(その1)の続きです

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3. 実際の収支の一例
 まず、実現の可能性を探るために、どの程度の雇用が必要か、実際の収支等がどうなるか等を検討してみます。
 令和5年3月の予算委員会での資料によれば、現在、耕作放棄地になっているが再生利用が可能な農地(A分類)は55.5haとあります。
 そこで、この55.5haを耕作していく場合の収支を検討してみます。
 55.5haの田畑の区別が分からないのですが、今、仮に水田40ha、畑15.5ha としてみます。
 農作物は、コメ と 小麦(パン・中華麺用品種)とします。
 雇用者・人数は、コメで考え、小麦はその裏作として、同じ者たちが作っていくとします。
 
① 雇用する人数・経費
 40haの水田は、おそらく、中山間地域の山ぎわの小さな水田が多いと考えられます。効率は悪いでしょうが、なんとか、ひとりあたり約3ha耕作するとします。
 (畦草刈りも含めて。水路管理は基本まだ集落でできるとします。)
 40ha ÷ 3ha ≒ 13人 
 13人雇用するのに、ひとりあたり500万円(社会保険等も含む)として6500万円。
 つまり、年間6500万円の費用で13人雇用の必要があるということです。
 
② 考えられる収入
⒜コメ
ⅰ. コメの補助金
  中山間地域等直接支払交付金
 おそらくどこも中山間地域に該当するでしょう。
 すでにその区域から外しているところもあるでしょうが、再度組み込んでもらいます。
 2.1万円/10aのうち、1.5万円をもらうこととする。(残りは地域で使う)
    400反 × 1.5万円 = 600万円
 
ⅱ. コメの売り上げ
 ●40haの水田でコメの収量 
  平均は420kg/10a だが、条件が悪いので350kg/10a とする。
  400反 × 350kg = 140,000kg
 ●経費(苗代・肥料代・機械減価償却費等々)として、8,000円/30kg は必要とする。 
   (宍粟市北部地域での概ねの生産原価 資料1参照)
 ●収入は
 コメの売価によっての収入を試算すると
 例えば
 ㋐ 10,000円/30kg で売れば、(3,333円/10kg)
   30kgあたり2,000円の利益 
   → 140,000kg ÷ 30kg × 2,000円 = 933万円 の利益。
 
 ㋑ 12,000円/30kg で売れば、(4,000円/10kg)
   30kgあたり4,000円の利益 
   → 140,000kg ÷ 30kg × 4,000円 = 1,866万円 の利益。
 
 ㋒ 15,000円/30kg で売れば、(5,000円/10kg)
   30kgあたり7,000円の利益 
   → 140,000kg ÷ 30kg × 7,000円 = 3,266万円 の利益。
 
 ㋓ 13,500円/30kg で売れば、(4,500円/10kg)
   30kgあたり5,500円の利益 
   → 140,000kg ÷ 30kg × 5,500円 = 2,566万円 の利益。
 
 ここでは、㋓に販売手数料500円を乗せて 5,000円/10kg で売るとします。
 このプロジェクトの趣旨を理解してもらい、この値段で買ってもらえる人を募ります。
 
 ●140,000kgのコメとは
  今、日本人平均ひとりあたり55kg/年の消費
  つまり、 140,000kg ÷ 55kg/年・人 = 2,545人分 のコメ
 なので、宍粟市民3.3万人 のうち 2,545人になんとか買ってもらえないでしょうか。
 あるいは、宍粟市出身者にも広く呼びかけ、郷土支援として、送料別でこの値段で買ってもらえる人を募ればどうでしょう。
 今、3,000円/10kgで買っているのならば、10kgあたり2,000円の出費増。年間、2人世帯だと2.2万円の出費増となります。
 その替わり、少なくともネオニコチノイド農薬フリーの特別栽培米に。他にも何か特典を考えられないでしょうか。
 しかし、もともと、10kg3,000円という価格が農家に全くのボランティアで働いてもらっての価格です。ただ働きで働かせてのコメです。耕作放棄されるのは当たり前ですね。
 後述しますが、この差額は本来国が負担すべきものであり、国全体で2~3兆円あればできることなのです。このプロジェクトは国や国民にそのことに気づいてもらうためのものであり、国がその予算をつけるまでの間の郷土の支え合いです。
 
ⅲ. コメの収支
 ということで、㋓案が可能だとして、コメ全体で収支は 3,166万円 の利益となります。
 
⒝ 小麦
 20haで小麦(パン・中華麺用品種)を作るとします。
 麦単作、あるいは、2年3作(コメ・麦・大豆を2年で回す)等、検討していきます。
ⅰ. 補助金
 ○畑作物直接支払交付金(ゲタ)
  パン・中華麺用品種(1等Cランク)反収200kg とすると
   面積払い 2万円/10a
   収量払い 7,210(円/60kg) × 200/60 - 面積払い分
 = 0.4万円
   合計 2.4万円/10a  → 20ha で 480万円
 ○水田活用直接支払交付金
   35,000円/10a → 20ha で 700万円
 ○二毛作助成金(産地交付金)
   15,000円/10a → 20ha で 300万円
 合計 1,480万円
 
ⅱ. 小麦の売り上げ
 ○全農等に出せば
   売価 40円/kg 
   収量・反当200kg → 20haで40,000kg → 160万円
 ○市独自で製粉・販売すれば
   最終売価(製粉後) 300円/kg とする
(北海道「はるよこい」400円/kg 一般薄力粉200円/kg 当りなのでその中間をとる) 
   流通経費(3割) 90円/kg
   製粉・袋詰め等経費 105円/kg (宍粟学校給食の実績より)
   よって収入は 300円 - 90円 - 105円 = 105円/kg 
   105円/kg × 40,000kg = 420万円
 ●40,000kgの小麦とは
 今、日本人の食べるコメと麦の量の比率は、コメ:麦 = 6:4 あるいは、5.5:4.5 くらいと言われています。
 コメが1人あたり55kgなので少なめに見て1人35kgの麦を食べるとすると、
  40,000kg ÷ 35kg = 約1140人 
 これは、1140人分の麦の量ということになります。(強力・中力・薄力、合算だが)
 
ⅲ. 小麦の収支
 ・収入として
  1,480万円 + 420万円 = 1,900万円(全農に出せば1,640万円)
 ・経費(種代、肥料・農薬代)として1万円/10a。(★要検討)
   つまり、20ha で 200万円
  ●差引 1,700万円の収入 (全農に出せば1,440万円) となります。
 
⒞ コメ・麦 合計収支
 コメ 3,166万円 + 小麦 1,700万円 = 4,866万円 (4,606万円) の利益となります。
 
 
③ 全体の収支
 雇用費用 6500万円
 収入  約4800万円
 差引   1700万円 の市の持ち出しとなります。
 
 
 
 
4. 考察
 
①この取り組みのコンセプトは
 
 ● 農地保全
 ● 安全な食の自給
 の二つと考えます。
 つまり、1700万円の市の持ち出しによって、55haの農地と 2500人分の安全なコメと 1,140人分の安全な小麦 を得ることができるということです。
 現在、宍粟市の農地は田畑含めて 2750haです。 そう遠くない将来(30年後には)、この半分が耕作放棄になる(もっとかもしれない)とすれば、
  2750ha ÷ 2 = 1375ha
  1375ha ÷ 55ha = 25倍
  同じ率で考えると、325人の雇用、4億2500万円の出費 となります。
  そして、62,500人分の安全なコメ と 28,500人分 の安全な小麦 を得ることができるということです。
 
 
②国からの補助金が必要──国を動かすのがこのプロジェクトの目標
 
 ただ、現実としては、62,500人の10kg5,000円でコメを買ってくれる「宍粟支援者」を作らなければなりません。おそらく、これがある程度うまく行けば、他の自治体も同様のことをしてくるでしょうから、競争になり、なかなか、きびしい話になってくると思います。
 だから、一定以上は国からの補助金が必要ということなのです。
 この試算では、30kgのコメを13,500円で買っています。通常価格が8,000円とすれば、5,500円の上乗せです。これを国からの補助金でまかなってもらうわけです。
 通常のコメの収量は、10aあたり420kgとされます。30kgが14袋。つまり、10aあたり5,500円×14=77,000円となります。
 全国の中山間地域の水田の面積は95万ha(全国の水田面積237万ha。中山間地域はその4割。)
 これに、10aあたり77,000円をかけると7,315億円です。
 10aあたり10万円出ると市からの持ち出しはゼロにできます。その場合は9,500億円。十分にできる金額です。
 また、中山間地域以外の平地の水田(142万ha)にもある程度の補助金は必要でしょう。あるいは、このように全部の水田にコメをつくれば、今は4割が余ってしまうので、例えばそれを飼料米に使うとすればまたそこにも補助金が必要です。(今よく言われる輸出ができればその分補助金を減らすことはできます。)そのようなモノをすべて合計しても2兆円余りあれば、全国の水田は維持できるのです。
 これが本来の農政であり、それを国民に知ってもらい、この方法しか耕作放棄地を作らない方法はないということを分かってもらい、国を動かしていく。このプロジェクトの目標はそこだと考えます。
 


③これで消滅自治体ではなくなる
 
 これが実現すれば、宍粟市は消滅自治体ではなくなります。限界集落もなくなります。
 325人(325世帯)の雇用が生まれ、この人びとを各地に住んでもらうとすれば、消滅する地域・限界集落はなくなるわけです。
 これだけだと、今の1/10くらいの人口になるかと思います。だから、なくなる隣保は出てくるでしょう。ある程度のところにかたまって住もうということになってくるのではと思います。しかし、農地は美しく維持されるのです。そうなれば、農業以外の仕事の人も住めます。半農半Xの人も住めます。だから、1/10よりは増え、おそらく1/5~1/4くらいの減少でおさまるのではないでしょうか。
 ちなみに、「消滅自治体」という発想自体が今の日本を象徴しているものです。食料を本気で自給しようとする意識が全くない。本気で食料を自給することを考えるならば、今の日本には荒らしてもよい農地など一枚もありません。
 日本の農地が一番大きかったのが1961年608万haです。その頃でさえ食料自給率は約80%。それから、都市化によりどんどん耕地、特に平地の優良農地は農地でなくなり、今や耕地面積は432万ha(2022年)。3/4以下です。だから、中山間地域の条件の悪い農地も一枚も荒らしてもよい農地は一枚もないのが日本の真実です。
 だから、本気で食料自給を考え、どんな方法を使ってでもすべての農地で食料を作ってくれる人を確保するという考えがあれば、消滅する自治体なんてどこにも出てきません。「(消滅自治体の判定基準とされる)若い女性がどれくらい残るか・・」そんなことは関係ありません。
 だから、逆に私は聞きたいです。「ひと事のように言ってますが、消滅してもいいのですか? あなた方は何を食べるのですか? これは当該自治体の問題ではなく、あなた方都会の方々の問題ではないですか」と。
 
 
④公務員として雇う
 
 この最初の13人を公務員として雇うのを私は提案したいです。
 今ある宍粟北みどり農林公社を拡大し各地域に作り、そこで同様のことをやっていく。そこに市が同額を補助金として出す等の方法も考えられます。それが一般的なやり方です。
 しかし、現実はなかなか進みません。
 ●この市からの補助金がずっと続くとはなかなか保障できない。そんな不確実な補助金を当てにして若者は就職先に選ばない。
 ●各営農組織単位で「宍粟支援者」を募っていくのも難しい。これは市の事業として取り組むべき。
 ●受け持つ農地の面積・農地の条件等で補助金の額も決定しなければならないが、それは非常に難しい。
 等々で、公社のような営農組織にこれをゆだねるとなれば、なかなか進まないのではと考えられます。その間に、耕作放棄地はどんどん増えていきます。
 それに対し、公務員で雇い、市の事業として進めていくとなれば
 ★安心して若者は応募してくる
 ★「宍粟支援者」を募ることがしやすい
 ★他市町、一般国民、国に対してのアピールが格段に増す。「宍粟方式」として全国的に有名になる。
 等の利点があります。
 市からの持ち出しは同額です。ならば、進む方向で考えていくべきです。市もそこまで本気で腹をくくって取り組まないとこの事業は進まないということです。公社等に、他人任せでは進まない事業だということです。
 
 
④「宍粟市に住めば安全なモノを食べることができる」
 
 市民への説明として、ただ、耕作放棄地を無くすだけではなかなか賛同は得られにくいかもしれません。とりあえず、今、食に困っている市民はいないし、それよりももっと直接生活の支援をしてもらいたいという意見の方が多く出てくるかもしれません。
 そこで、この事業の二つ目のコンセプト「安全な食を自給する」ということが重要になってくると思います。
 コメにおいては、ネオニコチノイド農薬を使わない特別栽培米。
 そして、特に「小麦の自給」は重要です。
 今、小麦の自給率は約13%。ほとんどが外国産です。そして、そこからは100%除草剤(グリホサート)が検出されるそうです。しかし、今や私たちの主食の4~4.5割が小麦製品となっています。パン・パスタ・ラーメン・うどん・お菓子類・・・。ですから、国としても地域としても、食の自給率を上げ、安全な食を食べるという点で、麦の生産・自給体制を作っていくということは最大のポイントだと思います。
 「小麦生産によって耕作放棄を無くしていく」これも大きなポイントになるのではないかと考えます。
 
 
⑤ 少なくとも50人くらいまでは公務員で雇い、事業を本格的に進めていく
 
 最初は10人くらいからのスタートでしょうが、少なくとも50人程度までは公務員として雇い、事業を進めていくべきかと思います。
 そうなると、市の持ち出しは毎年6500万円。雇用は50人。農地は211ha。9780人分の安全なコメと4380人分の安全な小麦の生産となります。
 211haはかなりの面積なので、今後10年は十分対処できるのではと思います。
 「公務員農家として50人」これは非常に大きな話題となります。
 それで、全国にアピールし、国を動かし、国による当たり前の補助金を実現していくのです。
 あくまでも目標はそこです。「宍粟方式」ともてはやされて、こうすればできると、この競争をさせられるのではありません。これ以上は国の補助金がなくては進まないといい、まわりの自治体と一緒に国を、国民を動かしていくしか、私たちが続く道はありません。
 その後、国による補助金制度ができた後の進めていく形態は、その時考えていくしかないと思います。
 3-①での試算の325人全員を公務員で構成しても良いのではとも思います。「住民の半分は公務員」いいじゃないですか。
 いずれにしても、今からの地方は、国からの交付金・補助金によって維持されていくのは間違いありません。自主財源と言われますが、現実は難しいです。当たり前です。私たちが買い物をするもののほとんどは東京本社の会社の作るものだからです。私たちがおカネを使えばそれは東京に行くのです。今の時代はそのような時代なのです。だから、そこからおカネを交付税としてまた戻してもらう、そうしておカネを回してもらうのが、今からの地方維持の方法です。
 その中で、少しでも地域でおカネを回せることとして、食とエネルギーの自給です。そして、それは食の安全にも直結するのです。
 
 
⑥ 有機食品を作る部署があっても良いのでは
 
 これは耕作放棄地対策ということではないですが、公務員として農家を雇うという考え方の延長として、有機食材作りの公務員も作っても良いのではとも考えます。
 今、国は「みどり戦略」とか言って有機農業を進めていこうと口先だけ言ってますが、現実的な政策は出ないので進みません。しかし、特に学校給食と病院食において、有機食材はこれから必須となってくると思います。
 そこで、現実的に進む政策として「公務員が作る」という方法です。
 これは、こうしてでも進めていく価値は十分あるのではと思います。ぜひ、検討して頂きたいです。
 
 
⑦ 現状の国は地方や農業・農地を守る気はない。自分たちで動き出すしかない。
 
 今、国では「食料・農業・農村基本法」と言われる農業の憲法のようなものが審議中です。しかし、その実態は驚くことに「食料安全保障は食料の外国からの輸入で確立する」というものです。しっかり予算を入れて日本農業を守り発展させていくというものではありません。
 同時に作ろうとしている「食料供給困難事態対策法」には、「食料に困ったときは強制的に芋を植えさせる。違反者は罰金。加工・流通業者も取り締まる。配給制も実施。」と書かれています。平常時から自給体制を作っておかないといざという時に芋を作る農地さえなくなっているのです。農家もいなくなっているのです。こんな非現実的なことを平気で言う今の政府・政権です。アメリカ等外国からの圧力もあるのでしょう。しかし、ホントにこのままいくと私たちの地域は続きません。安全・安心な暮らしは壊されていきます。
 結局、緊急事態になれば、カネのある者、力のある者しか生き延びることができない。「食料供給困難事態対策法」はそんな法律です。国民全体、特に、弱者・貧者を守ることこそが政治ではないでしょうか。
 片や中国では、昨年12月「食料安全保障法」という同じような農の憲法のような法律が制定されました。そして、そこには「食料安保の責任は党と政府にある」と明記され、1億2千万haの農地面積を確保すると明記されました。もちろんそのために国は予算をしっかり出すのです。そのための法律です。
 日本の今の耕地面積は432万haです。つまり、中国は日本の27倍の面積の耕地を確保すると宣言しているのです。人口は日本の11倍。つまり、人口比にして日本の2.4倍の面積の農地を確保するといっているのです。この違いは何なのでしょう。本気で国民の食料を守ろうとすればこうなるのです。それが本当の農政です。
 欧米と比べても国民1人あたりの農業予算は日本は格段に少ないです。
 そして、このことをマスコミは報道しません。マスコミも今の政府・政権と同じ側です。力のある者がより儲けることができる体制を煽り、国民全体・弱者を主体にした国作りという視点は非常に弱いのが現実です。
 今、政府が出している農業政策、そして、マスコミ等でよく言われる農業活性化策──それは、ブランド化、大規模化、企業参入、輸出、もうかる農業、都市との交流、半農半X・・。
 中国の出した農業政策との違いに愕然とします。こんなことで、全国すべての農地が守れるはずがありません。他国からすれば子どもだましのような政策です。「まあこれでうまく行くところが出て多少の農地が残ってくれれば良い」そういう政策です。私たちはそんなものが農政だと思わされているのです。そこに気づかなければなりません。発想を大転換しなければいけないのです。
 発想を転換し自ら動き出すしか、自分たちを守っていく道はないのです。
 
 
⑧ 農地の公的所有も検討していくべきでは
 
 公務員が農地を耕作するとなっても、現状では個人の放棄した農地です。所有権は個人にあります。そこを税金で公務員が耕作するとなると、批判も出てくるでしょう。それでもとにかく農地を荒らさない というコンセプトは最重要なのでしていくべきですが、やはり、地主のそれなりの負担も検討しても良いかと思います。
 例えば、10aあたり2~3万円くらいは毎年負担してもらうとか。「そんなことはイヤだ、個人の土地だからほっといてくれ」と言い出す人もいるかもしれません。ならば、農地を荒らしてしまえば固定資産税を大きく増やすとか罰則的なことも検討すべきです。
 「農地は個人のものであって、個人のものでない。子孫からの預かりもの」なのです。だから、農地法で農地は勝手に他の用途に転用できないのです。荒らしてしまうということは、言い換えれば農地では無くす ということですから、他への用途転用と実質同様ということです。
 そして、農地の公的所有も検討していくべきかと思います。例えば、10aあたり10万円くらいで買い取る。もちろん寄付してもらえるならばそれに越したことはありません。そうして、公的な所有になれば公務員が耕作するのに何も問題はありません。現状では、市が農地を所有することは認められていませんので、とりあえずは農林公社の所有にし、市が農地保有できるような法改正も要求していくべきです。(すでにしていただいているとは思いますが)
 今までは農地は農家の個人財産として守られてきました。それが成り立った時代でした。しかし、今や「負の財産」とも言われる時代です。個人財産としてでは守り切れない時代です。公的所有はぜひ検討していくべきかと思います。
 
 
⑨ JA、宍粟北みどり農林公社 との連携
 
 この視点も非常に重要だと思います。営農指導、販売、農機具の維持・管理、あるいは、実際の営農活動等、何と言っても、今まで本業としてされて来ている方々です。
 しかし、JAにおかれても政府の棄農政策で本来の営農活動がどんどん衰退していきます。また、農林公社においては毎年の大きな赤字で、今後、市からの補助金が必要となる可能性も大いにあると思います。

 であるならば、農林公社に補助金という形で出すのではなく、市からの人的支援で出す方法はどうでしょうか。
 つまり、例えば、出向という形で農林公社に人を送り、公社としては人件費ゼロで人に来てもらい赤字を立て直すという形です。そして、出向者が大半を占めるようになれば、いずれ、出向者が中心になって公社そのものの経営がされるようになっても良いのではないでしょうか。

 あるいは、農林公社を市が抱え込んでしまい、市の外郭団体みたいにして、そこに職員を公務員と同様の待遇で雇い、独立会計で経営をしてもらう。もちろん、現状の日本の農業状況では人件費分は赤字になるので、基本はそれは市から補填するのが前提ですが、極力、適正価格で売ってもらって、市からの補填を少なくしてもらう。

 上記案に「1700万円の市の持ち出し」と書きましたが、おそらく、それに近い額の公社への補助金は今のまま進めば必要になってくるのではと思われます。現在の職員の方との関係や他、様々な課題はあるでしょうが、検討する余地は大いにあるのではと思います。
 また、JAハリマには、今、「ちくさの舞」「三方の舞」を販売していただき、販売ノウハウも蓄積されています。営農指導も含めて連携していく必要があると思います。
 
 
⑩ 農家で公務員 全国公募すれば優秀な人材が集まる
 
 「公務員となって農業をしませんか」と全国公募すれば,おそらく応募者は多数来ると思います。今、大学でも農業を学ぶ系の学部が増えているようです。学生の関心の高いジャンルです。(新設として、中央大学・農業情報学部、順天堂大学・食農学部、他12大学(2024.5.9.日農新聞)。もちろん既存の農業系学部も人気が高いです。)もちろん大学生に限定しなくてもいいと思います。
 農業への意欲、適正、体力、教養、販売力、協調力、あるいは、地域づくりへの関心等々、優秀な人材を獲得することができるのではないでしょうか。
 また、農業には農閑期があります。優秀な人材を採用していれば、そのような時に他の公務員事務を担ってもらうことも可能ではと思います。そのような関心のある人を選んでおけばいいのではと思います。
 そうなれば、単純に市の持ち出しというのではなく、それは十分に市民に還元される税金の使い方になるのではと思います。
 あるいは、全国にどんどんアピールしてもらう仕事をしてもらうことも重要です。テレビ、新聞、雑誌、YouTube、SNS・・、どんどん発信してもらい、国民に農の重要さについて気づいてもらうことが一番の目的なのです。そして、国政を変えていく。そのような視野のある人材を獲得したいものです。

 もしも、これが実現すれば、宍粟市は有名になることは確実です。視察ラッシュになるでしょう。

 本気で農業を守る気のない(できればこのまま外国から輸入を続けたい)政府、財界、マスコミ、アメリカは嫌うでしょうから、極力、マスコミでは扱いたくないでしょうが、全国の困っている中山間地の人びとには確実に届きます。そうなるように、SNS、YouTube等でしっかり発信していかなければなりません。そのようなことのできる人、あるいは、経営もできる人、そんなマルチな人を採用させてもらうことが重要です。
 
 
 以上、長々と書いてきました。
私の知識不足で間違ったことを書いている箇所もあるかも分かりません。その時は、ぜひともご指導いただければと思います。
また、まだまだ検討していかなければならない課題は多いと思います。
 例えば、
 ・特別交付税の要求はできないか
 ・お米券等をつくり、支援者には何か特典がつくようなことは
 ・耕作放棄を安易に増やす事のないような仕組み作り(既存農家への支援)

 

 私はこの案にこだわるわけではありません。要は、すべての農地をどうやって守るか、それも田んぼとして維持していくかということだと思います。日本の場合、農地を守る基本は田んぼです。    
 課題は多いですが、じっとしていては事態は悪くなるばかりです。
 日本人は、当たり前の感覚を忘れています。
 「自分が耕作できなくなれば自分の農地も荒れていくだろう~」大多数の宍粟の農家の方、全国中山間地域の農家の方はそう思われています。あきらめています。そんな国は日本だけです。その異常さに私たちは気づかなければいけません。
 そして、本気で耕作放棄地を出さないと思うならば、自分ならば、あるいは、自分の子どもならばどのような条件があれば、そこで耕作していくだろうかという発想で考えていただきたいです。
 
 耕作放棄田の加速度的な増加、異常気象、・・コメは今から確実に不足になってきます。国産麦への需要も大きいです。この事業の意義は計り知れず大きく、そして、採算も一定の見通しは持てるのではと思います。
 
 ぜひとも検討して頂ければと思います。
 
 
 
 
     兵庫県宍粟市市議会議員
             いまい農場
                 今井和夫



 

 「消滅自治体〜〜」 なんでこんな発想が出てくるのだろう〜。

 地方が消滅していいのか??!! 都会だけで人は暮らしていけるのか、国は成り立つのか??!!

 これは都会人の傲慢さだろうか

 

 しかし、こんな発想が出てくるぐらい、今の田舎は消滅の危機であることは事実です。「このままいけば、この地域はなくなるだろう」漠然とそう思っている人の方が多いのではないだろうか。

 その根本は、やはり、『農を捨て食を外国に依存する国を作ってきた』 これに尽きるのではと思う。

 『食料自給』 この常識が国民みんなにあれば、消滅する自治体なんて一つも出てこないので、こんな発想自体が出てこない。

 

 農地がどんどん耕作放棄されていく。今、耕作されている人はほとんどが年金生活者だ。例えば、コメの価格は、現状では生活費は全く出ない価格。だから、年金や兼業のある人しかコメ作りはできない。しかし、今や、地方には兼業になる仕事もなくなり(工場なども撤退した)、年金農業者のみが残るだけ。 今から、一気に加速度的に耕作放棄田は、日本全国で増えてくるだろう。

 

 欧米では、これに対して、『農家への戸別所得補償』というのが実施されていて、何とイギリス・フランス・ドイツ等、欧州諸国の農家の所得の8〜9割は国からの補助金だという。規模が大きいから成り立っているのではないわけだ。

 この制度は第2次世界大戦以後、ずっとされていて、欧州では定着している。「国が食料生産を守る」という政治の一番の基礎、一丁目一番地を行えば当然そうなるのだ。

 

 だから、私も農家への戸別所得補償の実現に向けて、頑張らねばと思って今までやってきた。しかし、事態は一向に進展しない。農家への所得補償を言う政党もかなり出てきたが、果たしてどの程度の額を考えているのか甚だ怪しいし、まして、自民党、公明党に至ってはハッキリと戸別所得補償を否定して、「(規模拡大など)農家が努力しろ」と言っている。(『現実を見ろ、あんたがやってみろ!!』と私は言いたい。)

 それで、今の日本の若者を考えた時、「戸別所得補償を出します」と言ったぐらいで、よほど大きな額が出ない限り、それで「コメ作りを始めよう」と思う若者はあまりいないのではないかと思う。「今、若者は農業に、田舎に視点が向いている〜」なんてよく言われるが、やはり、まだまだごくごく一部。とても、すべての農地を耕作できるほどの若者の人数ではない。

 まして、今の日本で戸別所得補償制度が仮にできたとしても、いつまで続くかアテにならないと考えるのが当たり前だろう。そんな制度をアテにして農業を始めようとする若者はほぼいないのではないか。

 と考えた時、将来が一応、保障される公務員という身分で雇うくらいでないと農業のなり手は出てこないのではないか。荒れていく農地の耕作者を作っていくことはできないのではないか・・・。そう考えるに至ったわけです。

 そして、「地域を応援する、守る」という趣旨で、そこで作られる米をその者たちの人件費が出るくらいの価格(おそらく10kg6,000円くらいではないか?)で、その支援市民に買ってもらえれば、それほど市の財政負担もかからないのではないかとも思うわけです。

 もちろん、それには限界があるので、そうやりながら、国民に訴え、国を動かし、国から公務員雇用の財源を出してもらうようにしていくのです。(まあ、所得補償という形でもよいが。金額としては結局は同じになるだろうから。つまり、公務員で雇うくらいの額の所得補償を出さないと耕作者はつくれないということです。)

 そう、あくまでも『国を動かす』が目的です。とても、各自治体だけでは続きません。競争になってつぶれていきます。すべての農地を維持するには、国がきちっと、若者が仕事になるくらいの農産物価格を保障することが絶対条件です。

 そこに行くための、国民への大いなるメッセージです。

 

 というようなことを市と話をしている中で、「一度、市役所内で、そのことも含めて今後の宍粟市農業を考えるプロジェクトチームを作ってみようか」ということになったわけです。

 

 ということで、そこへの提言というかたちで、上記のことをもう少し具体的にまとめたものを先日出しました。

 

 さらに長くなりますが、以下に載せますので、関心のおありな方は是非ご一読ください。

 ご一読いただき、感想などいただければ幸いです。

 

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202451

 

宍粟市 耕作放棄地対策プロジェクト への一提言

 

宍粟市議会議員

いまい農場・今井和夫

 

 この度の宍粟市耕作放棄地対策プロジェクトチーム結成のあたり、一提言をさせていただきたく、以下の文を書かせていただきました。まだまだ未熟な提案ですが、ご検討の一助にしていただけますようお願い申し上げます。

 

 

1. このプロジェクトの対象農地

 今、「地域計画」が各集落で作られていると思います。そこでは、10年後に耕作者がいなくなる農地を集落でどうやって管理するか、誰が耕作するかを検討します。そこで、何とか耕作者が確保できた農地を「守るべき農地」とし、どうしても確保できない農地は赤色で提出されます。

 今回の「耕作放棄地対策プロジェクト」はこの赤色の農地、「守るべき農地」から外れた農地をどうやって耕作していくのか ということの検討だと思います。

 つまり、農地の持ち主はもちろん、集落でも草刈りや耕起するだけも含めて、それもできない「放棄」される農地です。

 ここを「仕方がない、山に返そう」とするならば、いずれほとんどすべての農地がそうなっていくでしょう。つまり、今、この放棄されようとする農地を、いかにして農地として、とりわけ水田として残していくかが問われるのだと思います。「今、山すその少しの農地をあきらめる」ということは、「いずれ、すべての農地をあきらめる」ということだと思います。

 

 

2. 基本的な考え方

 今、一般的に言われている耕作放棄対策、農業振興策は、ブランド化、大規模化、企業参入、輸出、もうかる農業、都市との交流、半農半X、等々。しかし、そのような政策で上述した各集落が放棄した農地をすべて対応できるはずがありません。

 私は本気でそのような農地を耕作していくには、それなりの報酬(所得)を保障して若者を雇い、仕事としてそのお手上げの農地を耕作してもらうという方法しかないと確信します。

 それも、もはや公務員のような保障された待遇でないと、すべての耕作放棄地を耕作するだけの若者の雇用を確保するのは無理ではないかと考えます。

 しかし、今後、幾何級数的に増えてくる宍粟市のすべての耕作放棄地をすべて宍粟市単独の財源で公務員で耕作していくのは不可能なので、一定のモデルを実現した後は、それを国・国民にアピールし、国策として行ってもらう。そこをあくまでも目標としている考え方であります。 

 


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 (その2)へつづく 

あたらしい「百人一歩通信」ができました。

 ・「食料自給の確立を求める自治体議員連盟」発足

 ・どうすれば農村は持続できるか。本来のあるべき姿は。

 ・本当に狂ってきた日本

 ・新病院の進捗状況

等です。長いですがぜひお読みください。

 (実物は最後に。議員HPにも近々アップされると思います。)

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百人一歩通信 第19号  2023年(令和5年)11月

 秋も深まって来ました。毎年ですが、今年もクマが出ているようで、ここ一週間程、全くシカを見ません。毎日、家のまわりに確実に5~6頭はいてピーピー鳴いていたのですが、今はシーンとした感じです。
 秋の日に照らされる色づいた山の木々の間を冬の訪れを感じさせる冷やっとした風が流れていきます。

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 宍粟市内でも新しく農業を始めた若い人たちが少なからずいます。やりがいを感じて始めてくれたこと、すごく心強く思います。今は年金農業者が頑張っていただいていますが、なんとか彼らにバトンタッチしたいものです。
 彼らがちゃんと農業で生活していけるように私たちは何をすべきでしょうか。彼らが作った農作物を買い、まわりにも薦める。ちゃんと生活できるように国に対しても声を上げていく。
 
私も議員として国に声を上げるために議員連盟の立ち上げに参加しました。今の農政では農業はダメになってしまいます。地域は持続しません。そして国民は真っ当なものが食べれなくなってしまいます。
 私たちにできることはなんでしょう~。


『食料自給の確立を求める自治体議員連盟』発足

(全国地方議員交流研修会in九州・長崎 全体総会(10月30日))

 

 

(翌日の第1分科会「食料安全保障の推進と食の安全について考える」の様子)

 

 

(設立趣意書を提案しました)

 

 設立趣意書                2023.10.31.
日本の食と農の現状は危機的状況と言わざるを得ません。
 カロリーベース食料自給率は38%と先進国と言われる国の中で飛び抜けて低い状態であり、それはすなわち、日本の農業・水産業の衰退に直結しています。耕作放棄地は年々増加し、このまま進むと農村は維持できません。特に、日本の国土の7割を占める中山間地域と言われるところは、この先数十年でほぼすべての農地が荒廃し、無人地帯と化してしまうと言っても過言ではない状況です。
 また、今まではおカネを出せばなんとか食料を買うことができましたが、特に、昨年のウクライナ戦争以降、おカネを出しても思うように食料・肥料・飼料等が手に入らない状況になり、まさに日本の農と食は危機的状況になって来ました。
 しかし、日本という国は、本来、四季があり温暖で雨がよく降り、美味しい農作物がよくできる世界でも恵まれたところなのです。私たちの先祖はその自然の恩恵を最大限に受け止め、勤勉に大地を耕し美しい農村を作ってきました。それを私たちの世代がまさに今、壊そうとしているのです。
 こんな国を子や孫に残していいはずがありません。
 しかし、今の農政は、大規模化、ブランド化、強い農業、輸出、多様な人材の活用、等々を言うだけで、それらは基本的にはすべて競争で、すべての農地・地域を守る農政ではありません。農地・地域は競争に勝ったところだけが生き残ればいいものではないのです。
 今こそ、日本中のすべての農地、すべての地域が守られ、自国民の食料は自国で作るという独立国として当たり前の、根本的な農政の確立をすべきときではないでしょうか。
 すなわち、すべての地域において、コメ・麦・大豆・畜産等、基幹的農業が若者の仕事になるよう、地域の条件ごとの国による補助金制度の確立。そのための大幅な農業予算の増額を要求していこうではないですか。

 私たちはこのことを実現するために、ここに『食料自給の確立を求める自治体議員連盟』を設立したいと思います。
 党派を超え、地域を越えて、都市の議員も地方の議員も、ともに手をつなぎ、農地の維持、国民の食料確保のために声を上げようではないですか。
 農地は一度荒れてしまえば、簡単には元に戻せません。農地だけでなく作り手も一度消えてしまえば簡単にはできません。今なら、まだなんとか間に合います。先祖が大いなる苦労の中で築き上げてきたこの農地を守っていける農政を実現していきましょう。子どもたち、孫たちが、子々孫々、安心して日本に、郷土に住んでいけるように、手をつなぎ声を上げようではありませんか。

 呼びかけ人
  北口 雄幸(北海道議)
  今井 和夫(兵庫県宍粟市議)
  西聖 一 (熊本県議)

 

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前明石市長さんに一度聞いてみたい
 今、人口減対策として「子育て支援」などがよく言われます。今や時の人となった前明石市長などは「それで人口が増え、税収も増えた」と言われています。確かに、すごいパワーで明石市民に呼びかけられてこられた力はすごいものだと思います。しかし、同じことをここ宍粟市でしても同じようにはならないと私は思います。
 なぜなら、ここは大きく見れば「住宅地」ではなく、農林業の「生産地」だからです。その農林業自体が、「外国から買うから要らない」となれば、ここはどう頑張っても町は成り立ちません。炭鉱で栄えていた町が石炭が必要なくなれば消えていくのと同じです。

 

「人口減少非常事態宣言」ではなく「農地荒廃非常事態宣言」では
 今、どこに行っても地域の問題は「人口が減っていくこと」と言われます。確かに大きな問題です。
 でも、私は、それよりも農村地帯においては、農業が必要とされるかどうか、これが最大の問題ではないかと思うのです。
 「農業は絶対に必要だ、国民の食料は自国で作らなければならない」そう国民が思うならば、当然、農業、農村、農家を守ろうとするだろうし、当然、そこには補助金もしっかり入れるべきだとなるでしょう。

 

人口が減るのは一定仕方がない
 ただ、昔と違って、今は農業も機械化され省力化の方法もたくさん出てきました。条件の悪い中山間地域でも、一軒が専業でしたとして、昔は3反(30a)だったのが、今なら3haくらいは耕作できます。つまり、10倍の生産性です。だから、極端に言えば昔の1/10の人口で農地は耕作できる、村は守っていけることになります。(そうなれば、水路管理や獣害対策等は補助金で業者委託になるかもしれませんが)
 だから、私は人口が減るということ自体はそれほど問題ではないのではと思うのです。(でも学校維持は大きな問題です。それは後述。)新しい農業技術に即した地域への移行期間です。極端な話、オーストラリアは小型飛行機でタネをまいて除草剤も撒く。一軒当たりの農地面積は平均2000ha。隣の家まで5kmです。でも過疎とは言いません。まあ、それは極端な話ですが、でも、人口が減るのは一定仕方がないことだと思います。だって、さらに自動トラクター、自動田植え機、自動コンバインが作られて人が要らないように要らないように人類は「開発」しているのですから。私はそこは大きな問題だと思っています。
 それはさておき、つまり、問題は農業が続くのか、コメ作りが必要とされるのかということだと思います。

 

「子育て支援」だけでは村は維持できない
 でも、今、「村を何とかしなければ~」ということで、よく言われるのが、「子育て支援」「都市との交流」あるいは、「半農半X」「1%理論(人口の1%の人が毎年移住してくれば地域は維持できる⋯アタリマエや)」「里山資本主義」・・。みんな大事です。特に子育て支援などは今この地域で子育てを頑張ってくれている若い人たちを応援していく意味でとても大事だとは思いますが、それで人が増えたりは基本的にはしないと私は思います。(宍粟市はいい給食で若干人が増えていることはありますが)
 今、宍粟の農村地域においても専業農家の方がほとんどおられないので、なかなかそういう発想になってこないのではと思いますが、やっぱり、原点は「ここが農村として成り立つのか、ここで農業が必要とされているのか」そこに帰っていくしかないのではないでしょうか。

 

欧米先進国の農家所得は税金で補償されている

 

     農業所得に占める補助金の割合 農家1戸当たりの平均耕作面積

     (2013年)           (2015年)

日本    39.1%             2.5ha

アメリカ  35.2%             176ha

フランス  94.7%             59ha

ドイツ   69.7%             59ha

イギリス  90.5%             94ha

 

 そこで、なんども言いますが、日本ではほとんど報道されませんが、欧米先進国は農業をしっかり守り食料自給を確立している。そのために、農家の所得を税金でしっかり補償している。これが真実です。
 なんども出しますが、これは欧米先進国の農家の所得の中でどれくらい税金が入っているかの割合です。
 例えば、イギリスでは農家所得の9割が補助金。  
 これはどういうことかと言うと、農家一軒当たりの耕作面積は95haととんでもなく大きいのですが、そんなに大きくても、例えば、農家の手取りは70万円くらいしか残らない、そこに、国から630万円の補助金が入ってくる(もちろん毎年)。だから、合計700万円となって生活ができる。ということです。
 (最近は、この所得補償をもらう条件として3~4割は環境に優しい農業をすることというのが入ってきているようです。だから、欧米では有機農業が広がっています。)
 日本では「欧米は大規模だから競争力があり農業が成り立つ」とマスコミは言います。私たちもそう思わされて来ましたが、真実は補助金だったのです。

日本にも以前、食管法と言って国がコメを高く買い支える仕組みがあった
 年配の方はご存じと思いますが、日本にも1995年まで「食糧管理法」と言って、農家から高くコメを買い取り(生産者米価)消費者に安く売る(消費者米価)、差額は税金で補填するという制度があったのです。
 それが「莫大な赤字だ」と言われ、また、日本人はコメを食べなくなったのでコメ余りもあり、中曽根内閣の時に廃止されました。
 でも、欧米はその仕組みをしっかりとさらに充実させて残してきているのです。

 

 

 

私がイメージする将来の農村部の姿


まず、欧米並みの補助金制度を作らせる
 ということで、前置きが長くなりましたが、私が考える将来の宍粟市農村部の姿です。
 正直、今は、多くの方がもうあきらめられているのではと思います。イヤイヤ、あきらめるのはまだまだ早いです。
 日本は食料自給を本当にしようとすれば、今、どんな条件の悪い山ぎわの田んぼでも荒らしてもよい田んぼは、ホントは一枚もありません。それを訴えていくしかありません。
 そうして、田んぼを維持していくために欧米のような補助金制度を国に作らせる。国民に作ってもらう。
 多くの方の試算では、およそ2~3兆円あればできます。
 例えば、21年度の中山間地域直接支払の急傾斜水田への反当2.1万円の支給面積は、全国で14.16万haで推計290億円程度です。これを農家への所得補償として反当10万円に増額したところで約1400億円。その気になればすぐにできる金額です。
 それだけで、とりあえず、中山間地域直接支払の出ている田んぼで若者がコメ作りを仕事にすることができるようになります。それ以外の田んぼはもっと条件がいいので反当10万円も要らないでしょう。

 

荒れていく農地は公的に守り、そこに若者を雇用する
 しかし、日本の場合は農地は小さく、また、一枚ずつ条件も違うので、欧米のような面積当たりの補助金はむつかしいと思います。
 荒れていく農地は、みどり公社のような公的なところ、あるいは、民間事業体、営農組織。あるいは究極、公務員でも良いのではと思いますが、そういうところが順に管理していき、そこに国からの補助金を入れて若者を雇用していく。そして、その若者は極力地域に住んで地域を守る核となる。(個人で頑張ろうとしている事業者にも当然同様の補助金を出して守るべきです。また、農地所有者の負担、将来的に誰が農地を所有していくのか等々、課題はたくさんありますが、解決の方法はあると思います。)

 

農地が守られれば、他の仕事も入ってきて村は大きくなる
 そうやって、農地が守られ農村が美しく維持されるのが分かれば、他の仕事の人も安心して入って来れます。テレワークも半農半Xも。製麺業などの地場産業も人手が増えて成り立ちます。今よりは人口は減りますが、また新しい形の村が作られていくのではと思います。
 その段階では競争もいいのではないでしょうか。村の魅力づくりの競争。人を呼び込む競争。それは最低限、村は維持されるということが分かった上での競争だからです。

 

隣保・自治会・学校・祭り⋯新しく作られる
 人口も一定減るので、隣保・自治会も再編されるところも出てくるでしょう。
 学校も、この制度ができれば、おそらく小学校までは成り立つのではと思いますが、中学校はどの程度の規模が良いかは、また地域で話をする必要があるのではと思います。統合すべきとなればそれも良いのではと思います。
 祭りも今なら「○○保存会」で各地域で頑張って残されていると思いますが、正直、展望はむつかしいと思います。でも、この制度ができれば、将来の姿が見えてくるので、統合して新しい祭りを作っていこうとなっていくのではないでしょうか。

ということで、地域の永続を考えた時、農の永続なしに農村は続かないということ、その本質に正面からぶつかっていくしか地域は続かないと思うのですがいかがでしょうか。

 


「食料自給の確立を求める自治体議員連盟」の発展を
 前号にも書きましたが、私は、この制度を作るための声を上げたい というのが、議員になりたいと思った一番の理由です。「農家への所得補償実現地方議員連盟」を作りたい。それが当初からの思いでした。名前は替わりましたが、一応、その形はなんとか実現にこぎ着けました。コロナ禍でかなり遅れましたが、なんとかスタートしました。「その方法しかない」と思う議員がやはり多くおられました。
 まだHPもできてません。今から手探りです。
 超党派を目指しますが、なかなか難しいかもしれません。が、食料自給、農地維持に党派は関係ありません。この考え方が広まっていけばと思っています。
 ここに書かれている「すべての地域において、コメ・麦・大豆・畜産等、基幹的農業が若者の仕事になるよう、地域の条件ごとの国による補助金制度の確立。そのための大幅な農業予算の増額」。私はこれは必ず実現すると思っています。これ抜きで、日本国民の食料自給と日本の農村が存続していく道はあり得ないと思うからです。そして、少なくない国会議員も、このことを口にするようになって来ました。この12区選出の国会議員(山口先生、池畑先生)がこのことに対してどのような考えを持っているのかも改めて聞いていきたいと思います。


みんなで声を上げていこう
 しかし、簡単ではありません。マスコミはバラマキとまた批判してくるでしょう。なぜなら、マスコミのスポンサーの経済界は食料を輸入して工業製品を売りたい。そして、そのバックのアメリカは日本に食料を売りたい、食料を握って日本支配を強めたいと思っているからです。
 でも、それでは本当に日本は壊れてしまいます。どこかで転機が来ると思います。そう遠くない将来に。
 あきらめずに、声を上げていきましょう。国民の声しかこれを変えていく術はないのです。

 それがこの地域が続いていく根本なのです。

 

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ホントに狂ってきた日本


 ホントに日本も世界も狂ってきています。

 

 大多数の国民は、円安による物価高騰で苦しんでいる。しかし、大企業は「過去最高益」を横臥しているところが少なくない。
 トヨタなどの輸出企業はもちろん史上最高益。しかし、輸入が中心の企業、石油元売り大手(ENEOS・出光・コスモ)、パン・菓子の製粉大手(日清製粉・ニップン)、原材料輸入を扱う大手商社(三菱商事・三井物産・伊藤忠・・)、電力会社は、国民と同じように赤字になってもおかしくないのに過去最高益や歴史的高利益という。どうしてか。

 

 その主な要因は政府からの補助金と過大な価格転嫁という。今の政府・政権は、大企業や投資家・株主には非常にやさしい。

 

 片や、地方、一般庶民、農業等々に出すカネは少ない。
 地方はどんどん衰退し、農地は荒れ、貧富の差はますます大きくなっていく。

 

 経団連は自民党への献金を呼びかけ、自民党はそれに応えて大企業・投資家のための政治をする。その配下のマスコミはそのような仕組みは一切報道せず、「誰がやっても政治は変わらない」ような雰囲気を作り、政治のことにあまり目を向けさせないように娯楽番組・スポーツ番組ばかりに力を入れ(スポーツ番組は私も好きだが)、国民は馬鹿らしくて半数以上は選挙に行かない。それでますます、大企業・金持ちたちの政治が進んでいく。大企業の内部留保金は毎年20~30兆円増えている。片や、国民の実質賃金は17ヶ月連続でマイナス。1997年を100とすれば日本だけ85と大きくマスナス。(アメリカ139、イギリス133、ドイツ118、フランス125、カナダ134)

 

 とりあえず5,000億あれば、日本中の農地は荒れない。限界集落も解消する。「もうすぐ消えそうだ」という集落にも若い家族が数軒~十数軒定着する。

 

 コロナ対策で出したお金は120兆円。桁がどれだけ違う?このうち、国民生活に回ったおカネはどれくらいだろう。1人10万円給付もたった12~13兆円。困っている事業者への融資ですら、今、返済せよと言ってくる。大企業には返さなくてもよい補助金をどれだけ出しているのか。

 

 そして、さらに10月からインボイス。どれだけ中小弱者からむしり取れば気がすむのか。

 

 病院建設も同じだ。国の医療制度の不備で住民同士を争わせてはいけない。公立病院の割合が全体の2割という日本の異常な低さ。本来は国が主導で地域の病院は整備していくべきものだ。私たちがものを言うべき相手はだれなのか。分断されることが一番地域を弱くさせてしまう。

 

 2024年度の防衛費は過去最大の7.7兆円になるという。今年よりも約2兆円の増額。それだけあれば、日本のすべての農地で若者がコメ作りを仕事にすることができる。日本の土台である農と食を確立することができるのだ。日本全国のどんな田舎もずっと地域が続いていく展望を作ることができるのだ。国民も飢えることはなくなり「食料を握られて言いたいことも言えない」なんてことはもない。どちらが本当の国防だろう。

 

 とにかく、地方が連帯して行動し国を変えていくしか、私たちの暮らしが良くなっていく道はないのではと思います。

 

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新病院建設の進捗状況


施工予定者の選定中
 新病院建設の方は、今、新病院の施工予定者の選定中です。現在、基本設計が終わり、実際に作って行くための実施設計に入る段階ですが、その時、実際に施工する予定事業者にも技術協力という形で入ってもらって設計をする方が、良い提案がもらえ、また安く施工できるので、実施設計に入る時に施工予定者を決めてしまおうというものです。2社応募があり、その内の1社が選定され、今、実際に契約できるかの協議中です。

総務省アドバイザーも「問題なし」
 それとは別に、今、全国の公立病院が「経営強化プラン」の作成を国から義務づけられているのですが、その際、総務省が、希望する自治体にはアドバイザーを送るというので、宍粟市も手を上げました。トーマツという日本最大手の監査会社の方が総務省から任命されて、新病院開院後10年の収支シミュレーションも見ていただいたそうですが、「収支のバランスはとれているので、特段、問題はない」とのアドバイスをもらったということです。県の方も見られて同様の意見ということだそうです。(11月14日文教民生常任委員会にて病院当局の発表)
 10年後以降については誰も分かりませんが、西播磨北部のへき地拠点病院として、この地域唯一の公立病院として、ますますその重要性は増すでしょう。
 大事な事は、「市民からも医者からも選ばれる病院になってもらう。そのためには、医師・スタッフの皆さんにも頑張ってもらい、また、市民もみんなで応援する」ということだと思います。市民の自慢になる病院になってもらいたい。心からそう思います。市民が自慢でき、みんなが利用すれば経営は間違いなく安定します。近隣市町からも患者さんは来られます。

 

高騰分の財源は国に要求すべきもの
 それよりも、最近、私が問題だと思うことは、当初(基本計画段階)は124億円(医療機器購入分を含む)の試算だったのが、昨年からの建築価格高騰・労務賃高騰を受けて基本設計では155億円になった。そして、おそらくさらに高騰している。
 しかし、今のルールでは、この高騰分への国からの支援はほとんどありません。建築単価47万円/㎡以上は国の支援がないからです。病院と宍粟市で全部負担することになります。大阪万博でも高騰分を、国・大阪市・経済界が三等分する話になりました。
 この物価高騰は円安による輸入資材の値上がりが主因でしょう。円安になる理由は様々なのでしょうが、そのツケを全部市民に負わせるのは非常に理不尽に思えてなりません。それによって病院を小さくするとか機能を低下させるようなことになるのであれば、ホントに日本の経済力が落ちてしまった象徴となります。ここは国がおカネを出して日本の経済力の底上げをすべきところ、まさにその一つではないかと思います。あるいは、円安によって守られている者たちもいるのです。どこを向いて政治をしているのかということです。
 病院当局の出している(トーマツ等も見てくれた)新病院の収支シミュレーションを見る限りでは、まだもう少し高くてもやっていけると私は思うので、とりあえず現計画は進めていけばよいと思いますが、財源の国との交渉はじっくり時間をかけてやっていくべきです。市民も声を上げるべきかも分かりません。
 主権者は私たち市民です。政治を変えるのは私たちです。

 

 

 10月30,31日に長崎で行われた「全国地方議員交流研修会」において、『食料自給の確立を求める自治体議員連盟』が、私も呼びかけ人の1人となって、とうとう作られました。

 100人くらいの賛同者でスタート。今後、どう展開していくか、課題は多いと思いますが、私はこの活動をしていくために議員を志したのですから、頑張っていきたいです。

 ご苦労をいただきました関係の皆様、本当にどうもありがとうございました。頑張って行きましょう〜。

 

 全体会

 

二日目 第一分科会「食料安全保障の推進と食の安全について考える」

 

議員連盟の提案をさせてもらいました

 

設立趣意書の朗読

 

 

 党派、様々な思惑、・・・、いろいろとあると思います。そう簡単には広がっていかないかもしれません。 でも、ほとんどの自治体で同じ問題に直面し、その解決の手段は趣意書の中に書かれている「すべての地域において、コメ・麦・大豆・畜産等、基幹的農業が若者の仕事になるよう、地域の条件ごとの国による補助金制度の確立。そのための大幅な農業予算の増額」なしでは成り立たないと思います。

 この議員連盟の賛同者が増えていくことはもちろんですが、この考え方が広がっていけば、世の中変わっていくと思います。

 

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『食料自給の確立を求める自治体議員連盟』 設立趣意書

 日本の食と農の現状は危機的状況と言わざるを得ません。
 カロリーベース食料自給率は37%と先進国と言われる国の中で飛び抜けて低い状態であり、それはすなわち、日本の農業・水産業の衰退に直結しています。耕作放棄地は年々増加し、このまま進むと農村は維持できません。特に、日本の国土の7割を占める中山間地域と言われるところは、この先数十年でほぼすべての農地が荒廃し、無人地帯と化してしまうと言っても過言ではない状況です。
 また、今まではおカネを出せばなんとか食料を買うことができましたが、特に、昨年のウクライナ戦争以降、おカネを出しても思うように食料・肥料・飼料等が手に入らない状況になり、まさに日本の農と食は危機的状況になって来ました。
 しかし、日本という国は、本来、四季があり温暖で雨がよく降り、美味しい農作物がよくできる世界でも恵まれたところなのです。私たちの先祖はその自然の恩恵を最大限に受け止め、勤勉に大地を耕し美しい農村を作ってきました。それを私たちの世代がまさに今、壊そうとしているのです。
 こんな国を子や孫に残していいはずがありません。
 しかし、今の農政は、大規模化、ブランド化、強い農業、輸出、多様な人材の活用、等々を言うだけで、それらは基本的にはすべて競争で、すべての農地・地域を守る農政ではありません。農地・地域は競争に勝ったところだけが生き残ればいいものではないのです。
 今こそ、日本中のすべての農地、すべての地域が守られ、自国民の食料は自国で作るという独立国として当たり前の、根本的な農政の確立をすべきときではないでしょうか。
 すなわち、すべての地域において、コメ・麦・大豆・畜産等、基幹的農業が若者の仕事になるよう、地域の条件ごとの国による補助金制度の確立。そのための大幅な農業予算の増額を要求していこうではないですか。
 私たちはこのことを実現するために、ここに『食料自給の確立を求める自治体議員連盟』を設立したいと思います。
 党派を超え、地域を越えて、都市の議員も地方の議員も、ともに手をつなぎ、農地の維持、国民の食料確保のために声を上げようではないですか。
 農地は一度荒れてしまえば、簡単には元に戻せません。農地だけでなく作り手も一度消えてしまえば簡単にはできません。今なら、まだなんとか間に合います。先祖が大いなる苦労の中で築き上げてきたこの農地を守っていける農政を実現していきましょう。子どもたち、孫たちが、子々孫々、安心して日本に、郷土に住んでいけるように、手をつなぎ声を上げようではありませんか。

 呼びかけ人
  北口雄幸(北海道議)、今井和夫(兵庫県宍粟市議)、西聖一(熊本県議)

             2023.10.31.

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1年ぶりの「百人一歩通信」18号。

4ページ構成の4ページ目です。

「食料安全保障を推進する自治体議員連盟」がようやくできる運びとなりました。

 私が議員を目指した最大の理由が、これを作ることです。

 「農家の戸別所得補償制度」とも言うのですが、

 それだと、「なんで農家だけ???」って反発がある。

 そんなことに反発するのは日本だけって聞きますが。

 だから、国民全体の問題としてとらえるべく

「食料安全保障」という言い方に変わりました。

 やらんとすることは全く同じです。

 この10月末に正式に発足すると思います。

 

 ぜひ、ご一読ください。

 一年ぶりの百人一歩通信になってしまいました。

 今回は、4ページ構成。

 まず、1〜3ページが 今、宍粟市の懸案の新病院建設に関しての私の意見。

 反対を言い署名を集めている人たちもおられるようですが、私は今の当局の案を支持しています。

 その主な理由を書いています。

 ぜひ、ご覧ください。

 

 

 ここ数日、一気に涼しくなって来ました。夜は窓を開けてると寒いくらいです。とても快適。ありがたいです。

 百人一歩通信17号ができましたので、投稿します。

 

中山間地農地対策

 山ぎわの田んぼから荒れが広がっている中山間地の田んぼ。今、そこを田んぼに戻せないならば、やがて、集落内の田んぼに広がっていったときも、止めることができないということです。

 それは、今、政府が言い出した「半農半Xなども耕作者として位置付けよう」とかでは、全く追いつかない、根本的な食料自給を100%にする政策が必要なのです。

 

 宍粟市新病院建設問題

 過疎が進む地域で老築化する病院の建て替え問題。市民から不安の声も上がるが、そこは冷静に、しっかりした医療を残すにはどうしたらいいのか、医療だけでなく地域を守ろうと残る者たちに何を残せばよいのか。大きな視点で考えてみて欲しい。

 

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●どうして人口 3 万人の町にたった 170 床の公立病院が建てられないのか

●どうして地方はこんなに仕事がなくなっていくのか

 ●どうして農地は荒れ将来が見通せないのか

●どうして若者は派 遣ばかりで長時間低賃金労働になるのか

●「社会保障のため」と 消費税は上がるけど、どうして年金・医療・福祉はどんどん削られるのか・・・。

  みんなつながっていると私は思います。私たちの暮らしは市政よりももっと大きなところで作られているのです。

  安倍氏国葬が普通にまかり通ろうとしている国です。

 中国に向 けて 1000 発のミサイルを沖縄に作ろうとしている国です。(そ の前にすることがあるだろう〜。)

根本的に狂っていると私は思 います。みんなつながっています。

 

 

 市議も二期目に入って1年3ヶ月になるのですが、二期目に入ってようやく初めての「百人一歩通信」を出しました。

 今回は、参議院選挙を控えて、非常に気になることを書かせてもらいました。

  要点は、

 ◎ 自公政権は、防衛費倍増(11兆円に) 敵基地攻撃能力 を備える と言ってますが、中国と日本が至近距離で互いにミサイルを向け合う。そんなことをしたら、本当に戦争になってしまう。一度始まったら終わりが見えない。 日本がウクライナのように、アメリカの代理戦争をさせられる。 本当にそれで良いのか。 まずは、外交ではないか。

 ◎ どの党も「食料安全保障」を言い出した。でも、本当に自給率を上げると言うならば、それは、アメリカから食料を買わないということ。そうなれば、アメリカや経団連等の反発は大きい。そこに言及する党はない。防衛費倍増に回す5兆円があれば、食料自給は確実に達成できる。逆に、本当はそれくらいは食料自給・食料安全保障には必要。しかし、そこまではどの党も言わない。本気でする気がない現れ・・・。

 

 だいたい、こんなところです。良かったら、是非、ご一読ください。

 

 

https://www.imaikazuo.com/assets/pdf/2022/hyakunin_ippo_v16.pdf

 

 

 今年も一枚だけ田んぼさせてもらいます。

 農業のことをずっと言ってるのに、田んぼの一枚くらいしとかないとダメでしょ。

 って、自分でも思うので、ホント、忙しいのですが、これだけはなんとか続けています。

 昨秋に荒起こしして、今回いきなり水入れて鋤きます。

 この谷で田んぼを作っているのはウチだけになってしまっています。ウチがやめたらこの水系の耕作田はゼロになり、水路も傷んでしまうでしょう。でも、このままだとそれも時間の問題です。

 今が一番いい季節。鳥のさえずりの中、至福のひとときです。

 養父市の国家戦略特区について、国が意見を求めているという。
 もちろん、これは出来レースで、「国民から意見を聞きました」というアリバイづくりでしかないだろうが、それでも、今、私の知る限りでの意見を書いてみようと思う。

 まず、この国家戦略特区。これは「岩盤規制に穴を空ける」といわれるもので、今、ある規制の廃止を特区から特例的に認め、それを次に全国展開していくという目的のための仕掛けです。
 この農業版が養父市の農業特区。
 この農業特区で一番のポイントは、「企業の農地所有を認める」ということでしょう。
 実は、今の法律でも、企業が農地所有適格法人の要件を満たしていれば所有できる。その要件とは、簡単に言えば農業をする法人であるということ。つまり、株式会社でもその売上の半分以上が農業での売上であれば農地を取得できる。これが今の法律。
 しかし、これが「岩盤の規制」と言うことらしい。つまり、今の法律では、農業を主の仕事としない株式会社(法人)は農地を持てない。
 いや、これ当たり前でしょ。この規制をなくしたら、東京本社の大企業がカネにモノを言わせて全国の農地を買い回ってしまう。いや、全国の農地ではなく、将来売れそうな都会近くの平地の農地などを買い回る。転売することを目的にして。今は転用できない規制があるが、それもいずれなんとか解禁にして。
 なるほど、この農業特区の真の目的とはこれだったのか。
 私はずっと不思議だった。わざわざ農業特区にして株式会社が農業参入しやすくするとか言ってるけど、今の農政では、特に中山間地の農業に企業は参入してこないだろう。儲からないところに企業は来ない。なのに、どうして仰々しく「農業特区」とかするのだろうか・・・、と。
 つまり、この農業特区の本当の目的はこれだったのだ。
 養父市の国家戦略特区の検証の論文などを見ていると、参入企業の言い分として「農地所有することで地域から本気と思われた」とか「所有することでさらに意欲的に農業に関わる気になれた」などのもっともらしい検証結果が書かれているが、現実は、ほとんどがリースで行われている。所有したのはごくごく一部の農地だけだ。つまり、現実は養父市のような中山間地の農地では所有するメリットがほとんどない。だから、「どんどん企業が農地を所有する」というようなことは起こらず、問題も起こらない。
 つまり、養父市のような中山間地でまず始めて、問題なしという事実をつくり、規制を取っ払い、それを全国展開して、都会近くの農地を企業が所有して将来転売して儲けていく。
 このストーリーのための養父市での農業特区だったのか。養父市は単なるカモフラージュだったのか。どこまで、農業・農地を潰し、食いものにしていくのか・・と疑わざるを得ない。
 養父市の場合でも、特区において耕作放棄地を集めて農地として再生利用していった例もごく一部にはあるが、現実としては、それよりもはるかに大きな面積が毎年耕作放棄地になっているのではないか。つまり、中山間地の農業振興、耕作放棄対策としては、この農業特区制度では効果はないと断言できるのではないか。
 中山間地において、真の農業振興、真の耕作放棄田対策とは、それでも、日本の農地の4割を占める中山間地の農地を捨てるわけにはいかないので、効率が悪くても品質は良い中山間地のコメ、それを確保する意味でも、若者がコメ作りをずっと続けていけるような所得の補償、暮らしの保証をすること以外にないと私は断言したい。

 

日本農業新聞2022.5.2.