対称性の高いニアミス立体の新たな表記法の提案1 | 宇宙とブラックホールのQ&A (ameblo.jp)
対称性の高いニアミス立体の新たな表記法の提案4 | 宇宙とブラックホールのQ&A (ameblo.jp)
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いったんは終わりにしたのですが、続きを書くことにしました。
これまで掲載した部分も、稜を「|」と「-」に区別する修正を行います。
今回の記事については、私「karaokegurui@ameblo」の著作権を主張します。
また、無断転載を禁止します。
10.構成要素の並びの規則性、対称線と赤道
対称式の各項のうち d, c, b の3項は、構成要素が真っ直ぐ並んでいます。
構成要素には、面、頂点、稜の3種類がありますが、そのつながり方には制限があります。
たとえば、同じ構成要素どうしが続くことはありません。
また、稜は向きによってつながり方が異なるため、「|」と「-」を分けて扱います。
面「n」,頂点「*」,稜「|」「-」の4種類があり、それらが前後に並ぶので単純に組み合わせれば 4×4=16通りのつながり方があるところ、可能なのは次の6通りだけです。
n*,*n,n|,|n,*-,-*
構成要素どうしの可能な組合せ
\ n * | -
n × n* n| ×
* *n × × *-
| |n × × ×
- × -* × ×
(注) ×の組合せは可能ではない。
さらに3つの構成要素が並ぶ場合、面が奇数角形か偶数角形か、また頂点の価数が奇数か偶数かによっても制限が掛かります。
可能なのは次の10通りです。
中央 構成要素3個の並び
面 n : *n*,|n| (nは偶数), *n|,|n* (nは奇数)
頂点 * : n*-,-*n (*は奇数価数), n*4m,-*4-
稜 | - : n|m,*-*
構成要素の並びの例示として、準正多面体3種類の対称線と赤道を示します。
対称線とは、外接球に投影された正多面体において、鏡映に関する対称面が外接球と交わる大円で、f, v, e, d を通ります。
赤道とは、準正多面体をちょうど2分する稜の並びで、e, d を通りますが、f や v は通りません。
当然、対称線と赤道は異なります。
詳細については次の記事をご覧ください。
球面に投影した正多面体の対称線と赤道1 | 宇宙とブラックホールのQ&A (ameblo.jp)
球面に投影した正多面体の対称線と赤道2 | 宇宙とブラックホールのQ&A (ameblo.jp)
なお、通常、正8面体は Oh 対称性をもつ正多面体と考えますが、ここでは Td 対称性をもつ準正多面体と見なしています。
また、×の前の数字はその大円の本数を示します。
3種類のうち立方8面体だけは(当然立方体やOh 対称性をもつ正多面体としての正8面体も)対称線が2種類存在します。
・20・12面体 aD
f v e d c b
Ih ( 5, 3, *4 ; |, , )
対称線: f e f dv e vdf e fd ve vd ( f e f dv evd)2
15× 5*45|3*43|5*45|3*43| = (5*45|3*43|)2
赤道 : (ed)10
6× (*4-)10
最後の赤道の d ですが、対称式内や対称線では f から見た方向なので | と記載しますが、赤道では e から見た方向なので – となります。以下同様。
・立方8面体 aC
f v e d c b
Oh ( 4, 3, *4 ; |, , )
対称線: f e f e f e f e ( f e) 4
3× 4*44 *44*44 *4=(4*4)4,
f dve vd fdve vd (fdv evd) 2
6× 4|3*43|4|3*43|=(4|3*43|)2
赤道 : (ed)6
4× (*4-)6
・正8面体 aT=O
f v e d c b
Td ( 3, 3, *4 ; |, , )
対称線: f dve f dve ( fdve ) 2
6× 3|3*43|3*4=(3|3*4)2
赤道 : (ed)4
3× (*4-)4
11.Dh 対称性をもつ多面体の記述法
正多面体と同じ対称性をもつ多面体については、前節までで終わりです。
ここからは、正角柱と同じ対称性をもつ多面体を対象とします。
正n角柱の対称性は、Dnh という直交群で表されます。
ここで、nは3以上の整数。
正n角柱の面は、向かい合う正n角形2枚とそれらに挟まれたn枚の等しい長方形から構成されます。
(正方形としてもよい。)
正n角形の面心どうしを結ぶ直線は、正n角柱のn回回転軸(Cn軸)となります。
Cn軸はただ1本であり、これを主軸といいます。
本来、多面体自体に上下の区別はありませんが、文章による描写の便宜上、主軸が上下方向を向いているものとし、正n角形の一方を「天井」、もう一方を「底面」と呼ぶことにします。
そして、主軸の天井方向を「上」、底面方向を「下」と呼ぶことにします。
これらは、一度決めたら、固定します。
Dnh 対称性をもつ多面体は空間反転に関して不変ですが、反転中心(以下単に「中心」)は主軸の天井と底面の中間点に一致します。
また、主軸に垂直で中心を通る平面に関して鏡映対称が成り立ちます。
天井と底面以外の長方形の面n枚を、「側面」と呼びます。
これ以外の点については、nが奇数か偶数かで違ってきます。
まずnが奇数の場合。
側面の面心とそれに向かい合う稜の中点を結ぶ直線は、2回回転軸(C2軸)となります。
C2軸は、n本あります。
また、主軸と1本のC2軸から定まる平面は、鏡映に関する対称面となります。
この対称面は、n枚あります。
次にnが偶数の場合。
向かい合う側面の面心どうしを結ぶ直線は、C2軸となります。
このC2軸は、n/2 本あります。
また、主軸に平行で向かい合う稜の中点どうしを結ぶ直線も、C2軸となります。
このC2軸も、n/2 本あります。
C2軸の総数は、n本です。
次に、主軸と1本のC2軸から定まる平面は、C2軸の種類を問わず鏡映に関する対称面となります。
この対称面は、n枚あります。
以上から、群 Dnh の位数を計算します。
まず、Dnh の部分群である回転群 Dn の位数を計算します。
1 +(n-1) +(2-1)×n = 2n
群 Dnh の位数は回転群 Dn の2倍となるので、4n です。
群 Dnh の位数は次のように考えても求められます。
正n角柱の天井の稜を1本とり、その向きを一方向に決めます。
正n角柱を回転や鏡映、それらの繰り返しによって元の形に重ねる変換を考えます。
変換により元の向き付き稜が天井の稜に移されるケースを考えると、自分自身を含め天井の稜に2n通りに移されます。
また、同様に底面の稜に移されるケースでも、2n通りに移されます。
合わせて、2n+2n=4n です。
さて、これまでは正n角柱をモデルとして、つまり Dnh 対称性をもつ多面体の代表として説明してきました。
しかし、正n角柱ではこの後の説明に関してイメージが湧きにくいので、双対である双n角錐をモデルとします。
双n角錐では、天井と底面に当たるのは頂点なので、それぞれ「北極」と「南極」と呼ぶことにします。
北極方向を「上」、南極方向を「下」とします。
北極と南極を結ぶ直線が主軸となります。
北極と南極の間には、2n枚の等しい2等辺3角形の面が存在します。
面のうちn枚は北極を囲み、残りのn枚は南極を囲んでいます。
双n角錐は、主軸と垂直で中心を通る平面により2つの正n角錐に分離されます。
この平面は、鏡映に関する対称面です。
この平面上にn個の頂点とn本の稜が載りますが、それらを結んでできる正n角形をこのブログにおいて「赤道」と呼ぶことにします。
前節で準正多面体について赤道と呼んだものとは全く異なるので、ご注意ください。
この赤道は、Dnh 対称性をもつ多面体に1つしか存在しません。
同じ形の正n角錐2つが赤道において貼り合わされて、双n角錐が出来上がるわけです。
なお、双n角錐の側面の3角形を正3角形に限定すると、ジョンソン立体となりますが、双3角錐、双4角錐、双5角錐の3種類しか存在しません。
この点は、正角柱とは違います。
とりあえず双3角錐を見ながら説明を行います。
Triangular dipyramid - Johnson solid - Wikipedia
正多面体と同じ対称性をもつ多面体については、最初に f, v, e を決めました。
一番違うのは、主軸の存在です。
主軸が貫いている両極を p とします。
pole の頭文字のつもりです。
赤道上にある頂点を v,赤道上の稜の中点を e とします。
d~a については、f を p に変える以外の変更はありません。
(変更するといちいち覚えるのが大変なだけなので、流用しています。最初の f と p の違いだけでどちらの対称式か識別できると思います。)
外接球に投影して考えます。
基本3角形は、△pve です。
その内角のうち直角なのは、次の2つ。
∠pve = ∠pev = 90° = π/2.
球面幾何なので、そういうことになるわけです。
双n角錐の表面には、基本3角形 △pve を4n枚とることができます。
極 p は、上と下に1つずつあるので、2個。
v は、4枚の基本3角形に囲まれているので、4n/4 = n個。
e も、同様なので、n個。
p と v を結ぶ線分 d は、2枚の基本3角形に挟まれているので、4n/2=2n個。
p と e を結ぶ線分 c も、同様に 2n個。
v と e を結ぶ線分 b も、同様に 2n個。
a は、基本3角形の数と同数なので、4n個。
以上から、Dnh 対称性をもつ多面体の対称式は次のようになります。
T V E ; D C B ; A
個数 2 n n ; 2n 2n 2n 4n
Dnh ( p, v, e ; d, c, b ; a )
対称式の形から分かるように、実は v と e は対等で入替可能です。
できるだけ e に稜、v に頂点が来るように割り当てるようにします。
一番簡単な双3角錐については、次のようになります。
P V E ; D C B ; A
個数 2 3 3 ; 6 6 6 ; 12
D3h ( *, *4, | ; -, 3, ; )
(a 項は空欄なので不要だが、個数12を示すために含めている)
両極の3価の頂点は2個、赤道上の頂点は3個あります。
面は c の位置に3角形があるので、全部で6枚です。
稜は、e の位置に3本、d の位置に6本です。
検算は、オイラーの公式が
面 6,頂点 2+3=5,稜 3+6=9,6+5-9=2;
面・頂点と稜の関係式が
面 3×6=18,頂点 3×2+4×3=18,稜 9×2=18
となり、成り立っています。
一般化して、双n角錐であれば、
個数 2 n n ; 2n 2n 2n;4n
Dnh ( *n, *4, | ; -, 3, ; )
(a 項は空欄なので不要だが、個数4nを示すために含めている)
面は、c の位置に3角形が 2n枚。
頂点は、両極にn価の頂点が2個、赤道上の4価の頂点がn個なので、計(2+n)個。
稜は、e の位置にn本、d の位置に2n本なので、計3n本。
オイラーの公式は、面 2n,頂点 2+n,稜 3n なので、
2n +(2+n) -3n = 2.
面・頂点と稜の関係式は、
面 3×2n=6n,頂点 n×2+4×n=6n,稜 3n×2=6n.
今回の主題ではありませんが、正n角柱についても対称式を示します。
個数 2 n n ; 2n 2n 2n 4n
Dnh ( n, 4, - ; |, *, ; )
これについてオイラーの公式と面・頂点・稜の関係式を示すのは、読者にお任せします。
ここで、双n角錐と正n角柱の対称式を改めて見直すと、どちらも v項と e項の個数、d項とc項の個数が等しく、オイラーの公式において打ち消し合っています。
それら側面に位置する基本要素どうしが打ち消し合った結果残るのは、両極、あるいは天井と底面の p だけです。
正角錐も含め、主軸 Cn軸をもつ、Cn,Cnv,Dn,Dnh,Dnd 対称性をもつ多面体では、オイラー標数の2(オイラーの多面体公式の右辺に出てくる2)は p 項が起源だといってよいと思います。
-------------------------- 続 く -------------------------
★ 今朝は東京都心で氷点下1.1℃というこの冬初めての氷点下を記録しました。日中は気温は上がったものの、北風が強くてとても寒い一日でした。その分、洗濯物はよく乾きましたね。
★★ 今日のロジバン 不思議の国のアリス155
.i ku’i .ei mi jy xendo sei la .alis. cu pensi
でも、親切にしてあげないと」とアリスは思いました。
.ei : 義務。それが義務/当然であると見なす気持。心態詞(命題態度)UI1類
xendo : 親切/優しい,x1(者)は x2に対して x3(行為)で -xed-, -xe’o-
主述語は xendo で、そのx1が mi、x2が jyです。
{ sei la .alis. cu pensi } 「アリスが思うには」が挿入されています。
出典は、
lo selfri be la .alis. bei bu'u la selmacygu'e (lojban.org)