メランコリック(ネタバレ) | 三角絞めでつかまえて2

メランコリック(ネタバレ)

メランコリック



2018/日本 上映時間114分
監督・脚本・編集:田中征爾
プロデューサー:皆川暢二
撮影:高橋亮
録音:宋晋瑞、でまちさき、衛藤なな
特殊メイク:新田目珠里麻
助監督:蒲池貴範
TAディレクター:磯崎義知
スチール撮影:タカハシアキラ
製作補助:羽賀奈美、林彬、汐谷恭一
出演:皆川暢二、磯崎義知、吉田芽吹、羽田真、矢田政伸、浜谷康幸、ステファニー・アリエン、大久保裕太、山下ケイジ、新海ひろ子、蒲池貴範
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パンフレット:★★★☆(700円630円※会員価格/手作り感あるパンフ。ストーリーが最後まで書かれているのが好き)
(あらすじ)
名門大学を卒業後、アルバイトを転々とし、うだつの上がらない生活を送っていた和彦。ある日、偶然訪れた銭湯で高校時代の同級生・百合と再会した彼は、そこで一緒に働かせてもらうことに。やがて和彦は、その銭湯が閉店後の深夜に浴場を「人を殺す場所」として貸し出していることを知る。さらに、同僚の松本が殺し屋であることが明らかになり……。(以上、映画.comより)

予告編はこんな感じ↓




90点


※本作は、ネタバレを知らないで観た方が絶対面白いので、変なところがあっても「月〜金までサラリーマンとして働いている監督が頑張って300万円くらいで撮った低予算映画なんだから仕方ないよな (´∀`) シカタナシ」とスムースに飲み込める人は、ぜひ劇場で観てから読んで!
※今回の記事は、「悪の法則」のネタバレに触れているので、観てから読んで!
※今回の記事は、映画とは関係のないNOROKE要素が唐突に書かれていたりするので、そういう文章が苦手な人は読まない方が良いです。


今年の7月30日、アップリンク吉祥寺に入り浸って「主戦場」とか3本ほど映画を観たんですが、どの回でも本作の予告編が流れまして。それなりに面白そうに感じたので、「2019年8月公開の観たい映画の覚え書き」では「○」を付けたんですけれども。8月30日(金)、愛聴しているラジオ番組「アフター6ジャンクション」の週刊映画時評コーナー「ムービーウォッチメン」の今週の課題作品になったので、9月3日(火)の会社帰りに観ようと思ってチケットを予約しといたら、仕事が遅くなってしまい、すっかりお金を無駄にしたという体たらくですよ。


せっかく予約したのに無駄にしたチケット… (ノω・、) クヤシイ


僕の気持ちを代弁する範馬刃牙を貼っておきますね(「グラップラー刃牙」より)。



だがしかし、「涙が乾いた跡には 夢への扉があるの♪ (´∀`=し」と心の斉藤由貴さんが歌ってくれたのでね、翌4日(水)、おろし立ての笑顔で思いっきり仕事をサボって(社会人失格な文章)、新宿で「風をつかまえた少年」を観てから、アップリンク渋谷で鑑賞いたしました(その後、「Diner ダイナー」「永遠に僕のもの」をハシゴ)。「これは大好きッ!(*゚∀゚)=3 ムッハー!」と思ったり。放送前にアップできなかったので、こちらにツイートしたりもしましたが、何はともあれ、感想をダラッと垂れ流しておきますよ。


吉祥寺の借りは渋谷で返す(なぜ?)。スクリーン2、満員でした。



なんとなく岡村靖幸さん「だいすき」を貼っておきますね↓




あらすじを適当かつ超雑に書いておくと、主人公の和彦は、東大を卒業したものの就職せず、実家に住んだままフリーターとして暮らしてましてね。ある日、ひょんなことから近所の銭湯「松の湯」に行ってみれば、高校の同級生・百合と会いまして。「彼女の勧め&彼女にまた会えるかも」ということで、その銭湯で働き始めてみれば、なんと夜間はヤクザ・田中の依頼で「人間を拉致→殺害→処理していた」から、「マジか!Σ(゚д゚;)」と。とは言え、銭湯のオーナー・東に頼られるのはうれしいし(「処理」のギャラもイイし)、同じバイトの松本(実は殺し屋)にライバル心を燃やしつつもそれなりにウマが合うし、百合とも付き合うことになったし…と、順風満帆かと思いきや。あーだこーだあって、田中の魔の手が自分に伸びてきたので、松本と共闘して田中&東を射殺! で、実業家として成功していた高校の同級生・田村に「松の湯」のオーナーになってもらって、和彦は雇われ店長となり、一度は別れた百合とヨリを戻しつつ、松本&田中の元恋人アンジェラと4人で飲んで、終わってたんじゃないかしらん。


ひょんなことから裏社会に足を踏み入れるも、最後は銭湯のオーナーになるのでした。



いや〜、面白かったです!(*゚∀゚)=3 ムッハー 作品を振り返ってみれば、いわゆる「巻き込まれサスペンスコメディ」だったワケですけど、なかなか先が読めないストーリーでしてね。僕はタイトルと題材から地獄のような話になるかと勝手に予想していたというか、実際に終盤ぐらいまでは「悪の法則」のような「恋人が殺されるエンド」もあるんじゃないかとドキドキしていたので、終盤、和彦が松本と一緒にヤクザの田中を殺しに行くことになった展開はビックリしたし、田中と東を射殺して逃げる際に車が運転できなくてドタバタするくだりは予想外すぎて爆笑したし、「銭湯の雇われ店長になる」というハッピーエンドにも意表を突かれましたねぇ…(でも好き)。スゲー笑ったのが、撃たれた松本を実家に運び込んだくだりで、和彦の両親が「銭湯も大変なのね (´∀`(´∀`し アラアラ」って感じでスムースに受け入れて一緒に食卓を囲むくだりは「団欒じゃねェかッ!Σ(°д°;)」と度胆を抜かれたし、実に新しい展開だと感心いたしました。


和彦の両親が松本やヤクザの情婦と食卓を囲むシーンはこんな気持ちになったというね(「範馬刃牙」より)。



まぁ、本作の面白さって「予想がつかない」だけではなくて。「銭湯が殺し屋の死体処理場になっている」という設定がユニークだし(確かに合理的!)、和彦と松本のバディ感はなかなか楽しいし(立場は違えど、目的なく生きてきた同士)、「働くことに意義を見出せなかった男が、いろいろあって、“守りたいもの”のために反感を抱いていた元同級生(でも実際はそんなに悪い奴じゃない)に頭を下げてオーナーになってもらう」という人間の成長譚としてもグッと来るし、ヤクザ・田中と銭湯のオーナー・東の関係や、松本の「自分がやっている仕事について深く考えない」という姿勢が「現代社会の縮図」っぽいのも良かったし…(最後に東が保身のために和彦たちを裏切る展開も含めて)。あと、「東大卒だから働かなくちゃいけないの?」とか「趣味がないとダメなの?」」といった、僕らが勝手に“普通”とか“常識”とか思いがちな事柄の欺瞞性について考えさせられたのも好みでしたね。


こういう銭湯を活かした絵作りも見事でした。



なんとなく元になった短編のダイジェスト版(この時は銭湯要素ナシ)を貼っておきますね↓




役者さんたちも素晴らしかった! 皆川暢二さん演じる和彦のビジュアル&挙動&話し方は、島本和彦先生とココリコの田中直樹さんを足して2で割ったっぽいと思ったんですが、何よりも僕の中学時代の友だちはあんな人が多いだけに、他人事に思えなかったです。磯崎義知さんが演じた松本も飄飄とした雰囲気が良かったというか、「憎めない奴」って感じで可愛かったですな。あと、東役の羽田真さん、ヤクザ・田中役の矢田政伸さん、先輩従業員兼殺し屋・小寺役の浜谷康幸さんとか、和彦の両親役の人たちとかとかとか、本当に良い役者さん揃いで、「実力のある人ってまだまだいるんだなぁ (゚⊿゚)」と。ただ、僕的に一番ハートを掴まれたのが、和彦の恋人・百合役の吉田芽吹さんで、正直なところ、あまりに主人公に好都合なキャラではあるものの(好感を持ってくれて、別れ際も物わかりよくて、さらに最後も許してくれるっぽいってさぁ…)、実は僕の奥さんに少し似てましてね(微笑)。「付き合い始めのころはこんな感じだったっけなぁ」と昔を思い出したりして、彼女が出てくるたびにホッコリした…というNO-RO-KE!m9・∀・) ビシッ


途中で死ぬ小寺役の浜谷康幸さん、「殺し屋ってこんな感じカモ… (´Д`;)」と思わされる存在感でした。


田中役の矢田政伸さん、ジョアキム・デ・アルメイダっぽい厭な奴(誉め言葉)でしたな。


吉田芽吹さん、僕と結婚していたのです(いろいろと電波な文章)。



そりゃあ、気になるところもあるというか。殺し屋がケチャップを血と見間違えるのはどうかと思うし(いくら驚いたにせよ)、「ヤクザの田中を殺しても報復されない」ってのは飲み込みづらいし、燃やすシーンだけでなくもっと具体的な死体処理描写(トリビア含む)が観たかったし、本作のアクションは凝ってて面白いものの作品的にはもっとシンプルで良かった気がしたりもしたんですが、しかし。「月〜金までサラリーマンとして働いている監督が頑張って300万円くらいで撮った低予算映画」なんだから、まぁ、許す (´∀`) エラソウ ハッキリ言って、もう1回観に行きたいほど面白かったし、大好きな作品でしたよ。監督の田中征爾さん、主演兼プロデューサーの皆川暢二さん、タクティカルアーツ・ディレクター兼松本役の磯崎義知さんは「One Goose」なる映画製作チームを結成して活動しているそうですけど、これからも頑張ってほしいなぁと。まぁ、何はともあれ、拡大上映も決まったみたいなのでね、このブログと好みが合う感じの人は、ぜひ観てみてくださいな。




監督曰く、本作に影響を与えたアメドラ。全話観ましたが、スゲー面白いです (o^-')b オススメ!



監督曰く、本作に影響を与えた映画。僕の感想はこんな感じ



昨年大ヒットした低予算映画。僕の感想はこんな感じ



タイトル繋がりで連想したラース・フォン・トリアー監督作。僕の感想はこんな感じ