最近読んでいる本(2023年11月) | 宇宙とブラックホールのQ&A

宇宙とブラックホールのQ&A

2019年6月6日にYahoo!ブログから引っ越してきました。よろしくお願いします。

ちゃんとした書評は書けていないものの、「本を読んでいる」ことは間違いないので、その状況をまとめておきます。

 

 まず電子書籍で購入している小説です。

 

 

 ・松岡 圭祐 著 『伊桜里 高校事変 劃篇』

 女子高生が大暴れする「高校事変」シリーズは、電子書籍で購入したなかで私が一番気に入っているシリーズです。

 (最初の2冊は紙で買いました。

 最近買った本(2023/6続) | 宇宙とブラックホールのQ&A (ameblo.jp) 4と5です)

 本書はシリーズ19冊目で、前回も少し触れました。

 「劃篇」は「かくへん」と読み、スピンオフの意。

 以下、ネタバレ注意。

 

 シリーズのもともとのヒロイン結衣(ゆい)は、処刑された半グレ凶悪大量殺人犯である優莉匡太の二女。

 本書では論教(ろんきょう)大学千代田キャンパスに通う女子大生となっています。

 (論教大学って、一橋大学がモデルのような。)

 勉強・スポーツ・人殺し万能であり(^^;、毎日続く公安の執拗な尾行をかいくぐって悪い奴らを大量に殺していますが、犯行は奇跡的に隠蔽されています。

 シリーズ初登場の伊桜里(いおり)は優莉匡太の七女で、中学2年生。

 養子先の家ではひどい虐待を受け、学校では虐められており、ついに自殺を決意します。

 未成年の兄弟姉妹は互いに連絡をとれないことになっているのですが、結衣は妹の伊桜里を間一髪で救い、その一時保護者になって、中学を休学している伊桜里に生き残るすべを教えます。

 中3の5月末に伊桜里は復学し、いじめっ子たちと担任教師に「見えない速度」で復讐を果たします。

 ここまでで、本書の半分を少し過ぎたところ。

 

 本書の後、本編の『高校事変17』が11月24日配信予定となっていて、私はすでに予約しています。楽しみです。

 

 

 ・貴志祐介著『ダークゾーン【上下 合本版】』

 ホラー、ミステリー、SFで活躍する貴志祐介さんの小説。

 貴志さんのSFは以前書評で取り上げました。

 『新世界より』 | 宇宙とブラックホールのQ&A (ameblo.jp)

 

 本書の主人公は、大学生で将棋の奨励会員。

 突然、軍艦島に転送され、恋人、大学、奨励会などでの友人、知人らとともに異形の怪物の姿となって対戦ゲームの駒として戦わされ殺し合います。

 主人公は一方のキングで、対戦の指揮を執ります。

 

 

 ・松岡 圭祐 著 「千里眼」シリーズ

 主人公の岬美由紀は、元航空自衛官でジェット機乗りでしたが、今は臨床心理士。

 20代後半の設定です。

 抜群の動体視力で他人の瞬間的な表情から感情を読み取れるため、千里眼と呼ばれています。

 長いシリーズですが、私は「クラシックシリーズ」16冊は読み終えて、今は「新シリーズ」の5冊目「千里眼の教室」を読んでいるところ。

 

 優莉結衣とは違って、美由紀本人は人殺しをしません。

 その代わり、バイクにも乗れなかった結衣とは異なり(大学に入ってからは免許取得中)、外車を乗り回し、ときには航空自衛隊基地からジェット機を無断借用して問題の起こっている場所に急行します。

 

 

 ・衣川 彰悟 著 『ようこそ実力至上主義の教室へ 2年生編10』

 「ようこそ実力至上主義の教室へ」のシリーズは、ラノベです。

 略称は「よう実」。

 進学率・就職率ほぼ100%という触れ込みの高度育成高等学校を舞台に、一番下のDクラスに配属された主人公の綾小路清隆が自らは目立たないようにしつつ、裏からクラスメートなどを操ってAクラスに成り上がっていく?物語。

 登場人物は曲者揃いで、一見まともに見えている人物が心に深い闇を抱えていたりします。

 

 人気ラノベとして、漫画化はもちろんのこと、TVアニメもすでに2期放送されており、第3期も来年1月から予定されています。

 本書はシリーズの26冊目で、この10月25日に発行され、私は事前予約して購入しました。

 

 

 ・三浦 建太郎 著 『ベルセルク 42巻』

 大河伝奇漫画とでもいうのかな。

 世界的に有名な漫画シリーズです。

 今風に分かりやすくいうと異世界ものなのですが、昨今のように類似の作品が乱立するよりもずっと前の時代に描き始められています。

 経緯については次の記事をどうぞ。

 『ベルセルク』の作者三浦建太郎さん死去 | 宇宙とブラックホールのQ&A (ameblo.jp)

 大学で講義(2021年)&ベルセルク41巻 | 宇宙とブラックホールのQ&A (ameblo.jp)

 

 41巻までは紙の本で買ったのですが、ここからは電子書籍にすることにしました。

 ただ、関係者の皆さまには申し訳ないけど、今一つ・・・でした。

 41巻は気に入ったのに。

 三浦さんがすでに亡くなられて、その遺志を継いだ森恒二さんたちのご努力で読ませていただいているので、文句を言ってはいけないことは重々承知しているのですが。

 紙版でないせいもあるかもしれませんね。

 

 

 ・近藤 大介 著 『ふしぎな中国』

 「中国ウォッチャーとして知られる著者が、新語・流行語で現代中国を読み解く。読み始めたらとまらない面白さ!」とあり、その通りであっと言う間に読み終えました。

 新書本ということもあるでしょう。

 

 私は今後の世界の行方を占う上で中国の分析は欠かせないと考えているのですが、しかしその情報は制限され、国営メディアの発信する大本営発表的ニュースだけを読まされている状況です。

 (その点に関する指摘をあまり見かけないように思うのですが、慣らされてしまっているのか。)

 そのため、実情を知ることのできるこういう本には意味があると思います。

 まあ難しいことをいわなくても、気楽な読み物としてお勧めできますね。

 

 

 以上は、電子書籍です。

 ここから後は紙の本で、私が都心・繁華街の大型書店に足を運んで買って来たものです。

 (ということをわざわざ書くのもおかしいかもしれないけど。)

 電子書籍より書誌情報を詳細に記します。

 

 ・伊藤 正敏 著 『寺社勢力の中世 無縁・有縁・移民』筑摩書房 ちくま新書734 256頁 2008年8月発行 本体価格¥840(税込¥924)

 筑摩書房 寺社勢力の中世  ─無縁・有縁・移民 / 伊藤 正敏 著 (chikumashobo.co.jp)

 

 私は「(日本の)中世は宗教の時代だった」という認識をもっています。

 「武士の時代だった」とか「鎌倉幕府、室町幕府が開かれた」とかいうことは、表面的・二次的な事柄にすぎないと思うのです。

 そういう関心から購入した本で、期待を裏切らない内容でしたが、著者の主張はもちろん私とは重なる点はあるものの異なります。

 出版社の紹介文から。

 「日本文明の大半は中世の寺院にその源を持つ。最先端の枝術、軍事力、経済力など、中世寺社勢力の強大さは幕府や朝廷を凌駕するものだ。しかも、この寺社世界は、国家の論理、有縁の絆を断ち切る「無縁の場」であった。」

 文章の記述はもちろんですが、京、比叡山、高野山、根来寺などの中世地図が掲載されているのもポイントが高いです。

 

 実は数年前に同じ著者の次の本を買っていてツンドクだったのですが、最近ちゃんと読み始めたところ、ずっと前に出版された『寺社勢力の中世』が前提とされているように感じたのでそちらも買うことにしたのです。

 伊藤 正敏 著 『アジールと国家 中世日本の政治と宗教』筑摩書房 筑摩選書0185 四六判336頁 2020年2月発行 本体価格¥1,700(税込¥1,870)

 筑摩書房 アジールと国家 ─中世日本の政治と宗教 / 伊藤 正敏 著 (chikumashobo.co.jp)

 新書本である本書の方が『アジール・・・』よりずっと読みやすいし、一般向けです。

 なお、同じ著者がやはりちくま新書から『無縁所の中世』(2010年)という本も出しているようですが、こちらは残念ながら版元在庫切れ。

 

 

 ・山本 義隆 著 『重力と力学的世界 上』 筑摩書房 ちくま学芸文庫ヤ18-4 400頁 2021年2月発行 本体価格¥1,300(税込¥1,430)

 副題は「古典としての古典力学」。

 筑摩書房 重力と力学的世界 上 ─古典としての古典力学 / 山本 義隆 著 (chikumashobo.co.jp)

 ・山本 義隆 著 『重力と力学的世界 下』 筑摩書房 ちくま学芸文庫ヤ18-5 336頁 2021年3月発行 本体価格¥1,200(税込¥1,320)

 副題は同じく「古典としての古典力学」。

 筑摩書房 重力と力学的世界 下 ─古典としての古典力学 / 山本 義隆 著 (chikumashobo.co.jp)

 

 科学史の本で、元は1981年10月に現代数学社より刊行され、文庫化に際して上・下巻に分冊したとのこと。

 ケプラー、ガリレイ、ニュートン、デカルト、オイラー、ラグランジュ、ラプラス、ボルツマン、ケルヴィンらが登場します。

 今のところ、冒頭、ケプラーとガリレイの対比を読んでいますが、さすが山本さんと思わされる記述です。

 

 山本さんの同様の文庫本では、以前『熱学思想の史的展開』全3巻を書評で取り上げました。

 『熱学思想の史的展開1』 | 宇宙とブラックホールのQ&A (ameblo.jp) 計5回連載

 本書についてもできればちゃんとした書評を書きたいと思っていますが、どうなりますやら。

 そういえば、今気が付いたのですが、紙の本は筑摩書房のものが多いですね。

 偶然ですけど。

 

 

 ・川﨑 徹郎 著 『位相空間 例と演習』 共立出版 A5判348頁 2020年11月発行 本体価格¥3,700(税込¥4,070)

 位相空間 例と演習 - 共立出版 (kyoritsu-pub.co.jp)

 

 本書を買った動機ですが、以前次の本を買いました。

 Tai-Danae Bradley, Tyler Bryson, John Terilla 著、小森 洋平 訳 『圏論によるトポロジー』 森北出版 192頁菊判 2023年6月発行 

  圏論によるトポロジー|森北出版株式会社 (morikita.co.jp)

 これについては、以前の記事の最後の方で書誌情報を取り上げました。

 最近の読書と買った本(2023年9月) | 宇宙とブラックホールのQ&A (ameblo.jp)

 ところが、読み進めていくと、私の知らない位相の知識がかなり必要であることに気付き、位相は2度連載したからもういいや、と思っていたのを考え直して、再度勉強することにした次第です。

 

 著者の川﨑徹郎さんの著作では、以前『文様の幾何学』を取り上げています。

 『文様の幾何学』 | 宇宙とブラックホールのQ&A (ameblo.jp)

 

 本書『位相空間 例と演習』は、題名通り例示と演習問題が多数載っています。

 それだけでなく、巻末に演習問題の略答が掲載されているのが嬉しいです。

 本書と『圏論によるトポロジー』を参考にして、位相関係の記事をまた書こうかと考えています。

 「部分空間(相対位相)、商空間、積空間、余積空間」というのが一つ。

 「連結空間」関連でもう一つ。櫛空間(comb space)なんていうのも出てきます。

 圏論との関係で重要なのは「ベキ位相」ですが、残念ながら十分消化しきれていません。

 毎度のことながら、自分の頭の悪さを痛感します・・・

 いずれにしろ、予定は未定ということで。

 

 

 ★ 今日のロジバン 不思議の国のアリス119

   .i ca lo nu ba’o xruti lo jubme te zu’e lo nu cpacu cy cu facki lo du’u lo ni .abu galtu cu na banzu lo nu cpacu cy

  そして鍵を手にするためにテーブルのところに戻ってみると、手が届きません。

 ba’o : 完了/事後「すでにし終わっている」。相制詞ZAhO類。

 xruti : 戻す/返す,x1(者)は x2(対象)を x3に x4から;戻る/帰る,x2は x3に

 jubme : 机/テーブル/台だ,x1は x2(素材)・x3(脚/柱/台座)の

 tezu’e : ~を目的/目標として。法制詞BAI*類 <-zukte 「x3のために行為/実行する」

 cpacu : 入手する,x1は x2(対象)を x3(起源)から。-cpa-

 ni : 数量抽象。抽象詞NU類。範囲が限られていない尺度を使うことが多い

 galtu : 高い,x1は x2(照合枠)・x3(基点)において。-gal-, -ga’u-

 banzu : 足りる/充分だ,x1は x2(目的)に関して x3(条件)において。-baz-

 

 冒頭は間制節 { ca lo nu ba’o xruti lo jubme te zu’e lo nu cpacu cy } 「鍵を手にするためにテーブルのところに戻ったとき」です。

 字詞 cy は { lo ckiku } 「鍵」の代項詞です。

 主述語は { cu facki } で、そのx1はアリスでしょうが省略されており、x2は { lo du’u lo ni } 以降最後までの抽象節です。

 抽象節内の主述語は { cu na banzu } 「十分ではない」で、そのx1が { lo ni .abu galtu } 「アリスの身長」、x2が { lo nu cpacu cy } 「鍵を手にする」です。

 出典は、

 lo selfri be la .alis. bei bu'u la selmacygu'e (lojban.org)