司法書士の山口です。
今日はクレジットカードの現金化について。
結論から言って、クレジットカードの現金化はやめたほうがいいです…。
・クレジットカードが使えなくなる
・一括請求を受ける
・債務整理の条件が悪くなる
こんなリスクを伴います。
やったことがある人は、これ以上やらない。
現金化を考えている人はここで踏みとどまりましょう。
①現金化が増加した背景
今から約14年前の2010年に総量規制というものが開始されました。
「年収の1/3以上のお金は借りられない」このルールが特徴のものです。
消費者金融やクレカでお金が借りれなくなり、自転車操業だった人はパンクしました。
しかし、この総量規制は???という逃げ道もあった、
ショッピング利用と銀行のカードローンは、総量規制の対象外だったのです。
つまり、年収1/3以上でもクレカで買い物できる。
銀行のカードローンではお金を借りられる。
その結果、消費者金融やクレカでお金を借りれなくても、ショッピングしたものを現金化する。
こうした方法で、現金を手にする(お金に換える)人が増えたのです。
銀行のカードローン利用者も、この頃から増えてきました。
②クレカのショッピング枠を利用した現金化
例えば、クレジットカードで、ブランド品・金券など換金率の高い商品を購入する。
これを大黒屋さんやお宝屋さんのような質屋や、金券ショップで換金する。
これが、クレジットカードのショッピング枠を利用した現金化です。
これ知らないでやってる人もいると思うのですが、現金化はクレカの利用規約違反です。
クレジットカードの会員規約では、「売却目的(現金化)でのショッピング機能の利用を禁止」しています。
最悪の場合、カードの利用停止や、会員資格がはく奪され残金の一括請求となります。
ぶっちゃけ、数万円単位の1回やったぐらいでは分からないでしょう。
カード会社も「確実に現金化してるな!」と確信持たない限りは、詰めませんからね。
言うても大事なお客様ですし、何百万といる会員の1人の行動を追いかけることはできないですしね。
しかし、何回もやるとバレますよ。
例えば、自分で転売して現金化する場合のケースなら、
・回数券とかチケットを頻繁に買う人。
・ブランド品を頻繁に買う人。
目立ってくるとさすがに分かりますからね。
③業者によるキャッシュバック型の現金化
現金化業者としては、普通にこんな感じで上のようなWEBサイトがあります。
現金化を行っている買取業者で商品を購入。
例えば、1万円の商品を買ってもらって、9000円をキャッシュバック。
そうすると手数料で1000円抜ける…これが彼らの利益ってわけです。
キャッシュバックの還元率は業者ごとに異なります。
ざっとネットを見たところ、5%~10%ぐらい?
新規だとかなり還元率高めにしていますね…リピートで徐々に高くなるのでしょう。
この現金化業者は、いわゆる「差額手数料で儲けている」のです。
これは利息で考えたらとんでもない高さですからね…
完全なぼったくり商売です。
キャッシュバック型のホームページを見ると、
「即日現金」とか「現金化サービス」のように宣伝され、さも許された行為のように見えます。
しかし、これを普通だと思ったらダメ。
何度も言いますが、現金化はクレジットカードの利用規約違反です。
そして、先払い買取現金化。
これに至っては、さらにアウト。
クレカの現金化と区別がつきにくいかもしれませんが、注意しましょう。
④現金化は犯罪なの?
実際のところ、現金化業者は、明確な取り締まりもされていません。
違法なんだか、グレーなのかよく分からない存在…。
過去、現金化業者にいくつか逮捕事例はあるのですが、
・実際は闇金だった(出資法違反)
・実際には物の購入がない
・巨額の脱税をしている
などが原因で逮捕されている。
クレジットカードの現金化、これが理由で逮捕されているわけではないようです。
一方で、何度も言っていますが、現金化はクレジットカードの利用規約違反。
ばれたらカードの利用停止・一括請求は避けられません。
そして、カード後払いで購入した物。
これは代金完済まで、所有権はクレジット会社にあるのが基本ルール(所有権留保)。
代金完済できなくなったら、物の返還を求められても致しかたないわけです。
また、クレジットカード会社の会員規約に規定しているのを知って(故意で)いる場合。
現金化を常習的に行っていたら、カード会社への詐欺行為と見られても仕方ないかもしれません。
⑤債務整理をした場合の影響は?
現金化をすると、債務整理をした場合に厳しい状況に追い込まれることもあります。
まず、任意整理では、和解条件は厳しくなります。
普通だったら、利息カットの5年払いとかでいけるものも3年になったり、
消費者金融のケースだと「1年内に払ってくれ!」というのもありました…。
クレジットカード会社は、絶対にショッピングの現金化は許さない。
これを許したら、自分たちの商売を否定するものになってしまうから。
そして、自己破産では、もっともっと厳しくなります。
破産法252条の「免責不許可事由」に該当するからです。
免責不許可事由とは、破産を認めない事項が記載されたもの。
破産の申立書にも「初めから金銭に変える目的で物品の購入をしたことがありますか?」などの記述もあります。
これがいわゆるショッピングの現金化のこと。
もちろん、しているならイエスと答えなければいけない。
これがまずいと思って、嘘ついてノーにしたら、もちろん余計危ないことになる。
(そもそも、虚偽の申述も免責不許可事由です)
結局のところ、こんなのは調べれば、やったかやってないかは分かってしまう。
そして、そういうのを調べるために、破産管財人が存在します。
嘘ついたところでバレます。
また、この破産管財人がつくと、破産事件もコストはかかるし、期間は長くなるし…ってことになります。
破産管財人のコストは、どこの裁判所に申立てるかであったり、
少額管財か?などの事情によっても変わりますが、15万円~30万円ぐらいが相場。
管財人の調査が行われるので、同時廃止(簡単な破産事件)のゆうに2倍以上の期間はかかります。
郵送物とかも怪しいのがないかチェックが入る。
家の郵送物が一切届かなくなる期間があったりと(その間は破産管財人に郵送物が転送されます)、色々不都合が出てきます。
それでいて、ひどい換金をしてると、破産の免責は通らない可能性もある。
一部免責か、個人再生への意向になるケースも。
そうなると、ショッピングの現金化分は、自分で払っていかなければならないケースもあります。
⑥現金化はやってはダメ!
こうしてみると現金化って、かなりリスクだと思いません?
現金化したって小金しか入らないのに、最後の救済策である債務整理でも状況が悪くなる。
現金化をしても、根本的な解決には至りません。
そこで小さいお金獲得しても、また来月どうするの?ってなるわけです。
再来月は?半年後は…?1年後は?
ずっとこの問題はつきまとうというわけです。
こういうの諸々考えると「債務整理する」。
王道ですけど、これがもっとも安全な方法だと思います。
任意整理のHP
当事務所の任意整理専用のホームページです。
無料相談は、こちらからどうぞ。
(にほんブログ村ランキング)
(人気ブログランキング)
記事が参考になったらバナーのクリックをお願いします(^.^)