公文式のいいとこ悪いとこ | お受験ブルーズ

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現役講師がお受験を通じて世間を眺めています。
大手塾勤務→独立→プロ家庭教師と変わって来ました。(作曲・編曲、戦国シンフォニックメタルバンド「武士メタル~Allegiance Reign~」のベーシストとしても活動しています。どっちも本気です)

 

 

 少し前に、ホリエモンこと堀江貴文さんが公文のからみで炎上?されていて、上記のような動画を出しておりました。このブログでは一貫して公文に肯定的な立場ですので、これを僕なりに解説してみたいと思います。

 

 まず、堀江さんがほかの論者と違うのは、この方なりに論理性はあることを述べていて、その論理も破綻していないことです。つまり、言っていることには「一理」あります。ですから僕とは完全に真逆の意見などもありますが、基本的には耳を傾けています。すると、発見もあります。

 

 堀江貴文さんは、ちゃんと考えられて行動できる人間にとっては、基本的に大学もいらない、学校もいらない、もっと社会の制約をなくして「自由にしろ」「機会を公平にしろ」というお立場です。(下記本など参照)

 

 

 ただ、基本的に9割の人間には当てはまらない、いわゆるアーリーアダプターよりもさらに1歩先んじた方ですので、多くの方にはそのままの意見では生かすことも難しいことでしょう。

 

 そこで、中学受験から大学受験までを俯瞰してみて(おそらくコンサル入れて2500件以上)きている僕なりに、公文式に関する見解を述べてみたいと思います。また、僕自身も幼稚園の年長から小2くらいまで、算国で公文をやっています。大体Eくらいまで行ったと思います。

 

 それらを踏まえ、プロ的に良いとこ悪いとこ、両方述べてみます。

 

 

・公文で伸びなかったということはあっても、潰されたということはない

 ……まずはこれが言えます。例えば、中学受験のサピックスなどでは、あまり準備をせずに入塾した場合、資質が追い付いていないとかなり厳しい戦いが待っています。

 

 中途半端な才覚がある場合が最も悲劇で、1週間の宿題などを回すために、夜遅くまで勉強したり、学校のことや外遊びなどを一切捨ててなんとか取り組む場合があります。

 

 この場合、最も怖いのは、子供が潰れて完全に自信を喪失したり、その後、引きこもりや鬱病の遠因となってしまうことです。また、親御さん(特にお母様)が体調を崩したり、倒れることもよくあります。これはフォローが地獄のようにきつく、ストレスで親もつぶれてしまうのです。

 

 また、違う例としては、個人系の塾などでやり方が極端だったり、先生方の不勉強、または時代遅れだったりするために、生徒が「もっと伸びたんじゃないか」という変な後悔と(僕にとっての)いらだちが残る場合です。これも、生徒の才能を伸ばしきれなかった、という意味で潰された、と僕はとらえています。

 

 公文では基本的にこのようなことはありません。ま、小1の我が子に、いきり立ってやらせるお母様などもいましたので、その限りではないかもしれませんが(笑)

 

 公文は基本的に自習形式で、本当にすこーしずつ難しくなります。これは、子供が一人で勉強していても無理がないよう、かなり丁寧にカリキュラムが組まれていて、繰り返し学習としては理想形に思います。

 

 基本的に一人でもできる内容ですので、親の管理は少しで済むし、一人でやるように自立を促したりするツールとしても使えます。例えば、サピや四谷の算数をいきなり「一人でやれ」というのは、単なる鬼です。難易度が高いものを子供が一人でやる、というのは最初は不可能です。

 

 公文最大の良いところは、「その子のレベルで簡単めに解ける」ところをちゃんと狙える点です。

 

 僕自身は、実は小5の真ん中くらいからは完全に自走していて、親が言わなくても学校から帰ったらまず学校の宿題をして、(遊ぶこともあるが)すぐに塾の宿題もやっています。問題ができなくて泣いた経験は数多ありますが、習慣のところで親と衝突するようなゴネた経験はほぼありません。

 

 これは、まず小1のころに「学校から帰ったら宿題をする」「公文を2枚終わらせる」などを習慣化し、学校+塾というルーティンができていたことが大きいです。うまく公文を使えている家庭は同様のパターンのご家庭が多いです。

 

 公文を塾で自学する準備段階としてとらえていけばよいと思います。地方などで高校受験する場合も、中学内容までやってしまうことは大きなアドバンテージになります。

 

 公文で伸びないパターンもよくあるのですが(後述)、とりあえず、公文によって子供や親が潰れることはあまりない、と言えます。これだけでも、学習習慣をつける上では大きな力となるでしょう。

 

 そろばんも機能的には同じです。計算が速くなるという効果に着目しがちですが、習慣づけや、その後の塾の難問に対する準備、という意味合いのほうがプロ的には大きいです。ま、計算を速くする方法なんて、今や他にいくらでもありますから。

 

 

・幼少から小学期前半までにおける自己肯定的イメージをつけるには最適

 ……次に、プロ的においしいな、と思えるのは、動画で堀江さんも言われているように、頭がかなりいい子と比べても計算が速くなり、「得意意識」を持てることです。これが、凡才にとっては非常に大きく、馬鹿にできません。

 

 少し前のブログでも述べましたが、自信というのは、人間にとって何をするにも大事です。自信がない、もてないことが、非常に人生をマイナスに振ります。特に、勉強くらいは最初に少しの自信を持たせてあげることが、その子の人生にとっても最大のプレゼントになりえます。

 

 その機能を公文はスムーズに果たしやすいです。佐藤ママのようにベイビー公文からする必要は必ずしもないのですが、幼稚園に入るくらいになったら、遊びの延長でさせてあげるくらいがちょうどよいと思います。

 

 小学校に入学した時に周りの子と比べて少しできることが、「私はできる」という意識を生みます。これは勘違いで全然構いません。そもそも人間は大いなる勘違いの集合体ですから、「中身」などは後からで大丈夫です。

 

 一たび自信を持った子はほかの事もどんどん挑戦するようになるし、一度始めた習い事を辞めたがらなくなるなど、継続力も生まれます。

 

 もちろん、その意識が肥大して人間関係などにおいて「メンドクサイ人間」になることもよくありますが、それは中学以降、部活や受験などで他人とぶつかることなどを通じて直していけばよいと思います。

 

 

・「伸びないパターン」に陥るパターンの共通点

 ……とはいっても、公文を長年やってもいまいち伸びない子も多くいます。率的には、小3時にFまたはGくらいまで行っていた子で名門校などを目指して中学受験し、うまくいっている可能性は7割程度です。

 有意差としては十分ですが、残り3割は気になるところです。

 

 伸びないパターンで僕が一番気になるのは、「思考できない」子が多いことです。

 

 今の大学受験およびその流れを受けた中学受験では、問題文を読んで→考える、というプロセスが高度に要求されます。これが公文式では中々鍛えられないようです。

 

 といいますのも、その子にあった簡単なものを繰り返したくさん解く、という機能が幼児教育として有効なのですが、「複数のものから検討する」「共通点を見つける」「自分の意見を文章にする」などの能力は公文式ではまったく伸びません。

 

 むしろ、そのような難問を避ける傾向すら生まれます。なまじパッと解ける計算や国語の穴埋めばかりやっていることで、じっくり考える習慣がつきにくいのです。

 

 昨年に上記のような記事を書いていますが、脳というのは、じっくり考える「ローギア」と素早く瞬発的に考える「トップギア」の両方の能力があり、この両方がハイレベル受験には要ります。幼少期は発達具合からしてもトップギアしか鍛えようがなく、ローギアは小3〰小4くらいから(かなり個人差あり)、徐々に鍛えていくしかありません。

 

 このローギアでじっくり考えたり、いろんなことと結びつけて考える能力が育っていかないと、中学受験の特に上位層や広尾や三田国際など評判の良い学校の入試には対応がしにくいです。公文式では、仮に高校内容までやったとしても、難しいことと思います。

 

 

・過度な先取りには意味を感じない

 ……僕はあまり好きではないのですが、ドイツの教育者・神学者のルドルフ・シュタイナーが言うように、「子供には発達の順番がある」「適切な時期に適切な教育をすべき」というのは真実に思います。

 

 公文式では、どんどん先に行くことができ、中学内容まで頑張ったら小3くらいで行けます。高校受験をする場合は有利に働くこともありますが、「それが学ぶのに適切な時期かな?」という疑問は残ります。

 

 例えば、小2くらいで三角関数まで進んだとして、その意味や定義が理解できるでしょうか? サインやコサインを勉強しても意味がないと嘆く子は高校生でも多いのですが、それは大いなる勘違いで、ちゃんと理解すれば非常に意義深く、内的世界が広がる経験ができるのが、三角関数です。

 もちろん、卑近な意味では建築や測量では無くてはならないものであり、しっかり「役に立っている」学問です。

 

 ただ、進学校の高校生でもその深甚さを理解できる子は少数であり、先生方でもそこまで説明できる方は少ないようです。

 極方程式と言われる方法を使えば、関数において回転を三角比を用いた式で表現することができ、複素数平面やベクトルにも応用できます。非常に奥が深い分野です。僕もよくわかっていません(笑) 

 

 下記のような「よくわかっている」方の本を読むのがいろいろな意味で近道です。

 

 問題は、これを小学生が「読めますか?」という問題です。小学期や中学期先取りしまくって、本質や価値が「わかっているのか」という点です。もちろん、計算問題ができるようになるだけですから、極端な先取りは何の自慢にもなりません。

 んなもん、進学校ならどうせ高1くらいになったらやります。公文でやった子も、そのころには大体忘れてしまっている子が多いものです。

 

 このあたりは、低学年で英検2級取得などを自慢することと同じです。高校生で上位校を受験するようになれば、誰でもいずれ英検2級程度にはなります。それを数年早いだけで「なんの合理的な意味合いがあるのか」「うわーちっちゃいのにすごーい、以外の意味があるのか」、そこをよく考えましょう。僕はよく疑問に思ってはいます。

 

 理論的に考えるなら、英検は大学受験にうまく生かすほうがよく、高校生で文法の復習として受験するのが賢い使い方に思います。(帰国入試などで中学受験などに使う場合はまた別の問題です) 

 

 早い、というのはなんでも派手に見えますが、実質意味がないことも多いように感じます。みなさん、スポーツや楽器などを幼少からやらせて物凄い天才ができること、と混同されておられるように思います。

 

 知性的な活動は、早いとそれなりのアドバンテージがあるのは今回の記事の通りですが、特に勉強においては後からでも頑張れば追い付くことは可能に思います。特にこれから、高度に思考力や読解力がためされるであろう受験業界では特にそう思います。(ただ、短期間で詰め込んでどこかおいしく大学に受かろう、というのは難しくなるかも)

 

 

 ということで、中身を伴わずに無思考に「型」だけを過剰に入れることになりやすいのが、公文だけを熱心にやってどんどん先取りなどをする方の特徴に思います。

 

 それ自体が悪い、ということではなく、無思考にそれを行うことが、応用力を奪うことにつながり、中学受験にすら通用しなくなることがある、ということです。特に小5後半からは、問題文をしっかり読んで「あ、あの問題の応用か」というのを見抜くことが大事になります。

 

 過剰に見える先取りも子供本人がやりたがれば、特に反対はしないのですが、読解力やじっくりしたローギアの思考力のほうも同時に鍛えていかないと、公文のプラスは最大には生きません。もったいないことです。

 

 また、中学生くらいになるともう計算によるアドバンテージがどんどん小さくなって、公文もそろばんもしていない子に追い付かれる現象もよくあります。幼児教育のアドバンテージは早くて10歳まで、遅くとも14歳には消える(まあ、完全に消えないような気がしていますが)と言われ、さぼる期間が長いと「三つ子の魂百まで」、とはならないようです。

 それは僕の教えている感覚とも非常に合致します。

 

 とはいっても、少なくとも大学共通テストや名門大学入試では生きますから、まったくのマイナスにはならないとも思います。

 

 また、「じゃ、公文の国語をやればいいじゃないか」となりますが、もちろん、悪くはないのですが、じっくり文章を落ち着いて解く感じにはならないことを指摘しておきます。どうしても素早く解いてしまうようです。ローギアが大事です。

 

 では、そのローギアをどうやって鍛えていくか。読書でしょ。(今でしょ、のリズムでw)

 

 いつも読んでくださってありがとうございます。

 

P.S. 切り抜き第2弾できました。高評価(いいね)、チャンネル登録、よろしくお願いいたします。今回のBGMは、インディーズのころの僕らのバンドの曲で、このベースも僕が弾いてます。

 

 

 

おススメ読書タイトル100、問題集など https://ameblo.jp/jyukuko/entry-12589194343.html

 

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<追記>

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