マネー・ショート 華麗なる大逆転※ムービーウォッチメンのリンク等を追加しました(5/23)
原題:The Big Short
2015/アメリカ 上映時間130分
監督・脚本:アダム・マッケイ
製作:ブラッド・ピット、デデ・ガードナー、ジェレミー・クライナー、アーノン・ミルチャン
製作総指揮:ルイーズ・ロズナー=マイヤー、ケビン・メシック
原作:マイケル・ルイス
脚本:チャールズ・ランドルフ
撮影:バリー・アクロイド
美術:クレイトン・ハートリー
衣装:スーザン・マシスン
編集:ハンク・コーウィン
音楽:ニコラス・ブリテル
出演:クリスチャン・ベール、スティーブ・カレル、ライアン・ゴズリング、ブラッド・ピット、マリサ・トメイ、カレン・ギラン、メリッサ・レオ、ジョン・マガロ、フィン・ウィットロック、ジェレミー・ストロング、レイフ・スポール、ハミッシュ・リンクレイター、トレイシー・レッツ、アデペロ・オデュイエ、バイロン・マン、マーゴット・ロビー、セレーナ・ゴメス
パンフレット:☆(720円/内容が薄くてビックリ。作ってた人に何かあったの?)
(あらすじ)
05年、ニューヨーク。金融トレーダーのマイケルは、住宅ローンを含む金融商品が債務不履行に陥る危険性を銀行家や政府に訴えるが、全く相手にされない。そこで「クレジット・デフォルト・スワップ」という金融取引でウォール街を出し抜く計画を立てる。そして08年、住宅ローンの破綻に端を発する市場崩壊の兆候が表れる。(以上、
映画.comより)
予告編はこんな感じ↓
70点※今回の記事は、「アザー・ガイズ 俺たち踊るハイパー刑事!」
のネタバレに触れているので、気をつけて!尊敬する映画評論家の
町山智浩さんの「たまむすび」での紹介を聞いて、興味を持ちまして。さらに
ムービーウォッチメンの課題作品に選ばれたので、
TOHOシネマズ新宿で観て来ました。
「面白かったけどさぁ… (´・ω・`) ウーン」と思ったり。
遅めの回でしたが、3番スクリーン、半分以上は入っていた記憶。
予告編を観ると、メタル系鬼才トレーダーと怒れるトレーダーと反逆のトレーダーと伝説のトレーダーが手を組んで、不正を見破ったり、常識を疑ったりしつつ、
「リーマン・ショックは起きたけど、オレたちは華麗に大逆転してやり返したぜ!ヘ(゚∀゚*)ノ ザマァ!」って話に思えるんですが、
そんなことはなく。基本的には、
<いち早くMBSやCDOの危険性に気付いてCDSの大量購入に踏み切ったメタル系鬼才トレーダー・マイケル(クリスチャン・ベール)の話>と、
<そのウワサを耳にした外資系銀行マンのベネット(ライアン・ゴズリング)からCDSの購入を持ちかけられたヘッジファンド会社経営者マーク(スティーブ・カレル)&そのチームの話>、さらに
<その話を聞きつけた若き投資家タッグのジェイミー(フィン・ウィットロック)とチャーリー(ジョン・マガロ)がたまたま知り合った元銀行家のベン(ブラッド・ピット)に頼み込んでCDSを買う話>で構成されてましてね。
バブル崩壊の危機を察知して、CDSを提案→購入した投資家マイケル。

それを聞いた銀行家のベネットは、ヘッジファンドマネージャーのマークに声を掛けるんですが、マイケルとの絡みはナシ。

さらにその資料をたまたま目にした投資家コンビのジェイミーとチャーリーが…。

犬の散歩で知り合った元銀行家ベンに助けを求めるというね。

この3つの物語が同時進行で進んで、彼らは各々
サブプライムローンの崩壊に賭けてたから儲かるものの、
「それって多くの“普通の人たち”の生活が破綻して大量の失業者や自殺者が出るってことだし、結局、この金も“騙し取った金”と同じなんだよな… (´・ω・`)」といった苦ーい思いをする上に、「そんな状況を招いたクズどもは1人が逮捕されただけでほとんどが責任を取らず、国民の税金を使ってボーナスもたくさんもらったりしてウハウハですYO!(`∀´) ウハウハ」的に終わるから、
後味が凄まじく悪いというね。最後は、登場人物たちのその後のテロップ(「ベンは農業に精を出してます」とか)が出て終わってましたよ、たぶん。
「マネーボール」
の影響を受けた
「マネー・ショート」という和製英語タイトルは別に良いとして、確かに「大逆転」はしたと言えるけどさ、終盤はずっと胸糞悪い話が続く→
華麗なムードはゼロなので、今作の邦題はさすがにどうかと思ったり。
こんな
寂海王のように清々しく終わる映画かと思いきや(
「バキ」
より)。

この
徳川光成のような気分になる映画なのでした…という、伝わりにくい例え(
「グラップラー刃牙」
より)。

恥ずかしながら経済云々に関する知識は皆無であって
「シレーヌ、血まみれでもきみはうつくしい」が口癖の僕ですが(雑なウソ)、この
サブプライムローンやら
リーマン・ショックやらに関してだけは
それなりに勉強してましてね ( ̄ー ̄) ニヤッ それは、同監督の
「アザー・ガイズ 俺たち踊るハイパー刑事!」
や、彼が一緒に仕事をしていたマイケル・ムーア監督の
「キャピタリズム マネーは踊る」
、その他では
「マックスト・アウト~カード地獄USA~」
や
「インサイド・ジョブ 世界不況の知られざる真実」
といった作品を観てたから(すべて町山さんの影響だったり (〃∇〃) エヘヘ)。さらに
コメディ仕立てということで、劇中の登場人物たちも
第四の壁を乗り越えて説明してくれたりするし、いきなり
セクシーな美女や
有名シェフが愉快に解説してくれたりもするので、
映画の内容に関してはちゃんと理解できたような気がしないでもない
ように思ったり思わなかったりすることが少なくないって誰かが言ってましたよ、きっと。この場面、マーゴット・ロビーと泡の境界に集中しすぎて、話の内容が頭に入ってこなかったのは、僕だけではあるまいね。

だから、その手の知識がない人が本作を観て、スクリーンで繰り広げられる出来事を理解できるかどうかはちょっとわからないんですけれども。もしあまり理解できなくても、
その“煙に巻かれる感じ”がサブプライムローンなどの問題と通ずる部分でもあると思うので、それはそれで良いような気もするんですが、どうでしょうか。
「アザー・ガイズ」
でもやっていましたけど、難しい金融クソ野郎問題をわかりやすくエンタメ化して提供する
アダム・マッケイ監督の姿勢は非常に好感が持てました。ちなみに
「アザー・ガイズ」
はロック様の活躍振りが愉快なんですが…。

金融犯罪や経済政策への批判がアニメで描かれるエンドクレジットも良い感じなのです。

その他にも、「格付け会社の女性がサングラスをしているのは見て見ぬ振りをしてるイメージ?」とか、いろいろと小ネタが入ってそうでして。英語弱者の僕的には
「BGMでそのシーンを説明する手法」などを使われてもまったく気付かないことが多いんですけど、ベガスの日本料理店でマークと
バイロン・マン(最近よく見かける印象)演じる投資会社のクソ野郎が会食する場面で、徳永英明さんの
「最後の言い訳」が流れたのは面白かったです。つーか、よく日本の曲を探したなぁと。何はともあれ、実力のある役者さんたちを起用したテンポの良い金融コメディって感じで、非常に楽しかったですよ、
終盤までは。この場面、曲のタイトルや
歌詞の内容が2人の状況と合っていて笑ったり。

ただ、正直なところ、最後は
「そりゃそういうオチだよね (´・ω・`) ヤッパリ」以上の感想がなかったというか…。しかも、さっきも書きましたが、「華麗なる~」なんて邦題を付けるからさ、「僕が知らないリーマン・ショック関連の気分爽快なオチが待ってるのか!? (*゚∀゚)=3」と余計な期待をしちゃったワケですよ。ところが、やっぱりクズどもは野放しのまま終わるから、
鑑賞後はストレスゲージが満タンに。せめて
「クソな投資会社や大手銀行のお偉いさんが乗った飛行機が南米ペルーのジャングルに墜落して、現地の住民に捕まって…」という
「グリーン・インフェルノ」のような展開を見せてほしかった…って、最近、この願望を書きすぎてますな (ノ∀`) スミマセン
この手の映画の感想で、つい貼ってしまうのは
「マーダーライセンス牙&ブラックエンジェルズ 12」
の「血税投入」のコマ。

銀行に立て籠もった男の心の叫び! 「アアア~」が最高なのです。

それと、これは映画とは関係ないんですが、
今作のパンフレットは「酷い」のひと言。年間100冊以上買ってますけど、720円でこれはないよ。金融用語の解説や登場人物の相関図、映画ライターや識者のコラムとかが一切ないのは百歩譲るとしても! チョイ役でも有名人が出まくっている作品なのに、キャスト紹介がクリスチャン・ベールとスティーブ・カレル、ライアン・ゴズリングの3人分しかないの(ブラッド・ピットですら名前と大きい写真があるだけで、略歴すら載ってない)。メリッサ・レオとかマリサ・トメイとかは仕方ないとしても、主役級のフィン・ウィットロックとジョン・マガロの紹介すらないって、
パンフを買う客をバカにしてるのかと。たまにパンフを買う人がこんなクソなシロモノに720円も払わされたら、2度と買わないと思うんですけど。写真点数が多いにせよ、そういう映画でもないし、写真によっては解像度が低いし…。まぁ、近ごろの
東宝ステラのパンフは普通に良いものが多かった印象なので、編集中に何かあったのかもしれませんが(というか、絶対トラブルがあったと思うほどの出来)、ただでさえパンフの料金なんて高めで敬遠されがちなんだから、マジで
このレベルのものを720円で売らないでほしいです。
この役者の名前、パンフではあらすじにしか出てこなくてビックリしましたよ。

ということで、ダラダラと駄文を書き連ねちゃいましたが、
「面白かったけど後味が悪かったのが残念 (´・ω・`) ガッカリ」って感じですかね。こういう
「やらかしたくせに責任を取らない」問題って、決して他人事ではないというか、日本に置きかえることだってできるワケで(年金問題や原発問題とか)。そういう意味でも、いろいろと考えさせられるので、観ても損はしないんじゃないかしらん。
やだ、また貼っちゃった!(*ノ▽ノ) キャッ そういえば税金が投入された東京電力って、ボーナス出てましたな…。

おしまい! (`Δ´) フザケルナァァァ
~!
※宇多丸師匠のわかりやすい時評がアップされているので、ぜひ読んで!僕が唯一観ているアダム・マッケイ監督作。僕の感想は
こんな感じ。


原作本。マイケル・ルイスは
「マネー・ボール」の原作
を描いた人でございます。


世界金融危機の実態を描いたドキュメンタリー。僕の感想は
こんな感じ。

