「消滅自治体〜〜」 なんでこんな発想が出てくるのだろう〜。

 地方が消滅していいのか??!! 都会だけで人は暮らしていけるのか、国は成り立つのか??!!

 これは都会人の傲慢さだろうか

 

 しかし、こんな発想が出てくるぐらい、今の田舎は消滅の危機であることは事実です。「このままいけば、この地域はなくなるだろう」漠然とそう思っている人の方が多いのではないだろうか。

 その根本は、やはり、『農を捨て食を外国に依存する国を作ってきた』 これに尽きるのではと思う。

 『食料自給』 この常識が国民みんなにあれば、消滅する自治体なんて一つも出てこないので、こんな発想自体が出てこない。

 

 農地がどんどん耕作放棄されていく。今、耕作されている人はほとんどが年金生活者だ。例えば、コメの価格は、現状では生活費は全く出ない価格。だから、年金や兼業のある人しかコメ作りはできない。しかし、今や、地方には兼業になる仕事もなくなり(工場なども撤退した)、年金農業者のみが残るだけ。 今から、一気に加速度的に耕作放棄田は、日本全国で増えてくるだろう。

 

 欧米では、これに対して、『農家への戸別所得補償』というのが実施されていて、何とイギリス・フランス・ドイツ等、欧州諸国の農家の所得の8〜9割は国からの補助金だという。規模が大きいから成り立っているのではないわけだ。

 この制度は第2次世界大戦以後、ずっとされていて、欧州では定着している。「国が食料生産を守る」という政治の一番の基礎、一丁目一番地を行えば当然そうなるのだ。

 

 だから、私も農家への戸別所得補償の実現に向けて、頑張らねばと思って今までやってきた。しかし、事態は一向に進展しない。農家への所得補償を言う政党もかなり出てきたが、果たしてどの程度の額を考えているのか甚だ怪しいし、まして、自民党、公明党に至ってはハッキリと戸別所得補償を否定して、「(規模拡大など)農家が努力しろ」と言っている。(『現実を見ろ、あんたがやってみろ!!』と私は言いたい。)

 それで、今の日本の若者を考えた時、「戸別所得補償を出します」と言ったぐらいで、よほど大きな額が出ない限り、それで「コメ作りを始めよう」と思う若者はあまりいないのではないかと思う。「今、若者は農業に、田舎に視点が向いている〜」なんてよく言われるが、やはり、まだまだごくごく一部。とても、すべての農地を耕作できるほどの若者の人数ではない。

 まして、今の日本で戸別所得補償制度が仮にできたとしても、いつまで続くかアテにならないと考えるのが当たり前だろう。そんな制度をアテにして農業を始めようとする若者はほぼいないのではないか。

 と考えた時、将来が一応、保障される公務員という身分で雇うくらいでないと農業のなり手は出てこないのではないか。荒れていく農地の耕作者を作っていくことはできないのではないか・・・。そう考えるに至ったわけです。

 そして、「地域を応援する、守る」という趣旨で、そこで作られる米をその者たちの人件費が出るくらいの価格(おそらく10kg6,000円くらいではないか?)で、その支援市民に買ってもらえれば、それほど市の財政負担もかからないのではないかとも思うわけです。

 もちろん、それには限界があるので、そうやりながら、国民に訴え、国を動かし、国から公務員雇用の財源を出してもらうようにしていくのです。(まあ、所得補償という形でもよいが。金額としては結局は同じになるだろうから。つまり、公務員で雇うくらいの額の所得補償を出さないと耕作者はつくれないということです。)

 そう、あくまでも『国を動かす』が目的です。とても、各自治体だけでは続きません。競争になってつぶれていきます。すべての農地を維持するには、国がきちっと、若者が仕事になるくらいの農産物価格を保障することが絶対条件です。

 そこに行くための、国民への大いなるメッセージです。

 

 というようなことを市と話をしている中で、「一度、市役所内で、そのことも含めて今後の宍粟市農業を考えるプロジェクトチームを作ってみようか」ということになったわけです。

 

 ということで、そこへの提言というかたちで、上記のことをもう少し具体的にまとめたものを先日出しました。

 

 さらに長くなりますが、以下に載せますので、関心のおありな方は是非ご一読ください。

 ご一読いただき、感想などいただければ幸いです。

 

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202451

 

宍粟市 耕作放棄地対策プロジェクト への一提言

 

宍粟市議会議員

いまい農場・今井和夫

 

 この度の宍粟市耕作放棄地対策プロジェクトチーム結成のあたり、一提言をさせていただきたく、以下の文を書かせていただきました。まだまだ未熟な提案ですが、ご検討の一助にしていただけますようお願い申し上げます。

 

 

1. このプロジェクトの対象農地

 今、「地域計画」が各集落で作られていると思います。そこでは、10年後に耕作者がいなくなる農地を集落でどうやって管理するか、誰が耕作するかを検討します。そこで、何とか耕作者が確保できた農地を「守るべき農地」とし、どうしても確保できない農地は赤色で提出されます。

 今回の「耕作放棄地対策プロジェクト」はこの赤色の農地、「守るべき農地」から外れた農地をどうやって耕作していくのか ということの検討だと思います。

 つまり、農地の持ち主はもちろん、集落でも草刈りや耕起するだけも含めて、それもできない「放棄」される農地です。

 ここを「仕方がない、山に返そう」とするならば、いずれほとんどすべての農地がそうなっていくでしょう。つまり、今、この放棄されようとする農地を、いかにして農地として、とりわけ水田として残していくかが問われるのだと思います。「今、山すその少しの農地をあきらめる」ということは、「いずれ、すべての農地をあきらめる」ということだと思います。

 

 

2. 基本的な考え方

 今、一般的に言われている耕作放棄対策、農業振興策は、ブランド化、大規模化、企業参入、輸出、もうかる農業、都市との交流、半農半X、等々。しかし、そのような政策で上述した各集落が放棄した農地をすべて対応できるはずがありません。

 私は本気でそのような農地を耕作していくには、それなりの報酬(所得)を保障して若者を雇い、仕事としてそのお手上げの農地を耕作してもらうという方法しかないと確信します。

 それも、もはや公務員のような保障された待遇でないと、すべての耕作放棄地を耕作するだけの若者の雇用を確保するのは無理ではないかと考えます。

 しかし、今後、幾何級数的に増えてくる宍粟市のすべての耕作放棄地をすべて宍粟市単独の財源で公務員で耕作していくのは不可能なので、一定のモデルを実現した後は、それを国・国民にアピールし、国策として行ってもらう。そこをあくまでも目標としている考え方であります。 

 


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 (その2)へつづく