書名:忍びの副業 上
作者:畠中恵(はたけなかめぐみ)
出版:講談社
内容:安永七年、徳川家治の治世。滝川弥九郎(たきがわやくろう)・望月十郎(もちづきじゅうろう)・土山蔵人(つちやまくらんど)は甲賀忍びの末裔。かつて戦国の世では、忍びは戦の勝敗の鍵を握る者だったのに、今やただの警護の者になっていた。日がな一日、江戸城の門近くの番所に座っているだけ。おまけに上がらない俸禄を傘張りの内職などで補わなければならぬ有様だ。忍びの技は親から子へとひっそりと伝えられているが、それを使って何かをなす機会もない。ところが、鉄砲百人組の三人は表右筆(おもてゆうひつ)に用を頼まれる。風で飛ばされた書類を取りに江戸城本丸御殿の屋根に登ってほしい。何で今更忍びの技を求めるのか疑問に思ったものの、蔵人の姉・吉乃の嫁入り道具を買う金を必要としていた三人は、忍びの副業を受けることにした。弥九郎が若い武家に姿を見られるという失敗をしたが、書面を集めて騒ぎにもならず仕事を終えた。半月後、吉乃と御庭番の縁談が破談となり不機嫌な三人を、西之丸小姓組・羽奈森恵吾(はなもりけいご)が呼び出す。富士見櫓に登り上様の猫を屋根から下ろしてくれというのだ。得意の打鉤(うちかぎ)で櫓に登った弥九郎は助けた猫を室内の若者に手渡し、お礼を受け取るが、巾着の中には金子(きんす)と書き付けが入っていた。書き付けには吉乃の縁談相手・中村家が問題を抱えていると書かれていた。三人が忍びらしく真相を探り始めると、同じく変装した御庭番が現れ破談の理由を教える。忍びの怪しい噂が原因と聞いた三人は、忍びの技が危険視されていると指摘される。三人は御庭番とともに西之丸の裏門で羽奈森恵吾と会い……。忍びは再び輝けるのか?