今回は、半正タイル貼りの配置行列を取り上げます。
その前に、まず正タイル貼りの復習を。
タイル貼り(tiling)とは、多角形で平面を埋め尽くすことです。
重なったり隙間ができたりしてはいけません。
この場合の多角形はいろいろなものが考えられますし、また種類も1種類とは限りません。
一番規則的で簡単なのは、次の正タイル貼りです。
正タイル貼り(regular tessellation)とは、正多角形1種類によるタイル貼りのことです。
正タイル貼りには、次の3種類があります。
画像は見やすいように色分けしてありますが、色はとりあえず無視してください。
α.正3角形タイル貼り {3,6}=[333333]
Tile 3,6 - Tessellation - Wikipedia
頂点は6価、面は正3角形です。
対角要素は構成要素数の比 νi で、正3角形2個の組に対して稜3本、頂点1個が対応します。
[ 1 6 6 ]
[ 2 3 2 ]
[ 3 3 2 ]
タイル貼りでは、構成要素数の比は次の式を満たします。
ν0-ν1+ν2 = 1-3+2 = 0.
多面体のオイラーの公式とは異なり、右辺が0となる点にご注意ください。
この式は、この後登場するすべての配置行列の対角要素について成り立ちます。
β.正方形タイル貼り {4,4}=[4444]
頂点は4価、面は正方形です。
1枚の正方形に対して、稜2本、頂点1個が対応します。
[ 1 4 4 ]
[ 2 2 2 ]
[ 4 4 1 ]
γ.正6角形タイル貼り {6,3}=[666]
頂点は3価、面は6角形です。
1枚の6角形に対して、稜3本、頂点2個が対応します。
[ 2 3 3 ]
[ 2 3 2 ]
[ 6 6 1 ]
正多角形のみからなるタイル貼りの双対とは、面心を新たな頂点としたタイル貼りのことです。
正3角形タイル貼り {3,6} と正6角形タイル貼り {6,3} は、互いに双対であり、配置行列は180°回転したものとなっています。
正方形タイル貼り {4,4} は、自己双対となっています。
半正タイル貼り(semi-regular tessellation)とは、正多角形2種類以上によるタイル貼りで頂点図形が合同(1種類)であるもののことです。
< u>アルキメデスのタイル貼りという別名もあります。
半正タイル貼りは、全部で8種類あります。
その導出については次の記事をご覧ください。
半正タイル貼りのご紹介1 | 宇宙とブラックホールのQ&A (ameblo.jp)
今回の記事で純粋に新規の情報は2~8の配置行列だけなのですが、それ単独で載せても何のことか分からないので、説明を再掲しておきます。
最初に8種類全部を載せた画像を示しておきます。これを見ながらこの後の説明を読んでください。残念ながら個別の画像が見つからなかったので。
Semiregular Tessellation -- from Wolfram MathWorld
8つのタイル貼りは、次の順序で並んでいます。
[3636]:準正タイル貼り [3464]:斜方3・6角形タイル貼り
[488] :切頂正方形タイル貼り [33434]:3角形対・正方形タイル貼り
[3,12,12]:切頂6角形タイル貼り [33344]:3角形列・正方形列タイル貼り
[4,6,12]: 切頂3・6角形タイル貼り [33336]:ねじれ6角形タイル貼り
ただ、名称は私の考案したものも多く、他所ではたぶん通用しないでしょう(^_^
この後登場する8種類の配置行列のうち1~6については、以前の記事で示した半正多面体に関する一般的な表現の適用により得られます。
半正多面体の配置行列2 | 宇宙とブラックホールのQ&A (ameblo.jp)
8種類のなかで最も対称性が高いのは次のタイル貼りで、半正多面体における準正多面体(立方8面体、20・12面体)に相当します。
1.[3636]:準正タイル貼り、3・6角形タイル貼り、カゴメ文様
面は、正3角形と正6角形の2種類です。
稜は1種類で、正3角形と正6角形に挟まれています。
頂点は4価です。
[ 3 4 4 ] [ 3 4 2+2 ]
[ 2 6 2 ] =< [ 2 6 1+1 ]
[ 3|6 3|6 2+1 ] [ 3|6 3|6 2+1 ]
正タイル貼りとは異なり、簡約形と展開形の2種類があります。以下同様。
関係式は次の通りです。( νi Nij = νj Nji )
3×4=2×6=12,3×2=3×2=6,3×2=6×1=6,
6×1=3×2=6,6×1=6×1=6.
この後登場する7種類の半正タイル貼りでは、稜は2種類か3種類あります。
説明上、それらを小さい面に関わるものから順に a, b, c と呼ぶことにします。
(以前は正3角形と正方形に挟まれた稜を 3-4 のように記していたのですが、どちらがより分かりやすいか悩んでいます。)
(正タイル貼りに切頂を行ってできるもの)
切頂とは、正タイル貼り {p,q} の辺の頂点周りに新たな頂点をq個つくってそれらを結び、頂点の位置に新たに正q角形をつくり、元の正p角形を正2p角形とする操作です。
できた半正タイル貼りは、[q,2p,2p] となります。
ただし、正3角形タイル貼り {3,6} を切頂すると正6角形タイル貼り {6,3} になるので、新たにできるタイル貼りは2種類です。
2.[3,12,12]:切頂6角形タイル貼り
面は、正3角形と正12角形の2種類です。
稜も2種類で、aが正3角形と正12角形に挟まれ、bが正12角形2枚に挟まれています。
正3角形の辺はa3本であり、正12角形の辺はaとbが6本ずつです。
頂点は3価で、a2本とb1本が出ていて、正3角形1枚と正12角形2枚に囲まれています。
[ 6 3 3 ] [ 6 2+1 1+2 ]
[ 2 9 2 ] =< [ 2 6+3 1+1|0+2 ]
[ 3|12 3|12 2+1 ] [ 3|12 3+0|6+6 2+1 ]
3.[488]:切頂正方形タイル貼り
面は、正方形と正8角形の2種類です。
稜も2種類で、aが正方形と正8角形に挟まれ、bが正8角形2枚に挟まれています。
正方形の辺はa4本であり、正8角形の辺はaとbが4本ずつです。
頂点は3価で、a2本とb1本が出ており、正方形1枚と正8角形2枚に囲まれています。
[ 4 3 3 ] [ 4 2+1 1+2 ]
[ 2 6 2 ] =< [ 2 4+2 1+1|0+2 ]
[ 4|8 4|8 1+1 ] [ 4|8 4+0|4+4 1+1 ]
------------------------- 続 く ---------------------------
★ 大相撲五月場所は今日が千秋楽で、23歳の大の里が初優勝しました。史上最速の優勝、元日の地震被災地石川県出身など話題には事欠きません。横綱、大関の休場が目立つだけに、先場所の尊富士優勝に続き、世代交代の風は望ましいと思います。
★★ 今日のロジバン 不思議の国のアリス204
.i ku’i lo pilji porsi na vajni .i .e’u troci tu’a lo tedyske
でも、かけ算の九九は大事じゃないわ。地理を試してみよう。
porsi : 序列/順番化したものだ,x1(並んだ集合)は x2(規則/基準)に従って x3(不整理の集合)を;列/連続体だ,x1は。-por-, -poi- [構造・線形順序]
na : 命題否定。文中でその後に続く語すべてをその命題に関して否定する。NA類。-nar-
vajni : 重要/大事だ,x1(物/事)は x2(人/事)にとって x3(性質/理由)に関して。-vaj-, -vai- [生命・態度]
.e’u : 提案。行為や概念を勧める気持「どうぞこれを」「これなどどうでしょう」。心態詞(命題態度)UI1類
troci : 達成/獲得しようと努める/努力する,x1は x2(事/状態/性質)を x3(手段/方法)で;x1はx2をやってみる。-toc-, -toi- [過程・制御過程]
tu’a : 抽出項。項の前に付いてそれが不特定の命題から抽出したものであることを示す。lo nu/su’u [sumti] co’e に相当。限定詞LAhE類
tedyske : 地球科学だ,s1=t1は s3(方法論)に基づく <- ted+ske, ted<- terdi 地球, ske<- saske 科学
どちらも { .i } で始まる2つの文です。
最初の文の主述語は { na vajni } 「大事ではない」です。
そのx1 { lo pilji porsi } は「掛け算の列」なので、「掛け算九九」となります。
第2の文の主述語は troci で、そのx1は mi でしょうが省略されており、x2が { lo tedyske } 「地球科学」です。
心態詞 .e’u によって、自分自身に対する提案となっています。
日本語で科学というとまず自然科学を思い浮かべるので、地球科学=地学ですが、saske は社会・人文科学も含むのでしょう。
出典は、