鍛冶俊樹の軍事ジャーナル

(2025年3月20日号)

*トランプの世界戦略は失敗か?

 昨夜、伽藍みーTUBEで「トランプの世界戦略は失敗か?」というテーマで話した。

https://www.youtube.com/live/tkmxDpBNcFg?si=dwoEpnExGNECxrjY

 米国トランプ政権の政策については、米内外で否定的な見解が多く見受けられるが、私はむしろ肯定的な評価を下している。

 

 ただし、トランプが今の日本にとって好ましい存在ではないのも事実だ。トランプは強い政治指導者を好む。強い政治指導者とは、国会で多数派を握っている指導者のことで、こうした指導者は、対外交渉において自らの判断で譲歩できるからである。

 弱い指導者とは国会で少数与党の立場にある指導者であり、国会で主導権がないから、対外交渉で譲歩を示せない。こういう指導者とは交渉の余地がないのである。

 

 ところが日本、韓国、台湾はいずれも少数与党の政権であり、トランプにとって交渉の対象にならない。一方、中国の習近平政権は独裁政権であるから、交渉できる。

 そうなるとトランプは中国との交渉において、日、韓、台を交渉の材料にする可能性が生じて来る。現にトランプは台湾防衛や米韓同盟には言及しないし、日米安保にも不満を示している。

 トランプ政権は日米安保強化のための予算の削減を検討しているという。日本は戦後、米国の安全保障のおかげで、国防努力を怠ってきた。今まさに、その付けが回ってきたと言えるかもしれない。

 

 軍事ジャーナリスト鍛冶俊樹(かじとしき)

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本日、ライヴ配信!

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鍛冶俊樹の軍事ジャーナル

(2025年3月19日号)

*本日、ライヴ配信

 本日夜8時から1時間、伽藍みーTUBEで「トランプの世界戦略は失敗か?」というテーマでライヴ配信する。

 米国のトランプ大統領は、毎日、機関銃のように新政策を打ち出すので、論評の暇もないほどだが、安全保障政策に限定してみると、その全貌がかなり明らかになってきた。

 

 すなわち欧州、中東の和平を最優先に考えており、東アジアは、その後取り組もうと考えていよう。欧州は言わずと知れたウクライナ和平だが、本日未明に行われたロシアのプーチン大統領との電話会談については、評価が分かれている。

 またガザでは、イスラエルが空爆を再開し、米国はイエメンを空爆した。これは和平に逆行する動きとの批判が噴出している。

 しかも台湾防衛については、言及せず、日米安保については不満をあらわにした。

 

 これらの問題について1時間たっぷりと解説する。

https://www.youtube.com/@tube487

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鍛冶俊樹の軍事ジャーナル

(2025年3月11日号)

*ゼレンスキーの背後に英仏あり

 2月28日、米ホワイトハウスでウクライナのゼレンスキー大統領がトランプ米大統領や副大統領のヴァンスを相手に大立ち回りを演じたのは、世界的な大ニュースとなり日本でもこの映像は繰り返し放映された。

 2月下旬に仏英首脳が相次いでホワイトハウスを訪れ、ウクライナとロシアの停戦交渉の前提となるウクライナの鉱物資源の権益を巡る協定案について仏英は米案に合意し、ゼレンスキーは、仏英の後押しで訪米し、この協定案に署名する段取りだった。

 ところが、署名直前になってゼレンスキーがテーブルをひっくり返した訳だから、世界中が拍手喝采するのも無理はない。もともとゼレンスキーは喜劇役者だったから、この種の茶番劇はお得意だ。

 

 ゼレンスキーは、この後、欧州で仏英首脳と会談し、再び仏英の仲介で、米国との交渉を再開させた。これでゼレンスキーの茶番劇を仕組んだのは仏英だったことがはっきりした。では仏英の思惑とは何か?

 もともと停戦後のウクライナの鉱物資源の権益を手に入れようとしたのは、英国だった。米国はそれを見とがめ、「ならば米国によこせ」となって出来たのが協定案だった。英国としては一旦これを白紙に戻して、権益の一部を確保したいという所か。かつての大英帝国も、もはや米国のおこぼれを頂戴するしか活路がないのだろう。

 

 だがフランスの思惑はこれとは打って変わって壮大な構想だ。米ウ会談決裂の翌日、マクロン仏大統領は、SNSに欧州の安全保障にフランスの核抑止力を役立てたい旨を投稿した。つまり米国の核抑止力は、もはや当てにならないから、これからはフランスが欧州の安全保障に中心的な役割を担うという訳だ。

 ドイツやイタリアなどには、米国の核兵器が配備されているが、今後、米国がロシアと緊密な関係になれば、ロシアが欧州を核攻撃しても米国は核報復しないという状況が考えられる。英国の核兵器も米国製であって、米国の許可なしには作動しない。

 従って欧州で独自核を有しているフランスだけが、欧州の安全保障の中核を担えるというのだ。つまり欧州は米国の核の傘からフランスの核の傘に移れというメッセージなのである。

 

 軍事ジャーナリスト鍛冶俊樹(かじとしき)

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