シーリと氷の海の海賊たち | kanoneimaのブログ

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私的備忘録

書名:シーリと氷の海の海賊たち
原題:Ishavspirater
著者:フリーダ・ニルソン(スウェーデン作家)
出版:岩波書店
内容:氷海(ひょうかい)の海賊たちを束ねるユキガラス号の船長シロガシラは、あらゆる島の皆に恐れられている。長く白い髪を貴婦人のように結ったシロガシラは、奪った財宝は手下たちに与え、自分はダイヤモンド鉱山で働かせる幼い子供を欲しがる。十一月のある日、青あらい島の青入江という村に住む十歳の少女シーリは妹ミーキと家族が所有する小島・鉄のリンゴ島にベリーを摘みに出かける。ベリーが思うように収穫できないことに焦れたシーリは、海賊を怖がるミーキを一人で島の反対側に行かせた。ふいにミーキの悲鳴が聞こえ、シーリが島の反対側に駆けつけると妹の姿はなく、ボートに乗った四人の男が妹を攫ってゆく姿が見えた。急いでボートを漕いで青入江の港に戻ったシーリは、村の皆に妹が連れ去られたことを訴えたが、海賊を恐れて誰も追いかけようとしない。ただ一人、姉妹の父親だけが取り戻しに行くと宣言した。父親は七十歳近くで、怪我の後遺症で足を引きずって歩く。きっと海賊を追って出かけたら戻って来れないだろう。母親は妹を産んで亡くなったから、父親が居なくなればシーリは一人ぼっちになってしまう。明日の朝に出発すると言って就寝した父親の荷物を持って家を抜け出したシーリは、海賊が集まる帆の村へ航海する貨物船・北極星号の船長ウールストロムに乗組員として乗船させてくれるように頼む。シーリの事情を知った船長がシロガシラを恐れて断ろうとした時、北極星号の料理人フレードリクが厨房助手として雇うと言ってくれた。実はフレードリクも少年時代に妹を海賊に連れて行かれており、シーリに協力を約束する。喜ぶシーリだが、北極星号が寄港したオオカミ諸島で船長に騙されて置き去りにされてしまった。そんなシーリに一夜の宿を提供したオオカミ狩人の女性・ナンニは、「あんたは狩人に向いてる」と言う。その提案を断ってナンニの小屋から出て行ったシーリは、港で怪しげな二人組・つるつる頭とひげ面(づら)が話している計画を聞いてしまう。二人組は「シロガシラの仲間になる」ために漁船を盗んで海賊を追いかけると言う。シーリは二人組の目を盗んで漁船に便乗する。だが密航していたことが二人組に見つかり、シーリは嵐の中の海に放り出された。運良く氷山の岩棚に着地して溺死をまぬがれたシーリは、浮氷(ふひょう)伝いに無人の岩礁にたどり着く。寒さと空腹に震えるシーリは、そこで人魚の子どもを見つける。此処には人魚の暮らす洞窟があったのだ。シーリが人魚の子どもとの暮らしに慣れた頃、子どもとはぐれていた母親が戻ってきた。人魚の母子が泳ぎ去ってしまうと、海面が凍り始める。シーリは凍った海面を歩いて人が住む島を目指すが、途中で吹雪に遭って何も分からなくなってしまった。岸壁に避難したシーリが吹雪が止んだあと見つけたのは、船首にオオガラスの木像がある船・ユキガラス号だった。ついにシロガシラの鉱山を見つけたシーリは、焦って斜面から落ちて気絶してしまう。次にベッドで目を覚ましたシーリは、おもて島の帆の村で修理屋をして生計を立てる未亡人アンナと息子のエイナルが暮らす家にいた。シーリはこの家のドアの前に倒れていたと言うが……。冒険ファンタジー。
※2015年初版
※本書は、スウェーデンで2012年12月に放送された子供向けのラジオドラマがもとになっている作品