高エネルギー宇宙線電子にほ座超新星残骸が大きく寄与 | 宇宙とブラックホールのQ&A

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 ・宇宙線電子の高エネルギースペクトルに、ほ座超新星残骸が大きく寄与

 アストロアーツ12月18日付記事、元は早稲田大学です。

 宇宙線電子の高エネルギースペクトルに、ほ座超新星残骸が大きく寄与 - アストロアーツ (astroarts.co.jp)

 

 概要>国際宇宙ステーションの「きぼう」日本実験棟の宇宙線電子望遠鏡「CALET」が、7.5TeVに至る宇宙線電子のエネルギースペクトル測定に成功した。高エネルギー領域では電子加速源候補として「ほ座超新星残骸」の寄与が大きい可能性が示唆されている。

 

 国際宇宙ステーションISSの名前を見たのは久し振りのような気がします。

 

 >天の川銀河内を起源とする「銀河宇宙線」は、超新星爆発に伴う衝撃波で加速され、星間空間の磁場中を拡散的に伝播して地球に飛来すると考えられている。しかし、宇宙線は伝播中に星間磁場で曲げられてしまうため、加速領域の特定が難しく、宇宙線には未だ多くの謎が残されている。

 

 「銀河宇宙線」が「超新星爆発に伴う衝撃波で加速され」ているのは多分間違いないと考えられているものの、個々の宇宙線が具体的にどこで加速されているのかを特定するのは難しいのですね。

 

 >とくに高エネルギーの電子は陽子や原子核と異なり質量が小さく、星間空間を伝播中にエネルギーを失ってしまうため、地球近傍の伝播時間の短い加速源からのものだけしか地球に到達できないが、この条件を満たす加速源の候補天体は数例しかない。

 

 宇宙線は荷電粒子が加速されたものですが、粒子の大部分は陽子だったと思います。

 ただ、電子も当然含まれています。

 ちなみに、陽子の質量は電子の約1800倍です。

 

 >一方で、電子のエネルギーが1TeV(テラ電子ボルト)を超えると、荷電粒子から加速源を同定できるというユニークな可能性が理論的に指摘されている。つまり、TeV領域の電子が観測されれば、それが地球近傍の候補天体の寄与によるものということになる。従来このような観測は難しかったのだが、国際宇宙ステーションの「きぼう」日本実験棟に設置されている宇宙線電子望遠鏡「CALET」によって、これまでにない高精度なエネルギースペクトルの測定が可能になってきた。

 

 1電子ボルト( 1 eV )は、電子1個が1Vの電圧で加速されるときに得るエネルギーのこと。

 SI接頭語の大きい方はキロ、メガ、ギガ、テラの順で、テラは1兆倍を意味します。

 

 ここで、アストロアーツ掲載の上の画像をご覧ください。

 左がCALETの概念図、右がその一部である主検出器のカロリメータの図解です。

 クリックしても拡大しません・・・

 

 >早稲田大学の赤池陽水さんたちの研究チームは、CALETを用いた測定により、宇宙空間において初めてTeV領域電子の観測に成功しており、2年間の観測量から4.8TeVまでのエネルギースペクトルの測定に成功するなどの成果を上げてきた。

 

 赤池陽水さんですか。お名前は、おそらくご両親が井上陽水のファンだったことによる命名でしょう(^^

 

 >今回赤池さんたちは、CALETの測定データを精確に再現するようにシミュレーションデータを調整し、電子と陽子の選別精度の向上を計った。その結果、7年以上のデータに対して、電子の選別効率を保ちつつ陽子の混入を10%未満に抑えるという改良に成功し、7.5TeVに至る高エネルギースペクトルが導出された。

 

 素人考えでは電子と陽子では質量が全然違い電荷の符号も逆なので紛れることはないかと思うのですが、そうではないのですね。

 

 ここで、アストロアーツ掲載の真ん中の画像をご覧ください。

 CALETによる7.5TeVまでの電子のエネルギースペクトルを表すグラフで、横軸がエネルギーの対数目盛(単位GeV)ですが、縦軸の単位はよく分かりませんがたぶん頻度かと。

 赤い四角が今回のデータで、103のところが1TeVです。

 他の衛星による測定結果も一緒に示されています。

 

 >さらに、個々の天体を起源とする宇宙線伝播のシミュレーションから、とくに地球近傍の電子加速源候補である「ほ座超新星残骸」がTeV領域の電子に対して大きく寄与している可能性が示された。

 

 ほ座(Vela, 略符Vel)は南天の星座で、昔のアルゴ座が分割されてできた3星座の一つ。

 比較的見やすい季節は春ですが、東京あたりでは高度が低くて見えにくいです。

 いわゆる「にせ十字」のうち2星は、ほ座に属します。

 

 ほ座超新星残骸は、名前の通りほ座にある超新星残骸です。

 元になった超新星爆発は、太陽系から約800光年離れた場所で 11 000~12 300年前に発生したものと推定されます。

 既知の超新星残骸のうちで最も地球に近いものの1つです。

 なお、同じくほ座にある超新星残骸ベラ・ジュニアは、距離がより近く(約650光年)またより最近(1200年頃)に爆発したと推定されます。

 

 銀河系の直径が約10万光年、銀河系中心までの距離が約2万7000光年とされるので、約800光年であれば確かにすぐ近くです。

 

 ここで、アストロアーツ掲載の下の画像をご覧ください。

 CALETによる全電子のスペクトル(赤丸)と、個々の加速源候補天体の寄与のグラフです。

 特にほ座超新星残骸(黄色の線、Vela)がTeV領域の電子に大きな影響を与えていることが分かります。

 

 >研究チームは今後、到来方向の異方性を合わせて検出することで、近傍加速源の同定を目指す。加速源が同定できれば、そのスペクトル形状から加速・伝播の理解に重要なパラメーターを調べられるようになり、宇宙線の加速・伝播機構の解明が進むと期待される。

 

 「銀河宇宙線のうちTeV領域の電子について、ほ座超新星残骸が大きな寄与をしている可能性が示された」というのが今回の研究成果です。

 今後のさらなる研究に期待します。

 

 

 ★ 明日・明後日の1月23・24日、この冬一番の寒波が襲来して広範囲で大雪の恐れがあると気象庁が発表しています。寒中なので仕方ありませんが、被災地の方々の防寒や家屋の倒壊が心配です。

 

 ★★ 今日のロジバン 不思議の国のアリス154

   .i ko renvi ta’i lo do xagrai selka’e

  できるだけ自分でなんとかしてね

 renvi : 耐え抜く/辛抱する/我慢する,x1は x2(事)を x3(時間/期間) にわたって;x1は長持ちする

 ta’i : ~を方法/手段として/~式に。法制詞BAI類 <- tadji

 xagrai : 最高/最上だ,t1=x1は t4の集合/範囲で x2にとって x3を基準として <-xag+rai, xag<- xamgu良い, rai<- traji 最上級の

 selka’e : 可能である,x1(事)は <- sel+ka’e, sel<- se, ka’e<- kakne できる

 kakne : できる,x1は x2(事)が x3(条件)において;x1は 有能だ。-ka’e-

 

 アリスが遠ざかった自分の両足に呼び掛けている言葉の途中です。

 主述語は renvi で、そのx1が命令二人称代項詞 ko です。

 後ろから、ta’i が率いる法制句が掛かっています。

 出典は、

 lo selfri be la .alis. bei bu'u la selmacygu'e (lojban.org)