【400文字作文】 女・オンナ・おんな

とろりとした照明をぶらさげ、全体的に白
いカフェに入り、テーブルにコーヒーカップ
をそっと置いた。
私が選んだ席の向かいにはテーブルが三つ
並び、両端に女性が座っている。
右端の女性は読書を、左端の女性は何かを
ノートに書き付けている。私はその右端と左
端の女性を視界の端に残したまま、その間か
ら見える風景を眺めた。
雲とビルが溶けあったプレーンな灰色を背
景に街路樹が映えて見え、その枝葉は雨を予
感させる少し強めの風に弄ばれていた。
しばらくすると、私の視界の真ん中に騒々
しく女が現れ、座った。
女はテーブルいっぱいに書類を広げ、口を
半開きにしたままチェックしている。
読む女と、書く女。真ん中に騒々しい女。
左端の女性がテーブルを片付け、席を立っ
た。ぽっかりと左端が空いた向かいの席は、
風景として成立しなくなってしまった。
【400文字作文】星のカスだけ クズしめて

最後の客が帰り、トマトソースで赤くなっ
たパスタをゴミ箱に放り込んだ。
大人でもすっぽり入れそうなゴミ箱には、
いろんな食べ物が放り込まれ、混ざり、観念
している。
ゴミ箱に集められた食物は、自分がカスに
なったことを受け入れ、観念している……。
そんなゴミで膨れたポリ袋を破らないよう
慎重に持ち上げると、ポリ袋の隅にはサビ色
の液体が溜まっていた。
人の食欲を満たせたのか、満たせなかった
のかは解らないけど、目に見えて重量感もあ
る欲望のカスは、解りやすい。
今夜のニュースも、色んな欲望のカスを集
め報じているんだろうな。と、思いながら俺
は裏口のカギを閉め、夜空を眺めた。
大袈裟でもなく、感傷的でもない輝きの星
クズを二つ三つ数え、俺は深呼吸をした。
そして俺は、明日はもっと優しくなろう、
と思った。もっと優しくなろう、と思った。
【400文字作文】 ¿Y qué?

「人」って字はヒトとヒトが支え合って、み
たいなウソを平気で言う奴もいたけど、あれ
本当にウソだからな。お前もそのくらいはわ
ーってると思うけど。思うけどあれはただの
絵から派生した記号だからな。記号に意味を
持たせるなんて図々しいにも程があるよな。
いやでも「和」とかなんとなくな、わかるけ
どな。ああいうのはいいんだけど「人」みた
いにシンプルな記号に意味を持たせるのは、
失礼だろ。「月」とか「吏」とかな。「女」
とか「手」とかはエロティックでキレイだか
らガイジンでも感ずるものがあんじゃねーの
か?タトゥーとかさ入ってたらオッ!やるな
っ!て感じしねぇか?しねえか。でもあれだ
な「人」って字にどーしても意味持たせんな
ら対立と矛盾と妥協じゃねーか?よぉく見て
みたらそんな感じしねーか?妥協とか言うと
なんか諦めた感じするけど本当はそーじゃね
ぇからな諦めなかったから妥協できるんだか
らな。でなんの話してたっけ?あテレビか。