しあわせな人生を生きる為に6つの徳(良い行い)を積み重ねる事(彼岸への道しるべ~六波羅蜜)が仏様の教えで説かれており、先回は2番目の「持戒~じかい~戒めを守り続ける」について考えましたが、今回は3番目の「忍辱~にんにく」について考えてみたいと思います。
聴いたことの無いような言葉ですが、別々に読むと忍(にん~忍耐・耐え忍ぶ)。辱(じょく~はずかしめる。面目を失う~恥辱・屈辱)という事で、色々な辱(はずかし)めを受けても、耐え忍んで受け入れる(忍受~にんじゅ)という事です。簡単に言うと「我慢して受け入れる」という意味です。
ただ、現代社会では、人権が最優先ですから、差別されても「我慢する」とか、病気や体調が悪いのに「我慢」する、と言う意味には、受け取らなくて、良いと私は考えています。
誰もが持っている「煩悩~ぼんのう」つまり「我欲~がよく~様々な欲望」や「我執~がしつ~物事に執着する心」をジット我慢する、耐え忍ぶ心を持つ、というのが、忍辱の意味と思います。
前回紹介した「持戒」の中の10重戒⑥悪口を言うな、他人に言わせるな、⑦自分を褒めるな。他人をけなすな、⑧物惜しみするな、他人にさせるな。⑨怒るな、他人に怒らせるな⑩三宝を自分が非難したり、けなしたり、しない。他人にもさせない。
といった戒めについても・・・本当は、したい事、された事、よくある事、だけど、チョットだけ我慢する・・そんな心がけを、毎日の生活の中に取り入れていくことが、徳の積み重ねとなり「幸せな人生を生きる」ことに繋がっているという事です。
現代人は不満耐性が欠如していると、指摘されています。すぐにカッとなって、理性がコントロールできなくなり、怒り、暴力を振るい、犯罪を犯してしまう事など、日常的に報道されています。
何かが起こった時「我慢・・ガマン」と気持ちを静めて判断し、行動することが「忍辱」でしょう。幸せな毎日、笑顔で元気で、無事な日々を生きるために、「ジット耐えて受け入れる」ことは、必要な心がけでは無いでしょうか。