大人のためのグリム童話 手をなくした少女 原題:La jeune fille sans mains
2016/フランス 上映時間80分
監督・脚本・編集:セバスチャン・ローデンバック
原作:ヤコブ・L・C・グリム、ウィルヘルム・C・グリム
編集:サンティ・ミナーシ
音楽:オリビエ・メラノ
声の出演:アナイス・ドゥムースティエ、ジェレミー・エルカイム、フィリップ・ローデンバック、サッシャ・ブルド、オリビエ・ブロシュ、フランソワーズ・ルブラン、エリナ・レーベンソン
パンフレット:★★★★(700円/
アトロクに出演された 土居伸彰さんのコラムほか、タメになる読み物ばかり)
(あらすじ)
貧しい生活に疲れた父親によって悪魔に差し出され、両腕を失った少女は、家を出て放浪する。不思議な精霊の力に守られた娘は、やがて一国の王子から求愛を受けるが、悪魔が娘と王子の仲を引き裂く。娘は生後間もない子どもを連れて王宮を後にするが……。(以上、
映画.com より)
予告編はこんな感じ↓
VIDEO 70点 ※この記事は「シグマ15」 に従って書いています。 僕は「世界のインディペンデント・アニメは積極的に観る!」といった主義ではないんですけど、愛聴しているラジオ番組
「アフター6ジャンクション」 にて、
「最新アニメ紹介」 でアニメ評論家の
藤津亮太 さんが取り上げたり、
「日本よ!これもアニメだ! 世界の最新インディペンデント・アニメ入門 」 として配給に関わったアニメ研究家の
土居伸彰 さんが紹介されたりして気になったということで。10月上旬、
川崎市アートセンター アルテリオ映像館 で、メンズデーを利用して
「輝ける人生」 とハシゴ鑑賞してきました。
「すげェ… (°д°;)」 と度肝を抜かれましたよ。
劇場は半分ぐらい埋まってたような。
鑑賞中の僕の気持ちを代弁した
加藤清澄 の画像を貼っておきますね(
「グラップラー刃牙」 より)。
乱暴に表現すると、
アート風味の「まんが日本昔ばなし」 というか。本作は、セバスチャン・ローデンバック監督が
グリム童話 の
「手なし娘」 をアニメ化した作品なんですが、
「クリプトキノグラフィー」 なる手法を使って、なんと
1人で作画をした そうで。この手法、
冨樫義博先生が「HUNTERxHUNTER」をラフ画のまま 「かぐや姫の物語」 の表現をさらに推し進めたというか、そぎ落として突き詰めた印象で、
抽象的なタッチが童話という題材にピッタリ でしてね。あれほど抽象的な絵でも
十分面白くて迫力のあるアニメになる んだなぁと感動いたしました。「父権主義に翻弄される女性の物語」なので話自体も
「かぐや姫の物語」 っぽいんですけど、本作の場合は「主人公は母となって強くなる→王が国に帰ろうと誘って来ても
新たな旅を選ぶ (王も一緒)」という
実際の童話を現代的にアップデートした力強い着地 になっているあたりが見事だなぁと。鑑賞中はマジで
「すげェ… (°д°;)」 と感心することしきりでしたよ。ちなみに、本作が初の長編劇場用アニメというローデンバック監督は、高畑勲監督を尊敬しているそうで。もし高畑監督がご存命だったらどんな感想を言ったのか、聞いてみたかったですな…。
こういう抽象的な映像ゆえに、いつまでも古びない、普遍的な作品になった気がします。
少しでも頭が回れば
現代の日本で女性が生きるのはまだまだ大変 ということはわかるワケですけど、世の中には
「日本は女尊男卑」 なんて愚かさ全開の発言をするタレントがいたりする のでね、みんなでこういう映画を観て、“何か”を感じ取るのは良いんじゃないかと。フランスでは子ども向けに公開してヒットしたそうなので、親子で観るのも良いかもしれませんな。って、
ベタ褒めなのに70点 なのは、同じ“手なし”設定なら
「鋼鉄の拳を装着して戦う」 とか
「両足のない男とタッグを組んで戦う」 といった
“手なし男”映画の方が好みだから …なんて
土居伸彰さん に叩きのめされそうなオチを書いて、この感想を終えたいと思います (ノ∀`) テヘ
ソフトが発売されるのは2月だそうです。
連想した高畑勲監督作。僕の感想は
こんな感じ 。
パンフで紹介されていた本。「手なし娘協会」、読んでみたいです。