私の欠片 -2ページ目

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母は

『何で家の中に犬がいるの?』

と私を問い質した。


私は

『子犬達が元気がないから・・・。』


と答えた。


母は


『うーん・・・。
家の中はやっぱり駄目。
とりあえずチロルと子犬達は裏口(0・5畳ぐらいの小さな庭みたいな場所がある)に移動させよう。』

と言った。

私は

『何で?』

と聞くと母は

『チロルも子犬達も、たくさんの人が触りに来るから疲れちゃっているかもしれないでしょ。
亜稀もずっと遊んでいたら休みたくなるでしょ?』


と言った。


私は


『よく分からないけど大丈夫なの?』


と聞くと母は

『様子を見て変わらなかったら、ちゃんと病院に連れて行くから。』

と言った。


私はとりあえず納得した。



そんな話をしていながらも心はどこか上の空だった。



やはり火の事がどうしても気になっていた。

59

思いの外、由紀ちゃんはすぐに見つかった。


合流して安心した私達は一斉に話し出した。


始めの方は何を話したか覚えていないが、途中から紙を燃やしたまま逃げ出した事を誰からともなく話し出した。


『どうしよう?』

と聞いた私に由紀ちゃんは

『あの大人が消してくれるよ。』

と言った。


私達三人は[大丈夫]と言い聞かせあった。


そしてこの事は三人だけの秘密にしようとお互いに言い合った。


二人とも帰らなければならない時間だった事もあり私の家には寄らず途中で別れた。





家に帰った私は子犬達に申し訳ない気持ちと火の事が心配で不安で心が押し潰されそうだった。



大家さんと犬を外で飼う約束をしたが私は子犬達を家の中に入れた。



相変わらず子犬達は元気がなかった。





少しして母が帰ってきた。

58

由紀ちゃん、瑞穂ちゃんと合流した私は由紀ちゃんにマッチと燃える物を渡した。


由紀ちゃんがマッチに火を点け紙を燃やそうとした。



なかなか燃えない。



何度かチャレンジして、ようやく紙が燃え始めた。


正直、私の心臓は罪悪感でバクバクしていた。


『これからどうするの?』

と私が聞いた。


由紀ちゃんは

『缶を火に入れよう。』

と言ったが、燃えている火の中にミルクが入った缶をどうやって入れるかが分からなくて三人で悩んでいた。


そこに

『何してるんだ。コラー!』



と少し離れた所から大きな声が聞こえてきた。


大人だ。(多分、中学校の先生)


『逃げよ。』

瑞穂ちゃんが言った。


瑞穂ちゃんと由紀ちゃんは二手に別れて逃げ出した。

私は瑞穂ちゃんの後を追って逃げ出した。


中学校の門を抜け、しばらく走る。


大人は追ってこない。


私と瑞穂ちゃんは一人で別方向に逃げた由紀ちゃんが気になった。


取り敢えず瑞穂ちゃんと一緒に由紀ちゃんを探した。




大人に捕まっていないようにと思いながら。