以前外交の究極的目標は、友好増進よりも、国の安全保障の確保にあると論じた。東日本大震災以降、世界から注目され、称賛されたのは、日本国民であって、必ずしも現政権ではなかろう。何故か。国際約束を守らないからである。
そこで思い出すのは、村山政権だ。1994年6月30日社会党村山委員長を首班とした連立政権が誕生し、その8日後には、ナポリで7カ国経済サミットが開催されるが、その際同時に開催予定の日米首脳会談で村山新総理がクリントン大統領に何を言うかが最大の焦点だった。勿論イデオロギー論争になるのか、日米安保体制堅持になるのかである。
しかもサミット開催当日7月8日には、北朝鮮の金日成主席が死去し、過激派と目されていた金正日が後継者となると予想され、朝鮮半島情勢は、極めて緊迫した状況にあったから、日米安保体制の行方は、日本のみならず、世界の主要関心事でもあった。
幸い村山総理は、日米安保体制の堅持を明言することになった。外務官僚の説得努力もあったが、これでどうにか日本国民の安全の最低条件が確保されたのである。
昔と違い、今や自力のみで自国の安全を保障できる国は、一国もない。米国でさえ、多くの国際安全保障協力の枠組みがあるからこそ存立できる。それが機能するための最も重要な要件は、言うまでもなく、相互信頼関係の維持強化だ。
それなのに、鳩山前総理は、トラスト・ミーと明言しながら、国際約束を反故にした。それを継承した現政権も、無為無策に終始した。とても一国の総理であるという自覚があるとは見えない。
確かに沖縄問題は複雑で難問だ。しかし、通常国際約束を反故にするには、その何倍かの譲歩を受け入れる用意がなければならないし、その前提として、何よりも関係首脳同士の信頼関係が確立されていなければならない。それがなければ、問題解決どころか、問題拡散を増幅させる可能性が大きいことを理解しているべきである。既に、この間隙に乗じて、周辺国は、震災の救援措置をとる一方で、勝手な行動をとり始めている。
もし万一大連立が成立する暁には、二度と同じ過ちを犯さないでほしい。喜ぶのは、そういう周辺国だけであろう。
勿論、大連立であろうとなかろうと、次期総理が先ず第1にやるべきことは、「国際約束を遵守する」と明言し、かつ失われた同盟国大統領との個人的信頼関係を回復し強化することだ。一国の総理の言葉は、日本を、世界を動かすほど重いということを、是非認識して欲しい、と願っているのは私だけだろうか。
そこで思い出すのは、村山政権だ。1994年6月30日社会党村山委員長を首班とした連立政権が誕生し、その8日後には、ナポリで7カ国経済サミットが開催されるが、その際同時に開催予定の日米首脳会談で村山新総理がクリントン大統領に何を言うかが最大の焦点だった。勿論イデオロギー論争になるのか、日米安保体制堅持になるのかである。
しかもサミット開催当日7月8日には、北朝鮮の金日成主席が死去し、過激派と目されていた金正日が後継者となると予想され、朝鮮半島情勢は、極めて緊迫した状況にあったから、日米安保体制の行方は、日本のみならず、世界の主要関心事でもあった。
幸い村山総理は、日米安保体制の堅持を明言することになった。外務官僚の説得努力もあったが、これでどうにか日本国民の安全の最低条件が確保されたのである。
昔と違い、今や自力のみで自国の安全を保障できる国は、一国もない。米国でさえ、多くの国際安全保障協力の枠組みがあるからこそ存立できる。それが機能するための最も重要な要件は、言うまでもなく、相互信頼関係の維持強化だ。
それなのに、鳩山前総理は、トラスト・ミーと明言しながら、国際約束を反故にした。それを継承した現政権も、無為無策に終始した。とても一国の総理であるという自覚があるとは見えない。
確かに沖縄問題は複雑で難問だ。しかし、通常国際約束を反故にするには、その何倍かの譲歩を受け入れる用意がなければならないし、その前提として、何よりも関係首脳同士の信頼関係が確立されていなければならない。それがなければ、問題解決どころか、問題拡散を増幅させる可能性が大きいことを理解しているべきである。既に、この間隙に乗じて、周辺国は、震災の救援措置をとる一方で、勝手な行動をとり始めている。
もし万一大連立が成立する暁には、二度と同じ過ちを犯さないでほしい。喜ぶのは、そういう周辺国だけであろう。
勿論、大連立であろうとなかろうと、次期総理が先ず第1にやるべきことは、「国際約束を遵守する」と明言し、かつ失われた同盟国大統領との個人的信頼関係を回復し強化することだ。一国の総理の言葉は、日本を、世界を動かすほど重いということを、是非認識して欲しい、と願っているのは私だけだろうか。