妄想が止まらない。「こうなって欲しかった、『シン・ウルトラマン』」④ | 怪獣玩具に魅せられて

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妄想が止まらない。「こうなって欲しかった、『シン・ウルトラマン』」③ | 怪獣玩具に魅せられて (ameblo.jp)

 

 

  決戦前夜

世界が不穏な空気に包まれる中、昏睡を続ける神永の前に現れる金色の影。

神永は目を閉じているが、ウルトラマンの声だけがボイスオーバーで聞こえてくる。

 


ウル「ゾーフィ……」

ゾフ「ウルトラマンーーゼットンに対し、人類が最後の抵抗を始めた。彼らは君と共闘し、ゼットンを次元の狭間に追い返す計画を立てている。とても成功するとは思えないが――」

ウル「……」

ゾフ「ウルトラマン、最後の警告だ。銀河連邦が定めた地球滅却の最終時刻は明日正午。この時刻を以てゼットンは地球に飛来し、その時点での最高温度で火球を精製、地球を滅却する。どれほど人類が迎撃の準備を進めていようとも、ゼットンが火球を発した時点で全てが終わりだ。ウルトラマンーーそれでも君は、この地球を命運を共にすると言うのか」

ウル「ゾーフィ、私の意思は変わらない。そして今--私はこの星に生きる生命の全てに期待している。彼らが私と共に戦うことを願うなら、私はそれに応えよう」

 


ゾフ「……。分かった、ウルトラマン。これ以上、何も言うまい」

神永=ウルトラマンに背を向けるゾーフィ。

ゾフ「私は裁定者として、この星の行く末を見届けよう。心配することはない。私は私の立場を全うし、君たちの邪魔をすることはない」

ウルトラマンは答えない。ゾーフィは姿を消す。

神永は目を覚まし、禍特対と合流。タイムリミットについて告げる。

 

  ゼットン襲来!

地球の空に浮かぶゼットンの姿が次第にはっきりになってきた。監視衛星より、非常にゆっくりな速度ではあるが、ゼットンが降下を始めていることが報告される。場所はウルトラマンが墜落した付近になると予測され、付近一帯への避難命令が出る。

同時に多国籍迎撃軍が迎撃準備に動く。この小さな島国の一画で、地球の命運を決する死闘が繰り広げられようとしていた。

 

禍特対も配置につく。

滝・藤波は本部に残り、最後まで状況把握と計算に努める。

室長と田村は現地にて、本部組と連携しながら陣頭指揮に立つ。

そして浅見と神永は、決戦の場から少し離れたビルの屋上で、仲間からの指示を待っている。

 

そしてついに、ゼットンが大気圏を突破。地球の大地に降り立つ!!!

 


その姿は、地球の空に浮かんでいたものとは体格が異なっていた。

田村「思っていたよりも小さいな……。滝、どういうことだ」

滝「おそらくは火球精製のために最も効率的な状態になっていると考えられます。あの巨体を凝縮したのなら、相当な密度、我々の攻撃でのダメージは期待できません」

室長「こっちは奴の気を引くだけでいい。始めよう」

田村「分かりました。ウルトラ作戦第一号、作戦開始!」

 


ゼットンが火球を発射したら全てが終わる。

全方位からの攻撃が開始された。

貫通ミサイル、貫通爆弾。ありとあらゆる兵器がゼットンに向けて飛んでいく。

 

ゼットンは電磁光波防壁を展開するが、全てを防ぐことはできず、複数のミサイルが命中。爆炎を上げる。


ダメージを受けた様子はないが、ゼットンに妙な微動が見られた。滝はそれを見逃さない。

滝「反応あり! ゼットン周囲のエネルギー反応に微妙な低下がみられます」

火球の精製から迎撃に転化したか? と思われたが、ゼットンは反撃のそぶりは見せない。迎撃システムを起動させると、そちらの方でエネルギーを消費し、ただでさえ1兆度に満たない火球のエネルギーが、さらに削られていくことになるからだ。一方、ゼットンの生体組織は外部からの衝撃に反応してしまうため、火球の精製に集中することができないでいる。

 

こっちの兵器が尽きたら御終いだ。だが、一瞬たりとも手を緩めるわけにはいかない。

続けざまの爆炎に空は真っ黒に染まる。煙と煤に汚れる東京。各自マスクを装着して、攻撃作戦を継続する。

 


ゼットンの様子をミニターしていた船縁と滝から連絡が入った。ゼットンの行動パターンを分析した結果、左後ろからの攻撃に対しての反応が著しく鈍いことが判明したのである。

 

浅見「神永さん!」

頷く神永。ベータカプセルが光り輝き、銀色の流星が空を奔る!!

 


ウルトラマンは大きく旋回して、ゼットンの背後に回り込み、左後ろから攻撃を開始した。

 


スペシウム光線や八つ裂き光輪のような、スペシウムエネルギー攻撃は効果がない。そこでエネルギーを右手に充填した、強力な右ストレートを背中からブチ当てることにするウルトラマン。

 


無数のミサイルの中に紛れて、ウルトラマンの拳がゼットンに命中!

 


反応が遅れたゼットンが前につんのめる。ウルトラマンは爆炎と跳弾の中に隠れて、再度ゼットンに攻撃を仕掛けようとする。

 

その手にはベータカプセル。次の一手で勝負を決める気だ。

 

 

しかし、ゼットンが先に動いた。ウルトラマンに向けて、無数の光弾を発射する。

 

全てを躱しきれずに、ウルトラマンは転倒する。

 


ゼットンにしてみれば、脅威はウルトラマンだけ。まずはウルトラマンを排除する方向に切り替えたようだ。




光弾戦、格闘戦を交えて激しい攻防が展開する。

しかし戦いが長引けば長引くほど、ウルトラマンはゼットンの隙を突けずに不利になってゆく。

 

多国籍軍もウルトラマンとゼットンの間を縫ってゼットンに攻撃を仕掛けるが、これといったダメージを与えることができない。

 

田村「まずい……我々の兵力が、もう底を突く」

 

その焦りに呼応するように、ウルトラマンがゼットンに向かって突進する。捨て身の攻撃で、ゼットンを異次元に飛ばすつもりだ。

 



しかし、ゼットンはウルトラマンに向けて波状光線を発射し、ウルトラマンの足が止まる。

 



体色が一気になくなり、倒れ伏すウルトラマン。

 


田村「ウルトラマンが――負けた」

浅見「神永さん――!」

 

人類側の攻撃は未だ続いているが、ゼットンはウルトラマンには目もくれず、火球を精製しようとする。

 

その時――

 

滝「高エネルギー反応!!」

田村「ゼットンか!?」

滝「違います! これは――ウルトラマンが初めて飛来した時と同じです!!」

 

滝の叫びと同時に巻き起こる爆炎。その中から現れた金色の巨人が、ゼットンに向けて光線を発射する。


室長「なんだ、何が起こっている!」

滝「ウルトラマンのスペシウム以上のエネルギー……あれが――」


田村「ゾーフィ……もうひとりの、ウルトラマン」

 


ゾーフィはM87光線をゼットンに浴びせ続けながら前進する。

ゼットンは電磁光波防壁を一点に集中。かろうじてゾーフィの攻撃を防いでいる。

 

光線を撃ちながら、ゾーフィは倒れるウルトラマンを見下ろしている。


立て、ウルトラマンーーそう呼びかけるかのように。

 

田村「立て、立ってくれ、ウルトラマンーー」

田村、室長、滝、船縁、浅見、ほか戦いの場にいる者たちもウルトラマンに呼びかける。

 


立て――! ウルトラマン!!

 


ウルトラマンがよろよろと起き上がった。そしてゾーフィを見上げ、ゼットンを見て、立ち上がる。

二人の巨人の間に、言葉は必要なかった。ウルトラマンは走り出す。ゼットンはゾーフィの方をしか見ていない。

 


ウルトラマンは地を蹴って飛び、大きく旋回して背後に回り込む。その足が地面について土煙を上げた瞬間、ゾーフィが光線を瞬時止めた。

 

今だ――。




ウルトラマンはベータカプセルを二回押し、それと同時にゼットンに強力な一蹴りを食らわせた。


 

想定外の方向からの全体重をかけた攻撃に、ゼットンの身体は激しくぐらつき、転倒する。その頭部が向かう先に、異様な色に取り巻かれた不気味な空間が口を開けている。

 



ゼットンの身体が異次元の狭間に入った。その瞬間、ウルトラマンはカプセルをもう一度押して、シャットダウンする。

 

静寂――。

 

 


廃墟の中に佇む二人の巨人。

 

勝った――のか。だがそこに、勝利の余韻はない。

誰もが魂を抜かれたように、次第に黒々とした煙の中に立つウルトラマンをゾーフィを見上げている。

 

煙は空に立ち上り、狭間から本来の空の青が差し込み始める。

 

と、その時、

 

ウルトラマンの身体が激しく揺らぎ、

 



彼は大地に倒れ伏した。


すんでのところを、ゾーフィが受け止める。