本作品がデビュー作となる夏也園子氏。
「夏也」は「かや」なのか、「なつや」なのか不明。
携帯小説サイトでホラーサスペンスの作品を執筆。
本作品『フェチクラス』でデビューし、漫画化されている。
『アンケート』で第1回ノベリスタ大賞、
準大賞を受賞。
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岡山県立南ヶ丘高校の女子生徒が遺体となって発見された。
両足が根元から切断された殺人事件は同じ県立の県内で五指に入る進学校・青凜高校でも話題にのぼっていた。
特別進学クラスの生徒・橘智也は、3人目の被害者である南ヶ丘高校の女子生徒脚を思い浮かべて、あれは最も理想的な脚だったとほくそ笑んでいた。
被害者がモデル体型で、この特進クラスにも被害者になりそうな女子生徒がいると友人・宮田侑季が見た視線の先には、特進三代美少女の1人と言われる早川杏莉がいた。

放課後、宮田が杏莉に玉砕覚悟で告白しに行くと言うのを聞いた橘は一度家に帰ってから、2人を探しに出かけた。
杏莉の脚が他の男のものになるのが許せなかったのだ。

翌日、特進クラスの教室では担任が橘の葬式について生徒たちに話をしていた。
今朝のニュースで橘が何者かに殺害され、腕が切り取られて発見されたことは学校中に知られていた。
重苦しい雰囲気の教室の中で、机に突っ伏して肩を震わせている女子生徒・加賀美蓮花はホームルームが終わっても顔を上げず、親友・佐藤穂奈美は心配して背中をさすっていた。
穂奈美は蓮花が橘を好きだったことを知っていて慰めるため隣に居続けた。
蓮花は穂奈美がなかなか離れてくれず、涙を流そうと頑張っているのに「ウザい」と思っていたことを放課後電話でこぼしていた。
電話の相手が会いに来ると決まると部屋にある小型の冷蔵庫の中のものを見られないから、と冷蔵庫を開け、中にある腕ににっこり微笑んだ。
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かなりグロテスクな表現が多い。
タイトルからわかるように、体のある部分に対して異常に執念を燃やし、切り取ったり自分のものにするために相手を殺してしまう人たちが出てくるホラーであり、サスペンスの要素を持った話。
ひとクラスがおかしくなっていく様子から、まるで携帯小説から始まった金沢伸明氏の『王様ゲーム』のようだなと思った。
幼馴染の3人の人間関係にも話が及んでいるが、無駄に恋愛の要素が入ってくるのではなく、自然に物語に必要な状態で入るので、そこがいい。
なぜ悲惨な事件を起こしたのか?については、あまり納得できない異常さがあるが、そこはフィクションということで、いいのかもしれない。
表紙が可愛らしい絵なのだが(部分的にカワイイだけじゃないところもあるが(笑))、中身はかなり壮絶。

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