妄想が止まらない。「こうなって欲しかった、『シン・ウルトラマン』」⑤(完結編) | 怪獣玩具に魅せられて

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ゴジラ・ガメラ・ウルトラマン、その他たくさんの特撮怪獣玩具を紹介します。


ついに最後です。

こちらもご参照ください。

 

私見 "こうして欲しかった"シン・ウルトラマン①(ネタバレ注意) | 怪獣玩具に魅せられて (ameblo.jp)

妄想が止まらない。「こうなって欲しかった、『シン・ウルトラマン』」① | 怪獣玩具に魅せられて (ameblo.jp)

妄想が止まらない。「こうなって欲しかった、『シン・ウルトラマン』」② | 怪獣玩具に魅せられて (ameblo.jp)

妄想が止まらない。「こうなって欲しかった、『シン・ウルトラマン』」③ | 怪獣玩具に魅せられて (ameblo.jp)

妄想が止まらない。「こうなって欲しかった、『シン・ウルトラマン』」④ | 怪獣玩具に魅せられて (ameblo.jp)

 

 

物語は、ウルトラマンが倒れたところから始まる。

 

倒れたウルトラマンを抱きかかえ、ゾーフィはトラベルスフィアを展開する。

  最後の願い


ゾフ「ウルトラマン……ウルトラマン……目を覚ませ」


暫時の沈黙を置いて、目を覚ますウルトラマン。


ゾフ「危険な賭けだったな。だが、君たちの勝ちだ」

ウル「ありがとう、ゾーフィ」

 


ゾフ「私は裁定者だ。地球人の情にも、銀河連邦の思惑にも左右されることなく、大極の立場から最適と思われる判断を下す。最大の脅威を前にして、人類は団結した。人類の間だけではなく、ウルトラマン、君とも手を組んで共に戦った。ゼットンを退けたのは、人類でも我々でもなく、この二つの種族が宇宙を超えて団結した先の力だ。人類は、我らと手を組み――誰も届かなかった先にまで手を伸ばした。あるいはそれが――この星の生命の強さの源なのかも知れぬ」

ウル「――」



ゾフ「人類は面白い。ゼットンを退けた君たちの叡智に敬意を表し、裁定者である私が、銀河連邦の判断を過ちであると認めよう。地球から、全面的に手を引く。ウルトラマンーー今度こそ、私と共に光の星に帰って欲しい。地球同様、救わねばならない生命が、この宇宙にはたくさんある。君の力は、これまでも、これからも、必要とされ続けるのだから」

 


手を差し伸べるゾーフィ。しかしウルトラマンは、

ウル「ゾーフィ、私はまだ、帰ることはできない。ゼットンを退けただけでは終わらない。地球はこれからも、外星人から狙われ続ける。今の彼らでは、外星人に為す術を持たない」

ゾフ「ウルトラマン、心配はいらない。この恒星系に繋がるプランクブレーンの狭間に、ゼットンという高密度の生命体を閉じ込めたことにより歪みが生じた。外宇宙から何らかの方法でこの恒星系に繋がろうとしても、この歪みの干渉により正確につなげることができない」

 


ゾフ「プランクブレーンが不安定な状態での別次元への渡航が危険なことは、誰にとっても既知の事実。また外星人の殆どはの渡航技術は、我々のものよりも渡航範囲が狭い。よって、この恒星系に外宇宙からの手が伸びることはない」

 


ゾフ「それに、これ以上の干渉は双方の利益にはならない。ウルトラマン、君は彼らの心に希望を鼓舞した。その後のことは、この地球の命に託すのだ。地球の平和は、地球人自らの手で勝ち取るからこそ、価値がある」

 



ウル「――ゾーフィ、私の命は、私一つのものではない。彼を犠牲にして、私一人が生きながらえることはできない」

 

ウル「地球生命の寿命は短い。彼を慕い、その帰還を望む仲間たちもいる」

ゾフ「ウルトラマンーー」

 


ウル「ゾーフィ、私は地球人を理解しようとしたが、何もわからなかった。それでも一つ、確かなことがある。私と手を組んで不可能に立ち向かったように、この星の生命は関りの中で生きている。それが群れだ。彼を取り巻く命の関りを――私の手で断ち切りたくはないのだ」

ゾフ「――」

 

ウル「ゾーフィ、私は自分の命を神永に託したい。私が地球を去るには、そうするしかない」

ゾフ「君は死んでもいいのか」


ウル「構わない。私の身体は失われても、命はこの地球で、神永の中で、生き続ける」


ゾフ「そんなに地球が好きになったのか、ウルトラマンーー」


ゾフ「分かった。君の願いを叶えよう」

 

ウル「ありがとう、ゾーフィ」

 

ゾフ「では、君と神永の身体を分離するぞ」


ゾーフィの手にあるベータカプセルが、眩く輝く。

 

 

煙を上げ続ける廃墟、かろうじて残ったビルの屋上。

そこで目を覚ます神永。

彼を見下ろす、禍特対のメンバーたち。

泣きはらした目で、浅見が微笑みかける。

浅見「おかえりなさい」



 

神永の手に握られたままのベータカプセル。その光は次第に弱くーーしかし明滅を繰り返しつつも、確かに輝き続ける。


命の炎のように。遥か空の星の輝きのように。


劇終

 

 

あとがき 

ということで、妄想が止まらないままに、メフィラス戦以降からラストまで、こうなったら良いなを書いてみました。

『シンウル』におけるウルトラマンの扱いについて、製作陣が捉えていたものと、僕個人が考えるウルトラマンとの間には、大きな解釈の違いあると思ったので、僕個人の思う「ウルトラマン」の文脈で物語を紡いでみたつもりです。

 

個人的には今回の『シン・ウルトラマン』は、『シン・ゴジラ』のような「やったー!」感のある作品ではなく、決して嫌いになれないけど言いたいことの多い作品でした。ただ、その「言いたいこと」も含めて、色んなことを考えさせてくれる、非常に費用対効果の高い作品ではあると思います。僕自身、一つの映画作品に対して、ここまで「こんな風にしたらいい」と考えたのは初めてだったので。願わくば、『シンウル』の勢いに乗って、怪獣特撮映画が嘗ての勢いを取り戻せることを。今年はせっかく、ウルトラセブンが55周年なのに、ちょっとお祝いモードが下火なのが寂しい。もっともっと、盛り上げていってほしいです。

 


ということで、長いことお付き合いいただきまして、ありがとうございました。