Issay's Essay -17ページ目

中学生の体験学習②-1 —学習まで—

697 ラジオ体操とアウディーのオープンカーの屋根開閉に感激した生徒さん

 5月下旬になって、友人から「うちの会社で体験学習を久しぶりに行うことになったが、もう一度記録に残しておきたいが写真を撮って貰えないだろうか?」と話があった。かれこれ10年位前に撮影した記憶はあるが、最近の中学生にも会いたいと思った。
 この2年ばかりコロナ禍でこうした学校行事が中止となり、企業としても久しぶりの社会貢献、若者に接することで社員の刺激にもと期待があるようだ。
 2日間、早起きして30年以上前のサラリーマン時代の出勤を思い出しながら、バスを乗り継いで始業10分前にK社に到着したら、ここの社員はほとんどが既に出勤していて、体験学習の生徒さんと一緒に構内の掃除をしていた。
 間もなくラジオ体操、始業開始は外の広場に集まっての朝礼である。業務連絡と生徒さんの紹介、その後、何時も声を出しておられるのか、お客さんへの挨拶『いらっしゃいませ』『有難うございました』など、数種類の声出し、お辞儀の合同訓練。体操から10分ばかりで終了。
 朝の出勤時間だけでも、生徒さんには学校とは違った大人社会、職場の雰囲気を緊張して身近に感じることがあっただろう。
 私が通勤していた当時の感覚とは違うものがあったので、それとなく上司に「皆さん早い出勤ですねぇ」と聞くと「年を取ると、早よう目が覚めますし、車の渋滞前に皆が出勤されますので・・」。
 K社は、従業員25名ばかりで車両販売及び整備が主な仕事(ほかに保険業務などもある)で、今回はN中学校から3名が派遣されていた。
 その実体験の前に、先ず社内各所でどのような仕事(作業)をするかの説明があった。
 車の販売だけでなく、修理は日本車に限らず外国の高級車まで突然に入ってくるので、これに対応できる設備と技術が必要で、社員はほとんど整備士免許や検査員の資格を持っていて、時代の変化に適格に対応できる姿勢と健康であることが必要だと話が始まった。
 構内の照明や環境などの説明、仕事としては車の構造や取扱いを知りながら、エンジンなどはもちろんだけど、洗車の心構えタイヤ取り換えの時期やそのバランスなど、様々にチェックや修理もある。しかし社員としては、故障した車が元気になってお客様にお渡したときの反応で、仕事をやり終えた実感と楽しみをあじわうことになる。それだけにお客様の車は大切に扱い丁寧に仕事をしますよ。
 1時間ばかり、現場を回りながらこうした説明を聞いただけでも、生徒さんたちは、働くこと作業する意欲、態度などを理解し感じたことだと思うし、自分に対しても価値観への自覚、夢や希望の実現への態度を育むきっかけとなったであろうか。
 友人の講師は、突然「この人はある会社で責任のある立場で働いていた私の友人だが、それよりも下関いや山口県でも知られた写真の先生で、今日の様子を記録してもらってるが、・・・・あんたも何か話してよ‥」と振られた。
 咄嗟のことだったが「皆は、N中学校だよね。今の外務大臣は誰か知っていますか?」「??」突然で思い出せなかったか?これには一寸驚いたが、こうした身近な社会問題は学校の朝礼でも話し合ってほしいと思った。「N中出身で西高、東大に、みんなの先輩なんだよ。一生懸命の勉強も良いけど、最近の様子を新聞やテレビで知ったり、郷土のことにも関心を持ってほしいな。そして、携帯やスマホばかりでなく、たくさんの本を読むことで活字の間にある想像力を発展させてほしい」と言っておいた。
 写真は、ラジオ体操とアウディーのオープンカーの屋根開閉に感激した生徒さん

あや舞さんの笑顔

696 『ガブリエルとオーボエ』の舞台と神代さんのインタビューに答える花柳あや舞さん(右)

 かれこれ10年位前に、AYAKOモダンバレエスタジオの公演のことをこの欄で書いたことがある。それはスタジオ30周年記念公演の時で、その時すでに亡くなられていた篠崎綾子さんが振り付けされていた「ボレロ」が日舞とのコラボレーションで発表され、感激しての状況報告のようなものだった。
 この度、第9回の発表会となるご案内を、スタジオを運営をされている花柳あや舞さんからのご招待があり、このプログラムには「篠崎綾子20回忌記念」とあった。
 前日までは晴天続きだった下関は、当日、篠崎綾子追悼記念の涙雨になり一寸荒れ気味の風雨の中を会場に着くと、そこは一変して華やかな雰囲気だった。
 あや舞さんのメッセージには「この20年間、叔母の残したものから新しい域へとスタジオが成長していることを感じます。これも叔母がお教室を託した稲田佳代先生が真面目に丁寧に指導、生徒さんたちを導いて下さるおかげと感謝しています」と書かれているように、綾子さんの「踊る気持ちを大切に」という心が、伝承されているのだろう。
 叔母・篠崎綾子さんは洋舞だが、綾子さんの姉は花柳三吉さんで日舞の重鎮、花柳あや舞さんの母である。三吉、綾子姉妹は昭和30年代ころ市内彦島に住まれていて、私たちの友達らと花見や何かの時に集まって一緒に語り合った仲間だった。バレーの綾子さん(あやちゃん)は仲間たちと一緒に、私たちのモデル撮影会にも協力参加されていた。
 今回の発表会で、司会を務めた声優の神代知衣(花柳百吉)さんは、下関出身で、3歳から20歳まで三吉さんに師事された名取で、先帝祭の振袖太夫も務めたとプロフイルにあったが、綾子さんの思い出を「金髪の長い髪を三つ編みして颯爽と町中を歩いていましたよね‥」と話されていた。
 発表会のプログラムは、2部構成で、第一部は現在のスタジオの皆さんが中心で、ほとんどが、稲田佳代さんの振り付け指導によるもの、第二部はスタジオシニアによる迫力ある「ボーグ」に始まり、2曲目が私待望の、早川マイ(チェロ)井戸ひろみ(ピアノ)さんによる『ガブリエルのオーボエ』の演奏で、花柳あや舞(日舞)稲田佳代(洋舞)さんが舞う4人のコラボレーションである。そのあとの12曲は篠崎綾子作品集、これにはOBやOBのスタジオ会員らも賛助出演して続き、最後に稲田佳代さんの自作自演で終了する。今回は、あや舞さんの記録だけと思っていたが、結局、全曲を1カットでも納めておこうかと手持ちながら記録していた。
 待望の『ガブリエルのオーボエ』は、私の知らない曲で特別な知識もなく、オーボエを低音のチェロに置き換えての演奏だろうか?などとも思いながら、舞台左の演奏者を撮影し、右に転回してあや舞さんを撮影、全景の4人をと撮影している間に曲は終わってしまった。プログラムを頂いたとき前もって曲を調べなかったのが失敗だった。
 「美しい旋律で深く心に残る、何とも癒される曲だなぁ」と、ゆったりと表情を見ながら撮影していたので、枚数も行かないままあっという間に終わってしまった。その間2分ばかりだっただろうか。
 毅然とした日舞のあや舞さんの崇高な姿に、助けを求め、すがるように稲田佳代さんが舞う様子に、ふと、横暴なロシアの侵攻に対するウクライナの人々の心情と悲哀を感じたのは私だけだったろうか。
 そのあと演奏演者4人に神代さんのインタビューがあったが、あや舞さんはその演技に何と答えられたか、ふと笑みを浮かべた。花柳あや舞さんは2014年、稲田佳代さんは2017年に、下関市芸術文化振興奨励賞を受賞された市内でも嘱望された芸術家、実力者である。その笑みは、20年目にしてみせた叔母・綾子さんへの照れ笑いであったかもしれない。
 写真は『ガブリエルとオーボエ』の舞台と神代さんのインタビューに答える花柳あや舞さん(右)

角野栄子さん突然の来関

695 清末小でお話をされる角野栄子さんと取材中の会場

 コロナ禍でしばらく選書会の取材も遠のいていたが「こどもの広場」の横山さんから「角野さんが選書会に来られるよ」との連絡があった。『魔女の宅急便』で知られる童話作家の角野栄子さんである。最近は、角野さんの作品の背景を取り上げた本も多く出回り、NHKでも環境と暮らしをテーマとしたシリーズが放映されたが、その続編であろうか?取材を目的にした下関訪問と聞いた。
 「下関は第2の故郷のような存在」と公言されるほど、横山さんと長いお付き合いがあり、その作品にも登場するし、海峡沿いのマンションを視察されたこともあった。
 今回は、選書会に姿を現す角野さんを主題に、幾らか下関も紹介されるのか、海峡沿いの唐戸周辺や巌流島でもロケが行われた。巌流島は、以前Pホテルに泊まられたとき朝の光で目の当たりにした島の名前を訪ねたときに「巌流島」と聞いて、ふと子供のころ父親から「巌流島の話を聞いた」ことを思い出し、いつか渡ってみたいと思い続けていたのが実現し、島に上がったとき思わずこみ上げるものがあったと後に聞いた。
 さて、その選書会の場所は市内東部の清末小学校(原田貴司校長・児童数482名)講堂(体育館)である。私が着いたときはマイクのテスト中で、今までマイクを使用した選書会は無かったので、テレビ取材には必要なんだろうな!と思っていた。
 以前この学校に来たのは20年前で、その時は1~3年生と4~6年生の2回だったと記憶するが、この日の選書会はある程度の蜜を避けてか?三回の実施となっていて、最初は低学年の1~2年生からとなっていた。
 講堂の入り口には手の消毒用噴霧器があって、1年生でも要領よくこれを利用して入って来る。ここで写真を撮っていると大きな声で挨拶され「活発だなぁ」と驚いた。
 密を避けたとは言っても、1~2年生でマイクなしでは無理だなと思うほどに児童はいっぱいになった。平素、あまり小学生を見かけない地域に住んで居る私にとっては驚きの人数である。「子供さんが多くて大変ですねぇ」と近くの先生に話しかけると「幼稚園の子も増えていますから、まだまだ児童数が増えますよ!」という先生の話である。この近郊では住宅化が進んでいて、人口減少の下関市としては有り難いことではあるが、市内の小学校統合問題など複雑な思いも感じた。
 例によって、横山さんの名調子でブックトークが始まり一回目の選書会は終わった。
 引き続いて二回目は中学年3~4年生であり、この時すでに角野さんは会場の後方で児童の入場からの様子を見て居られた。横山さんが「アッチ」のぬいぐるみを手にして「もう皆さんは、これはなんだか知ってるよね!こんにちわ‼」と挨拶そして要領よくブックトーク。それから子供たちは本選びに散らばって、いつもの様に思い思いの本をえらび、また余りの時間に好きな本を読んでいるのである。NHKはこの様子を取材し、集合時間が来るとまた元通りに児童が整列。ここで横山さんは「実はね、アッチのおかぁさん角野栄子さんが、皆さんの様子を後ろで見て居られました。今からここでお話して頂きます」と、角野さんの入場。皆ンナのざわめきと拍手に迎えられた、にこやかな角野さん。
 最初は「アッチやコッチ、ソッチなどが作品に登場する背景などの話をされていたが、とにかく沢山の本を読んで、いろいろと想像するの、そしてお話をつくりだすの」続いて「ナゾナゾの本があるけど、わかるかな」問題を出して、皆ンナが手を挙げて答える、合っていたら、角野さんは「正解」といい、皆が拍手。こうして2問が終わって「ナゾナゾを解くことも面白いけど、今度は自分で作ってみて、おかぁさんでもいいから出してごらん」などと、いわゆる創造力こそが大切だと話を展開された。
 この後、第三回目の選書会は上学年に行われたが、角野さんは校内放送で皆さんに挨拶する段取りに向かわれた。これらはNHKのシナリオに沿っての演出なのかもしれない。
 さて、角野さんは創造性を児童に話しかけられたが、NHKの作品は如何なものになるだろうか。「秋ごろの放映と思います」と言われたが、まだはっきりしていない。
 写真は清末小でお話をされる角野栄子さんと取材中の会場