【400文字作文】下半身は地球を救う。 -8ページ目

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【400文字作文】悲しいこと 嬉しいこと

【400文字作文】下半身は地球を救う。-090530


 キッチンからリビングを眺めると、彼はソ
ファの左側に座っていた。いままで、その空
いている右側は私のための空間だと思ってい
た。でも今日は、彼の右側に座る自分をイメ
ージできなかった。
 ケータイを閉じる音がして、私は彼と知り
合った時のことを思い出した。この人はきっ
と寝る時もケータイを離さないんだろうな、
と思ったのが、最初の印象だった。
 私はリビングへ行き、テーブルの上に黒い
スパークリング・ワインのボトルを置いた。
 彼と初めて寝た時も、これを一緒に飲んだ
後だった。覚えているだろうか……。
 この男に、ずっと触れていたい。と思った
ことは、いくつもあった。この恋もそうだ。
でも、この男の文化にずっと触れていたい、
と感じたのは、その男が初めてだった。
 キッチンへ戻り、私は天気の話しをするよ
うなトーンで彼に言った。
 別の人と、結婚することにしたの。   

【400文字作文】嬉しいこと 悲しいこと

 【400文字作文】下半身は地球を救う。-090527


 私の耳と耳の間では、まだグラスが砕ける
暴力的な音が響いていた。そして、その音は
ゆっくり遠ざかり、自分の荒い呼吸の音しか
聞こえなくなった。
 その遠ざかる音は、夜の波の音に似ていて
私は、女と行った夜の海を思い出した。妻が
いることを女に打ち明けると、女は何も言わ
ず砂浜に打ち上げられた淫らなゴミを、白く
泡立つ海へ投げつけた。その時私は女に言っ
た。そんなことをしても何も変わらないと。
 その言葉は、今の私にも似合っていた。
 女から、別の男と結婚することになったと
聞かされ私は、グラスを床へ投げつけた。
 その破片を集めながら、飲むでしょ?と女
は言ったが、私は「別の」という女の言葉が
喉につかえ、返事ができなかった。
 テーブルには、黒いボトルが立っている。
 女はいつも、嬉しいことや悲しいことがあ
ると、このスペイン産のスパークリング・ワ
インのコルクを、静かに開けるのだ。 
 

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