鍛冶俊樹の軍事ジャーナル
(2026年5月28日号)
*国家情報局は機能するか?
昨日、国会で国家情報会議創設法が成立した。これは現在ある内閣情報調査室を国家情報局に格上げして、新たに創設される国家情報会議の事務局とする法令である。
新たに創設される国家情報会議は総理を含む外相、防衛相など10閣僚で構成される一方、この会議の事務局となる国家情報局は警察庁、公安調査庁、外務省、防衛省の秘密情報を集約して国家情報会議に提供する。
つまり4省庁の秘密情報が集約され10閣僚に共有されるわけだ。これが情報活動として適正かどうか疑問を感ずるのは私だけではあるまい。というのも4省庁の秘密情報が集約されて首相に報告されるというのなら分かる。これは情報集中の原則である。
ところが4省庁の秘密情報を10閣僚が共有するということは秘密情報が拡散することを意味する。すなわち情報集中の原則に反しており情報漏洩の公算が高まってしまう。
報道によると、高市政権は、情報活動を米国に依存している日本政府の現状からの脱却を目指しているという。だが世界中にネットワークを張り巡らせている米国のインテリジェンスと日本のそれとでは月とスッポン、提灯(ちょうちん)と釣り鐘ほどの差がある。
この4省庁は諸外国並みの情報機関を持ち得ない現状において、かろうじて情報をかき集めて、米国と情報交換をして、質の高い情報を得ているのが実情だ。もし国家情報会議で情報が拡散してしまうと分かれば米国は、日本と情報交換しなくなるだろう。
これは米国情報依存からの脱却というより、むしろ情報活動の死滅というべき事態なのではあるまいか?
軍事ジャーナリスト鍛冶俊樹(かじとしき)
プロフィール・バックナンバー等は公式ブログを参照。下記をクリック
https://ameblo.jp/karasu0429/
*このブログは、メールマガジンで配信されています。どなたでも無料で登録できます。下記をクリック
https://www.mag2.com/m/0001690052.html