12月30日、多摩丘陵。
行きつけのフィールドには鷹の水浴び場があり、その付近を通る時にはゆっくり時間を使うことにしている。期待値はそんなに高くないが、手がかりのない場所で待つよりはいい。この日は今シーズン初の当たり。やって来たのは…
風切の横縞が明瞭であり、指状の初列風切6本指の6本目が大きく突出している(ハイタカの特徴)、体下面の胸腹は横斑(オオタカ幼鳥の否定)。というわけでハイタカには違いない。
とはいえ下面は全体として順光だとかなり白く、体格は立派に見えて、ほんの数秒追っただけではオオタカに見えてしまう可能性はじゅうぶんある。
池を見下ろせる木に止まった。一般論的にいくと、上面は全体的に淡色、顔模様のコントラストは低く幼鳥。体格からは雌だと推定する。
光線や角度によって見えかたがずいぶん違うものである。日陰に入るとやや褐色味があり、胸の横斑は太く見える。
肝心の水浴びは角度的にどうやっても見えず、パシャパシャという音を聞いただけで、今回はそのまま見失ってしまった。再会を期待して通うことになるだろう。
【ハイタカを語るひととき】
ところで、冒頭の写真からは語れることがまだいくつもある。
- 小翼羽。高空を旋回しているときなどは見せないことが多いが、低速時に揚力を得たいときなどには使うようだ。雨覆側に属し、初列風切には含めないのだが、7本指にも見えて識別写真としては紛らわしくなった^^;
- 最長初列風切の横斑が8本ある。ハイタカでは6本か7本のことが多く、8本の個体は少数派のようである*
- 風切羽の羽縁。濃色の横斑のさらに外側が淡色で終わるのは幼鳥に見られる傾向**
- 胸の横斑に乱れがあまりなく、規則的である。幼鳥より成鳥のほうが規則的**だが、微妙なケースも多い。
- 胸腹の横斑を数えると24本。ハイタカ雌成鳥では20~25本、オオタカでは35本くらい*で、両種の識別に客観性を持ち込むことができる。
- 尾羽に関して、私は丸尾か角尾かというのはあまり問題にしていない。いっぽう、ハイタカでは体に比して尾が長いというのは確かに感じる。
*『図鑑日本のワシタカ類』(文一総合出版)
**『フィールドガイド日本の猛禽類vol.03ハイタカ』
いずれも絶版で、とくに後者は再販を望んでいる人が多い。
次回もハイタカ属で、私自身が誤認しかかった例を紹介する予定です。
ではまた(^◇^;)