないと思います。


名古屋に戻ってからも心にポッカリ穴が空いたようで憂鬱な日々を送っていた。

気分を変えるために、ロックンロールイベントにでも行こうよって久しぶりに恵美と電話で話して、GWに豊橋でミッシェルのライブがあると言う事だったので一緒に出かける約束をした。

女子校バトル

「ね、ライナ…この学校マトモな子いないじゃん」

入学式の日の午後、恵美が言ってきた。

内申書がドロドロで小学生並みの問題…それで全校生徒千人超えとなれば、それも致し方ないのかも知れない。

廊下でスレ違う度に顎を突き出して見下したり、斜にかまえたり、露骨にメンチ切ったり…

何なんだ!この学校~!?

一年生のトイレでたまっている数人のヤンキーがジロジロ見てる。

知らないふりしてトイレに入ると、

「クソでもしてんじゃね~の?」

「ちげ~よ!クッサイ生理タンポン入れ替えてんだよ!」

ぎゃははははは~

ここで黙ってたら楽しい高校生ライフが、楽しくなくなるかも…

トイレから出ると、一番邪魔臭そうな場所に仁王立ちになっていた女の顔に濡れティッシュを投げつけた。

「ふざけんな!てめ何す…」

言い終える前にローキックを入れると、女はしゃがみ込んだ。

一瞬の間をおいて一斉にワーワー言い始める。

何やってんのよ!
こっちは何もしてないでしょ!

ふざけんなブス!

イキがってんなよ!



(あ~めんどくさい…)

「邪魔しないでよ」
「ああん?」

「人が普通にやってんだから邪魔すんなっつってんだよ!」
中途半端な連中だったから、その一言でシンとなった。

「ちょっかいかけて来なきゃ、何もしないからさ…かまわないでくれる?」

それに対しては誰も答えず、その場は終わった。

さすが名古屋の四大バカ女子校だけあって、少し目立つというだけで周りがほっといてくれないんだな…と、自覚。

夜、恵美と携帯で話すと恵美も似たような事があったらしい。

あたしは別に喧嘩が好きなワケでも、慣れてるワケでも、強いワケでもないけど、妥協が嫌いだったから邪魔する相手には強気で向かって行った。

こっちは、マイペースで、ほのぼのやりたいのに、自分の力を誇示したいのかカラんでくる。

最初の二週間くらいは、そんな小競り合いがチョコチョコあった。

だけど、次第にそれぞれの立ち位置が明白になってゆくと、そんな子達も大人しくなっていき、少しずつ話しもするようになった。

その中に同じクラスのエッコと真弓がいて一緒にいる事が増えた。

恵美とは違うクラスだったし、恵美は恵美で新しい友達も出来たようで次第に疎遠になっちゃったんだ。

大輔の恩返し?

どのように会計済ましたかさえも覚えていない…

夢と現実の狭間で、未だに卒業という魔法の延長線上に、あたしはいたような気がする。

サトシと恵美とは、いつ別れたんだろう…

そして大輔とホテルの一室に…

やっちまったなぁ~

いえいえ、まだヤッちゃおりませんぜ(笑)

大輔がシャワーから出ると、入れ替わりに無言であたしがシャワールームへ…

「ライナ、大丈夫かぁ?」

そのセリフが現実のモノなのか?それとも、あたしの想像の中での事なのかさえ、わからない。

鏡を見ると充血した目で、目尻がだらしなく垂れ下がったバカ女が映っていた。

それでもアソコだけは綺麗に丁寧に洗った。

実は、大輔とは以前一度だけ寝た事がある。

…ていうか大輔の初体験が、あたしだった。

10カ月くらい前の事で、半分忘れかけていたなぁ。

シャワーから出ると大輔は、新たにジョイントを巻いていた。

「コレは、スカンクって言うクサで臭いはキツいけど良いトビだし、Hにも最高なんだぜ!」

あたしは、この10カ月、どんな生活して来たのか大輔に尋ねてみたくなったけど上手く話せないのでやめた。

「ライナ、こっち来いよ」

あたしは言われるまま大輔の横に座った。

大輔は、ジッとあたしの目を見つめながら、

「あん時、俺が童貞だった事、誰にも言わないでくれたから、ライナには感謝してんだぜ!今日は、もっともっとハッピーにしてやるからな」

あたしは、心の中で(恵美だけには話したんだけどな~)と少し悪い気がしたけど本人が感謝してるって言ってるんだから、そのまま黙っておく事にした。